提督×大鯨15-160「ド・キ・ド・キ 幼妻大鯨ちゃん」


「如月ちゃんと二人で踊ったのって久しぶりですね」
「やっぱりダンスは戦闘とはまた別のいい運動になるしストレス発散にもなるわよねえ、大鯨ちゃん」
「でもカラオケもストレス発散にはよかったですよ。
 如月ちゃんも一人じゃなくて二人で歌ったら楽しいでしょ」

私は大鯨。旧日本海軍の潜水母艦大鯨の力と魂を受け継いだ艦娘です。
大鯨って女の子らしくない名前ですって?違います。大鯨という名前は艦娘としての名前です。
私の本当の名前ですか?それはひ・み・つ。秘密です。
ちなみに彼女は如月。睦月型駆逐艦二番艦如月の艦娘です。
如月ちゃんは艦娘としても、一人の少女としての名前も如月なんです。
艦娘といっても中身は普通の女の子とほとんど変わりありません。ただほんの少しだけ他の人と違うのです。
兵器ではなく人間ですから戦ってばかりではまいっちゃいます。だから休むことも心と体のために必要です。
今日は私達は揃ってお休みなので、二人で街に出かけました。ダンスしたりカラオケしたりと楽しかったです。

「でも大鯨ちゃんは司令官と一緒ならもっと楽しいんじゃない?」
「え…はい…でも提督は私達以上に忙しくて機会が中々……」
「でもそんなあの人と結婚するんでしょ?羨ましいわね。
 あの人と結婚なんて将来性から考えても玉の輿も同ぜ…」
「如月ちゃん!」
「もぅ…冗談よ…あなたはそんな事で考えるような人じゃないってわかっているわ」
「そうですよ、冗談言わないでください。
 私はただ、あの人が素直に喜ぶ顔が見たくて、
 それを見て私も素直に喜べて……………………」

161 :ド・キ・ド・キ 幼妻大鯨ちゃん:2014/11/16(日) 13:10:52 ID:zXX5I0tk
私があの人と出会い、好きになり、結婚しようと思った事に彼が提督だったからという事の否定はしません。
だけど、それはあくまでも彼が提督だったからこそ私達が出会えたという意味であり、
提督という立場だから好きになったわけじゃありません。
私が提督と初めて出会った時に提督は私に親切にしてくれましたけど、如月ちゃん曰く
『あそこまで親切な司令官は見たことない。もしかしたら大鯨に気があるんじゃない?』
との事でしたのでもしかして…とは思いました。
その時は会ったばかりで提督の人となりがあまりわかりませんでしたけど、
提督が少し具合が悪そうに見えた時になんだか心配になってしまって…
その時はただの空腹みたいでしたけど、
でもその時に私の中で何かが生まれたのかもしれません。
そんなモヤモヤした気持ちが少しずつ広がっていく中で提督の食生活が酷いものだと知り、
たまたま提督の部屋にお邪魔して本当に酷い食生活とわかった時、
戦闘能力に乏しい私だからこういう時にこそ提督の役に立たなきゃと思い
上層部に掛け合ってその後提督と一緒に生活を始めました。
最初の頃はどちらかといえば『提督』の役に立ちたいという気持ちでしたけど
提督が私の作った料理をいつも褒めてくれて、
それでもっと喜んでもらいたいと思って創意工夫を凝らして……
……気がついたらあの人の事が好きになっていました。
あの人が私の事を世話役とかそういったものとして好きというわけではなく、
最初から人として好きだったっていうのがわかったのは互いの気持ちが通じ合った時でしょうか。

