永遠の花
毎日が騒がしい。
まるで嵐が通り過ぎるように、平穏な日々は数えるほどに。
ただ不思議と、それも嫌ではなく。
迷惑をかけられることすらも楽しいと感じられて。
そう、むしろ、何処か充実していると思えるのは何故だろう?
砂漠の町モロクに、夕闇の帳が落ち始める頃。
夕餉の支度に追われる人々の、買い物姿もちらほらと減り、店も閉まっていき
冒険者達も宿へと帰路に着く、或いは夜の砂漠やダンジョンへと足を向ける。
そんないつもの光景がまた一つ繰り返される中、
街の片隅にある鍛冶屋の工房では、未だカンカンと槌を振るう音が響いていた。
目の前に置かれた刃物をじっと見る。
今日こなすべき仕事は他全て片付いており、残すところこれ一つなのだが・・
「頼まれたからには、きちんとしますけどねぇ」
小さな嘆息とやる気を感じさせない視線をそれに落とす。
自分はこの辺りでは名が知られた鍛冶師。
武器防具の製造、修理など、多少なりとも自信があったりもする。
そして当然といえば当然か、ギルドの仲間にもよく依頼を受ける。
そう、依頼をよく受けるのだけれど内容が――
「・・・包丁鍛えるために鍛冶師になったわけじゃないんだけど」
呟きながら、よく使い込まれている(家庭用)料理包丁を手にとって、
のろのろと本日最後の仕事にとりかかった。
最終更新:2009年02月20日 21:13