ママンネはベビンネにおっぱいを上げながらも心配そうな表情で子タブンネを見つめている。
「お前も赤ちゃんにおっぱいが終わったら手伝ってやれよ?お前の責任でもあるんだから…」
俺がニコニコしながら言うと
「ミ…」と震える声で応えた。
どうやらママンネも俺に対して恐怖を感じてるな。
或いは優しい俺と怒る俺、どちらを信じていいのか判断できないでいるのかもしれない。
まぁ、そんなことはもうどうでもいいんだけどね…
すやすや…
先程は眠り足りなかったのか、また座布団の上で眠っているベビンネ。
これくらいの赤ちゃんではおっぱいを飲むか眠るかが主な活動だろう。
ママンネはベビンネを寝かした後、子タブンネたちに混ざってカーペットをペロペロ舐めている。
俺はそんなタブンネたちを尻目に、台所から新しいミキサーの容器を取り出した。
実は俺は料理の学校に通っていて、ミキサーは授業でもよく使うから容器の予備がたくさんあるのだ。
卵の黄身はかなり落ちにくく、しかもそれがこういったカーペットの上では尚更だろう。
つまりコイツらにカーペットをキレイにすることは出来ない。
「ミボッコポッ」とAが咳き込んだ。
カーペットの毛玉でも喉に引っ掻けたのかな?
Bが背中を擦っている。
ママンネは「ミ…ミゥ~ミィー!」と一向にキレイになる気配すら見せないカーペットに癇癪を起こし、バンバンとカーペットを叩いた。
「チ…チピッ」と小さく呻くベビンネ。
「もうちょっと静かにしてくれないか?」と俺が言うと
「ミッ!?ミギィッ…」と「頑張ってるのそんな!」というようにこちらを睨んだ。
「はぁ?」ちょっと脅かすつもりで眉間に皺を作り冷たく言う。
「ミピャッ…ミヒィ」と焦ったあと、先程の子タブンネたちのように両手両足を大の字にしてうつ伏せになった。
「ごめんなさい」か…全く楽しい反応してくれるよ。
「折角眠った赤ちゃんが起きちゃうからね。もうちょい静かに頼むよ」と優しく言ってやるが。
「ミゥ…ミゥ~」と中途半端な表情で返事をしたあと、カーペットを舐め出した。
これまで、優しい言葉をかけた後は元気に返事をしていたのだが…
やはり俺を信じていいのかわからないのだろう。
尤もタブンネという種族のことだから、本心では信じたい気持ちが大きいのだろうが…
何でも信じちゃいけないよ、タブンネ。
さて、俺はママンネたちの位置からは見えない位置にミキサーをセットした。
残念だが先程の割れた容器と同じサイズのものはなく、二周りほど小さな容器だ。
まぁベビンネの全体が収まればどうでもいいんだが…
俺はベビンネを起こさないようにそっと持ち上げた。
赤ちゃんの時は無害でこんなに可愛いのになぁ…
この子が次に目を覚ました時はミキサーの中だ。
先程沢山怖い思いをしたミキサー…起きた時にその中に入っていたら、どんな反応を見せてくれるだろう?
子タブンネたちは?そして何よりママンネは?
想像して鳥肌が立った。
ママたちがカーペットをキレイにしない限り君はミキサーからは出れないよ…
そしてそれは不可能だ。
俺はこの後の成り行きを楽しみにしながら、ベビンネをそっとミキサーに押し入れた…
ベビンネをミキサーに入れてから3時間経過。
ママンネたちは相変わらずカーペットを舐めている。
しかし、何も口にしていないため体内の水分が減っているのだろう。
カーペットを舐めるその音はペロペロというものではなく、カサカサという音に変わっている。
「チ…チィ…チ?」
ベビンネが目を覚ます。
「おはよう♪」
と声をかけてやるが、ベビンネは一瞬この状況に戸惑ったが、直ぐに理解した。
「ヂー!ヂャッヂヂィー!!」
朝のトラウマが甦り、凄まじい勢いで暴れている。
「ミャウ!?ミィ!!」
あまりにも大きいベビンネの泣き声に、ママンネたちも気づいてしまう。
「ミィ…ミィ…ケフッ…」
「ケホ…」「ミゥ~…ミプッ」
三匹とも、相当喉が渇いているのか、咳き込みながら俺とベビンネミキサーの所までやって来た。
「ミ"ーー!ミッミビィー!!」
ママンネはミキサーに入っているベビンネを見て驚きと、そして「今すぐ出して!!」という声を上げる。
「ミ!?ミミィ!?」「ミャッ!ミャウ~!!」
子タブンネたちも苦労して助けたベビンネの現状に戸惑い、Aに至っては弱々しくも威嚇してきた。
Aは威勢だけはいいんだねw
「ヂィッ!ヂアーー!!」
ベビンネもママンネたちを見て「助けて!」と漏らしをしながらより一層騒ぎ出した。
さすがに眠る前にたくさんおっぱいを飲んだことはある。
ミキサーが小さくなったこともあり、いきなり腰上までおしっこが溜まった。
「ミー!ミミィミ"ー!!」