162 :ド・キ・ド・キ 幼妻大鯨ちゃん:2014/11/16(日) 13:11:34 ID:zXX5I0tk
ある日の事です。私がシャワーを浴びていたらあの人に見られてしまって……ドキドキしちゃいました。
私が勝手にシャワーを浴びていたのが悪いのですし、
あの人は私がお風呂掃除をしていると思ったから入ってきたわけですから仕方ありません。
でも私のドキドキは止まりませんでした。
その夜、私はあの人のお布団の中に忍び込みました。
あの人が私のあられもない姿に興奮していて、
それを思い出して我慢出来ずに私を求めちゃうだろうと思って……
今思ったら恥ずかしいです。本当は私からあの人に手を出そうかと思っていました。
だけどもし私の思い違いだったらと思うと、はしたない女の子に思われるのはともかく
今の関係が壊れてしまって未来まで失ってしまうのが怖かったんです。
だから私は言い訳がきくよう隣でただ目を閉じていただけです。
覚悟はしていました。あの人に私の初めての口づけを……初めての…………
…………覚悟というよりも期待という方が正しいのかもしれません。
でも…あの人は何もせず、私を起こそうとせず私の布団に運んだんです。
ショックでした。あの人が私の事を好きだと思っていたのは私の思い違いだと思ってしまって、私は枕を涙で濡らしました。
でもそんなところを見たからなのか、その後私に告白してきたのです。
あの人は情に絆されやすいところもありますが、
それでも自分がこれだけは駄目だと思えば断固拒否する人でしたから、告白された時は心から嬉しかったです。
ただ、あの人もあの人で少しだけ勘違いしていたみたいでしたからちゃんと私の気持ちも伝えました。
まあ何はともあれ結果オーライでよかったです。
……こういう考え方って、あの人に少し影響されちゃったかな?

163 :ド・キ・ド・キ 幼妻大鯨ちゃん:2014/11/16(日) 13:12:10 ID:zXX5I0tk
「…………ちゃん……大鯨ちゃん…………」
「………………あ、はい!」
「もう…何ボーっとしてるのよ」
「ごめんなさい、少し考え事とか、昔の事を思い出したりとか……」
「それはまあいいけど…あれ、見て…」
「え………!?」

言われて見てみるとあの人が見知らぬ金髪の女性と食事をしていました。

「司令官が綺麗な女の人と一緒に食事してるみたい。
 何か言い争っていて…あ、女の人が水のおかわりに行ったみたい」
「……きっと大丈夫とは思うけど……確かめてきます……」
「ちょっと!?」

私はあの人を信じているけど、
だけどどうしても確認したいと思って席を立ってあの人の所に向かいました…………

164 :ド・キ・ド・キ 幼妻大鯨ちゃん:2014/11/16(日) 13:13:03 ID:zXX5I0tk
「あの子も結構強い個性を持っていそうだし、これも艦娘の運命か……」

俺はそう小さな声で独り言を呟きながらこれからどうするかを考えた。

「て・い・と・く」
「っ!?」
「提督っ」

不意に声をかけられ驚いた。振り返ればそこには大鯨…
いや、今日は休養日だから大鯨というべきではないか……

「提督、ここで何をしていらっしゃるのですか?」
「新しい艦娘が新鎮守府に来るから駅まで迎えに行っていたんだ。
 こんな時間だから新鎮守府に帰る途中で昼食を取ろうと思ってな」

俺は堂々と事実を言い切った。やましい事なんて何一つしてないからな。
もしやましいことがあるなら繕うような言い方をするはずである。

「あら?貴女誰?」
「あなたこそ誰ですか?」
「ドイツの誇るビスマルク級超弩級戦艦のネームシップ、それが私よ」
「え…………ビスマルクって…………あの…………?」
「そう。ドイツらしい重厚かつ美しいデザインでしょう。
 この国でも縦横無尽に活躍するわ。期待しなさい!」

その雰囲気と佇まいに圧倒される大鯨。

「あの…ビスマルクさん…さっきは何を怒っていたのかしら……?」

如月が何か会計を済ませたのか財布を仕舞いながら尋ねる。

「提督に日本料理をご馳走するよう言ったのにタイワンラーメンとかいう辛いのを頼んだのよ」
「台湾ラーメンはれっきとした日本食だ。高雄も愛宕も金剛も榛名も台湾にはこんなのなかったとか言うが、
 これはある料理屋の店長が故郷の坦々麺を思い出してまかないで作り、
それを辛党だった店長が辛く味付けして作ったんだ。
 だから創ったのは日本人じゃないとはいえ、れっきとした日本料理だ」
「……とにかく口直しを要求するわ」

俺はソフトクリームを頼んだ。他の二人は既に食べたからいらないみたいだ。

165 :ド・キ・ド・キ 幼妻大鯨ちゃん:2014/11/16(日) 13:14:32 ID:zXX5I0tk
俺はソフトクリームを頼んだ。他の二人は既に食べたからいらないみたいだ。

