「書き手としての幸せって、なんだろう」

黒く流れるような美しい髪に、赤を基調とした大胆な鎧。

ドラゴンクエスト7の登場人物、アイラの姿の彼女は、そう呟いた。

自身が手がけたキャラの一人、影の騎士が言ったセリフと被らせるように。

人の上に立つのは、幸せとは違う。

自分がトップ投下になろうと、自ロワが月報一位になろうと、何かで"上"に立つのは、幸せとは違う。

では、ロワスレにおいて幸せとは何か?

書き手が、読み手が幸せと感じる物は何か?

彼女は考える。

「簡単よ」

後ろからかかる声に、振り向く。

「ロワスレなんて、企画ネタスレなんだから、楽しめば、いいのよ」

金髪ブロンドにすこしウェーブがかかった髪に、奇抜な衣装。

「楽しめないのにネタスレにいる義理はない、逆を返せば楽しいからネタスレに支援をする、違う?」

パッと見でも声でも男か女か分からない人間が、自分に話しかけていた。

「幸せ、っていうのは深く考える必要はなくって」

自分の何気ないつぶやきに反応し、彼なりの答えを紡いでいく。

「自然と、手にしているものだから」

その顔は、とてもイキイキしていて楽しそうだ。

「大丈夫」

くるり、と振り向きながらいたずらっぽく笑う。

「嫌なことがあったら逃げ出してもいい、数年来ほったらかして久しぶりに予約とか決めてもいい」

ちょっと渋い顔をしてから、また笑う。

「また楽しもう、って時に全力で楽しめるのが、一番よ」

呆気にとられている自分に、淡々と語りを続けていた。

「ねえ、パロロワ界の絶景を知ってる?」

ふと始まった彼女の問いかけに、首を横に振って否定する。

「高度一万メートル。書き手読み手だけじゃない、そうでない人まで飲み込んで楽しませる。そんな境地」

聞いたこともない名前、自分がパロロワにハマってから日が浅いので無理もないが。

「必死で、ただ必死で作品を書いたら、そこにいた」

そんな自分のことはお構いなしに、話は続いてく。

「ようは、投下数も何も関係なくって」

ただ、その場所を語る彼女は。

「どれだけあなたが楽しめるかってことなのよね」

溢れんばかりの輝きと、確固たる意志を持っていて。

「アレを書いたときもそう……まぁ、すごくしんどかったけど」

まるでおもちゃを買ってもらった無邪気な子供のように。

「楽しかったわ」

"幸せ"そうだった。
.


「……見たい」

気がつけば、呟いていた。

「私も、その絶景を見たい」

"幸せ"を知りたいという、願望から。

「見れるわ、誰だって」

彼女は言う。

「あなたの自ロワが大好きなら、自然とたどり着ける」

それは至って普通のことだと言わんばかりに。

「学も何も必要ない、ただ必要なのは原作への愛と、自ロワへの愛。それが高度一万メートルへの片道切符」

誰もがその場所にいるかのように。

「それは、誰もが持ってるんだから」

そして、誰もいない場所に彼女は立っていた。

「……ありがとう」

感謝の言葉を、静かに紡ぐ。

「まあ、私のが答えってわけじゃないけど」

その瞬間に照れくさくなったのか、頭をかきながら彼は言う。

「書き手ロワに出たら言おうと思ってたことは、言ったからね」

それでも、続いた言葉には意志が満ち溢れていた。

「これから、どうするの?」

そこで、気になっていたことを聞いた。

「決めてない」

返事としては、度肝を抜かれることになった。

「マーダーをやりたい訳でもないし、対主催をやりたいわけでもない。

 ジョーカーにスカウトされるならされるでいいし、一行ズガンでも構わない。

 ただ、私を使ってネタスレを楽しめる人が一人増えるなら、それでいいわ」

ああ、ネタスレが好きなんだなと思える返事。

「全権利の放棄、っていうとちょっとかっこよくなるけど、そんな感じよ」

誰かがこの祭りに関われるなら、それでいいのだと彼女は言う。

「私は、行くわ」

だから、私は私の決意を言う。

「あなたの言う、絶景が見たいから」

全ての人間を巻き込む絶景、そこにたどり着きたいから。

「そう」

走り去ろうとする私の背中を、彼女は見つめている。

「じゃあ、行ってらっしゃい」

そして、大きく手を振って見送ってくれた。
.


「さて……」

一人の女性を見送った後、彼は一人呟く。

「私は私が言ったとおり、何にでもなるわ」

彼女の作中で現れた「現実からの介入」を駆使した、現実世界への干渉。

「これからこの物語を紡ぐあなた、あなたが絶景を見れるような作品のために。

 今後必要ならば強力対主催になりましょう、必要ならば強力マーダーになりましょう、必要ならばズガンされましょう。

 あなたが"絶景"にたどり着くために必要なピースになりましょう」

もう一つの目で、きっとこの話を見ているだろう、書き手へ。

「時も場所も何も問わない、私がそれを補うことをしましょう。だって私は――――」

Yボタンを、胸に握り締めながら告げていく。

「物真似師、ですもの」

【一日目・深夜/?-?/???】
【空虚と夢と現と幻の住人・ウィフェ(◆YfeB5W12m6)@DQ2nd】
【状態】健康
【外見】アイラ@DQ7
【装備】
【持物】基本支給品×1、不明支給品1~3
【思考】
基本:"絶景"を見て、"幸せ"になる

【ファルン(◆FRuIDX92ew)@RPGロワ】
【状態】健康
【外見】「一万メートルの景色」ラストシーンのゴゴ@RPGロワ
【装備】
【持物】基本支給品×1、不明支給品1~3
【思考】
基本:書き手4書き手が"絶景"を描くためのピースになる。よってスタンス未定
[備考]
※物真似が出来ます。
※Yボタンを介して現実世界のメタネタやらと干渉できます。

023:初陣 ◆時系列順に読む 025:OliveOil Lost
023:初陣 ◆投下順に読む 025:OliveOil Lost
空虚と夢と現と幻の住人・ウィフェ :[[]]
ファルン :[[]]

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最終更新:2013年04月15日 04:38