さて、空き巣ンネ共がきてから三日目の朝
今、俺の目の前には一個のポケモンのタマゴが置かれている
空き巣ンネ共をこの家で発見した時にパパンネ、ベビンネ、チビンネ達と一緒に見つけたタマゴだ
中身は当然タブンネだろう、全てが終わったわけではないといったのはそういうことだ
「うーん…」
このタマゴをどうしてやろうかということで俺は悩んでいた
ママンネの目の前で潰してやってもいいんだが、それでは単純すぎてつまらない
(そういえば…)
俺はふとあることを思い出した、確かトレーナー仲間の一人がアイツのタマゴを持っていたはずだ
(それを一旦借りて…うん、この作戦は良さそうだ)
頭の中である程度シミュレートして如何にしてママンネを苦しめるかの作戦を立てると
俺は早速行動を開始…する前にまずは腹ごしらえといこう
タマゴを置いてある二階から一階へと降り、居間に入る
既にポケモン達は目覚めており、思い思いにくつろいでいた
ちなみにママンネはあれから縛り上げてからケージに閉じこめて、別の部屋に放置しておいてある
チビンネを始末してからも何時までも泣き叫んでいてうるさかったので口を塞いで縛っておいたのだ
市販のタブンネの肉を適当に焼いたもので朝食を済ませ、ポケモン達にも食事を与える
それからすぐに俺は行動を起こした、まずはトレーナー仲間の一人に電話をかける
「もしもし?ああ、お前か?ちょっと用があって…預けておいたアレ、やっぱ一個はこっちで…ああ…うん、サンキュー!」
相手との話がついたので礼を言って電話を切り、早速出かける準備をする
用というのは先程の電話の相手に預けておいたタマゴを借りたいとのことだ
実はウチの一匹と相手ポケモンをお見合いさせたのだが、その際に二個タマゴが発見されており
それはとりあえず母親のトレーナーである向こうにタマゴを預けておくことになったのだが
そろそろ孵化が近いはずなので、やはり一個はこちらで孵化したいという名目で借りようという訳だ
「エアームド!」
止まり木で眠っていたエアームドに声をかけると、すぐさま降りてきてくれた
他のポケモン達には留守番を、特にママンネには気をつけることを命じると
俺はエアームドの背に乗り、タマゴを受け取りに行くべく家を飛び立った
それから数時間後…
胸にタマゴを抱えて家の前に降り立ち、玄関から家に入る
タマゴは時折カタカタと揺れて孵化が近いことを知らせていた、早ければ数日以内に孵るだろう
エーフィが帰宅に気づいて出迎えにきてくれたので、俺が留守の間の様子を聞いてみたが、何事もなかったとのことだ
せいぜいルカリオとゾロアークがママンネのところにちょっかいを出しに行って、ママンネの悲鳴が聞こえたことぐらいらしい
居間に入るとカイリューが出迎えてくれた、ちなみにこのタマゴの片親はこのカイリュー
そのためまずカイリューに事情を説明し、タマゴを使うことの了承を得なければならない
エーフィの
テレパシーを通して説明すると、カイリューは快く了承してくれた、俺を信頼してるから大丈夫とのことだ
さて、これで全ての準備が整ったところでいよいよママンネとのご対面といこう
念のためカイリューとエーフィも連れていき、俺はケージの置いてある部屋に入った
「ムゥ~…ムグゥ…ムゥムゥ!」
ケージの中ではママンネが手足を縛られ、口を塞がれてもがいていた
拘束から抜け出そうと夢中になっているようなので、ガンッとケージを蹴りつけてこちらの存在を教えてやる
「ムゥ!?ムゥ~!ムゥゥ!」