「ふふっ、中々おいしいじゃない。いいのよ、もっとくれたって」

『さぁ、豪華なランチを奢ってもいいのよ?』

俺の頭にある少女の言葉が響いた。
ああそうか、この子もこんな感じか。俺は何か糸口が見えたような気がした。

「でもここってラーメン屋なのに甘味も充実していますね」
「そもそもここは甘味処から始まったのだからな」
「ねえ、もっとソフトクリームないの?」
「買いたいのはやまやまだがそろそろ新鎮守府に行かないと時間がない。
 心配するな。新鎮守府には外郎とか名古屋銘菓を沢山買い込んであるからな」
「何だか食べたら『お前の体は私のものだ』って乗っ取られないかしら」

この時俺は確信した。そんな知識があるのならこの子とみんなとでやっていけるだろうと。

166 :ド・キ・ド・キ 幼妻大鯨ちゃん:2014/11/16(日) 13:16:52 ID:zXX5I0tk
東海地方含め多くの地域に新しい鎮守府が作られた理由。それを語るには夏頃まで話を遡らなければならない。
夏のAL/MI作戦において自分の担当の出撃任務を終えた俺は故郷に帰省していた。大鯨も護衛として一緒だった。
さすがに家族や親戚に会わせる勇気はないから近くでウインドウショッピングをしてもらった。
そして鎮守府に帰る前に富田の鯨船行事という祭りを楽しもうとした矢先、
四日市港や名古屋港が深海棲艦の襲撃を受けていると緊急連絡が来た。
この場には大鯨しかいなかったものの、襲来した敵の強さが大したことなかった事と
大鯨の練度が高かったこともあり比較的楽に殲滅できた。
後で聞いた話だが、日本の重要港湾クラス以上の港が深海棲艦による襲撃を受けていたらしく、
幸いにも伊勢湾地域に襲来した敵は伊良湖沖で大半は殲滅されていたとか。
とにかく艦娘達のほとんどがAL/MI作戦に出撃している最中だった為に日本には艦娘があまりいない状態だった。
そこをついた奇襲という形だった感じだがあまりにもタイミング良すぎて…………
とにかく事態を重く見た上層部は艦娘の活動拠点の増設と艦隊再編を行った。
横須賀鎮守府に主戦力を集中しつつ、それ以外の重要港湾以上の港湾所在地域に新しい鎮守府
(旧来の鎮守府と区別して新鎮守府と呼ばれる)を置いた。
新鎮守府は主力艦隊の拠点となる横須賀とは違い、輸送船団の護衛や地域防衛等が主な仕事である。
俺の新しい勤務先の東海地方の新鎮守府はそれ以外にも艦娘の教育機関がある。
艦娘は軍人のようなものではあるが、本来ならば義務教育下にある艦娘も数多い。
今までも教育自体は各鎮守府でされていたが、地域による教育格差や講師の分散等問題もあった。
その為東海に作られた新鎮守府はそういった艦娘達の為の教育機関も兼ねているのである。
主力であるはずのビスマルクが再編でここに来たのはドイツ語の教師として来たという面が大きいだろう。
俺は東海の新鎮守府で勤務することになったものの
今までの部下達は大半が義務教育下にある駆逐艦娘が大半だった為
長門や陸奥、赤城などの主力艦娘が横須賀に残留したくらいで俺の艦隊の顔触れに変化はほぼなかった。
装備も強力な装備は横須賀に運ばれたが、戦力はなるべく集中させた方が良い為との判断でもある。
また、新兵器の開発についてもまた別の新鎮守府に集中するとのことだ。
色々あったものの、故郷に近い地域に勤務する事になった為、俺のやる気は潰える事はなく、むしろ増大していった。
やはり俺には東海三県の空気が合うのだろう。
年頃の沢山の艦娘達を導いていく不安をそれで打ち消していきたかった。

167 :ド・キ・ド・キ 幼妻大鯨ちゃん:2014/11/16(日) 13:18:09 ID:zXX5I0tk
10月31日、今日はハロウィンだ。子供達がお菓子くれなきゃいたずらするぞで有名な日だ。
実際はもっと別の理由があるが、こう変化しちゃうのも日本人らしい。
だからなのか朝から騒々しいなあ……

「しれ…提督、潜水母艦大鯨よ。トリックオアトリート」
「ん…どうしたんだ暁?」
「お菓子くれなきゃいたずらしちゃうわよ」

もう悪戯してるも同然だろう。暁は大鯨の服を着ていたのだから。
物凄い遠目から何気なく見たら一瞬は騙されたかもしれないだろう。てか大鯨はどうした?