ママンネはお願いするように俺の腰に抱きついた。
だが俺はそんなママンネを剥がし、思いっきり膝げりを入れてやる。
「ミボッ…ミキャ!ミ…ィ?」
お腹を抑えて痛がったあと「どぅして?」と声を出した。
子タブンネたちはすっかり怯えてうずくまり、ベビンネもミキサーの中で「チゥ…」と怯えている。
俺はさらにママンネの顔面を殴り付けた。
「ミベッ…」
殴られた箇所を触り大量の涙を流すママンネに伝えてやる。
「赤ちゃん返して欲しければ早くキレイにしろ!!これは最早お前たち全員の責任なんだ!!」
と。
その言葉を聞いたママンネ、そして子タブンネたちは急いでカーペットを舐め始めた。
ちなみに、三匹全員が大量の涙を流し、カーペットには別の染みが広がっているw
さらに1時間が経過。
ママンネたちは一心不乱に舐め続ける。
しかし一向に汚れが落ちる気配はない。
ママンネは時折、痛むお腹を擦っているが、ミキサーのベビンネを見るとそれに耐えてまた舐める。
俺はミキサーの上から、妖精ポケモン用のミルクをベビンネに与える。
「チィ♪チィ…」
ベビンネは一瞬喜ぶが、すぐに自分が恐怖のど真ん中にいることを思い出したのか、表情を暗くした。
それでもミルクはしっかり飲む辺り、さすがはタブンネだw
ママンネはベビンネがミルクを口にしているのを見て安心している。
取り敢えず赤ちゃんの食事の心配は無くなったということだろう。
「ミエーン!ミャー!ミヒィ~ン!!」
だが、唐突にAが泣き出した。
キレイにならないカーペットにイライラが溜まったのだろう。
大きなお尻で座り込み、泣きながら手足をジタバタさせている。
「ミィ…ミィ…ミィーン!」
そんなAにつられてBも泣き出す。
ママンネはオロオロと子供たちの背中を撫でているが、ママンネ自身も変わらない状況にストレスを溜めているのだろう。
叱ることもなく、ただ背中を撫でている。
「ヂッヂー!!ヂィヤー!」
だがベビンネの叫びを聞いてタブンネたちはハッとした。
またカーペットを舐める。
まるで「早くキレイにして自分を助けろ!」というベビンネに笑ってしまう。
やはり赤ちゃんとはいえタブンネだな。
自己中すぎるwアイツらがどんなに苦労してるかも知らないで。
俺はベビンネの前の別のミキサーを置き、リンゴを入れて
スイッチを押す。
ガガーー!
と美味しそうなリンゴジュースの出来上がり♪
ママンネたちはビクッとこちらを振り向くが、ベビンネではないことが分かりホッとしたようだ。
「チィー!!ヂィピャー!!」
しかしベビンネは騒ぎ出す。
いつ自分がリンゴのようになるか分からない恐怖に、またもや盛大にお漏らしをした。
やはりミルクを飲んだ後だ。
沢山おしっこが出た。
もう肩のちょっと下までおしっこが溜まっている。
恐らくあと一、二回のお漏らしで顔まで達するだろう。
だが、ベビンネもママンネたちも、まだそちらの危機には気付いていない。
「ミ!」
とママンネが何かを決意したように声を上げて俺の足元までポテポテと歩いてきた。
かと思うと、まるで土下座をするような勢いでペコペコし、頭を床にペターとつけた。
「ミィ…ミィ…ミィ~ン…」
「ごめんなさい。お願いだから赤ちゃんを返してください」だろう。大体分かる。
子タブンネたちも両手両足を広げうつ伏せにベターっとなり「ミィ…」と鳴いた。
「チィ…チィチィ♪」
とベビンネも媚びた声を出した。
あざとさ全開だなw
俺はママンネの頭を踏みつけ体重をかける。
「ミッ…ミ…ィ…ミギー!ビャウー!!」
とかかる体重に比例して大きくなる悲鳴。
俺はママンネから足をどけ、子タブンネたちに一発づつ蹴りを入れた。
「ピキャッ!」「ミギュ…ゥ」
凄く痛がっているw
特にAは口から血を吐いた。
「チ…チ…」
ベビンネもその光景を見て押し黙った。
「そんなことに時間使ってる暇あったら早くきれいしろ!赤ん坊がどうなってもいいのか!?」
俺が怒鳴ると、ママンネたちはミィミィヒィヒィ言いながらまたカーペットに戻った。
「チチ…」
ベビンネは俺の怒りにまたお漏らしをしたのか、先程よりも水かさが少し上がって首まできている。
もう少しだな…
俺はピィをボールから出し、ベビンネの前で作ったリンゴジュースを上げた。
「ピピィ♪」
と嬉しそうな声を出してリンゴジュースをコクコクと飲みだす。
俺はタブンネたちの様子を伺うがママンネはこちらを向かずに舐め続けている。
だが子供たちはまだ我慢ができるほど大きくない。
Bは「ミィ…ケフッ…ミィ…」と羨ましそうに指をくわえ、涎を垂らしてピィを見つめる。
Aはそんなピィを指差しながら「ミッ…ミィ…」と鳴いた。
「ママ、僕もあれ飲みたい…」ということかな?
