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術伝流操体・ラクな寝方をすこし強調 (1)ラクな寝方をすこし強調

ラクな寝方をすこし強調

1.はじめに

 「術伝流操体」として、いままでは運動器系応急処置からはじめて操
体の基本を書いてきました。運動器系応急処置にまだいろいろあります
が、前回までで、おもなことはだいたい書いたので、これから、いよい
よ二人組での操体の中心となる寝方別の操体について書いていきます。

 操体を臨床の場で使いこなしていくときの中心になる技術で、これを
身に付けると、言葉が通じない人や定番の操体ができない人にも気持ち
よい操体を味わってもらうことができます。

 術伝流では、寝方別の操体を「ラクな寝方を少し強調してみてイイ感
じを探し味わう」というやり方で伝えています。

 ラクな寝方で寝てもらい、その姿勢をよく観察し、その特徴となると
ころを少し強調することをきっかけに操体をはじめます。

 少し強調する方法は、動き、皮膚、重さの3種類で、動きと皮膚がお
もに使われます。

 寝た姿勢では体重移動はしにくいので、重さの操体は少なくなります。
しかし、あとにも書きますが効果的なことも多いです。

 今回は、「ラクな寝方を強調する」の1回目なので、どんなふうにラ
クな寝方を強調しているか、その方法を大雑把に解説します。

 次回から寝方別にこまかく解説していきます。

2.ラクな姿勢で寝てもらう

 さて、ラクな寝方を強調するためには、まず、ラクな姿勢で寝てもら
わなくてはなりません。若い人や頭が柔軟な人は比較的すぐにできるの
ですが、なかなかできずに、かなり歪みがひどいのに仰向け大の字がラ
クだといって、そういう形に寝る人もいます。

 そういう人の寝方をくずしていく方法もいろいろあるので、あとで詳
しく解説する予定ですが、ここではいちばん簡単な足の指揉みをして少
し痛くして、その痛みから逃げてもらうとラクな寝方が見つかりやすい
ということにしておきます。

1)指揉みから逃げてもらう

 足の指裏関節部の横の端あたりを探ると小さな貝のようなシコりが骨
にへばりついたような感じで見つかると思います。もちろんまるきり歪
みがない人にはないのですが、たいてい数本の指にあります。

 内臓系の調子の悪い人では親指や2指に、顔や胸腹の表面近くなどの
ように体の前の部分に関係する症状のある人は2指や3指に、耳など体
の横に関係する症状のある人は3指や4指に、腰など体の後ろに関係す
る症状のある人は4指や小指にある(写真1)ことが多くなります。

写真1

 体の左右でどちらが症状が強いかによって、左右どちらの足に強い痛
みのシコりが出るかが決まります。

 というような原則があるので、ある程度まで予測することができます。
しかし、初めのうちは1本1本調べてみるとよいでしょう。

 調べてみて痛いところを少し余分に痛くして、その痛みから逃げても
らいます。少し逃げると同じ強さで押しているのに痛みが減る姿勢にな
ります。それがラクな寝方であることが多いです。

 あまり痛くしすぎると、どう逃げても痛いということになるので、痛
さを加減してください。

 指裏のシコリが見つかりにくい場合には、指と指の間の水掻き状の部
分を挟んでつまんでもよいのですが、手と違って足は指と指の間が狭く
てつまみにくいので、指裏のシコリのほうが使いやすいと思います。

 うまく、指のシコリが見つけられなかったら、とりあえず受け手がラ
クだという寝方で寝てもらいます。

3.目立つところを見つけ強調する

 ラクな寝方で寝ている人の寝ている姿勢をよく観察してみましょう。

 まずわかりやすいのは、手足の位置と首です。手足の位置が左右で違っ
ていないか、手首足首がどちらかに捻れていないか、膝がどちらか曲がっ
ていないか倒れていないか、首がどちらかに捻れていないか見てみます。

 観察した結果に差があれば、その差を少し強調する動きの操体をして
みるわけです。

 基本的には、仰向け大の字の姿勢や立っている姿勢と大きく違ってい
るところが目立つと思いますが、操体では、赤ちゃんや寝たきりの人以
外は、足から操体していきます。

 人間は立って歩くことが基本的な運動なので、土台である下半身をま
ず整えるためです。

1)足がきっかけの動きの操体

 左右くらべて変化が大きいほうの足、つまり、仰向け大の字の状態と
くらべて大きく異なった格好をしている足を選びます(写真2)。

写真2

 あるいは、受け手が言葉が通じる人だったら、違和感があったりして
意識がいきやすいほうの足を選んでもよいと思います。

I)足首を捻ったり反らしたりをきっかけに

 その足の足首をどちらかに捻ってみます(写真3)。

写真3

 捻りやすさに差があれば捻りやすいほうに捻ったままにして息が深く
なるのを待ちます。

 息が深くなるのは、腹を見ているとわかりやすいです。お腹が、静か
にですが、大きく上下し始めます。

 まず捻ってみるのは、捻るのが体の連動に深く関係していていちばん
遠くまで伝わりやすいからです。捻ってダメなら反らす(背屈)のとそ
の反対(底屈)をしてみてもよいでしょう。