するとママンネはビクッとしながらもこちらに気づくと、恐怖に顔を染めながら一層激しくジタバタともがきだした
その滑稽な姿に吹き出しそうになりながらも俺はケージの扉を開けてママンネの拘束を解いてやる
「ムィッ…!ミ、ミィィ!ミィーッ!!」
乱暴に口に貼っておいたテープを剥がしてやると、ママンネは若干反抗的な声で鳴いてきた
だがエーフィとカイリューの姿を確認するとすぐに縮こまってしまった、完全に立場というものを理解したらしい
「さて、少しは利口になったママンネちゃんに問題だ、俺が持っているこれは一体なーんだ?」
俺は借りてきたタマゴをママンネによく見えるように掲げてやる
「ミッ…ミィィィィィィィ!!?ミッミィ!!ミィーーーーッ!!!」
するとママンネはタマゴの姿を確認するやいなや必死の形相になり、もの凄い勢いで返して!と訴え始めた
家族を失ったママンネにとって、タマゴは最後に残されたたった一つの希望だ
それを考えればこの必死っぷりも理解できないものではない…しかし
「ミィーーーッ!!ミミィ!ミィミィ!!ミッミィ!!」
ここまで必死な反応を見せられると…ね
涙を目に浮かべてうるうるとこちらを見上げて媚びてきたり、ベターっと床に這い蹲ってお願いしてきたり
ありとあらゆる方法で懇願してくるママンネを見てると思わず殴りつけてやりたくなる
別にイライラするというわけではなく、ただ単純にこの媚び顔を絶望に叩き落としてやりたいという意味でだ
しかしここは我慢だ、そんなことをすれば計画は台無しだ
「そうか、そんなにこのタマゴを返してほしいのかい?」
「ミィ!ミッミィ!」
笑みを浮かべてママンネにそう声をかけてやると、ママンネはブンブンと首を縦に振りながら返事をしてきた
どうやら願いが通じそうだと思ったのか、ここ一番の技と言わんばかりに目をキラキラと輝かせて
俺はそれにあてられたフリをしながら話を続ける
「そうだなぁ…これから生まれてくる子にまで罪は無いし…返してあげてもいいよ
ただし!きちんとタマゴを孵してあげることが条件だ!」
「ミッミィ!ミッミィ!!」
その言葉を聞いてママンネは一気にパァッと顔を輝かせた
早く返して!と言わんばかりに手を伸ばし、ピョンピョンと跳ねているママンネ
そして俺がいよいよタマゴを渡してやると、尻尾をパタパタと振りながら涙を流してタマゴに頬摺りを始めた
「ミィ…ッ!ミィ~ミミィ~♪」
さらには歌まで歌い始めた、余程タマゴを返してもらえたのが嬉しいのだろう
一片も疑う素振りを見せないママンネを後目に、俺はニヤリと笑いながら部屋を出た
後に起こるであろう惨劇を頭に思い浮かべながら…
・
・
・
・
さて、ママンネにタマゴを渡してから少し時間が経った
遠隔カメラで監視した限りでは、ママンネは幸せそうな顔でタマゴを抱き締めて暖めていた
あの分ならタマゴの中身の正体がバレて割られるといったことはないだろう
そして俺の目の前には本物のタブンネのタマゴが置かれているが、コイツの処分もどうするのか既に決まっている
後はママンネに渡したタマゴが孵化するのを待つのみだ
エーフィ達もちゃんと計画を伝えておいてあるので、皆何事もなかったかのようにくつろいでいる
唯一カイリューだけは落ち着かない様子でソワソワしていた、我が子がタブンネの元にいるとなれば当然だろうな…
後でキチンと謝らなければ…そう考えていたところでついに事は起きた
ママンネの絶叫が部屋から聞こえてきたのだ
俺はすぐに立ち上がり、カイリューとルカリオを連れてママンネの部屋に向かった