ママンネはそんなBの訴えにピィを見て、その後に周りをキョロキョロし出した。
と思うと「ミギー!!」と叫んでまたしてもピィに突進した。
分かってるんだよ。
そうすることは。
先程キョロキョロしたのはきっとルカリオがいないことを確認したのだろう。
そしてルカリオがいないと分かると、案の定突進してきた。
そうさせる為に敢えて俺はルカリオを出さなかったんだからw
「ピッピィ!」
とピィが叫ぶ。
しかし、ママンネの突進がピィに当たることはなかった。
ママンネの顔面に俺が蹴りを入れたからだ。
ピィを怖がらせたことほ謝らないとな…
「ミフッ…」と声をだしうつ伏せに倒れるママンネ。
その声の掠れ具合からコイツも相当喉が渇いていることが分かる。
ピィは俺が謝るどころか、「守ってくれてありがとう!」と言うように俺に向かって可愛い笑顔で「ピッ!」と鳴いた。
癒されるなぁなんて考えながらピィをボールに戻してママンネに鋭くした目線を向ける。
「ミゥ~…ミプッ…ミュィ~…」と顔を抑えてうつ伏せになっているママンネ。
俺はそんなママンネの背中を足で踏みつけた。
「ミキャッ!!ミッヒィ~ン!!」とジタバタする。
「てめえ…一度ならず二度もピィを怖がらせやがって!」
俺はそう言いながら、朝ママンネに
お仕置きした革ベルトでもう一度ママンネを叩く。
ピシッパシンッピシンッ
といい音を鳴らす革ベルト。
「ミキャンッ!ミッヒィ!ミャウー!!」と痛がる。
ベルトで叩くのを辞めると、シャカシャとハイハイしながら俺から離れたところでうつ伏せのままガクガク震えて頭を抑えている。
その背中はまるで鞭で打たれたような細い痣が出来ている。
俺は辺りを見回すが、子タブンネたちの姿が見えない。
逃げたのかな?
お前らがママにお願いしたくせにw
まぁ、大方炬燵の下にでもいるだろう。
俺はもう一度ママンネに優しい言葉でもかけてやろうかなと思い、ママンネに近づこうとした。
だがその時、俺の後ろからコポッという水気を含むような音がした。
これを待ってたよ。
恐らく俺にお仕置きされるママを見てお漏らしをしたのだろう。
水かさが増え、ベビンネの顔半分…ちょうど鼻のあたりまでおしっこが溜まっている。
「チボッ!チッチブッ!?チッパァ!チッ…」とたすけを求め声を出そうとするが、すぐにまたおしっこに沈んでしまう。
一応立ち泳ぎすればまだベビンネが顔を出して呼吸できるだけのスペースはあるが、生まれて間もないベビンネに立ち泳ぎなんて出来るはずもない。
沈んではミキサーの底を蹴って浮上し、息を吸ったと思うとまた沈むを繰り返している。
その旅に「チビッ!チッ…」と何かを言いかけるベビンネに笑ってしまうw
まだうつ伏せでベビンネの危機に気付いていないママンネに状況を教えてやるか。
「おい!タブンネ!!赤ちゃんが大変だぞ!!」と。
ママンネは起き上がり振り向き、溺れかけているベビンネを見て「ミ"ーー!!」と叫んだ。
俺の腰に抱きつき「ミ"ッミ"ーー!!ミグッ…ミビィー!!」と凄まじい声で泣いている。
「お願い!!赤ちゃんを助けて!!」だろうな。
俺はルカリオをボールから出し、ママンネを殴り付ける。
「じゃあ早く床をキレイにしろ!赤ちゃんが溺れちゃうぞ!!」
と怒鳴りつけてやる。
ルカリオを出したのは一応ね。
だがママンネはまた俺に抱きつき「ミィ!!ミッミ"ー!!」
とすがり付いてきた。
「そんな時間はないの!!お願いだから助けて!!」って感じかな?
