ラズリーヌは飛び退り、踵に触れた柔らかな感触で足を止めた。小さなキノコが床に生 えている。掃き清められた洋館の中に赤と白の毒々しいキノコ、という異様な存在感に心 を揺らすことなく意識を研ぎ澄ませる。床や天井が動いている。キノコだ。場所を選ばす にキノコが生えつつある。飴玉の色は濃い桃色、神経操作だ。キノコの胞子によって身体 に異常を引き起こそうとしている。
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