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夜の世界に、一人の女が立っていた。
髪は艶やかに伸ばした水色で、空を映し出したような空色の外套を纏い、赤い目には知性が溢れていた。
こんなにも美しいのに、同時に圧倒的な覇気を感じる。
男は女に見惚れながらも、不思議なデジャヴを覚えていた。
僕は、彼女と、前にどこかで出会った気がする……。

そのとき、女が振り返った。
どきりとして立ち尽くす男に、なぜか女は目を丸くした。
しばらく見つめあったかと思うと、女はふわりと笑って、口を開く。

「やっと、会えましたね」
息を呑んだ男を少しからかうように、女は続けた。
「ハガクさん。……いや」


「さまようよろいさん」


ハッとして男は下を見た。
いや、自分の身体を見た、と言ったほうが正しい。
今までどうして気づかなかったのかわからないが、自分は確かに、さまようよろいだった。

と、いうことは。
つまり。
つまり…………





「えっ……いや、ちょっと待って、おかしいよこれは。どういうことなの」

「やべえ。SS書いてるときはほら、普通のザコのさまようよろいを想定して書いてたけど、実物見るとガチ強そうやん……」

「カーラさん……じゃないや、クルツさん、ちょっと待って。落ち着いて。
まず、僕なんでここにいるの?」

「いいじゃないスか。だってDQ2nd書き手紹介二つも来てるんですよ?
そりゃまあ誰かが出るのが運命ってもんでしょ」

「まあ僕がここにいるのはいいとして、なんでさまようよろいなの?
なんか違和感なく身体動かしてるけど僕どうやって生きてるの?血の錬成陣とか書いてあるの?」

「まあまあまあまあ。いいっスかスーパースター、僕はあなたに貸しがある」

「貸しなんだ」

「僕がひょいっと出した支給品を錬金というファクターにより見事に昇華して生み出されたキャラクター、さまようよろいのサイモン。
あなたはその象徴とも言えるべき存在なんですよ」

「いや…それほど功績というわけでも…」

「僕は嬉しいんですよ。こんな状況とはいえ、僕の想像をはるかに越えたサイモンにあいまみえることができた」

「ていうか、その姿なのに僕っ子なんですね。クルツさんは」

「まあ姿は無名キャラのもんだからね。歴史の流れには僕っ子アリーナという前例もあったし多分イケる。
それはともかく、いい機会かなと思ったんですよ。
僕、多分、ハガクさんに会うべくして会ったんです。会いたかったんですよ、僕」

「……、ええと、どうかしました?」

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「僕は、ずっと、考えていたんです」

「なにがです」

「DQロワ2ndの、未来について。トップ書き手として、ずっと考えていたんです」


「……未来?」

「そう、未来」


「正直、自信があるわけじゃないんです」

「なんのですか」

「僕らはここまで無事に、第二放送に差し掛かるところまで来ることができた。
それは、僕やハガクさんを始め、多くの書き手が、そして支援が、このロワへの愛を支えてくれたから」

「まあ、そうですよ。クルツさんには僕らがついてます。
とっととこんなとこ脱出して、早く2ndの続きを書きましょうよ」

「でも…僕は思うんですよ。今いる人たちが、いつまでもいてくれるわけじゃない。
世の中には色んなロワや創作物が満ち溢れている。そんな中で、完結するまでにDQ2ndを覚えていてくれる人が、果たして何人、いるだろう?」

「……それは」

「この頃ずっと、そんなことばかり考えていて。どれだけ宣伝して読者を増やしても、新たな書き手が現れたとしても、その想いは消えなかった。
そして、そんなときに、僕はここに呼ばれた。運命だと、思ったんです」

「クルツさん」

「バトルロワイアルの華は、殺し合い。要するにとりあえずマーダーです。
あのメモリによって、奇しくも僕はこの姿になった。DQ2ndでも随一の戦闘狂であった、女賢者の姿にね」

「……まさか」

「だから……」


「僕は行きます」


「DQ2ndを、知っていてほしいから。トップ書き手として、DQ2ndの存在を、少しでも多くの人の心に焼き付けてもらえるように」


「たとえ、どんなに多くの人に憎まれようとも。DQ2ndが忘れ去られないように。
1Wfさんがまた投下ラッシュを引き起こしてくれるように。Yfeさんが神がかったSSを投下してくれるように。
TUfさんが失踪したりしないように」

「いや、それは……祈るしか……」

「僕は、DQ2ndのトップ書き手として」


「トップマーダーに、なりに行きます」





あまりにも衝撃的な告白に、ハガクの時は止まっていた。
クルツは笑みを浮かべたままだ。それもとびきり勇壮で、美しい笑みを。
その表情に呑み込まれ、ハガクは一歩も、動くことができなかった。

止まった時を再び動かしたのはクルツのほうだった。
ハガクに対してそれ以上なにを言うこともせずに、くるりと背を向けて歩き出した。
別れのときはここまでだ、とでも言うように、迷いなき足取りで。

ハガクははっとした。
ようやく我を取り戻し、絞り出すようにして叫んだ。

「ちょっと待って。そんなことしたら一体誰が2ndを支えていくんだ……クルツさんッ!!」

さまようよろいのハガクの叫びは、しかしもう、◆CruTUZYrlMの背には届かない。
彼女はハガクに背を向けて、未来を見据えて歩き出した。
DQ2ndの将来のために、滅びの道を進む、未来へと。

「どうしよう……」

さまようよろいは頭を抱えた。
きっと彼……否、彼女は本気だ。あの人はいつだって本気の意思と行動力で動いてきた。
30に迫る本投下にラジオにWiki整備と、DQ2ndに関わる者でその活躍を知らないものはいない。
そんなクルツが、マーダーになったら。
ハガクは自分が人を殺すなんて思いもよらないし、ロワ書き手が殺し合うなんて認めるわけにはいかないけれども、ハガクにとってクルツは、あまりにも大きな存在だった。
その強い意思を否定することなんかできない。かといって殺し合いには乗ってほしくないし、ましてや絶対に死んでほしくなんかなかった。

「……どうしよう……」

さまようよろいは、追いかけることも引き留めることもできず、
ただただ、立ち尽くすしかなかった。





【一日目・深夜/D-7】

【ハガク(◆HGqzgQ8oUA)@DQBR2nd】
【状態】健康
【装備】ビアンカのリボン
【持物】基本支給品、不明支給品(1~2)
【思考】
基本:殺し合いはしたくない。
1:どうするか悩む
※さまようよろい@DQシリーズの外見です。中身は空洞です。
※職業はスーパースターです。

【一日目・深夜/C-7】

【クルツ(◆CruTUZYrlM)@DQBR2nd】
【状態】健康
【装備】モスバーグ M500(8/8)@現実
【持物】基本支給品、不明支給品(1~2)
【思考】
基本:DQBR2ndをこれでもかってくらい有名にしたい。
1:トップマーダーになる
※女賢者@DQ3の外見です。
※職業はゴッドハンドです。

016:彼女たちの叶わなかったエクストラワン ◆時系列順に読む 018:新世界の神、新人類、募集中
016:彼女たちの叶わなかったエクストラワン ◆投下順に読む 018:新世界の神、新人類、募集中
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最終更新:2013年04月12日 22:38