最小の力で最短距離を疾る、飛燕のごとき神速の一撃。 抜き手を見せない最高速の刃が鞘走る。 茜とカレンの距離は、目測でも十メートル以上。四季の名を冠した刀堂流四奥義のひと つといえども、斬撃を飛ばす力はない。
舞い落ちる笹の如く自然体で、空を切る葉の如く鋭い、無避無防の斬線が閃いた。
鞘から抜き放つ動作にあわせて、舞を踊るようにくるりと一回転する。 優雅とさえいえるその一動作で、放たれた四発の銃弾が瞬く間に両断された。
低い重心から全身の力を使って放たれる、大木の如き豪腕の一撃。 それは斬撃ではない。鉄の刃を鈍器と見立てて振るわれる、優美さも華麗さもかなぐり 捨てた殺人のための裏奥義。ただの一振りでどんな大木でも内部から破裂させて立ち枯ら す、必殺の一撃が襲いかかる。
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