 ただ、手は捻転がおもになりますが、足の場合には、捻転以外に背屈、
つまり足の甲を反らすのも結構よいきっかけになります。組み合わせて、
足首をかるく背屈してから捻る(写真4)ほうが息が深くなりやすい場
合も多いです。

写真4

II)ヤジロベエのようにバランス

 捻る程度は、軽く捻って動く程度で、足首が抵抗して戻そうとしてい
たら捻りすぎで、引き込まれるように捻れていくときには捻り方が足り
ません。二つの力がちょうどよくヤジロベエのように釣り合った状態
(タワメの間の状態)になるようにします。

 釣り合う状態がわからない場合には、言葉が通じる相手だったら気持
ちよさが感じられるか、イイ感じがするか聞けばよいですし、言葉が通
じない人が相手だったら、表情や腹の息を観察しながら手加減します。

 痛かったり辛かったり、いつまでたっても息が深くならなければ止め
ます。

III)膝をきっかけに

 また、膝が曲がっていたり、どちらかに倒れていたりしたら、それを
少し強調してみてもよい(写真5)と思います。

写真5

 足首よりも胴体に近いので、なれないうちは、足首よりも胴体まで一
緒に動く、つまり胴体も連動する動きを作りやすいと思います。

 もちろん、足首の動きと膝の動きを組み合わせてもよいです。

IV)イイ感じをつけたす、ほかの足や手、首もイイ感じに

 片方の足がうまくタワメの間の状態になったら、体のほかの部分もイ
イ感じにならないか試して、イイ感じをつけたしていきます。

 言葉が通じる人が相手のときには、声をかけて、受け手に自分で、も
う片方の足や二つの手を捻ってもらったり、首を捻ってもらったりして
もよいし、手を頭のほうに伸ばして(立った姿勢で手をあげる形)もらっ
たり(写真6)して、体全体で気持ちよさが深くなる、イイ感じが増え
る姿勢を探して、ゆっくり動いて試してもらうとよいと思います。

写真6

 このときには、ただ「全身に連動させてください」とか言うよりも、
具体的に動かす場所と動かす方向などを言って試してもらい、気持ちよ
さが深くなるものがあったら、そちらに動かす格好を維持してもらうよ
うにするとよいでしょう。

 また、言葉かけをする順序は、仰向け大の字の姿勢と比べて変化が目
立つ順にします。つまり、きっかけの次、2番目に変化が大きいところ
をまず動かしてもらいます。

i)言葉かけの例
 たとえば、初めての人や言葉をあまりかけてほしくなさそうな人だっ
たら

「右手を頭の方に伸ばすのと左手を伸ばすのは、どっちがイイ感じです
か?
 イイ感じのするほうの格好をしてください。その方が効果も出やすい
ですから。
 ほかにも動かしたほうがイイ感じのところがあったら動かしてかまい
ません。
 ただ、ゆっくり動くようにしてください」

 くらいかな。

 操体に慣れている人や言葉をたくさんかけてほしそうな人だったら、

「右手を頭の方に伸ばすのと左手を伸ばすのをやってみてください。
 左右とも同じ感じですか?
 違いがありますか?
 違いがあったら、イイ感じのする方の格好をしばらく続けてください。
 戻したくなるまで。
 その方が気持ちよさが味わえると思いますし、効果も出やすいですか
ら。
 それで、上げた手の手首をどっちか捻ってみたらどうですか?
 差があったら、やっぱりイイ感じのする方に少し捻ったままにしてお
いてください。
 下げている方の手の手首はどうですか?
 どちらかに捻ると気持ちよさが深くなりませんか?
 右足(左足をきっかけにした場合、逆なら左足)は、どうですか?
 首はどうですか?
 今のままがいちばんイイ感じがしますか?
 それともどちらかに動かしたほうがイイ感じですか?
 確かめてみてください。
 そんなふうに、体のあちこちを少しずつ動かしてみて、イイ感じがす
るものが見つかったら、その格好をしばらく続けてみてください。
 途中で姿勢を変えたくなったら変えてもかまいませんよ。
 ただ、はやく動かれると付いていけませんので、できるだけゆっくり
動くようにしてください。
 より深い気持ちよさを探していくつもりで、ゆっくり。
 もう止めてもイイという感じになるまで」