部屋の扉に手をかけて勢いよく開くと、部屋の中から目に飛び込んできた光景に思わず俺はニヤリと口を歪めた
「ミビャアアアアアアアアッ!!!ミィーッ!ミ"ィ"ーーーーッ"!」
ママンネのやかましい悲鳴が部屋中に響く、それも当然だろう
・・・・・・・
なにせママンネの身体は右腕がガッツリと食い千切られて、なくなっていたのだから
そしてママンネの右腕を食い千切った者とは勿論あのタマゴの中身だ、その正体は…コイツだ
俺が視線を送った先には、まだ産まれて間もないモノズがママンネの右腕らしきものをくわえていた
そう…あのタマゴの中身とはモノズだ、あの凶暴なドラゴンポケモンサザンドラの一番最初の姿である
ママンネはモノズのタマゴと知らずに孵化させ、そして食いつかれたのだ
「ミッ!?ミィミィ!!?ミビィーーーッ!!!」
ママンネがこちらに気付いてなにやら訴えてきた、だが俺は無視した、まずはやることがある
「ほら、いっていいんだぞ…カイリュー」
カイリューにそう語りかけ、背中を押してやる
するとカイリューがゆっくりとモノズの傍まで歩み寄っていく
「ミィィ…ミッ…?」
ママンネは状況が理解できず、困惑したような声で鳴いていた、だが今はコイツはどうでもいい
カイリューがモノズの近くまでくると、モノズは大きく口を開いてカイリューに食ってかかった
しかし、それを見越していたかのようにカイリューは構え、モノズの身体をガッチリと抑える
ジタバタと激しく暴れ出すはモノズ、だがカイリューが優しくモノズを撫でてやると、やがておとなしくなっていった
それを見てカイリューはホッとしたようにモノズを抱きしめる、親と子の感動の対面だ
「ミッ…ミッミッミッ…ミギィーーーーーッ!!!」
だがそれを邪魔をする不届き者がこの場に一匹存在している
どうやら騙されたことに気付いたママンネがかんしゃくを起こしたような声をあげ始めた
最後に残された家族と思って大切に暖めていたタマゴが実は違うポケモンのタマゴで、
さらに片腕を食い千切られた挙げ句に、家族を奪ったポケモンが目の前で幸せそうに我が子を抱きしめているのだから無理もないな
「ミギィーーーーーッ!!」
怒りに身を任せてモノズに向かって突進を仕掛けるママンネ
…これは恐らく今までのママンネのとった行動の中でもっとも愚かな選択だろう
「ミギィッ!?…ミギガッ…ビギャアアアアアアアアヴギィィィィィッ!!!!!?」
ママンネの苦痛の悲鳴が部屋中に響き渡る、どうやらまだ生きているらしい
怒ったカイリューの『げきりん』とルカリオのインファイトを同時に受ければ即死すると思ったのだが
ここはタブンネの並外れた生命力を褒めておくべきだろう、だがある意味死んだほうが幸せだったかもしれない
ママンネの払った代償はそれほどまでに大きいものだった
「ビギッ…ウギィ…ミガッ…ゲボェェェェェ…!」
まず身体中が血で赤く染まり、どこから出血しているのかわからない状態になっている
耳は両方とも千切れ飛び、残った左腕はグチャグチャに潰され骨がメチャクチャに飛び出している
肛門から腸らしきものが飛び出し、もはやママンネはただのグロテスクな塊と化していた
顔も潰され、タブンネと言われてもわからない有り様だが、唯一目だけは無事に残っている
だがそれは優しさなどは決してない
「グビィッ!ビグアァァァァァ!!ブギャアアアアアアアアアグボォエ…ッ!!!」
ルカリオがママンネの背中を容赦なく思いっ切り踏みつけると、醜い豚のような悲鳴をあげながらママンネは嘔吐した
