非エロ:大和×慰安夫 東「鎮守府慰安労働大和編」前編15-961

961 :名無しの紳士提督:2015/02/06(金) 03:18:55 ID:X6v2i2ZE
眠れぬ筆で書いてました、鎮守府慰安労働の者です
長くなるのは分かったのでひとまず前半という形で導入部分を投下します
ちらっと提督が出ますが、女性ですのであしからず

962 :鎮守府慰安労働:2015/02/06(金) 03:19:50 ID:X6v2i2ZE
「阿賀野型軽巡洋艦、矢矧です」
「おっ。珍しい来客だな」

東の部屋に入ってきたのは、赤いスカートを着たポニーテールの少女だった。
ノースリーブの制服に身を包み、入ってくるなり姿勢よく海軍式の敬礼を行う。
遊びに来たという雰囲気はみじんもなく、東もベッドから立ち上がって敬礼を返した。
時間は午後7時、ちょうど陽が沈み、艦娘が徐々に寮へと戻っていく時間である。
普段ならリラックスしている時間だが、矢矧の目は本気だった。

「東さん。あなたにお頼みしたいことがあります」
「俺にかい? いいよ、頼んでもらえることなら何でも」
「そうですか。では、戦艦大和の入浴のお手伝いをお願いします」
「え? あ、ちょっと矢矧? それはちょっと――」
「私はこれから遠征に出ます。大和はもうお風呂にいますので、では」
「ちょっと待ってくれ~~!!」

それから20分後、東は一通り入浴用の道具を持って浴場へ歩みを進めていた。
一歩一歩が恐ろしいほど重く、気の進まなさと言ったら言葉にしようがない。
いつもなら10分とかからない距離が長くて仕方がなかった。
肩を上下させながら、大きなため息をつきながらも歩くしかない。

「まったく、強引なんだからもう……」

結局東の制止など気にも留めず、矢矧はそのまま遠征に出発してしまった。
提督に確認を取ったところ、矢矧率いる睦月型5隻の遠征部隊が帰るのは翌日の夜。
既に鎮守府を後にした彼女らに確認を取ることはできない。
いっそのことと提督に確認を取ったところで、東を助けてはくれない。
それどころかこの状況を楽しんでいる節すらあり、東に掛ける言葉はごくわずかだった。

『うちの艦隊の切り札を預けるんだから、扱いには気ぃ付けてよ~』
『そもそも男と女だっていうところからは心配してくれないんですか?』
『別に、疑うほど信用してないわけじゃあない。難なら大和の乳でも揉むかい?』
『遠慮しときます!』

提督から掛けられた言葉に、不覚にも嬉しくなってしまったことを悔やんでしまう。
あらゆる鎮守府から、最高の司令官として名高い提督から受けた信用の言葉。
浮かれない方が難しいと自分に言い訳しながらも、足取りは一向に軽くはならない。

963 :鎮守府慰安労働:2015/02/06(金) 03:20:25 ID:X6v2i2ZE
それでも脱衣所につき、服を脱ぎ始めている際には大和と会えることを喜んでいた。

思えば鎮守府で慰安労働が始まるきっかけとなったのは、大和との出会いだった。
大和の入浴中、憧れから逸る心を抑えきれずに覗いてしまった。
そこにいたのは身体にバスタオルを巻いた大和がいて、覗いた東は慰安夫となった。
思い返せばおよそ3週間前の出来事なのだが、あまり時間が経っていないようにも思える。
その間、大和に会っていないわけではないが、どうしても顔を合わせる機会は少なかった。

服を脱ぎ終わり、深呼吸を挟んで腰に手拭いを巻きながら浴場へのドアを開く。
外はとっぷりと陽が沈み、露天風呂を照らす灯り以外は視界が利かなくなっていた。
空に昇っている白銀に輝く満月が、立ち込める湯気を照らし出すのは幻想的の一言。
普段から使っているはずなのだが、その美しさには目を奪われずにはいられなかった。
そして心地良い水音と共に、艦娘の頂点に君臨する戦艦が姿を現す。

「顔を合わせてはいましたが、面と向かってお話しするのはお久しぶりですね」
「大和、さん……」

バスタオルを身体の前で抑えながら、大和はゆっくりと湯船を歩いてきていた。
普段、他の艦娘と接している時には感じたことのない緊張感と威圧感が東を包む。
かつて史上最強の戦艦とされ、人の身を得て艦娘となった今なお存在感は健在だった。
直接肩を押されているような錯覚に、思わず東は後ずさる。

