作成:足立(07/02/02)


都道府県は廃棄物処理法第五条の五により廃棄物の処理計画を作成することが定められている。この廃棄物処理計画の作成資料とする目的のため、各都道府県では廃棄物処理業者や排出事業者にアンケート調査等を行い、廃棄物処理の実態把握に努めている。それをまとめた報告書(廃棄物実態調査報告書)、もしくは報告書を作成していない都道府県については処理計画で、どの程度、廃棄物の流動に関し、把握しているのかを近畿24県についてまとめる。

 また一部の市では、自主的に廃棄物処理の実態を把握し同様の報告書等を作成している。これらの市についても同様にまとめる。

1 報告書・処理計画で廃棄物の広域移動に関する記載がある近畿の府県及び県庁所在地

自治体名

資料名

廃棄物流動に関る記載

流出

流入

京都府

京都府循環型社会形成計画

京都市

産業廃棄物実態調査報告書

大阪府

産業廃棄物処理実態調査報告書

×

×

大阪市

産業廃棄物実態調査報告書

×

兵庫県

兵庫県廃棄物処理計画

神戸市

3次神戸市産業廃棄物処理指導基本計画

×

×

滋賀県

2次滋賀県廃棄物処理計画

大津市

作成していない

奈良県

奈良県廃棄物処理計画

×

×

奈良市

作成していない

和歌山県

廃棄物実態調査報告書

和歌山市

作成していない


1 各地方公共団体の産業廃棄物流動に関しての記載内容

1)京都

京都府(京都府循環型社会形成計画・2003年)

 平成11年度の産業廃棄物の広域移動の状況として、近畿5府県とそれ以外の地域ごとの流入・流出を把握できる。また中間処理目的、最終処分目的のいずれの目的での流入・流出であるかの把握もできる。

京都市(産業廃棄物実態調査報告書・2003

 平成13年度の市内で発生した産業廃棄物の広域移動の状況として、どの都道府県にどの種類の廃棄物がどのくらいの量流出したのかの把握が可能である。また流出については、近畿24県、三重県、6地域(北海道・東北、関東、中部、中国、四国、九州)への排出量が把握可能である。

2)大阪

大阪市(産業廃棄物実態調査報告書・2002

 平成12年度の中間処理業者に委託された産業廃棄物を、廃棄物の種類ごと、または業種ごとに、どの地域で(大阪府、大阪市、近畿、北海道・東北、関東、北陸、中部・東海、中国、四国、九州)、どれだけの量が中間処理されたかがわかる。また委託直接最終処分量についても同様のことが把握可能である。

3)兵庫

兵庫県(兵庫県廃棄物処理計画・2002

 平成10年度の産業廃棄物の広域移動の状況として、地方(北陸、中部、近畿、中国、四国、九州・沖縄、その他)ごとの流入・流出を把握できる。また再生利用目的、中間処理目的、最終処分目的といった目的別の量の把握も可能である。

4)滋賀

滋賀県(第2次滋賀県廃棄物処理計画・2006

 平成16年度の産業廃棄物業者による滋賀県内への搬出量、及び滋賀県外からの搬入量の把握ができる。また搬出量、搬入量ともに廃棄物の種類ごとの量も把握できる。

5)和歌山

和歌山県(産業廃棄物実態調査報告書・2002

 平成12年度の和歌山県内への流入及び和歌山県外への流出した廃棄物の種類ごとの量の把握が可能である。またそれぞれ中間処理目的であるか最終処分目的であるかの把握も可能である。

2 産業廃棄物の広域移動の状況

近畿の地方公共団体の産業廃棄物の広域移動の状況をまとめると、表2のような結果となった。近畿圏外への産業廃棄物の流出率(該当地方公共団体の廃棄物排出量のうち近畿圏外へ搬出された廃棄物の割合)が高い方から順に、兵庫県の3.3%、京都府の1.5%、大阪府の0.9%という結果になった。同様に近畿圏外からの産業廃棄物の流入率(該当都道府県で処理・処分された廃棄物のうち近畿圏外から搬入された廃棄物の割合)をみると、京都府、兵庫県の両県とも0.3%であった。結果、3地方公共団体において、流出する廃棄物の方が、流入する廃棄物のより多いことが分かる。また流出入率の双方の値も低いことから、廃棄物の大半は、廃棄物の排出された自らの地方公共団体の中で処理されていることが分かる。

廃棄物移動の目的別の広域移動の状況(表3)を見ると、どの地方公共団体においても、中間処理に比べ、最終処分を他の地域に頼っている割合が高いことがわかる。このことは、近年問題になっている、最終処分場不足と新規の最終処分場建設が困難であるという実情を反映したものとなっていることが分かる

表2 廃棄物の広域移動の状況(単位:千トン/年)


表3 目的別の広域移動の状況(単位:千トン/年)
最終更新:2007年02月02日 22:14