「まさかの死者スレには、そんな手があったか! と思ったよな」
「あの人のロワは最初のタイトルからして、ずっと驚かされっぱなしね」
「というかついさっき最終話投下されてたしな、ここに飛ばされる直前見てた」
「嘘!?」
C-5エリアに僅かに存在する森林。
その中で二人の男女がロワ談義に花を咲かせている。
短髪の顔に幾つかの傷跡がある男、テラフォーマーズのティンの姿をしているのが◆XksB4AwhxU。
金髪の美しいとも可愛いともとれる少女、東方Projectのアリス・マーガトロイドの姿をしているのが◆c92qFeyVpE。
二人はそれぞれ「あと3話で完結ロワスレ」にて「虫ロワ」と「絶望汚染ロワ」を書いている書き手である。
何故この二人は雑談などしているのか、それには当然理由がある。
3話完結ロワはその企画の形式上リレーもOKなのだが、ラスト3話の時点から始まることもあり、ほぼ一人で書くようなものだ。
彼らも例に漏れずそれぞれのロワを二話とも自ら投下している。
それがこの場においてどういう意味を持つかというと、同郷の仲間がいないということとなる。
リレーを繋いできた仲間達、それはロワ書き手としてかけがえの無い大切な者だ。
このような殺し合いの場においても、その存在は大きな心の支えと成り得る。
つまり―――2人共、心細かったのだ。
「でも、何とかして生きて帰らないとな」
「そうね、最終話だけ残してなんて、死んでも死に切れない」
互いに3話完結ロワの3話目、即ち最終回を残した身であるため互いの心情を理解できたのも大きいだろう。
話は弾み、他の3話完結ロワについての感想を言い合い、気づいた時には友人感覚にまでなっていた。
とはいえ何時までも話し込んでいる訳にもいかない。
いざ動こうとした時、◆Xksが僅かに震えていることに気づく。
「どうしたのよ?」
「……俺達、生き残れると思うか?」
その質問の意図を理解出来たのだろう、◆c92はすぐに答えられず黙りこむ。
書き手ロワにおいて、そのロワの特徴という物は大きい。それは歴代の書き手ロワを見て理解できる。
そういった視点で考えると、彼らのロワは些か不利な面があると言わざるを得ない。
虫ロワは99話、絶望汚染ロワは289話まで話が進んでいるわけだが……実際に投下された話数は「2」話のみ。
物語の過程が存在しないのだ、それはロワの特色を伝える上で大きなハンデとなってしまう。
「自らの力を信じられぬ者が、この殺し合いを生き延びられるものか」
「「っ!?」」
突然の第三者の声にその場を飛び退きながら視線を向ける。
その先に立っていたのは一人の男、ガンダムOOのキャラクター。
「グラハム・エーカー!?」
「アニ3の書き手か!」
「いかにも、私は◆hqt46RawAo。この姿を見ただけでそこまで理解して貰えるとは光栄だ」
告げられたトリップに二人の緊張は強くなる。
彼は中盤からの参加だったにも関わらず、投下数トップとなり合作最終章でも率先して執筆を続けているエース書き手だ。
作風も幅広く、五分割級の大型作品から繋ぎまでソツなくこなす。
思わぬ相手、だが二人の緊張の理由はそれだけではない。
「アニ3のグラハムは、対主催だったと思うが……」
「いかにもその通りだ」
平然と告げる◆hqtから放たれるそれは、明確なる殺意。
ただの殺気程度だったならば大したことなかっただろう、だが、◆hqtから放たれる殺意は位が違う。
それはまさに瘴気、第六天魔王、織田信長の持つ弱者では触れることさえ許されず死に絶える、魔王の力。
「その姿でありながら、貴方はマーダーになると言うのね」
「―――私には、守らねばならぬ約束がある。
アニ3の最終章を投下し、皆と共に紡いで来た物語の終焉を仲間たちと迎えるという約束が」
「そのために、他の書き手を殺すっていうのか!? お前の仲間だってここにいるかもしれないんだぞ!」
「確かに同胞を手に掛けるというのは矛盾した行いだ、そこに迷いが無いかと問われれば首を振る方向を考える。
だが、それでも私は帰らなければならない。これは、私個人のエゴだ」
止められない。
◆hqtの覚悟、決意の重さは自分とは比較にならない。
これが仲間がいるかどうかの差なのだろうか、幻ではない、実際の話数を積み重ねてきた者との差なのだろうか。
戦う前から◆Xksには自身の敗北が見えていた。
それでも逃げることはしない、側の◆c92を逃がすことぐらいならばできるはずだと構えを取り、
「ネガはやめろと言っているサル!」
「いたっ!?」
その◆c92からの拳を後頭部に受け構えが解ける。
「な、何をする!?」
「お前は馬鹿すぐる。負けること前提で戦ってたら負けるに決まってるんですわ?」
突然のブロント語に◆Xksだけでなく◆hqtも唖然としているのをいいことに、◆c92は言葉を続ける。
「私だって実力差が判らない程愚かじゃないわ、あまり調子に乗ってると裏世界でひっそり幕を閉じることになる。
だからといって諦めるのがちょっと少しばかり早すぐるでしょう? 諦めたらそこで試合終了ですよという名ゼリフを知らないのかよ」
「い、いや、だけどな……」
美少女の口から紡ぎ出される支離滅裂な言葉というギャップにフリーズしていた思考が動き出し、
ようやく反論をしようとするがその眼前に指を突き付けられ押し黙る。
「貴方の書いたキャラは、そんな簡単に生きる事を諦めていたかしら?」
「………!!」
その言葉に、◆Xksの体内に存在するパロロワメモリからその記憶が流れこんでくる。
両足が、腕が、体がボロボロになっても生きることを諦めなかったヤマメ。
無数の特技によって圧倒され、人の身でいることさえ保てなくなっても尚、前へと進むことを止めなかったティン。
巨大グモと巨大アリによって無残な姿にされても尚、ヤマメ達のために祈りを捧げ続けた王蟲。
自らが描いた彼らの強き想い、それが今、自分の中に存在しているのだ。
「……ありがとう。目が覚めた」
「そうこなくっちゃ」
「話は終わったか」
焦れたような◆hqtの声に応えるように、◆Xksは再び構えを取る。
一見しただけでは先程と何ら変わりない行為、だが◆hqtは僅かに驚嘆の色を見せた。
「見事、と言っておく。僅かな時間で自らの心を塗り替えたか」
「そりゃどうも……俺は、こんなところで死ぬわけにはいかないからな!」
「右に同じく。貴方の心、私が絶望に染めてあげる!」
「いい気迫だ! それでこそ私の心も滾るというもの! いざ―――参る!!」
それは物語の終わりを告げるため。
終焉へと向けて駆ける者達が今、激突した。
【一日目深夜 C-5 森】
【◆XksB4AwhxU@虫ロワ】
【状態】健康
【外見】ティン@テラフォーマーズ
【装備】なし
【持物】基本支給品、不明支給品1~3
【思考】
1:生きて帰り最終回を投下する。
【◆c92qFeyVpE@絶望汚染ロワ】
【状態】健康
【外見】アリス・マーガトロイド@東方Project
【装備】なし
【持物】基本支給品、不明支給品1~3
【思考】
1:生きて帰り最終回を投下する。
【◆hqt46RawAo@アニメキャラバトルロワイアル3rd】
【状態】健康
【外見】グラハム・エーカー@機動戦士ガンダム00
【装備】なし
【持物】基本支給品、不明支給品1~3
【思考】
1:生きて帰り最終章を投下する。
最終更新:2013年05月11日 04:18