「ヴギッ…!グベッ…!ビギィッ…!」
ガスガスと何度もママンネの背中を踏みつけるルカリオ、その度にまるで汚い打楽器のように嗚咽するママンネ
「コヒュー…ッ…コヒューッ…」
だがしかしそろそろストップだ、メインディッシュの前にママンネに死なれては困る
既に虫の息となっているママンネを見て、カイリューもスッキリして怒りをおさめてくれたようだし
ルカリオにストップをかけると、ママンネが俺に向かって縋るように手を伸ばしてきた
「ヒュィィィ…」
風の吹き抜けるような声、恐らく「助けて」とでも言っているのだろう、そんなママンネに俺は話しかけた
「さて…と、哀れなママンネちゃんに良いモノを見せてあげようか」
「……ミ?」
もはや目の光も消え失せたママンネにポケモンのタマゴを見せてやる、正真証明タブンネのタマゴを
「ビッ…ヴギィィィィィィィィィィィッ!!!!」
それを見た瞬間ママンネの目に光が戻り、もはや原型をとどめていない手を必死にタマゴに向かって伸ばし始めた
だがタマゴは俺の手の上にある、ただでさえ短いタブンネの手がここまで届くはずもない
「ウギャッ!ウギィ!!ミギィィィィィィィ!!!」
すると醜い声で必死に「返して!」と訴え始めた、もはやコイツが何を言いたいのか手に取るように解ってしまう
当然返せと言われて返してやるわけがない、俺はニヤニヤ笑いながらボロボロになっても必死なママンネの表情を楽しんでいた
そしてそんな時、俺の持っているタマゴに変化が起こり始めた
ガタガタとタマゴが揺れ始め、ピキピキと殻にヒビが入り始めたのだ
(きたな…!)
俺はこの瞬間を待っていたかのように心の中でガッツポーズをした、ジャストタイミングだ
「ウビィィィィ…!」
ママンネもタマゴの変化に気付いたようで、ジッとタマゴに視線を向けている
ヒビは段々と大きくなっていき…ガタガタと揺れる動きも大きくなっていく…そして…!
「チィィィィィィ!!」
タマゴがパカッと割れ、産声をあげながらベビンネがここに産まれた…!
「チィィィ!チッチィ!チィチィ」
タマゴから出てきたベビンネは、生まれたてのため身体はビショビショに濡れている状態だ
本来ならママンネがそれを綺麗にしてやるはずなのだが、当然血ダルマのママンネにそれができるはずがない
しかしまだ目も開いていないベビンネにそれが理解できるわけがなく、ただ母を求めてチィチィと可愛らしい声で鳴いている
「ブミィィィ…!」
生まれたベビンネを見て、またしてもママンネが濁った鳴き声をあげた
そしてなんとヨロヨロと立ち上がり、こちらに向かって歩いてくるではないか!
確かに見てみるとママンネの足はあまり損傷していなかったが
あのボロボロの身体で立ち上がるとは、子を求める親の力は凄いものだな
「チィ!チッチィ~♪」
するとベビンネもすぐ近くにママンネがいることに気付いたのか、嬉しそうな声でママンネを呼び始めた
「ミィ…ミッ…ミッ…!」
ママンネもそれに応えようと、ベビンネを持っている俺に向かってゆっくりと近付いてくる
だがただでさえボロボロの身体で歩くのさえ難儀しているのだ、近寄ってくる姿はまるで無防備
とりあえず俺はその腹部に向けて強烈なヤクザキックをお見舞いしてやった
「ブギィッ!!」
悲鳴をあげながら蹴り飛ばされるママンネ、もう本当に豚みたいな声になってしまっている
「チィィィ!!チッチィ!チィチピィ!!」
いつまで経っても自分を抱き締めてくれない母に、ベビンネの鳴き声がさらに強くなる