くらいかな。

ii)言葉が通じない人なら
 言葉が通じない人が相手だったら、空いているほうの手で届く範囲に
ある手足や首を試しに捻ったり反らせたりしてみて、動きに差があった
ら、動きやすいほうに少し動かして、その状態を維持してあげてくださ
い。

 少し動かす程度は、やはり、ヤジロベエのようにバランスする程度で
す。

iii)窮屈そうに見えるところから
 きっかけにつけたしてイイ感じを増やしていくときに、2番目に目を
付けるのは、2番目に変化しているところがよいという説明をしました
が、2番目に目を付けるのは、なんとなく受け手の体が窮屈そうに見え
るところがよい場合が結構あります。

 ただ、初めのうちはわかりにくいので、2番目に変化しているところ
で練習していき、たがいに声をかけ合っていくうちに、だんだん受け手
の体の状態を読めるようになっていくと、窮屈そうなところはわかるよ
うになります。

 窮屈そうなところを指定して、そこがそのままの状態がいちばんイイ
感じかそうでないかを聞いてみると、初めての人でもわかってもらえる
可能性がとても高くなります。

 また、あまり声をかけてほしくなさそうな人でも自分で動いていく可
能性も高くなります。

 そして、言葉の通じない人に操体しながら、窮屈そうな部分をラクな
感じに動かしてあげられれば、その操体で効果が上げられる可能性が高
くなります。

2)終わったら繰り返す

 片方の足をきっかけにする操体が終わったら、ラクな姿勢でしばらく
休んでいただきます。

 そして、そのとき休んでいるラクな姿勢を、また、仰向け大の字や立っ
ているときの姿勢と比べてみて、反対側の足とか、手とか首とかに、ま
だ、目立つ変化があるようだったら、その目立つ変化を少し強調するこ
とをきっかけに操体をしていきます。

 そして、やはり気持ちよさやイイ感じが深くなるようにゆっくり動い
ていただくか、空いているほうの手で別の動きを作って気持ちよさが深
くなるようにします。

 こんなふうに、ラクな寝方が変わるたびに目立つところをきっかけに
した操体を選んでいきます。

3)背骨の変化をきっかけに

 きっかけにするのは、手足や首などの末端だけではありません。

 動きの操体で、もう一つ目をつけるのは、背骨です。背骨、とくに首
より下の胸椎・腰椎・仙骨が立ち姿勢でまっすぐ伸びた状態と比べて、
どういう形をしているかです。

 左右捻転、左右側屈、前屈後屈、伸縮という、4種8方向の見方で見
て、変化していないかどうかです。いちばん目立つ変化を少し強調して
あげる動きの操体を考えるわけです。

 たとえば、前屈して背を丸めていたら、少しそれを強調するように、
背の上部を押し膝を胸に近づける動きを試してみて、息が深くなるのを
待ちます。

 少し強調する程度は、手・足・首のときと同じでヤジロベエのように
釣り合う状態を目指します。

 痛かったり辛かったり、いつまでたっても息が深くならなければ止め
ます。

 手が届かなかったり、言葉で誘導して受け手に自分でやっていただく
場合には、たとえば

「おへそを見るのと、あごを上げる動作を比べると差がありませんか?
 おへそを見るほうがよい感じがしたら、しばらくおへその方を見てい
てください」

とか言ってみるとよいでしょう。

 この場合にも、いちばん目立つ変化が決まったら、2番目に目立つ変
化を少し強調するのを付け加えると、気持ちよさが深くなりやすいです。

 なれてきたら最初から1番目と2番目の変化を同時に強調する動きを
作れるようになります。

 二つをうまく釣り合った状態にできれば、深い気持ちよさを初めから
味わってもらえるでしょう。

 初めから1番目と2番目、できれば3番目の変化を読める目や勘と、
それを少し強調できる手を作り、また、そういう誘導できる言葉かけを
工夫していきましょう。

 また、背骨をきっかけにする操体操法がうまくタワメの間にはいった
ら、さきほど書いた手首足首の動きを一つずつ確かめてもらい、イイ感
じになるほうに動かしていってもらうと気持ちよさが深まりやすいです。

