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術伝流操体・ラクな寝方をすこし強調 (5)仰向け膝立てない姿勢から皮膚と重さの操体

仰向け膝立てない姿勢から
 
  皮膚と重さの操体

1.はじめに

 先回は、仰向けで膝を立てた姿勢からの皮膚の操体を説明しました。
今回は、仰向けで膝立てない姿勢からの皮膚と重さの操体を説明します。

2.仰向け膝立てない姿勢からの皮膚の操体

1)足を曲げて倒している場合

 この場合には、曲げている足の大腿部の上になっている内側の皮膚を
膝のほうにずらします(写真1)。

写真1

 治療院でバイトしているときなど、それだけだと患者さんから文句が
きそうな場合には、あいているほうの手で関連するところを揉んだり押
したりしてもよいと思います。

 たとえば、その足の脹ら脛とか。大腿の内側は陰経なので直接関係あ
るのは下腿から先の陰経ですが、表裏対応もあるので陽経側を組み合わ
せてもよいと思います。

 そういうときにも、皮膚の操体がメインなので、皮膚をずらしたあと
にできる張りを一定にたもつことを忘れないようにしてください。

 曲げている足の位置によって、そのとき体が変えたがっている経絡が
わかるので、厳密に言えば、その経絡のツボの指圧などを組み合わせる
とよいのですが、違っている場合もあり、実際に指圧してみて患者さん
の体の反応が深いところをするとよいと思います。

 両方の足を曲げている場合には、両手で上になっている大腿内側の皮
膚を同時に膝のほうへずらしてあげればよいと思います(写真2)。

写真2

 どちらの場合にも、言葉に通じる方には声をかけて、首の向きをイイ
感じのほうに変えてもらったり、手を頭のほうに伸ばしたり体に沿わせ
たりの中からイイ感じのほうを選んでもらったりすると、気持ち良さが
深い操体になっていくことが多いです。

2)足を伸ばすかわりの皮膚の操体

 動きの操体のときに説明した伸ばしている足を伸ばす動きの操体と同
じようにして、伸ばしていく方向を決めます。

 まず足首を少し持ち上げ外に開いたり閉じたりして開き具合を決めた
あと、足首を持ち上げたり下げたりして足を上げる高さを決めます。そ
の方向が維持できるように足と床のあいだに座布団をつみます。高さが
低い場合には、操者のモモなどに乗せてもよいと思います(写真3)。

写真3

I)足の裏側を伸ばす

 足の裏側を伸ばすのと同じ効果を皮膚の操体で上げるには、アキレス
腱あたりの皮膚を踵のほうにずらします。この場合には足首を反らした
状態に固定しながらしたほうが効果が出やすいと思います(写真4)。

写真4

II)足の表側を伸ばす

 方向を決め高さを布団などで調整した状態から受け手の方の伸ばして
いる足の大腿の上から外にかけての皮膚を内側に回しながら膝のほうに
ずらし、下腿の内から下の皮膚を外側に回しながら足首のほうにずらし
ます(写真5)。

写真5

 そうすると、その足を伸ばしたのと同じ効果が出せます。

3.仰向けから首の皮膚の操体

 この場合にも、動きの操体のときに説明した方法で首のシコリを見つ
けられるとうまくいきます。

 鎖骨の首側の窪みに指先を入れ、首の付け根を押してシコリを見つけ、
そこから頚椎に平行に頭のほうにたどって首のシコリを見つけます。シ
コリの表面はペコペコへこんだ感じのことが多いです。

1)首のシコリに皮膚の操体

 見つけた首のシコリに直接皮膚の操体をします。シコリを見つけたら
押している指の力を抜いて、皮膚に軽く触れている程度にしてからズレ
やすいほうにずらします(写真6)。

写真6

 四方八方にずらしてもよいですし、頚椎と平行の2方向、つまり頭の
ほうと胴のほうにずらしてみてイイ感じのほうを見つけてから、それら
と直角の2方向にずらしてみてイイ感じのほうを見つけ、それらを組み
合わせてもよいです。

 あるいは、ツボの穴のあいている方向に沈ませる感じで皮膚を張って
もよいです。このあたり言葉だけで説明するのは難しいですね。

 そして、あいている反対側の手でシコリと同じ側の指揉みをすると効
果が出やすいです(写真7)。

写真7

 シコリが首の前側なら親指か人差し指、横なら中指か薬指、後ろなら
薬指か小指の指裏関節部のシワあたりを中心に揉みます。

 首のシコリと、そのシコリのあるミゾをたどっていった鎖骨の首より
のシコリ、その二つのシコリに同時に皮膚の操体をしてもおもしろいで
す。また、後頭骨下縁のシコリや首の顎よりのシコリと組み合わせても
よいと思います。

2)首の動きの操体を皮膚の操体で

 首を捻りやすく反らしやすい方向にラクに動かせる範囲で動かしても
らいます。その状態で、首の皮膚にかるくふれてズレやすいところを探
し、手のひらや四指の先でずらしやすい方向にずらします(写真8)

写真8

 もうおわかりと思いますが、動きの操体を皮膚の操体に変えていくの
は難しくありません。ただ、動きの操体で使っている動きにつながって
いくような方向に皮膚をずらしているだけです。

 もちろん、その動きの操体が目標としているシコリがわかれば、その
シコリの上の皮膚をずらしてもよいし、対角、あるいは上下、左右の連
動性を利用してもよいわけです。

4.仰向け寝から重さの操体

 両側のウムネ(腕と胸のさかいめのクボみ)、両側の腰骨に、順番に
操者の両手をかさねて当てて操者の体重をかけていきます。いちばんイ
イ感じのするところにしばらく体重をかけたままにしておきます。

 一番目と二番目に差があまりなかったら二つのところにいっぺんに体
重をかけてもよいと思います。

1)肩のほうに重さを移す

 肩のほうに重さを移すのがイイ感じの場合には、操者の正座した膝の
上、立てた膝の上、あるいは肩の上などに、受け手の両足の踵を乗せて
もらうとよいです。

 いちばんイイ感じのする高さを選びますが、高いほうがよいという人
が多いので、肩にかけてもらうことが多くなります(写真9)。

写真9

 定番の操体では膝の高さで踵を踏み込ませますが、それは体重を肩の
ほうに移すためで、踵を置く位置を高くすれば自然に体重が肩のほうに
移るので、踵を強く踏み込む必要がなくなります。受け手の方がどちら
がイイ感じかにもよりますが。

5.おわりに

 これで仰向け寝からの操体を終わりますが、わかりにくい点や疑問に
感じた点などありましたら、編集部宛にメールしてください(術伝HPで
読んでいる場合は、術伝事務局あて)。

 よろしくお願いします。


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最終更新:2010年08月21日 11:35