書き手ロワのとある場所。
あるロワの書き手が三人集っていた。

一人は少女だ。青い髪に白いマフラー。薄緑色のジャケットや黒いショートパンツといった動きやすい恰好をしている。
一人は青年だ。怪しげな微笑みを浮かべる彼の腕には、巨大な拘束具が据えられており威圧感を放っている。
一人は二頭身の何かだ。青年……なのだろうが、ひどくデフォルメされておりコミカルな外見となっている。

彼らはみなバーチャルリアリティバトルロワイアルの書き手だった。
ちなみに略称はVRロワ。余所ではあまり使われず、月報でもバーチャルロワ表記だが、それが公式の略称である。そうオフィシャル。

「これはまたとない機会かもな」
二頭身の彼は呟いた。その外見はパワポケ12の主人公の姿である。
デフォルトネームのない主人公であった彼だが、このロワでは十坂二郎という名前を与えられている。
そして何を隠そう、その彼を登場させたのがこの◆4vLOXdQ0jsなのである。

「機会って、何の?」
そう尋ねたのは少女だ。彼女の名は◆uYhrxvcJSE。外見の元ネタはシノン@ソードアート・オンライン。
彼女は◆4vLOXdQ0jsの不敵な言葉に疑問を呈した。

「VRロワの知名度を上げる機会だよ。
 俺たちはその、今一つ地味な感じがしていたからな」
「まぁ……たしかに」
しみじみと語る彼らの脳裏には幾つかの出来事が駆け廻っていた。
そもそも企画発足は2012年の11月だった。テスト板に建てられ堅実に企画準備を進め、正式に稼働したのが2013年の1月。
特に問題もなくスタートできた。それは良い。そこまでは良かった。

「同期にスタートした新規ロワ……色々あったね」
◆uYhrxvcJSEの言葉通り、当時は新ロワラッシュだった。
年末に企画スレが建てられ、圧倒的な勢いと共に始まった新々漫画ロワ。
少し遅れて始まり、やはりかなりの勢いを持って開始したやる夫スレロワ。
そして――彗星のごとく現れ、瞬く間に完結した新安価ロワ。

それらの影に隠れ、VRロワは今一つ影の薄い感じに進行しているのだった。

「特にあの新安価ロワにはやられたわ……」
VRロワはその名の通り電脳世界を舞台にした作品でロワをやる企画だ。
他ではあまり見ない作品群と独特の世界観がセールスポイント……の筈なのだった。
のだが、突如始まった新安価ロワは、何とゲーム世界を舞台にしているではないか。
それと微妙にコンセプトの似通っているVRロワは、色んな意味で話題沸騰だった前者に比べ今一つ地味だった。

「『世界観が被ってる』……フッ、そんなことも言われたな」
とそこで、それまで黙っていた青年が口を開いた。
ちなみに彼の名前は◆7ediZa7/Ag。外見はオーヴァン@.hack//G.U.である。
ぼそりと呟いた後、彼は再び黙ってしまった。何か気になることがあるのか、周りをちらちらと見ている。話に集中していないのかもしれない。

「そこで、だ。
 この書き手ロワ4で活躍して知名度上げようじゃないか。
 狙い目はやはり新安価勢だ。数も多い上に目立つだろう彼らと絡み、引き上げられる形で知名度を上げてもらおう」
「何だか悲しいわね」
「まぁいいじゃないか。同じ電脳世界ということでやれるネタもあるだろう。
 っておい、聞いてるのか?」
◆4vLOXdQ0jsは先ほどから話に参加してこない◆7ediZa7/Agに問いかけた。
彼はその言葉に「ん?」と億劫そうに反応した。その際、サングラスが不気味に光った。

「ああ、聞いてるよ。ロワの知名度を上げようというのだろう?
 いいじゃないか。頑張ってくれ」
「お前もやれよ!」
他人事のように言う◆7ediZa7/Agに対し、◆4vLOXdQ0jsは思わず突っ込みを入れた。
が、それに対しても◆7ediZa7/Agは不気味なオーヴァンスマイルをしたままだ。

