自宅の食卓に並んでいたのはいつもよりちょっぴり豪華な料理に、食後用意されているであろうケーキ。
別にプレゼントなんてもらわなくても、私はこれで満足できる。
本当は物を貰うより、食べている方のが好きだろう、って言われたらそれまでだろうなぁ。
もちろん否定なんて出来るはずなどない。なんだか悲しくなってきました。
まぁ、美味しいものを食べればそんなものはどうでもよく思えるのだが。
美味しい夕食を終えた私はリビングのソファに座り、満腹感と満足感を味わいながら私はテレビを見ていた。
「美雪も高校生になったし、お小遣いも増やそうかしら」
テーブル方の椅子に座っていたお母さんが言った。
「えっ……本当!?」
突然のお小遣いアップの話に驚きを隠せない。
現在もらっているお小遣では足りないと日頃から愚痴をこぼしていた私にとってこれ程嬉しい話はない。
「じゃあ、決定ね」
お母さんはにっこり笑った。
「……なっ……何…が?」
……とても嫌な予感がする。
「あなたがバイトすることよ」
「えっ……えぇ!? そうは言うけど、それ突然過ぎない!?」
お金は欲しいが、面倒なことや厄介なことはごめんだ。
「だけどな、美雪。高校生の内から社会に出て勉強した方が良い事だってあるんだぞ」
お母さんの隣に座るお父さんもそう言う。
「今まで一人娘だからって過保護というか甘やかしてきてきたしな」
「……………………自覚は、あったんですね」
両親、特にお父さんは私に甘いこっちが嫌になるくらい。よくある例が…………って今は回想している場合じゃない。
「それで正樹おじさんのところにお願いして働かせてもらおうとね」
「はぁっ!? なんであそこなの! バイトするなら、他にもあるんじゃないの!?」
正樹おじさんの場所。……私はその場所を毛嫌いしている。理由は二つほどあるのだが、それを語っている場合ではない。
「それに普通の高校生のバイトより多く給料出してくれるってよ。身内だからってさ」
「う~っ。今の私にそれを言いますぅ?」
私はそのバイトをするしかなかいようだ。なんか情けない……。
……………………。
………………ちょっと待てよ。身内だからって給料多くして良いのか? 正樹おじさんよ。
「………………で? 仮に働くとして、いつからなの?」
「明日よ?」
「…………。って、明日ぁ!?」
お母さんはさも当然のように言うので納得しかけたが、かなり突然すぎる。唐突すぎる。
とんでもない事を言ってくれてますよ、この人は。
……ちなみに明日はこれといった用事も無いので、その点のついては反論しようがない。
『突然』とか『突拍子もない』を当たり前のようにお母さんは言ってるが、さすがに非常識じゃないか? お父さんも気にしていないし。
常識はずれの両親のせいで子供の私が何度恥ずかしい思いをしたか……。一番強烈だったのが確か二年前の…………いや、だから回想している場合じゃない。
「いやさ、私やウチの都合はこの際置いとくとして、正樹おじさんの所は迷惑なんじゃないの?」
「それは問題ないわよ。とっくに打ち合わせしてあるから」
私にだけ、いきなりですか!? じゃあ、私が今どんなに断っても無駄だったってことだったの!?
「とりあえず、週末や連休は住み込みで来てほしいって言ってたから、とりあえずある程度荷物はまとめてあるわよ」
水面下で話が進みすぎだよぉ……。はぁ…………。
「……って、住み込み!?」
「そうよ。別にずっと旅館にいる訳ではないから問題ないでしょ?」
「そういう話じゃなくってさ……」
住み込みなんて考えてもなかった。朝とか絶対早いじゃん。
……私が正樹おじさんのところで明日から住み込みで働く事は決定事項のようで、どんなに抗っても結局は無駄でした。
…………なんか、理不尽だ。
「それにしても、その食欲は誰に似たのかしら?」
「知らないわよ」
私は苦笑するしかなかった。
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