 逆に、手首足首からはじめた動きの操体に、背骨の動きを付け加える
ように言葉かけをしても気持ちよさは深くなります。

  しかし、言葉かけで背骨をちょうどよく動かしていくほうが難しい
と思います。

4.皮膚の操体

 皮膚の操体の場合は、動きの操体よりも初めは少しわかりにくいかも
しれません。

 ラクな寝方で寝ている姿をながめて、体のどのラインの筋肉をいちば
ん伸ばそうとしているか、体のどのラインの筋肉をいちばん縮めようと
しているかを観察します。

 たとえば、背を丸めている場合には、背中側の筋肉をいちばん伸ばそ
う、腹側の筋肉をいちばん縮めようとしていると見るわけです。

 そして、この場合には手で腹側にふれにくいので、縮もうとしている
ラインを縮ませようという皮膚ズラしは難しくなりますから、背中上部
の肩甲間部の皮膚を首のほうへ、仙骨あたりの皮膚を尾骨のほうへズラ
してみて、ズラしやすかったらズラしたままの状態を保ちながら、息の
深くなるのを待ちます(写真7)。

写真7

 ズラす程度も動きの操体と同じで、ヤジロベエのようにちょうどよく
釣り合った状態が良いので、手のひらでその感覚がわかるようにしてい
きましょう。

 もちろん、言葉の通じる人なら、気持ちよさが深くなる程度を聞いて
いちばん深くなる程度にズラします。

 ズラす方向は単純に一つの方向でなく、二つの方向の組み合わせであ
ることのほうが多いです。

 姿勢を読む目と勘を養い、ズレやすい方向を感じる手と勘を養い、表
情や息の深さから判断できる目と勘を養い、また、受け手との会話の中
から判断する対話能力をあげて、できるだけ少ない回数ためしてちょう
ど良いタワメの間が作れるようにしていきましょう。

 そのため、二人組での練習のときには、互いに声をかけ合って、ちょ
うどよくなるようにしていきましょう。

 いろいろなタイプの人と組んで練習すると、いろいろなタイプの人に
合わせられる手のうちの幅も広がります。これは動きの操体も同じです。

1)動きの操体を皮膚の操体に

 動きの操体で行った観察を利用することもできます。手首・足首・膝・
首をきっかけにしたり、背骨をきっかけにしたことを皮膚の操体でやっ
てみるわけです。

 たとえば、あたりまえかも知れませんが、背を曲げているときに、も
う少し背を丸めるように動かしたときの動きの操体と、背を丸めようと
するラインを強調する、いいかえれば、背中側の筋肉を伸ばすことにつ
ながる皮膚の操体は、体にはだいたい同じ効果があります。

 また、足首を捻る動きの操体(写真8)と、下腿の足首よりの皮膚を
足首が捻れるのと同じ方向にズラす皮膚の操体(写真9)も、だいたい
同じ効果があります。


写真8:足首を捻る動きの操体


写真9:足首が捻れるのと同じ方向にズラす皮膚の操体

 そして、膝を倒す操体と膝が倒れる方向に大腿の皮膚をズラす操体
(写真10)も、それぞれ、だいたい同じ効果があります。



写真10:膝が倒れる方向に大腿の皮膚をズラす操体

 ただ、体のほかの部分の歪みやそのときの体調やその人の好みによっ
て、どちらが気持ちよさが深くなりやすいかは違ってきます。

 ちかごろは、皮膚の操体を好まれる人のほうが多いような気がしてい
ます。

 そして、動きの操体は、言葉で誘導して受け手にやってもらえること
が多いですが、皮膚の操体は受け手に自分でしてもらえないことが多く
なります。

5.重さの操体

 さて、次は重さの操体です。

 重さの操体は、立った姿勢や座った姿勢、あるいは、四つん這いでは
しやすいのですが、寝た姿勢からだと少しやりにくいです。

 しかし、うまく決まると、それ一つで、その日の操体が充分になって
しまうくらい、つまり、受け手がそれ一つで満足してくださり

「今日はもういいです」

と言ってくださるくらいの効果が上がることもあります。

 受け手がわかりにくそうだったら、操者が手のひらを受け手の体に当
て、自分の体重をかけて、気持ちよさが深くなるか聞く、あるいは、腹
の息が深くなるか観察するとよいでしょう。

 上半身か下半身、それと左右の組み合わせで、4つの方向のどこにい
ちばん体重を移したがっているかを、仰向けなら両肩と両腰骨、うつ伏
せなら両肩胛骨と両骨盤に操者の重さをかけて試してみます(写真11)。