「ミギィィィ…!ミッミッミッ…ミミミミミウガアアアアアアアアアアア!!!!!」
すると、それを聞いたママンネが突然もの凄い叫び声をあげ始めた
「ウビィィィィィィィィイ!!!ビガアアアアアアアアアアアア!!!ムギャアアアアアアアアア!!!」
可愛らしいあの媚びた声の持ち主のものとは思えないほどの壮絶な絶叫が響く、おそらく今にきて虐待でストレスが爆発したのだろう
家族を一匹ずつ目の前で奪われていき、自身もボロボロにされ、最後に残された子供は抱いてやることすら許されない
そしてそれを行った元凶に対する自分の無力さ、自分を求めて鳴くベビンネに対するジレンマなどでママンネの精神はパンクしてしまったのだ
「チィィィィィ!!チッチュイィィ!!チピィィィ!!」
ベビンネの母を求める鳴き声が、いよいよもって激しくなってきた
生まれた優しく自分を包んでくれるはず母の抱擁や、なによりのご馳走である母乳
それらがこの世に生まれてから何一つ与えられていないのだから当然だろう
「ウビャアアアアアアアア!!!ミッビィィィ!!ミビィミビィ!!」
ママンネが今度は俺に向かってなにやら訴え始めた、懇願するような声で必死に鳴いてくる
「赤ちゃんを返して!」というのもあるのだろうが「どうしてこんなことをするの?」という理不尽な気持ちもあるんだろうな
さて…と
俺は何かを考えるように目を瞑り、そして意を決して見開いた
フィナーレだ
事前に準備し、腰に差しておいたナイフを抜き、ベビンネに向けて構える
「チィィ…?」
白光りするナイフをベビンネの左耳に当てがうと、ベビンネが不思議そうな声で鳴いた
そして俺は躊躇することなく思いっ切りナイフを引き、ベビンネの左耳を切り裂いた!
「チギャァァァァァァァァ!!!?」
生まれて間もないベビンネのポケ生の最初にして最大に痛みに、甲高い悲鳴が部屋に響いた
「!?!?!?!?ビィィィィ!?ンミィィィィィィ!!?」
ベビンネに行った俺の凶行に、ママンネは幻覚を見たような声にならない叫びをあげる
まさか生まれたての赤ちゃんにまで、このようなことをしたのがママンネには信じられないのだろう
「チビィィィィィ!!チュピィィ…!チャィィ…!」
ベビンネの左耳がポトリと床に落ち、切断面から血が流れ出す
鋭い痛みにベビンネが涙を流しながら泣き喚く
続けて俺は右耳にナイフを当てがった
「チビャァァァァ!?チヒィ!チピィ!」
幼いベビンネの頭脳でも既に何をされるのか解っているらしい、悲鳴をあげながら逃げだそうと必死にもがく
「ビャアアアアアアアアア!!!ンギィィィィィ!!!」
一方ママンネはもはや一歩動けないのだろう、俺に対して何やら叫んでいるだけだった
俺はしっかりとベビンネを掴み、スパッとベビンネの右耳を切り落とす
「ピギャァァァァァァァァァ!!?」
「ウギャアアアアアアアア!!!」
ベビンネの悲鳴とママンネ叫びが重なる
さらに俺はベビンネの右腕にナイフを当てる
「チッ…チピィ!チュィィ!チィチィ!!」
すると今度媚びるような声で鳴いてくるベビンネ
「チッチィ!チィ…!(スパッ)チビャァァァァァァァァァ!!!?」
ベビンネの右腕が落ち、血が噴き出す
「チィ…ピィィィ…」
やはり体力のないベビンネにはハードすぎるようだ、既に弱った声になり目に力が無い
「ンギィィィ…!ミビィィィィィ!」
ママンネの歯ぎしりする声が聞こえてきた、ベビンネを助けられない悔しさと悲しみか
しかしあんな血ダルマでよくあそこまで叫べるもんだ…?
