「それでは、本日のお便りを読んでいきましょう」
◇ ◇ ◇
自分自身のスタンスをどうするべきかを考えています。
私の所属ロワは未だ序盤から中盤に移ったばかり。己の分かりやすい、具体的スタンスもよく定まっていません。
確かに数はそれなりにこなしているが、マーダー展開、対主催展開入り乱れておりはっきりしません。
この書き手ロワに呼ばれた以上、やはり己の意志をはっきりさせて動いていきたいと思っています。
どうすればよいでしょうか?
ムラカミ
◇
「というワケで、今回僕たちが巻き込まれてしまった書き手バトルロワイアル4。
今回はこちらの書き手の相談に乗って参りましょう」
その場にいたのは二人の男。それぞれラフな服装、ピッシリとしたスーツを身に纏っている。
ラフな格好をした男はスーツの男が書いた手紙を、机を挟んで向かい合った形で読んでいた。
「つまり、あなたはこの場における己の立ち振る舞いについて悩んでおられる、と」
「ええ、私自身、そうどのような結末を目指していたかなどまでは自ロワの進行状況上考えていなかったものですから。
このような姿をとっているとはいえ、私自身どのようなスタンスで動くべきか、ということがイマイチピンとこないのです」
「なるほど、その気持ち分かります。僕もこの姿をモデルとしたロワではそう数を書いていたわけではありませんし」
どうやら、その相手は己のスタンスをどうするべきかという点で迷っていたらしい。
この際なのでかつてニコロワγのもこみち登場話でそうしたように、お便りを書いた上でその相談に乗るという方式を、オリーブオイルの伝道師◆Olivescz6Qはとることにしたのだ。
とはいえ、ニコロワ書き手としてはあのロワには常駐していたわけではない。分類としては書き逃げにあたるものなのかもしれない。
そんな自分がこのロワに参加者として呼ばれたのは、おそらく作品のインパクトゆえだろうが。
だから、その時のやり方に即した問いかけで話を進めていく。
「みなさん、このロワでのキャラ付けにはなにが必要だと思いますか?」
相手は一人しかいないにも関わらず、そう問いかけるオリーブオイルの伝道師(以下オリーブさん)。
「書いたロワ自体の特色。
欝、熱血、繋ぎ、考察、虐殺などのSSの種類。
どんなキャラをどれだけの回数書いたかという情報」
あのSSと同じようにありふれた答えを述べた後、オリーブさんは一呼吸置いて、知ってる人は9割ほどが想像できたであろうその後の言葉に続けた。
「でも僕はオリーブオイル」
「なぜそこでオリーブオイルが?」
「言いたいことは分かります。きっとあなたは僕が言ってる言葉の意味を理解しきれていないでしょう。
僕はね、この速水もこみちの姿でロワ参戦したことには何かの意味があるのではないかと思ってるんです。
ニコγでSSを書いたときも、どんな風に書くことでニコロワに適したもこみちを書けるのか、けっこう考えました。
そして書けた話が、『モコミチ橄欖戦鬼』なんです」
「ほう…」
「だから僕は、この書き手ロワではオリーブオイルに生きようと思うんです。
あのもこみちのように、オリーブオイルに全てを注げる男としてね。
だからあなたも難しいことを考えずに、その姿の人物にどのような姿を描いているかを意識すれば、おのずとスタンスは浮かんでくるんじゃないかと僕は思うんです」
「この姿に描く理想の姿、ですか…」
そう言ってスーツの男は考える。
この男を書くときに彼にどんな姿を思い描いたか。
己の使命に燃え、進むべき道を確立させて迷わず進む男。
そして、そのスタンスは―――
「そうだ、己の仲間を救い、世界の繁栄を願う男。それこそがこの男だった」
「道は決まりましたか?」
「ええ、ありがとう。自分のやるべきことを見つけることができた。
君には本当に感謝している」
「ではこれから僕達は仲間ですね!共に戦いましょう!」
そう言ってオリーブさんは笑顔と共に手を男に差し出す。友情の印、仲間の証の握手である。
それを男は笑顔で握り返し。
「ええ、もちろんです。
でも、その前に―――」
と、次の瞬間、オリーブさんの笑顔が引き攣った。
目の前のスーツ姿の男の顔に、突如謎の紋様が浮かび上がったから。
その手を驚いて離し、飛びのいた瞬間であった。
男が白き異形へと姿を変えたのは。
透明な頭部、白き肉体、体中に生えた薔薇をイメージする多くの棘。
「確かめさせてもらいましょうか。あなたが我々オルフェノクと成り得る存在かどうか」
仮面ライダー555の怪人、ローズオルフェノクがそこにいた。
◇
男の名前は『KAIXA・ムラカミ』。パラレルワールド・バトルロワイヤル書き手、◆qbc1IKAIXAである。
仮面ライダー555のキャラを得意とした書き手である。
彼の姿は村上峡児。
心を読まれようと、異世界の木場勇治に殺害宣言されようと、あのナイトメアオブナナリーのゼロを前にしても臆することも心動かされることもなく、そのカリスマを発揮しつづけた男。
そして彼のスタンスは、所謂危険対主催。
オルフェノクの繁栄のために利用できるものは人間であろうと利用する。しかしいずれは使徒再生によってオルフェノクとなってもらうというもの。
「仲間を救って世界の繁栄を願っているというのは嘘だったんですか?!」
「嘘ではありませんよ。村上峡児はオルフェノクの繁栄のため、人間との戦いに勝利し、彼らに虐げられているオルフェノクも可能な限り救おうとしていました。
あなたも言ったように、私の姿が彼を象ったというのなら私もそれに倣うまでです」
「そんな…!確かにこのパターンは書いたけど、まさかそれを実感するなんて…!」
ぼやくオリーブさんに、ムラカミは触手を飛ばす。
それは使徒再生の触手。刺されば心臓を消滅させ、オルフェノクへとその人間を変化させるか、適合がなければそのまま消滅させるかというもの。
大体のロワでは制限対象だが、この書き手ロワで使徒再生が果たして起こるのかどうかは分からない。
かろうじて触手を避けたもこみちは、何か対応できるものがないかを信じて、バッグに手を突っ込む。
だがその間にも、ムラカミはその手でオリーブさんの首を掴み逃げ足を封じる。
「それでは、始めましょうか」
と、ムラカミが触手を心臓に伸ばすと同時。
バッグから引っ張り出されたオリーブさんの手が、1本のビンをその触手の前にかざしていた。
触手はビンを貫き、周囲に撒き散らかされる謎の液体。ほのかに香るこの匂いは―――
「OLYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYーーーーーーッ!!!」
そう、オリーブオイル。
それが割れた瞬間、信じられない力でローズオルフェノクを振り切ってオリーブさんは地面のオリーブオイルの周囲を這い蹲る。
「OLYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYーーーーーーッ!!!
OLYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYーーーーーーッ!!!」
涙を流しながら、そのオリーブオイルを手で必死に掬い、体に擦り付けようとしている。
その姿に狂気と、若干の恐怖を感じながらもムラカミがふと見ると、オリーブさんの近くに落ちている物体に気付く。
「あれは…ファイズギア!?」
仮面ライダー555においての主人公、ファイズに変身することができるベルト。
それを巡って多くのドラマが繰り広げられたものであり、自分の書いた草加雅がカイザの代わりに持っていたのもこれだ。
村上峡児はこれを求めて幾度となく乾巧達と激闘を繰り広げた。
今己の手にあるカイザギア、そしてこのファイズギア、あるのであればデルタギア、サイガギア、オーガギア。
これらを集めるのも村上峡児の姿を持つ男としてやらなければいけないことではないか。
「そのベルトをこちらへ渡しなさい。あなたが持っていてどうにかできるものでもない」
「………」
その要求に対し、一言も返答することなく、立ち上がったオリーブさん。
虚ろな目のまま、ファイズギアを取り上げ、
「…何をする?」
おもむろに、ファイズギアにバッグから取り出したオリーブオイルをかけ始めた。
「!!――やめなさい!やめろ!!」
あまりに予想外の行動に、取り乱してガラにもなく声を張り上げてしまうムラカミ。
そして、、もこみちは、
その腰にベルトを装着し――
「―――変身」
そのままファイズフォンを入力し、ベルトに差し込んだのだ。
オリーブさんは人間。オルフェノクでないものが変身できはしないファイズギアを使っても、弾かれて終わり。
の、はずなのに。
――complete
体を赤い線と白い装甲、黒いスーツが纏っていき。
そこには、まぎれもない仮面ライダーファイズが立っていた。
「こ、これは、どういうことですか?!」
「OLYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYーーーーーーッ!!!」
動揺するムラカミ。その隙を逃さず攻撃を仕掛けるオリーブさん。
一発の拳がローズオルフェノクの顔を捉えた。
大したダメージにもならないはずのそれ。しかし予想外な衝撃に、体勢を崩され後ずさる。
その痛みで動揺を消し飛ばしたムラカミは、一旦距離を取り人間の姿に戻る。
「ほう!まさかただの人間がファイズギアを使いこなそうとは!!
いいでしょう。あなたの力、見極めさせてもらいます」
そう言ってムラカミは、オリーブさんのさらなる追撃の前にバッグから取り出したカイザギアを腰に巻く。
カイザフォンを手に、ボタンを押す。ナンバーは9.1.3.enter
「変身」
――――complete
そうしてカイザギアを纏ったムラカミは、拳で襲い来るオリーブさんファイズをクロスカウンターで迎え撃つ。
「それほどの力を持つあなたがオルフェノクに進化すればどうなるのか。その力の源はどこにあるというのか。
とても興味が湧きましたよ。
しかし!!ファイズギアをオリーブオイルで汚したことは許しません!!!」
「OLYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYーーーーーーッ!!!」
そうしてここに、ファイズvsカイザのライダーバトルが始まった。
【一日目・深夜 E-4 民家】
【KAIXA・ムラカミ(◆qbc1IKAIXA)@パラレルワールド・バトルロワイヤル】
【状態】ダメージ(極小)、カイザに変身中
【外見】村上峡児
【装備】カイザギア@パラロワ
【持物】基本支給品、不明支給品0~2(確認済み)
【思考】
基本:この姿にふさわしいスタンスで立ち回る(危険対主催)
1:オルフェノクという種の繁栄。その為にオルフェノクにする人間を選別する
2:ファイズギアを奪還すると共に、オリーブさんがオルフェノクになるにふさわしい者かどうか確かめる
3:でもファイズギアにオリーブオイルをぶっかけたのは許さない
【オリーブオイルの伝道師(◆Olivescz6Q)@ニコニコ動画バトルロワイアルγ 】
【状態】健康、暴走中、ファイズに変身中
【外見】速水もこみち
【装備】ファイズギア(オリーブオイルまみれ)@パラロワ、オリーブオイル@ニコロワγ
【持物】基本支給品、不明支給品0~1
【思考】
基本:オリーブオイルに生きる
1:OLYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYーーーーーーッ!!!(ムラカミィィィィィィィィィィ!!!!)
[備考]
※オリーブオイルを台無しにされたことへのショックから暴走中です
※オリーブオイルを使ったことでファイズに変身できたようです
最終更新:2013年04月15日 04:43