写真11

 横向き寝の場合には、上半身と下半身を捻ってみることで背中側に体
重を移したがっているか、腹側に体重を移したがっているか試してみま
す。

 そして、いちばん気持ちよさが深くなるほうに、しばらく操者の体重
をかけたままにして、息が深くなるのを待ちます。

 痛かったり辛かったり、いつまでたっても息が深くならなければ止め
ます。

 言葉が通じない人が受け手の場合には、操者の体重をかけたときに、
受け手に付けている手のひらが引き込まれるような感じがしたところを
選んで、息が深くなるのを待ちます。

 表情や腹の息を観察しながら手加減します。

 手のひらが引き込まれるように感じたところは、そこを押して欲しい、
そこに重さをかけてほしいところである可能性が高いので。

 体重をかける程度もヤジロベエのように釣り合う程度です。

 このヤジロベエのように釣り合う程度というのは、重さの操体による
感覚がいちばんわかりやすいかもしれません。ヤジロベエが重さによっ
て釣り合うものだからです。

 また、体重をかける方向は、必ず4つの方向ではなく、それらの組み
合わせなどの斜めの方向もあります。受け手の気持ちよさが深くなりや
すい方向が選べるように手のひらの感覚や会話の中から判断する能力を
養っていきましょう。

1)動き、皮膚を重さの操体に

 寝た姿勢からだとちょっと難しくなりますが、動きの操体や皮膚の操
体を重さの操体で置き換えていくこともできます。

 盤若身経(立ち姿勢での体の基本運動)のときの体の動きと体重移動
の関係をうまく使うと動きの操体を重さの操体に置き換えていくことが
できます。

 また、基本的には、皮膚がズレていく方向に重さを移していくと気持
ちよさが深まりやすいです。

 ただ、動きや皮膚の操体を重さの操体で置き換えていくのは、座位や
立位のほうが簡単でわかりやすいので、そのときに詳しく解説し、練習
することにします。

6.動き、重さ、皮膚を組み合わせ

 動き、皮膚、重さと分けて書きましたが、実際には、組み合わせて使
うことのほうが多いです。

 片方の手で皮膚の操体をしながらもう一方で動きの操体をしたり、ま
た、重さの操体をしながらそれを強調するような動きの操体をしたり皮
膚の操体をしたりというふうに。

 指圧や按摩の手技と組み合わせることもできます。

 その組み合わせ方は、一般論でするよりも寝方別に具体的にしたほう
がわかりやすいと思いますので、そのときにします。

1)練習の順序と臨床の順序

 そして、動き、皮膚、重さの順で書いてきましたが、実際に臨床の場
で、たとえば1時間で操体の施術をする場合などには、逆に、重さ、皮
膚、動きの順で施術したほうが効率がよいように思います。

 また、寝方別の説明は、仰向け、うつ伏せ、横向きの順でしますが、
実際の臨床の場での施術は、横向き、うつ伏せ、仰向けの順で施術した
ほうが効率がよいように思います。

 そのため、解説練習は、わかりやすい順、仰向け、うつ伏せ、横向き
の順で、しかも、寝方別には、動き、皮膚、重さの順でして、一通り終
わったあとで、実際の施術の順、横向き、うつ伏せ、仰向けの順で、寝
方別には、重さ、皮膚、動きの順で施術する練習をし、最後に3人から
10人に連続して操体してみる通し稽古をしています。

7.臨床の基礎

 このラクな寝方を少し強調する操体を連続して施術していく方法は、
操体を臨床の場で使いこなすための基礎となるものです。

 しっかり身に付けると臨床の場で操体で一通り施術して6割以上の効
果を出すことができるようになりますし、按摩や指圧などと自在に組み
合わせできるようになります。

 要するに、受け手のそのときのラクな姿勢から、その人の体が、その
ときに必要としている操体を選ぶことができるようになるので、限られ
た時間で効果を上げやすくなるということです。

 また、寝ている姿勢を見て、ツボが出ているところをだいたい予測で
きるようになるので、鍼灸のツボを見つけるのにも役に立ちます。

8.おわりに

 今回は、「ラクな寝方を少し強調」の1回目なので、その大雑把な内
容を説明しました。

 次回は、仰向けの動きの操体です。基本的なものを練習していきます。

 定番の仰向けの動きの操体もラクな姿勢を強調するという視点から取
り上げていきます。

 そして、その次には、定番の動きの操体とほぼ同じ効果の皮膚の操体
も紹介し、自由に動きの操体と皮膚の操体を変えたり組み合わせたりす
ることができるようになってもらえるようにしていきます。


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