601系電車(-けい でんしゃ)とは、
常磐高速度交通網(JHIS)が保有する電車。
導入まで
常磐線相馬~川内澱橋間は交流特高圧電化の評価用として、商用周波数の50Hz、架線電圧20kVの電化が実施された。後に日立木まで延伸された。
この為、交流用電車として鋼製車体の811系電車、スキンステンレス車体の813系電車が、当該区間用に製造されて投入されていた。
しかし、スキンステンレス車体の813系の車体の劣化が著しく、製造20年を経た時点で車体更新の必要性が出てきた。
また、当該区間と接続する仙台線(運行系統上は仙石線)の直流電化のため、川内澱橋駅構内に地上切替設備があったが、
地上切替方式は人為的ミスによる冒進の危険性が指摘されていたほか、仙石線電車用の直流専用ホームが存在し、駅の運用のネックになっていた。
そこで1988年(昭和63)、811系、813系の電装品を一部流用し、交直
回生ブレーキを採用した交直流電車を製造することとし、それまで直流電車で運行されていた仙石線と運用を共通化することになった。これに伴い、川内澱橋駅の地上切替は1990年(平成2)をもって廃止された。
仕様など
日本では珍しい1台車1主電動機方式を採用する。制御方式は抵抗制御を基本とし、界磁制御段で直巻他励界磁位相制御を実施する。
この節では、811系・813系の部品流用車について述べる。
主要機器
- 主電動機装架は直角カルダンの一種であるドルトムントカルダン方式を採用し、台車の前後2軸を連結するプロペラシャフトを主電動機で駆動する。
- 電圧制御段東芝PE系の電動カム軸制御器を搭載する。
- 2電動車ユニットとし1C4M制御になっている。
- 主電動機は東芝製で定格出力85kW/750V。
- ブレーキはAVR弁(改良型J弁)を使用するAAVR-R常時回生併用直通自動空気ブレーキを採用する。
- 台車はTS-312B。空気まくらバネ台車で軸箱支持は円筒案内方式を採用している。ブレーキはディスクブレーキを採用している。
- 励磁電源用のMGは45kVAのものをM車に搭載する。
- サービス電源・制御電源用に90kVAのSIVをM'車に搭載する。
- 空気圧縮機はM'床下にAAR-2交流駆動ロータリー式コンプレッサーをM'車に搭載する。
- パンタグラフはPS16形ひし形パンタグラフをM'車に2基搭載する。
車体
コルゲーションを廃し、歪み取りリブのみとした
東急型軽量オールステンレス車体。
- 連結面間20.3m(Tc車は19.5m)。幅2800mm。
- 前面はFRPを採用したブラックフェイス構造で、貫通路構造をとっている。
- 前照灯は尾灯とコンビネーション化し、腰部に搭載する。
- 側扉配置は両開き方式、片側2扉になっている。
- 客室窓には900mm幅の上段下降・下段固定の2段窓を装備する。
内装
車内の化粧版にはアルミデコラが多用され、床面には不燃ビニルクロスが使用されている。
- 背摺りの前後する転換クロスシートを配する。シートピッチは860mm。ただし、扉に隣接する座席は前後動しない。
空調
- 冷房は通常、集約分散型ユニットクーラー(1基2回路)を3基搭載する。
- パンタグラフ車はAU74形集中式ユニットクーラーを搭載する。
- 国鉄型もしくは東芝型の扇風機(天井旋回扇)を4基搭載する。
- 暖房はシーズ線暖房とし、座席下に設けている。
- 受動型換気装置として半ガーランド形ベンチレーターを各車に4基搭載する。
その他
- 自動車型電動ワイパーが採用されている。
- サニタリーはクモハ601形に設置される。
- 汚物処理装置は焼却処理可能なカセット式浄化装置を搭載する。
100番台(完全新製車)
仙石線の共通運用化に伴い、811系・813系の発生品流用車と平行して、完全新製車が製造された。
0番台との差異は次の通り。
- 台車は軸箱支持をアルストム式としたFS-486台車に変更。
- パンタグラフはPS23形に変更。
- ブレーキ弁をダイヤフラム弁のCL-R常時回生併用直通自動空気ブレーキに変更。
- 冷房装置は非パンタグラフ車も含めて集中式ユニットクーラーを採用する。
最終更新:2013年01月15日 11:49