アルカ・エ・ソーン最大の文献はクミールラヴァメル9年(1998年)から作成しはじめた『暫定語彙帳』である。これはアルシェの『制定語彙』などに当たる小辞典である。アルカ・エ・ソーンの語彙はアルカの秘匿性のために頻繁に変わるということが分かっていたクミールは予め『暫定語彙帳』の語彙がいつのものでそれがどう変化したかということを書くための欄が設けられていた。それ以外の点は『制定語彙』を参考にしていて、読みはIPA で書かれている。IPA は『制定語彙』と同じメル0 年ごろ改定のものを使用している『暫定語彙帳』には主に政治や学問など、知的生活に関する語彙が多く収録されていた。一方、アルシェの『高水準制定語彙』には生き物の名前など、実生活に使われるものが多く収録されていた。このおかげで制アルカの語彙を作る際、アカデミックなものは『暫定語彙帳』を参考し、生活的なものは『高水準制定語彙』を参照するという手法が取れた。
さて、メル12年リディアの月リディアの日(2000年11月30日)に発表されたクミールとラヴァの調査によると、『暫定語彙帳』に収録された異なり語彙数は16789 語であった。ただ、これはある語が別の語形に変わった場合、それらを別々の語と数えた場合の数である。別の語形に変わっても幻字はあまり変わらなかったため、そういった語を同じ語と考える見方もある。そしてそう考えた場合の異なり語彙数は6514 語である。
尚、幻字はある語が別の語形に変わったときに語形と一緒に字形も変わることがあった。変わった幻字同士を別の字と考えて数えると『暫定語彙帳』には1713 字があった。一方、それらを同じ字と考えて数えた場合、『暫定語彙帳』には幻字が924 字あったところで、『暫定語彙帳』の原本はクミールのノートに書かれていたが、ノートが老朽化したため、別のメモ用紙に写してそれらをバインダーに留めた。ソーンはアルシェと違って写本が禁止されていなかったため、『暫定語彙帳』は原本と写本の2 冊が存在する。
セレンは和平後、『暫定語彙帳』の提供を強く要求した。これに対してクミールは情報の一部なら公開可能であるという返答をした。セレンはこれに対して強く遺憾の意を示したが、クミールもそれ以上妥協しなかった。メル11 年メルの月(2000年5月17日~6月13日)に、セレンは再度情報の全部を公開するように要求した。これに対してクミールは和平推進のためセレンの要求を呑んだが、後日ソーン内部で猛反対が起きた。困窮したクミールは原本と写本の幻字の欄を全てインクで塗り潰してから残り全部をセレンに公開した。
これによってアルカ・エ・ソーンの語彙は判明したが、幻字が不明なため、アルカ・エ・ソーンで書かれた文章は解読不能になってしまった。だが、『暫定語彙帳』には語の意味と音が記載されていたため、無用の長物ではなかった。その後セレンが制アルカの語彙を作るときにアルカ・エ・ソーン語源のものを取り入れる必要が出てきたが、そのとき活躍したのがこの『暫定語彙帳』である。尚、『暫定語彙帳』は現在メテ家が保存している

参考文献

セレン=アルバザード"『アルカ』"
アルカの部屋 > アルカ 14|fav|zan
初代アルカ(1980)~2003/10/15当時の中期制アルカまでの歴史
最終更新:2008年04月18日 10:42