アットウィキロゴ


「よぉ」
 数日後、拓の工場を訪れた。
「お前は暇人か?」
 拓は悪態をつく。まぁ、親しい間柄だからつくのだから、まぁいいか。
 ちなみに拓のほかに従業員の姿はいない。
「残業か?」
「趣味だ。営業時間外だしな」
 そう言って拓は裏に止めてあった(らしい)S2000を工場の中に移動させた。
 ってか今日まで雨ざらしかよ。……別に構わないが。
 ボンネットオープナーを引いて、ボンネットを開ける。
 そこには今までの酷使で汚れたF20Cが鎮座していた。
「汚ねぇなぁ、これ。まずはエンジンを洗うかなw 俺のハチロクを見てみろ。エンジンも常に綺麗だぞ」
「知るかよ。そんなの」
「まぁ、いいか。丁度いいから玄も手伝え」
「いいけど。何をすればいい?」
「ボンネットを外すから、持ってろ」
 そういうと拓は付け根のボルトを外し始めた。
「よし、重いから慎重にやるぞ」
「ああ」
 外されたボンネットをボンネットを丁寧に床へ置いた。
「そういや、このポンコツエンジンのエンジンの不調はないか?」
「ない。汚くても点検はしてるんだぞ」
 ってか、ポンコツって酷くないか? まぁ、本人はそんなに貶しているわけではないのがわかっているから別に気にしない。
「確かにそのようだな。所々汚れがないところがあるからな」
 エンジンオイルの注ぎ口など日常点検に関わる場所のところだろう。
「とりあえずエンジン降ろすか。ターボ化のついでにへたったエンジンをオーバーホールするか」
 とりあえずでオーバーホールするつもりかよ。ぼったくるつもりじゃないだろうな?
 でもまぁ、確かにターボ化は元々NA設計のこのエンジンに完全ではないにしろ想定外の負荷をかけることになる。
 そうなれば使い込んだF20Cの本来の性能を取り戻す必要があるし、強化された部品を組む必要もあるだろう。
「こういった大掛かりな作業はひとりじゃ難しいからな。どんどん手伝わせるぜw」
 そう言って拓は俺に手伝わせてエンジンを降した。

「よーし。問題ねぇな」
 エンジンを作業台に固定すると拓はそう言った。
「とりあえず高ブーストに耐えられるように圧縮比を下げたり、手当たり次第に強化部品でも組もうと思う」
 マジで手抜き作業の臭いしかしない。
「まぁ、ブローしたら後期型のエンジン探して完全にオーバーホールして載せてやるから」
 何故ニヤけながら言う?
「仕方ないだろ。ウチはトヨタのエンジンのターボ化はしたことあるけどホンダは無ぇの」
「そうなのか?」
「あんまりいないからな。もうちょっと経てばS2000に関してはある程度確立したメニューになるんだろうけど」
 そして拓は段ボール箱を持って来た。
「これが発注したF20Cターボ用のエキマニだ。こいつにタービンが付く」
 拓が取り出したエキマニは光り輝いていた。
「こいつにトラストのタービンを組み合わせるんだ。まぁ、VTECにターボチューンは邪道とかいうホンダファンはいるけどな。素性はいいんだ」
「俺、あまり詳しくないからな特に中身なんかは」
「どちらかといえば、お前はエアガンもってサバゲーしてるのが似合っているけどな」
「あはははは」
 俺は苦笑して誤魔化した。

 それから拓はたびたび俺を呼び出しては、作業を手伝わせたのだった。

 

次へ
 
戻る
 
平成22年 一覧

最終更新:2013年04月20日 18:05