「暁ちゃ~ん、私の服を返してくださ~い!」

振り向くと大鯨は暁の服を着て走ってきていた。胸や腰周りがぱつんぱつんで色っぽ……苦しそう。
つーか何故着たし。他に服はなかったのか。

「見てみて、この輝く肌、ねえもっと近くで見てあげてよ」

続いて如月がやって来てそう言った。自分ではなく大鯨の事を指しているのだろう。
何となくだが首謀者がわかった気がする。

「暁ちゃん、お菓子あげるから服を返してくださいよ……」

物凄く恥ずかしそうに涙目で赤面する大鯨の顔はドキドキするくらい可愛かったが、
さすがにこれ以上大鯨を悲しませるのは心が痛む。

「ふふっ、サイズの大きい服を着て大人びる子供…パーフェクト!」

何故か那智が割り込んできた。那智がパーフェクトと言うとか、こいつもそういう方面の知識はあったのか。
そんな事を考えたのは俺と、いれば漣くらいだろう。

「お子様言うなー!」
「じゃあなんでこんな真似したんだよ」
「本当は一人前のレディーがこんなことする必要はないんだけど、
 学年行事としてやらなきゃいけないから仕方なくやっただけよ」
「眠たかったからせっかく来てくれたのにお菓子をあげられなくてごめんなさい。でも服は…」
「如月ちゃんから何をやったらいいのか聞いてみたのよ。だから大鯨さんの服を着ちゃったの」
「で、何故大鯨は暁の服を着たのだ?」
「如月ちゃんからやり返すなら同じ事をって……え?」

話が繋がった。二人の衣装チェンジはやはりこいつが原因か。

168 :ド・キ・ド・キ 幼妻大鯨ちゃん:2014/11/16(日) 13:19:03 ID:zXX5I0tk
「こうして見ると二人とも結構似ているわね」

強引な話題転換である。

「大鯨ちゃんも暁ちゃんと似ているし、暁ちゃんも大鯨ちゃんと似ているし……
 司令官と一緒にいたらまるで本当の家族みたいね」
「そうだな……お前達の子供の顔が早く見たいものだ」

如月の言葉に俺達は赤くなって驚き、
その後の那智さんの言葉にはまるで今までの成長を見てきた年長者的な雰囲気さえあった気がした。
真面目なのか残念なのか判断に困る。二人とも真面目なんだろうけど。

「ところで司令官、今度の祝日は司令官のお誕生日でしょう。
 どうしてその日に結婚式をしようとしなかったのかしら?」
「確かに。司令官が結婚式を行おうとしている11月15日は渾作戦の真っ最中なのよ。
 だから余裕がある時にしておいた方が…」
「今回の渾作戦は横須賀鎮守府の艦隊が中心だ。横須賀鎮守府は戦闘能力に長けた艦娘が集結しているからな。
 俺達の役割は本土の防衛だ。この前のような事があったらかなわんからな」

ちなみに次の作戦名は渾作戦だと漣にメールで送ったら大量の大根を買ってきた。まあ予想通りである。

「作戦期間中とはいえ作戦初期だし、
 することはいつもやっている事の延長線上にある事だからある程度の余裕はある。
 それに結婚する事と結婚式の日程を報告したら快く承諾してもらったし、
 作戦発表後に上層部に伺ったら結婚式を行う事を咎められる事はなかったしな。
 まあ作戦期間中は休み無しになり終了後の後始末もやらなきゃいけなくなるが
 俺の勝手な都合で結婚式をするんだから仕方ない」
「…まあ上層部がそう判断したんだったら私達から何も言う事はないわ。
 私達が出来る事が後方支援だっていうのなら、それを全力でやるのよ」

暁の言葉と共に俺達はこれからへの決意を新たにした。

169 :ド・キ・ド・キ 幼妻大鯨ちゃん:2014/11/16(日) 13:19:46 ID:zXX5I0tk
そこへ空気を読まないかの如くドアが激しく開く音がした。

「トリックオアトリート!お菓子くれなきゃ私の歌を聴けーっ!」

ビスマルクがとある歌姫の扮装をしながら乱入してきた。
何か間違っている気がしたがハロウィンを彼女なりに楽しんでいるみたいだ。
彼女も完全にここに馴染んでいるようだった。


「なんでみんなお菓子をくれないのかしらね」
「それだけビスマルクさんの歌が上手だからですよ」
「本当!?ありがとう。いいのよ、もっと褒めても。
 でもここでは変わった事をするのね」