さらにベビンネの右足にナイフを当てる
「ピィィ…チャィィ」
弱った声でイヤイヤするような仕草をするベビンネ
ザクッ
「ピャァァァァァァァァ!!!…チヒィィ…!!」
「ンビャアアアアアアアアアアアア!!!!」
さらに左腕
「チギッ!チャィィ……」
「ミブィィィィィィィィィ!!!」
最後は左足
「チッ…!……チィ……」
「アアアアアアア……!!」
左足を切り落とす頃にはベビンネはほとんど動かなくなり、ママンネは顔を伏せて現実逃避してしまっていた
しかし見よ、ここに見事なベビンネの
ダルマンネが完成したのだ
「チ……」
「ウビィィィ……」
ベビンネは虚ろな声で鳴き、今にも死にそうな様子だ
既にベビンネは助からないだろう、母に一度も抱かれることもなく短い生を苦痛にまみれて終えるのだ
生きる喜びを何一つ知らず、そもそもそんな感情さえ知らないのかもしれないまま…
俺はママンネの目の前にダルマベビンネを持っていってやった
「フィ…」
「ウミィィィ……」
ベビンネがすぐ傍にママンネがいることを本能で感じ取ったのか、か細く鳴く
ママンネはベビンネに向けて潰れた手を伸ばし、ベビンネを抱き寄せようとした
「チガッ…!……」
しかしママンネがベビンネに触れようとした瞬間、ベビンネの胴にナイフが突き立った
短く呻いて完全に息絶えるベビンネ、身体から噴き出した血がママンネの顔にふりかかる
「ウ…ウ…ウ…ゥビャアアアアアアアアアアバアアアアアアアアアア!!!!!!」
ママンネの慟哭が部屋中、いや家中に響き渡る
「ウガアアアアアアアアギィィィィィィィ!!!!ビャウアウアアアアア!!!!」
叫びながらゴロゴロと転がり、その度に流れる血が部屋の床を汚す
絶望の淵に叩き落とされたママンネ、いよいよ最後の仕上げだ
叫んでいるママンネに向かってゆっくりとナイフを構える
「……ウッ…!ウギィィ…!」
するとママンネは叫ぶのをやめ、おびえるような声を出して狼狽えた
(お…?)
最後は潔く散るかとも思ったが、そうではないらしい
まだ楽しませてくれるようだ
俺はナイフをママンネの身体の数カ所に向けて突き刺した
「ビィヤアアアアアアアアア!!!!」
すぐにママンネが痛みに悲鳴をあげる、そして涙を流しながらイヤイヤと首を振り出した
なるほど…子供と同じ場所に送られたくないわけか…
俺はさらに数カ所にナイフを突き刺した
「グビィィィィィィィ!!!」
そしてママンネの悲鳴、喉が枯れてしまったのか声に張りがない
さらに数カ所にナイフを突き刺した後、痛みにもがくママンネを見ながら俺はエーフィを呼んだ
「エーフィ、スキルスワップだ」
そう指示を出すと、すぐにエーフィがスキルスワップでママンネとエーフィの特性を入れ替えた
これによりエーフィの特性は再生力、ママンネの特性はマジックミラーとなる
つまりもはやママンネの傷が再生力で治ることはなくなったということだ
ザクッ
「ウビャアアアアアアアア!!!」
ザクッ
「ミビャアアアアアアアアア!!!」
ザクッ
「ウビッ…フィィィ…」
ナイフを突き刺す度にママンネが悲鳴をあげる、まだ死なないのだろうか?
というか一度カイリューとルカリオが虫の息にしたはずだったのだが、それがここまで保つとは…
まったくタブンネの生命力というのはとんでもないな…
ザクッ
「ムギャアアアアアアアア!!!」
終わり
以下完結直後の作者さんのレス
主人公の行動が一貫してなかったり、文章力がアレだったりと
自分で書いてて色々と気になるところがありましたが、どうでしたか?楽しんでもらえたら幸いです
読み返してみましたが確かにちょっと丸投げっぽかったですね
投下に手間取って書き直しを焦ったせいかもしれないです
もうちょっとママンネを苦しめておけばよかったなぁ、名残惜しい…
擁護してくれた方はありがとうございます、次はもっといいのが書けるようにしたいと思います
最終更新:2015年02月20日 17:20