「いや正直ね。私はそれよりもやりたいことがあるんだ」
「は?」
「宣伝、大いに結構だ。頑張ってくれ。私は抜けさせてもらうよ」
「何言って……」
「こういうこと、だったのさ――来い、ランサー」
とその時、◆7ediZa7/Agは言った。瞬間、その場に緊張が走る。
ランサー――もはやロワではお馴染みのFateの用語である――確かにVRロワにもFate/EXTRAは参戦していた。
そしてEXTRAに登場するランサーは複数いるが、◆7ediZa7/Agが書いたランサーは一騎しかいない。

ヴラド三世。後のドラキュラのモチーフとなったサーヴァントであり、物凄く危ない狂人である。
そんな奴をこの場に呼ぶだと――コイツ裏切る気か?
そんな思考が◆4vLOXdQ0jsと◆uYhrxvcJSEの間にも走った。

そうして現れたのは筋骨隆々の魔人――ではなかった。

「え?」
「は?」
現れたのはそんな彼とは似ても似つかぬ少女。
角が生え、ひらひらとしたドレスが似合うピンクの髪の娘だった。
その手には槍が握られており、確かにランサーっぽくはある。いやしかしこのようなキャラはVRロワには居なかった筈なのだが。

「エ(ネタバレ防止のために検閲)た~ん」
◆7ediZa7/Agは言った。オーヴァンの姿でその口調。
恐らく.hack//G.U. Trilogy パロディモードが元ネタなのだろうが、それは分かってもその思惑までは読めなかった。

「知らないのかい? 彼女はランサー。Fate/EXTRAの続編、CCCに登場するサーヴァントさ。
 ――今まさにクリアしたところでね。中々面白かったよ」
「だから何だ」
「いや、面白いゲームは宣伝しなければならないだろう? 君たちはVRロワを宣伝するかもしれないが、私はこちらを宣伝する。
 あと勿論AWやマトリックス、ロックマンエグゼといった参戦作品も宣伝しておこう、さりげなくね」
「それってステ――」
「さらばだ!」
と次の瞬間には、ランサーと共に槍に乗って空へと去っていく◆7ediZa7/Agの姿があった。
その光景を呆然と眺めながら、残された二人は言葉を交わした。

「……無視していこうか」
「そうだな、とりあえず新安価勢と絡もう」


【一日目深夜 B-4】
【第二相”嘘吐き(◆7ediZa7/Ag)@バーチャルリアリティロワ】
【状態】健康
【外見】オーヴァン@.hack//G.U.
【装備】なし
【持物】基本支給品、不明支給品1~3
【思考】
1:Fate/EXTRA CCCやロワ参戦作品を宣伝する。
2:オーヴァンとトワイスって外見と声とキャラが被ってる気がする。
※ランサー(CCC・赤)に酷似したサーヴァントを呼べます。

【第三相”遍在する目”(◆4vLOXdQ0js)@バーチャルリアリティロワ】
【状態】健康
【外見】パワポケ12主人公(十坂二郎)
【装備】なし
【持物】基本支給品、不明支給品1~3
【思考】
1:VRロワを宣伝する。その為に新安価ロワを利用する。

【第四相”激戦”(◆uYhrxvcJSE)@バーチャルリアリティロワ】
【状態】健康
【外見】シノン@ソードアート・オンライン
【装備】なし
【持物】基本支給品、不明支給品1~3
【思考】
1:VRロワを宣伝する。
2:とりあえず◆4vLOXdQ0jsに付いていく。

043:機知の戦い/Battle of Wits ◆時系列順に読む 045:かしまし~ガール・ミーツ・ガール~
043:機知の戦い/Battle of Wits ◆投下順に読む 045:かしまし~ガール・ミーツ・ガール~
第二相”嘘吐き”
第三相”遍在する目”
第四相”激戦”

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最終更新:2013年04月23日 03:27