ある子タブンネの一生

野生のタブンネの両親から生まれる、5匹兄弟の3女であった
ある日、父親タブンネがトレーナーに捕まる、
一家が手に入れる餌が半分以下になり、毎日餌を巡って兄弟喧嘩、一番体の小さい弟が餓死した
母親タブンネは食料の多い所に移住することを決意
しかし長い旅の途中、一番上の兄タブンネがデンチュラの巣に引っ掛かり食べられてしまう
しかも助けようとした母タブンネは電撃を浴び、神経が焼き切れて右手が動かなくなってしまった
母タブンネが満足に動けなくなったのでさらに餌不足に陥る
普通なら絶対に食べなかった生ゴミも食べるようになった
空腹と秋の終わりの寒さに寒さに震えていると母親タブンネがボロボロになって帰ってきた
冬の到来に焦りを感じた母親タブンネはチラーミィの巣に木の実を盗みに入るが、
ゴミの臭いが染み付いていたのでチラーミィに即座にばれ、
満足に戦うこともできず十数匹のチラーミィからスイープビンタを喰らい命からがら逃げ出してきたらしい
そして翌日の朝、母親タブンネは事切れていた
しかし幼いタブンネは母親の死が理解できなかった。
生き残った姉と弟と共に腐っていくのも気にせず母親の亡骸に寄り添っていた
しかしどこからともなくバルジーナが飛んできて母親タブンネの亡骸を突っつきはじめる
タブンネ達は怯え、物陰に隠れて母親が皮を剥がされ、肉を啄まれるのを見ているしかなかった
優しかった顔はビリビリに破かれ、頭蓋骨があらわに
暖かかったお腹は引き裂かれ、はらわたを引っ張り出されている
ピンクでふわふわの毛皮は血にまみれ、ゴミのように打ち捨てられている
バルジーナはひとしきり食べ尽くすと気に入った頭蓋骨だったのか亡骸の首をねじ切り、飛んでいってしまった
タブンネ達は母親にすがって泣いた、
ズタズタの首なし死体であっても、幼いタブンネ達にとっては母親だったのだろう

しかし3日たつと空腹で死にそうなタブンネ達はバルジーナの真似をする事になった
母親の骨に残ったわずかな肉を貪るタブンネ達、
生きる本能がそうさせたのだろうか、タブンネ達は自分たちだけで餌を探すようになった
しかし小さなタブンネに餌を集める事は不可能に近かった
木の実を拾おうとしてもミネズミやチラーミィなどに先を越され、食べられそうな柔らかい草はシママが先に食べてしまう
比較的安全であるはずの生ゴミあさりで事件は起こった
姉タブンネがゴミ箱に潜んでいたヤブクロンに毒液を吹き掛けられてしまったのだ
普通のタブンネなら毒はモモンのみやリフレッシュで治してしまうのだがまだ幼いタブンネにそんな事ができるはずもなく…
結局姉タブンネは、一週間毒に苦しみ、息絶えた
とうとうタブンネの家族はまだ幼い下の弟だけになってしまった
寒さに震え、小さな洞穴に隠れていると、ヒトモシが洞穴に入ってきた
ヒトモシの炎は暖かく、久しぶりにぐっすり眠る事ができた
しかし、朝になり、目が覚めると、ヒトモシがいなくなっていた
その日はいつまでたっても弟が起きない、揺らしても叩いても起きない
弟は二度と目を覚ますことは無かった
とうとうひとりぼっちになってしまったタブンネ、
当てもなく草むらを歩いているとキリキリという音に囲まれている事に気づいた
するとコマタナが草むらから飛び出し、タブンネに抱きついたのだ
全身に突き刺さる痛みにタブンネは悲鳴をあげた、
それを皮切りに2匹、3匹と襲いかかってくるコマタナの群れ
振りほどく事もできずに悶え苦しみ、泣き叫ぶタブンネ
そして現れる群れのボス、キリキザン
タブンネはコマタナたちに押さえつけられ、キリキザンを見上げる
自分の喉元を狙う鋭い手刀、太陽を背にしたそいつはそれを思い切り降り下ろし…
「ミィッ!」
静かな草むらに小さな断末魔が響く
首が胴体から離れ、意識が消えるまでの間タブンネは幸せだった頃の夢を見ていた
沢山のきのみ、大勢の兄弟たち、お父さんとお母さん、
しかしその夢は何かに吸い込まれるように闇の中へと消え去った
近くを通りかかったムンナが食べちゃったのだ

~おわり~
最終更新:2014年06月18日 22:35