女性としての美しさに惹かれずにはいられず、東の目は大和から離れなかった。
その美しさは胸や尻といった女性特有のものにおさまらず、美の塊そのもの。
整った顔立ち、細くしなやかに伸びた腕、タオルに隠れそうなほど締まった腹。
様々な部位の美しさの粋を集めたような体つきは、東でなくても目を引くだろう。
同時に東は頭から離れなかった、初めて会った時のことが今も思い出される。

「あ、あの時は本当にすいませんでした!」
「あの時? もしかして、まだ最初のことを気になさっていたんですか?」
「も、もちろんです!」
「律儀な人なのですね。矢矧から話は聞いています、髪を洗っていただけますか?」

小首を傾げながら笑顔を浮かべた大和に、東はすっかり有頂天になっていた。
緊張がほぐれたわけではないが、憧れの人間から投げ掛けられた笑顔。
木製の椅子に腰掛け、疑いもせずに背中を向けてくれる動作からは信頼がにじみ出ている。
自然と頬が綻ぶのを感じながらも、矢矧から任された仕事をこなしにかかる。

964 :鎮守府慰安労働:2015/02/06(金) 03:21:09 ID:X6v2i2ZE
「し、失礼します」
「はい。よろしくお願いします……あら?」

シャワーから出した湯を手桶に溜め、丁寧に毛先から順に濡らしていく。
長い長い大和の黒髪が石畳に触れないように、常に髪はひとまとめに手で持ったまま。
もちろん流した湯が撥ねてしまわないよう、一つ一つゆっくりとこなしていく。
その間にも、東は手触りのいい大和の髪の虜になってしまいそうだった。

湯の流れに一切干渉せず、まっすぐのびた髪は水玉をまとって艶めいている。
髪の傷みなどとはまるで無縁な黒曜石にも似た輝きは、月明かりにもはやまぶしかった。
絹のような手触りは手元で綿を抱えているような軽さで、湯以外の重みなどない。
大和の髪を洗わせてもらっている、そんな状況は東にとってまさに夢見心地だった。
ゆっくりと作業を繰り返し、徐々に髪が濡れていく中でふと大和が口を開く。

「失礼ですが、その洗い方はどちらで?」
「え? あ、もしかして変でしたか!?」
「いえ。丁寧に洗ってくださるので心地良くてつい。矢矧にも教えたいです」
「は、はい! ありがとうございます!」

首だけで振り返りながら、満面の笑みを浮かべた大和に思わず東は頭を下げた。
憧れていた異性との入浴、それに加えて間違いなく自分に投げ掛けられている満面の笑顔。
今の東が舞い上がらずにいることなど不可能に近かった。
しかしそんな東も、一瞬で我に返る瞬間が訪れる。
大和の髪を洗い終わり、軽く水気を手拭いで拭き取ったところで東は気が付いてしまった。

「あの、大和さん」
「はい、どうされましたか?」
「えっと、その……身体の方も洗うんでしょうか?」
「それはそうですよ。湯船に入るには身体を――あっ」

そこまで言うと、ようやく大和も気が付いて一瞬で顔を紅潮させる。
湯けむりを挟んでもはっきりと分かるほどの紅さであり、気付けば東もあてられていた。
髪を洗うだけなら正面に回ることもなく、ただ髪を洗うことにだけ集中できていた。
大和から褒められたこともあり、まるで天にも昇るような気持ちになっていた。

しかし身体を洗うとなれば、話が変わるどころか全く正反対になる。
正面に回らないまでも、直接大和の肌に触れてしまうことだってある。

965 :鎮守府慰安労働:2015/02/06(金) 03:21:39 ID:X6v2i2ZE
それこそ洗うとなれば、胸や尻といった女性特有の柔肌に触れてしまったとしたら――。
考えただけで屹立してしまいそうなソレをこらえ、壊れそうなほど理性を抱え込む。

「ひ、ひとまず身体の方は自分で洗ってもらってもいいですか?」
「え? あ、でも矢矧に頼まれた仕事は――」
「さすがに無理です! 先に湯に浸かってます、お世話はその後にしますので!」

