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「私、決めました」
 部屋に戻った私は奈積さんにハッキリと言った。
「おわっ! みっ、美雪、何をいきなり、薮から棒に……」
「異聞をどうするかですよ。それを決めたって言ってるんです」
「あぁ、あれな。忘れたかけた頃に話し掛けて……」
 一言余計な気がしますけど?
「それで、どうすることにしたんだ?」
 奈積は一瞬で表情を真剣なものへと変えた。やはり、奈積さんはいざという時は頼れる存在。
「私、異聞を活かしていくことにしました」
 そこで一旦間を置く。奈積さんは真剣な眼差しのまま。
「あれから色々考えました。まだこの選択で後悔しないとは言い切れないし、私のちょっとしたトラウマに関しては全然吹っ切れないわ。でも、何もやらなきゃ始まらない。龍巳ともこの前話したんですけどね。私は自分望んだがだことをしようと思ったんです。自分の能力を使って誰かのためになりたいんです」
「美雪……」

 異聞をどうやって旅館の仕事に活かすかなんて全然想像がつかない。
 でも、私が異聞を使えたことで、鈿女さんのためになった。
 部屋を出る時に見た鈿女さんの顔は、とても穏やかな笑顔だった。
 その笑顔を思い出すたびにあたたかな気持ちになる。
「……やっぱり自分自身には嘘はつけないようです。だから、やってみようと思うんです」


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最終更新:2014年12月01日 23:54