743 :名無しの紳士提督:2015/01/15(木) 05:40:33 ID:NBJUYv3U
アイスがどうこう…とかって見てたら突然この曲が脳内に流れ出したので文才ないけどそのままの勢いで1つ。エロ無いです初投稿ですお目汚し失礼します…
大量の書類にもひとまず片が付き、一つ伸びをして時計を見ると4時半であった。
晩飯の時間までまだ少し間があるが、若干小腹も空いてきたところである。
休憩がてらちょっとお菓子をつまむくらいなら、目くじらを立てる艦娘たちもいないだろう。
俺は立ち上がりもう一度伸びをすると、食堂に向かうことにした。
退屈な書類ばかりだったので秘書艦を下がらせているのに、わざわざ軽食のために呼び立てることもないだろうし、
何よりずっと座りっぱなしでは体がそのまま固まってしまいそうである。
食堂に近づくと、楽しそうな歌声が聞こえてきた。
「おとぎ話の王女かて 昔はそんなに食べられへん♪ あいすっくーりーむー♪ あいすっくーりーむー♪」
ドアを開けると、歌っていた本人もこちらに気づいたようだ。
「お、提督やんかー♪」
満面の笑みでこちらを見るのは、軽空母の龍驤。その手には、スプーン。
「随分ごきげんだな」
「そらもうごきげんやでー!なんてったって、ほらほら、コレやコレ!見てみ!」
そう言って龍驤は食べていた皿をこちらに見せる。その上に乗っていたのは…
「アイスクリーム、だな」
「せや!それもただのアイスとちゃうんやで!間宮さんとこの特製アイスや!」
龍驤はニコーっと笑うと、スプーンでアイスを一口頬張る。
「んん~っ♥ 絶品やわぁー!」
「普通のアイスとは違うのか」
「そらもう全然ちゃうで!え、何?キミ…食べたことないん?」
頷くと、龍驤は驚いたような顔をした。
「え、ウチてっきり提督なんかやったら執務室でおやつ食べ放題なんやと思てたわ…」
「んなわけあるか」
現に今だってこうやって食堂まで食べられるものを探しに来ているのである。
「あーそうか、キミすぐ秘書艦下がらせるもんなー、おやつくらい2人で仲良う食べたらええのに…あの子のこと嫌いなん?」
「いや、そういうわけじゃないが…迷惑するだろ」
「そうかなぁ、あの子やったら喜びそうやと思うけど…何やったらウチがお三時しに行こか?」
「馬鹿言え、仕事しろ仕事」
「休憩ついでやんかー、ちょっとは休ましてーなー」
そう言いながら一口、もう一口。見ていると俺も食べたくなってきた。絶品と言われれば尚の事である。
744 :名無しの紳士提督:2015/01/15(木) 05:41:16 ID:NBJUYv3U
「なぁ龍驤」
「ん?」
「一口、くれよ」
「えーっ」
「いいじゃん一口ぐらい」
「あげへんよー」
そう言って龍驤は唇を尖らせる。しかしすぐに少し考えるような顔になったかと思うと
「まぁ、キミ食べたことないねんもんな。ほな一口だけやで?」
そう言いながらスプーンでアイスを掬い、
「ほら、あーん」
そう言ってアイスの乗ったスプーンをこちらに向ける。
「それ自分が食べるってオチじゃないだろうな」
「あんまりしょーもないこと言うてるとあげへんで!」
「悪かった悪かった」
そう言って俺は龍驤の差し出すスプーンをぱくりとくわえる。
「ふむ…確かにこれは美味しいな」
「せやろー!?」
まるで自分の事のように喜ぶ龍驤。
「しかし一口では腹は膨れんな…」
「そらせやろ…や、もうあげへんで!」
「あーいや、別に奪おうってわけじゃ…」
俺は頭を掻く。
「今日の料理担当は?」
「どうやろ、この時間やったら買い出しに行ってるんちゃうか?」
「ふーむ…」
「奥になんかおやつ残ってへんかったかなぁ…」
「龍驤のそれは?」
「ん?アイス?コレはアレや、前に買うて置いといててん。あ、せやし探すのはええけど、誰のって書いてあるんは勝手に食べたらアカンのやで!」
「分かってる分かってる」
そう言って俺は食堂の奥の調理場、食料庫に入って行った。
745 :名無しの紳士提督:2015/01/15(木) 05:41:58 ID:NBJUYv3U
提督が食堂奥の扉の向こうに消えてから、龍驤は一つ溜め息をついた。
「仲ええんかと思たらそういうわけでもないのんかな、あの二人…よー分からんな…ウチにもまだ…チャンスとか…」
そう呟きながら、さっき提督がくわえたスプーンを口に含み、ペロリと舐める。
(これで、提督と間接キスやな…なーんちゃって)
あまりにバカバカしくなって、龍驤はフッと微笑むと、スプーンを大分溶けているアイスの上に置いた。
(あかんあかん、あの人はあの子のものなんやから。ウチなんかが首突っ込んだら、それこそ…「迷惑するだろ」、やわ)
アイスをスプーンで全てさらうと、提督の戻ってこないうちに、とばかりに龍驤は駆け足で食堂を出て行った。その目には、うっすらと涙が滲んでいるようにも見えた。
後にはただ、皿とスプーンだけが残されていた。 ――おわり――
これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
最終更新:2015年01月26日 06:33