頭蓋骨の内側に,あらゆる感覚の元となる電気信号を跳ね返す"鏡"のようなものが
あったとしよう.自分が感じるものは全てその鏡によって跳ね返されるもの,つまり
紛いものだとしたら.自分の感じるものは全て紛いもの・・・.鏡によって跳ね返された
電気信号は,閉じた感覚器官を作り,永久に反射を繰り返す.

その鏡によって跳ね返される電気信号こそがフーリエの宿敵であり,この私が語ってきた
物語の終着点となるものだ.


不意に背後から気配がしたので振り向くと,14番目の世界で最初に出会ったエクスデスが
立っていた.次元城で倒したはずのエクスデスが何故此処にいるのだ.私は尋ねてみた.
奴が此処にいる理由を.

「私は無を超えしもの,エクスヴォイド・・・.貴様,感覚反射に陥っているな?
私が此処に来たのは他でもない,貴様を断罪するためよ」

ディリクレは自分の作業に集中していて,このエクスヴォイドがやって来たことに気付いて
いない.奴が喋り終わると,今度はガーランドが此処にやって来たではないか.どうした
というのだ,彼らは私がかつて倒したというのに.

「わしの存在理由が分からぬかゴルベーザ.何故此処にいるのかも・・・.幾度となく
幻想跳躍を続けて来た貴様なら分かろう,コスモスの正体を・・・.ゴルベーザ,
エクスヴォイドよ,断罪が終わったのならばすぐに消えるがいい,この14番目の世界は
最初の幻想の者しかいられぬ世界なのだ.ゴルベーザ,貴様の旅の記憶は閉じた世界で
安定を保つだろう.しかし肉体は在することは許されぬ.
例の光によって身を焼かれるがよいわ!」

エクスヴォイドによる断罪とは,この感覚反射のことなのだろうか.いや,これは
フーリエの宿敵によるものであり,エクスヴォイドによるものではない.ということは,
更なる傷みが襲うのか.あらゆる感覚を奪い去る光.映した者を絶望の底へと陥れる光.
そんな光が私を照らしていた.

トドメだ,というエクスヴォイドの声と共に床から鏡が湧現した.私の持っていた8つの
クリスタルはガーランドに奪われ,そして奴はどこかへ消えてしまった.多分,クリスタル
の力で幻想跳躍したのだろう.鏡から発せられる光に私が苦しんでいる間際,
エクスヴォイドはガーランドの言う通りにしたのか,姿を消した.

なんということだ.14番目の世界での旅の終着点は,自分が信ずる光の心により幕締めする
ことになった.

この幻の鏡に映し出された光こそが・・・全ての元凶だったのだ.






最終更新:2011年07月17日 16:00