矢継ぎ早に口にした東は、転びそうなほど慌てて立ち上がった。
そんな時、不意に背中を大和の言葉がわしづかみにする。

「意外ですね。てっきり手を出してくると思いました、浦風と青葉の時みたいに」
「――っ!?」

反論することすらできず、一瞬で東は凍りついたように指一本動かせなくなっていた。
浦風の時は全ての入渠スケジュールを終えた深夜、誰もいない露天風呂。
青葉の時は青葉型重巡洋艦の部屋で、誰も見られるはずのない青葉の部屋。
当事者以外は知りえない情報のはずで、ごまかそうと思えばごまかせる。
しかしそんな方向に頭を回す余裕すらなく、東は生唾を呑み込んで固まりきっていた。

「事実でしたか。鎮守府での働きは目を見張っていただけに、残念です」
「待ってください! 話を聞いてください、大和さん!」
「憧れだったと言ってもらえた時は素直に嬉しかったのですけどね」
「大和さん……!」

ゆっくりと立ち上がった大和の姿に、東は二の句を告げなくなっていた。
先ほどまでの優しい口調で、名前の通り大和撫子然とした姿はそこにはない。
凛とした鋭い口調、一言一言に感じる重みは戦艦大和の真の姿に感じられた。
先ほどまでの浮ついた考えなど抱く暇も与えない、圧倒的な存在感。

しかし東にも反論や反抗心がないわけではなかった。
むしろこの報告が大和の口から提督に行けば間違いなく重罰が待っているのだから。
慰安労働期間も残すところ一週間というところまで来て処罰など冗談ではない。
ただ口にするのが憚られるが、もはや手段を選んでいるような猶予はなかった。

「聞いてください、大和さん! 浦風と青葉の時は!」
「言い逃れなら聞きません。どういった経緯であろうとあの二人とあなたは――」
「あっちの方から襲われたんです!」

966 :鎮守府慰安労働:2015/02/06(金) 03:22:10 ID:X6v2i2ZE
「……えっ?」
「だからあっちの方から襲われたんですってば!」
「え? あ、お、おおお、襲われたんですかぁっ!?」
「なんで驚いてるんですか? そのお話じゃなかったんですか?」
「私は、私はただ! 深夜に騒がないように言おうと思っただけです!」
「初めからそう言ってくださいよ! 今のびっくりするほど重い雰囲気何ですか!?」
「大事なことじゃないですか! 鎮守府の生活環境の向上のためです!」

そう言ってから、お互いに肩で息をしながら何も言わずに見合っていた。
そしてどちらからともなく、ため息を挟んでから笑いがこぼれる。
気恥ずかしそうに口元を抑えて笑う大和と、堪え切れない笑いがこみあげてくる東。
大和がまとっていた威圧感も、東が持っていた緊張感もどこかへ言ってしまっていた。
やがてふと二人の笑いが止まったころ、大和の頬が再び赤らんで口を開く。

「誤解だったのはすいません。ですが、その、襲われたというのはやはり性的な意味で?」
「もうここまで来たらいいますよ、もう……挿れたわけじゃないですけどね」
「では東さんはまだど、どう、その、どうて……」
「はい童貞ですよ! 恥ずかしがるなら言わなきゃいいんですよ」
「恥ずかしいに決まってます。つまり責められるのが好き……と」

大和の口からこぼれた不穏な単語に、東は自然と自分自身を抑えた。
聞こえなかったことにしておいた方がいいと、本能そのものが察した気がしたのだ。
すると大和は踵を返し、脱衣所に歩きながら肩越しに東に向かって言い残していく。

「東さん。二日後の夜、私の部屋に来てください」
「二日後ですか? 何かありましたっけ?」
「何でもです。とにかく部屋で待っていますので、必ず来てくださいね」
「は、はぁ……行っちゃった、身体洗ってないけどよかったのかな?」

大和が出てから少しして、東も露天風呂を後にして自分の部屋に戻った。
部屋に来るように呼ばれたことに対して、疑心暗鬼だったのもほんの束の間。
大和に嫌われたわけではないと分かったことと、部屋に招かれたという二つのこと。
それらに舞い上がった東は、必ず二日後に大和の部屋に向かうことを決めた。
たった二日後のことを待ちわびるように、東は床に就く。
慰安労働、最後の試練が待っているとも知らぬままに。

+ 後書き
967 :鎮守府慰安労働:2015/02/06(金) 03:23:06 ID:X6v2i2ZE
以上で大和編の導入は終わりです
後半はまた今度、スタートからエロぶっこむんじゃないかなとは思います
照れる大和をもっと書きたいなぁ……ではまた


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最終更新:2015年09月20日 23:58