―Warrior of Darkness―
14番目の世界は,数多の幻想が混在した,今までに無い世界だった.それぞれの幻想へは
幻想跳躍という行為をせねば辿り着けぬらしいが,どうやって行うのだろうか?まぁ良い,
混沌の駒にさせればいい話だ,私が直々に赴く事はなかろう.
未だ私の身体はクリスタル鉱石でできた駒の姿だったが,13番目の戦いで浄化された記憶が
うっすらとだが蘇ってくるのを感じ取る事ができた.この私は,あるものを用いて浄化による
消滅から免れようとしていたのだった.それは,闇のクリスタル.あの裏切り者・・・
ゴルベーザに内在する力を利用し,闇のクリスタルを生み出そうとしたのだ.しかし,我が
姦計も,コスモスの戦士達の力を見くびっていた為,破綻してしまった.
この14番目の世界には,闇のクリスタルが在る闇の世界という場所があるらしいではないか.
私は,あの少年が遊びで作った混沌の駒に闇の世界へそのクリスタルを取りに行くよう
命じた.だが,駒をどのようにして幻想跳躍させるか未だに不明であった.そこで私は,
あの少年が此処パンデモニウム城に置いていった数々の道具を調べることにした.その
殆どは使い物にならないガラクタばかりであったが,1つ興味深いものがあった.胸部に
緑色の蛍光を放つパネルを携えた,魔導機械人,所謂ロボットである.パネルには,私には
読めぬ言語が書かれていたが,私の絶大なる魔力を持ってすれば,解読は難しい事ではない.
私は魔相を揃え,魔力を込めた手で,その言語を解読した.最も,大した事が書かれて
いなければすぐガラクタにしてやるがな・・・.
解読した結果,様々な事が分かった.まずこのロボットは古代ルフェイン人の賜物である事,
そしてその役割は14番目の世界にて「探求者」を導く事,闇の世界に行くにはやはり
幻想跳躍することが必須であること,そして,あの少年の人生が書かれてあった.
パネルの上部には,魔導探査針が設けられてあり,闇の世界に於いて今現在あの裏切り者―
ゴルベーザ―がこの世界の真実を探求している事が分かった.
ゴルベーザの目的は一体なんだというのだ?まさかまた浄化を防ぐ真似など
していないだろうな?ロボットから更なる情報を得ようと私はパネルのスイッチを押した.
するとどうやら奴は4つのクリスタルと闇のクリスタルの力を用いてあの少年の宿敵に
相見えようとしているようだ.闇のクリスタルをその様な用途に使われては,私の姦計が
また無駄になってしまうではないか.・・・しかし奴を止める術を私はなんら持ち合わせ
てはいなかった.このまま・・・クリスタル鉱石で出来たままの姿で消滅するというのか?
そうはいかぬ.
私はありったけの魔力を込めてパネルの奥に見えるゴルベーザに向けて放ってやった.
その衝撃でロボットが壊れてしまったが,もうそんなものは必要としない.
なんとしてでも,奴を止めねばならぬ.私のそういう想いを汲んだのか,
ガラクタの中から,ウォームの抜け殻が這い出てくると,壊れたロボットがこう言った.
ハンゲンソウチョウヤク スイコム
まだ壊れていないらしいロボットによると,この半幻想跳躍は離れた幻想の中にいる者に
何らかの影響を及ぼす事が出来るものだという.それは使用者の力量で如何ほどにも
操作できる,とも言っていた.
私は,我が城にいながらこの世界のあらゆる者を我が魔力によって操作出来るのだ!
震えるがいい!称えるがいい!正に王たる者による絶対支配だと思わぬかね?
最終更新:2011年07月10日 15:49