ビスマルクの方がハロウィンとは微妙に違った事をしている気がしたが何も言わなかった。
俺のいる新鎮守府ではハロウィンに合わせて盛大なイベントが開かれていた。
他の鎮守府でも小さいながらイベントが行われていたが、この新鎮守府では一段と大きなイベントが行われていた。
というのもこの新鎮守府は小中学生の年代の艦娘が大半を占める為、
思春期の不安定な心を戦闘行為だけを行う事により壊してしまうという事がないよう
情操教育の点から近隣住人達とのふれあいにより人間らしい心を失わないようにとの考えである。
また、地域の人達からの信頼を得て様々な支援を受けやすくするという狙いもある。

「でも楽しかったわ。これからももっと楽しいことがしたいわ」

彼女の存在はドイツ語講師や戦力を抜きにしてもここに必要不可欠だった。
彼女は現状雷撃できる唯一の戦艦故に渾作戦期間中は横須賀鎮守府の主力艦隊に配属されることになっていた。
激戦地に赴く彼女や、他の艦娘達が無事に帰ってくること。それが俺達の願いだった。

170 :ド・キ・ド・キ 幼妻大鯨ちゃん:2014/11/16(日) 13:20:28 ID:zXX5I0tk
そして11月15日。俺達は結婚した。神の前で俺達は永遠の愛を誓い合った。
何故作戦が始まったばかりのこんな時に結婚式を行ったのか。
それは俺の父親と母親が30年前に結婚したその日だったからである。
俺を今まで育ててくれた両親。その両親に今まで散々苦労をかけてきたのだ。
俺の事を心から愛してくれた人達を俺は何回も悲しませ、落胆させ、失望させてきた。
それでも俺を信じてくれた両親。俺は両親に自分が立派になった姿を見せたかった。
そして、その姿を両親の30回目の結婚記念日のプレゼントにしようと思ったのだ。
正直言ってきちんとできたのか、それとも駄目だったのか、緊張していたためかあまり覚えていない。
でもどちらにしろ親からすれば子供はいつまでも子供なのだと思う。
子供だと思っていたら思った以上に大人になっていた、あるいは未だに子供地味ているか……
どちらにしたって最終的には子供という目で見てしまうものかもしれない。
それに失敗したとしても後に『あの時はああだったなあ』とみんなで笑いながら話せるのならそれはそれでいい。
それよりも俺にとってはある意味結婚式以上に大事な事が控えていた。
日が変わって11月16日。81年前、潜水母艦大鯨が進水した日である。
俺達もまた、新たなる所へ進もうとしていた。

171 :ド・キ・ド・キ 幼妻大鯨ちゃん:2014/11/16(日) 13:21:23 ID:zXX5I0tk
「不束者ですが、よろしくお願い致します」

俺と初めて出会った時、そして俺と彼女の心が一つに結び付いた時。
その時と同じ、しかしそのどちらとも意味合いが少し違う言葉だった。

「………とうとう…私達……」

生まれたままの姿で照れながら、しかし笑みを浮かべる彼女はとてもかわいかった。
結婚式の時の彼女はこの世で一番綺麗な存在と思えるほどだったが、
こうして見ると彼女の童顔が更に際立つ。
もちろんどちらも彼女の魅力の一端という事に変わりはないのだが。

「ん…………」

俺は彼女の唇に自分の唇を重ねた。ただ唇と唇を触れ合わせるだけのキス。
でも、それだけでも凄くドキドキした。はたから見たら童貞と一目でばれるだろう。
キスの最中、俺は彼女の体を抱きしめ愛撫していた。
しっとりとしていて、それでいて重くない髪はいつまでも触っていたかった。
そして髪の毛から肩、背中、腰。尻へと右手を下に下ろしながら触っていく。
彼女の体は肉付きがよく、とても暖かかった。
お尻もとても大きくて柔らかい。きっと元気な子供をたくさん生んでくれるだろう。
一方左手は豊かな胸に行っていた。程よい弾力と柔らかさ、暖かさが心地よい。
その大きな果実とも形容できるものの先には鮮やかな色をした小さな果実があった。
その果実は硬かった。しかしただ硬いというだけでなく程よい弾力があった。

