それは一瞬のことだった。
瞬きも、膨らみも、踊りもせず。炎に送られることすらなく。
恋色アイドルPは。
盛況などという言葉では言い表せない一つの偉大なロワの発起人は。
あまりにもあっけなく、あまりにも儚く命を落とした。
それのどこに恋があったのだろうか。
それのどこに色があったであろうか。
かの人物は偉大な書き手だった。
少なくとも、今こうして、彼女の自殺を止めようと駈け出した女が、WIKIを彩り提供してまで力を貸したい。
そう思わせるほどの書き手だった。
それが、どうして、こんなにも、あっけない死を、自ら、選んだのか。
信じてた。
信じていたのだ。
彼女は、カウントガールズPは、三村かな子の姿をした書き手は。
恋色アイドルPならば、モバマスロワの>>1として誰よりも、責任をもって完結させようする彼女なら。
この書き手ロワでもまた、書き手として、ただ書き手として、覚悟を持って生きて死ぬものだと思っていたのに。
『――――『書き手』を舐めてるんですか?』
音にしそうになったその言葉をぐっと堪える。
そのセリフを口にしていいのは、そのセリフをオマージュしていいのは、自ら命を絶った彼女を置いて他にはいないのだ。
分かってる。分かってるのだ。
恋色アイドルPが何故、自ら命を絶ったのか、それくらいは理解している。
第二回放送に満たないまでの間とはいえ、彼女たちは同じロワで書いてきた仲間なのだ。
況やカウントガールズPはモバマスロワでも屈指のオールラウンダー。
見知った相手の心情をトレースすることなんて実にたやすいことだった。
「悪夢です。本当に。洒落にならないです。登場話死亡はむしろ、心情の紡ぎ手Pの専売特許ですよ」
一八番目に行き着くことなく、彼女は悪夢に誘われてしまった。
誰がこんな形で死後補完をしたいなどと望んでいたか。
恋色アイドルP。
阿修羅姫。
どんな途上でも
どんな語ることがなくても。
どんなに本編で無くても。
彼女なら。
強く凄まじい覚悟を秘めた彼女なら。
彼女を書きたいと望んだファンのために、彼女の物語を好きなファンのために、モバマスロワを愛しているファンたちのために。
書き手ロワさえも包み込んで、みんなを楽しませてくれると思っていたのに。
それが書き手だと思うのは、はたして私の押し付けなんでしょうか?
返事はない。
当たり前だ。
恋色アイドルPは死んだ。
もう誰も彼女のことを見ることはできないし、語ることもできない。
「あなたが死んだことでファンはきっと泣くだろうから、それを慰めることができないのが、ただ辛い」
カウントガールズPは恋色アイドルPの死体に背を向ける。
埋葬はしない。
弔うのなら、自分よりよも真夜中と対をなす太陽の名を持つPの方が相応しいだろう。
効率のいい仕事を重んじる自分は形見分けではないが、支給品を回収するくらいがせいぜいお似合いだ。
それでも、最後に、せめて、同じフォーナインスを抱いたものとして一時の別れの言葉を口にする。
「“向こう側”で待っていてください。私がそっちに行くときは、あなたへの応援も抱いて行きます」
【一日目・深夜/A-4 公園】
【カウントガールズP(◆John.ZZqWo)】
【状態】健康
【装備】不明
【道具】支給品一式、不明支給品2~6
【思考】
1:書き手ロワという舞台で読み手たちを魅せるモバマスロワ書き手であろうとする。
※外見設定は三村かな子です。
最終更新:2013年04月12日 22:22