「……いきなり面倒なの見ちまった」
目の前で跡形もなく吹き飛んだ喫茶店を見ながら呟く男が一人。
らき☆ロワの書き手◆0O6axtEvXI、
心に涙を姿に罪をである。
彼が見たもの、それは喫茶店が激しい爆発により吹き飛んだ瞬間と、もう一つ。
「何でよりによってこなたかなぁ」
そう、喫茶店が吹き飛ぶ直前入った人物、泉こなたの姿をした書き手を彼は目撃していた。
「はあ、ジョジョとかフェイトとかだったら悲しむだけで終わったってのに」
見かけたのがらきすたと関係ないキャラならば何も問題はなかった。
いや、相手のせいにするのは卑怯か。
ならば自分が、自分のこの姿が「三村信史」でなければよかった。
「これはフラグ……になるんだよな」
作品には意味がある。
リレー方式である以上、当然回収されない伏線も大量にあるとはいえ、その話の中での行動その他には何かしらの意図があるはずなのだ。
とすれば、「喫茶店に入る泉こなたを見た」という自分の行動にも何かの意味があるのだろう。
それを考えた時、真っ先に思い当ったのが自分の姿、そして泉こなたというキャラについて。
「かがみに関した誤解フラグ、か」
大きくため息を吐く。
三村とかがみの関係はもはや言うまでもないだろう。
かがみを魔女と勘違いし、それを伝えようとしては一人空回りし続ける。
いつの間にかKOOL、FOOLなどとネタにされるほどとなり、らきロワでもそれは変わらなかった。
かがみに関連し、誤解フラグといえば6/氏がまず浮かぶだろうが、三村だって負けてはいない……勝っても嬉しくないところだが。
話がずれた。
つまり単純に考え、ここは「かがみの仲間」=「こなた」=「こなたの姿をした書き手」は施設を破壊して回っているから危険だ!
とかいうことを誤解フラグとして振りまけということなのだろう。
はっきり言ってやりたくない。
どう頑張ろうと不幸ネタキャラ街道一直線だろう。
とはいえここでこんなわかりやすいフラグから目を背けては、今度は空気路線に入ってそのまま消えていくだろう。
「……仕方ない。こなたの姿になった人、恨まないでくれよ」
空気キャラとなっては、場合によってはロワ自体に迷惑をかけてしまうかもしれない。
ならばここは誤解フラグを振りまく役に徹しようじゃないか……と、踵を返して固まる。
「あー……初めまして、なのかな?」
間近に赤髪の青年が立っていた。
所在なさげに話しかけてくるが、こっちは今それどころではない。
自分の独り言を聞かれた、いつからそこにいたのかは知らないが、自分が誤解フラグを撒くであろうことは確実に知られてしまった。
よくよく見ればこの青年はFateの士朗。きっと絶対確実に間違いなく対主催だ。自分が見逃されるとは思えない。
どうする、何とか口八丁でごまかすか?
否、そんな都合よくは行かないだろう、命乞いでもした方がまだ可能性がある。
こうなったら実力行使に出るしかない、武器を投影される前にかかればまだ勝機は……
「なあ、あんた『も』マーダー路線なのか?」
「……は?」
◇
「そうか、GR2の人だったのか」
「ああ、あの時は色々大変だったけどな」
この士朗の姿をした書き手はGR2の書き手、◆WAWBD2hzCI氏こと
ネクロノミコン・血液言語版と言うらしい。
言われてみれば確かにあそこの士朗は奉仕マーダーになって驚いた記憶がある。
そんな彼も奉仕マーダー、つまり「サクラノミカタ」ならぬ「ギャルゲロワノミカタ」ということだ。
とはいえロワ内の士朗のように余裕がないわけではないようで安心した、下手をすればあのまま背後から一撃喰らって……危ないところだった。
「で、方針を決めたけれどまだ迷ってると」
「ああ、俺がよく書くのってバトルなんだけどさ、熱血バトルやってると、すぐに体力尽きるだろ? そうすると大して殺せないんじゃないかなって」
「……結構いけるんじゃないか? 士朗ってHP1からが本番、とかよく言われてるし」
少なくとも「誤解フラグを振りまく」なんていう、対主催でもマーダーでもない中途半端な路線を行こうとしている俺よりずっとましだ。
……少しネクロノミコンのことを羨ましく感じる。
俺はまだらきロワではほとんど作品を書いていない、そのせいか自ロワの人間を守ろうなんて考えを思いつくことさえできない。
ちょっと考えてみれば、こなたの姿になる可能性が一番高いのなんてらきロワの書き手じゃないか、命がけで自ロワを守ろうとするネクロノミコンとはまるで正反対のことをやろうとしている。
「あんたは、本当に自分のロワが好きなんだな」
「もちろん」
何とも眩しい笑顔で返された、ますます自分が情けなく感じてしまう。
……俺も、この人のようになれるだろうか?
自ロワを愛し、それを守るために全力を尽くせるような、そんな書き手に。
――なりたい、目指したい、この人を。
「何だかんだ言って、やっぱ大事なのはきっかけじゃないのかな」
「きっかけ? ああ、そういうことか」
流石互いに書き手だけあって、話が早い。
対主催だろうとマーダーだろうと、ブレる状態から一歩踏み出すにはきっかけが必要だ。
自己完結させてももちろんいいが、更に一手何かあるとないとでは大きく変わる。
まあ、マーダーへのきっかけはそこまで悩むものでもない、誰か一人殺してしまえば大きく動く。
「あんたがどうするかは知らないが、これも縁だし、応援はしてるぜ」
この人と行動を共にしたいとも思ったが、やめておく。
俺のような方針すら曖昧な奴はコンビを組むべきではない、それこそKOOLのように、一人でロワをかき回しまくった方がどちらにとっても得になる。
「それじゃあ――」
俺の意識は、肉が潰れるような音と共にそこで消え去った。
◇
俺は 心に涙を姿に罪を さんを切り裂いたばかりの維斗をしまい、その亡骸を見下ろす。
覚悟はできた。
奇しくも自分で書いた士朗と同じように、彼を殺すことでこの心を決めた。
胸は痛む。やはり、人を殺すということはつらい。
それでも、もう退けない、「きっかけ」となってもらった、この人のためにも。
「ギャルゲロワ2nd。俺は、皆の――――味方だ」
この体が朽ちようとも、この心が砕けようとも。
自分は皆を守り、その敵を斬り崩そう。
【心に涙を姿に罪を@らき☆ロワ 死亡】
【大阪府/喫茶店跡地/1日目-深夜】
【ネクロノミコン・血液言語版◆WAWBD2hzCI@ギャルゲロワ2nd】
【状態】健康、強い決意
【装備】維斗@ギャルゲロワ2nd
【道具】支給品一式×2、不明支給品1~5
【思考】
1:ギャルゲロワ2ndの人間を優勝させる
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最終更新:2009年05月24日 17:36