「……はあ…………んんっ!?」

俺は彼女に唇から己の唇を離すとそのグミのような果実に口づけ、吸った。

「あ……ん……そんなに吸ったって…出ませ…んっ!!」

彼女は潜水母艦大鯨の艦娘である。潜水母艦は潜水艦を支える艦、つまり母親のような存在だった。
胸が大きいのは彼女が潜水母艦の艦娘だからなのか、それとも胸が大きいから艦娘になれたのか。
そんなことはわからないが彼女はまだ母親になっていないため母乳は出ない。
出るとすればホルモンバランスがおかしくなっているのだろう。
いつまでも彼女の乳房を堪能したかったがそうはいられない。俺は彼女の一番大事な所を右手で触れた。
とてもぬるぬると濡れていた。俺は指で探した。
すると少しへこんだ所があったので俺は中指に少し力を入れた。
にゅるん、と入っていった。入口はきつかったが中はとても滑りがよく暖かかった。
指を動かし感触を楽しむ俺は一刻も早く己のいきり立ったものを入れたかった。

172 :ド・キ・ド・キ 幼妻大鯨ちゃん:2014/11/16(日) 13:22:03 ID:zXX5I0tk
「ん……い……入れてください……あなたの……おちんちん……」
「いいのか……」
「ええ……もう我慢…できないの…あなたも…でしょ……」

彼女の言葉通り俺も限界だった。というか最初にキスする前から既にしたかった。
俺は己の全てを込めるものに手を添え、先ほどのへこんだ所に押し付けた。

「そこ……です…………ッ……!!」

俺は彼女の中に入っていった。先端から今までに感じたことのないような気持ちよさが伝わる。
気を抜けばあっさりと達してしまうだろう。それだけは避けたかった。
彼女を気遣って一気に突っ込むことはしなかったが、何かに阻まれた時、力を入れた。

プツリッ!

何かを破いたような気がした。そして思わず一気に最奥まで貫いてしまった。
結合部の根元を見ると赤いものが見えていた。
そうか、俺は彼女にとって初めての男になったのか……
彼女は俺を拒むのではなく受け入れたということか。

「ッ…………」
「…くっ…すまない…もう……」

俺の言葉は彼女を気遣うつもりが苦しめてしまった事を謝ったのか、
それとも彼女が達する前に自分だけ達してしまいそうな事への事なのか。
どちらも正しいだろう。不意に気が抜け、襲ってきた射精感に俺はもう我慢できなかった。
俺の先端からびゅるりという感触が延々と続いた。
俺は彼女が達する前に勝手に達していたのだった。

173 :ド・キ・ド・キ 幼妻大鯨ちゃん:2014/11/16(日) 13:23:21 ID:zXX5I0tk
「ん…………」
「はあ…はあ………」

俺は彼女の一番奥で全てを吐き出していた。
彼女に包まれ、暖かさを感じていた俺はそれに甘えていた。
しばらくして射精が収まったあと、俺は少しの後悔に襲われていた。
なぜ勝手に達してしまったのか、もう少し優しくできなかったのか。
そんな考えを見透かしたのか、彼女の言葉は優しかった。

「……私で気持ちよくなってくれて…ありがとうございます……」

痛くて苦しいだろうに、彼女が俺にかけた言葉は感謝の言葉だった。

「……こっちこそ……ありがとう……」

俺は涙を流しながらそう答えた。確かに罪悪感や済まなささはある。
だけど初めての人が彼女で、彼女の初めての男になれた喜びの涙でもあった。

「…こんな私を、愛してくれて、本当にありがとうございます…
 私は……私はとても幸せです。そして、いつまでも、あなたと一緒に…………」

それは彼女の偽らざる本心なのだろう。
俺は彼女を苦しめただけかもしれない。だけど、それでも彼女は俺を愛してくれた。
だからこそ俺は彼女を気持ちよくさせられなかったであろうことを後悔していた。
出来るなら少しでも早く彼女を気持ちよくさせたい。だけど俺は提督だ。
俺の行動一つで艦娘達やこの地上に生きる全ての人達の命運が決まってしまう可能性もある。
それに平和の為に戦わなきゃ彼女を愛する事もできなくなる。
俺は全ての幸せの為に戦う事を改めて決意した。
何一つ思い悩むことはなく彼女と愛し合えるようになるには、まだ時間がかかるのかもしれない…………


―続く―

+ 後書き
174 :幼妻大鯨ちゃん:2014/11/16(日) 13:27:06 ID:zXX5I0tk
そんなわけで『お・し・か・け』の続きです
エロ薄めな上に関係ないところで独自設定やネタ多数
俺は地元に近いところで愛する人と生きて行きたかったんです……
長編で明確に続けると宣言して投下したのは初めてです
続きも現実の時間軸に合わせて書いて投下するつもりです
それではまた


これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/

最終更新:2015年08月02日 16:46