俺はルカリオをチラッと見た。
するとルカリオの金属音が鳴り響く。
「ミヒッ!?」
ママンネはビクッとしてゆっくりルカリオを振り向く。
「ミキャッ!!」
と呻いたのは、きっと今ルカリオがいることに気付いたのだろう。
ママンネは俺から離れると、あろうことかルカリオに抱きついた。
「ミッミィ♪ミィ?ミッ♪」
おいおい…俺にするのとは大分違うな…
同じポケモンなら助けてくれると思ったのか、ルカリオに媚びて思いっきり甘える。
だがルカリオは陸上タイプ。
お前の可愛さ溢れる行動も、ルカリオにとっては意味不明な行為でしかない。
「フー!!ウォウ~!!」
とルカリオが「キレイにしろ!」と威嚇すると
「ミッ?ミッ…ミ…ミゥ~…」
と、それはまるで「何で誰も助けてくれないの?赤ちゃんが大変なんだよ?」と言うように項垂れた。
お前の赤ちゃんなんざ知らねーよw
ママンネはついに諦め、一刻も早く床をキレイにしようと今までにない猛烈な勢いで舐め始めた。
「ヂバッ!ヂッチブッ!!」
だがベビンネにしてみれば絶望ものだ。
その表情からは「ママ何で助けてくれないの?苦しいよぉ…なんでずっと床舐めてるの?」という声が聞こえてかる。
そりゃそうだ。
何たって、ママが溺れる自分を助けずに床を舐めているのだからw
上手く声を出せないため、手で水面をバチャバチャ叩き助けを求めているが、その表情はこれ以上ないほどに苦痛に満ちていた。
「ミッ!ミッ!ミッ!」
早くしなきゃ!と床を舐めるママンネ。
「チポッ…ヂフ…」
そして今にも体力が尽き、おしっこに沈みそうなベビンネ。
もう一度くらいお漏らしをしてくれると、きっと完全におしっこに水没するんだろうなw
せっかくの状況を俺とママンネとルカリオだけで楽しむのは忍びない。
子タブンネたたちにも見せてあげよう。
俺は炬燵の下を覗く。
ほらやっぱりw
二匹でお互いを支え合い、耳を押さえてガタガタ震える子タブンネを見つけた。
見つかったことに怯え「ミキャッ!!ミィ…」とさらに強く震えるB。
そして「ミッピィ!ミ…ミフーッ!!」
と同じく驚くも、その後怯えながらも頑張って威嚇するA。
この期に及んでまだ威嚇するとは…気概だけは誉めてやる。
「赤ちゃんが大変だぞ~?ママは一生懸命頑張ってるのに、お前らは何をしてんだ!」
と言いながら子タブンネたちに手を伸ばす。
「ピキー!ピッミー!!」と叫びぶBを取り出す。
ジタバタ暴れてやがるなぁ。
ベビンネと再開させてやろう。
「ヂッウ…ヂィバッ!」
「ミィ!?ミミィ!?ミィ!!」
まだまだ頑張るベビンネ。
そして、今初めてベビンネの状況を知り懸命に手を伸ばすB。
俺はそんなBを鬼気迫る表情で床を舐めるママンネに投げつけた。
「ミフ!?ミィ!」
と、邪魔をするなという態度で叫ぶママンネ。
Bはぶつけた頭を擦りながらも、俺の足に「ミィミ♪」と頬擦りをした。
全く、コイツも媚びるのか…
心底呆れてしまうな。
最もBの場合は赤ちゃんを助けてほしいのか、それとも自分が助けてほしいのか分からなかったがw
「助けて欲しければ掃除しろ!」
それだけ言って俺はAの元へ向かう。
Bはその場でお漏らしをしながら「ミヒィッ…」と腰を抜かした。
さて、「お前も、みんな頑張ってんだから逃げてんじゃねえ!」と言いながらAを掴む。
「ピキャー!」「…ッ!?」
だがなんと、Aは俺の手に噛み付いてきたのだ。
足を噛まれた時と違い、相当痛い…
手を引き抜いて見てみると、手の甲から血が出ていた。
俺は痛む手を無視し、強引にAを触角を掴んで引っ張り出す。
「ウビー!!ビギッ!ミャウギー!!」
かなり痛がり、身を捩るA。
そんなAをソファーに思いっきり叩きつける。
「ミグゥ!ミィ…ミピィ…」
と震えているA。
ママンネとBはこちらに構わずに舐めている。
Aをちょっと虐めようかな。
俺は怯えて震えるAを、もう一度触角を掴んで頭の高さまで持ち上げる。
「ミミミ"ー!!ビギッミィヤー!!」
と大騒ぎするA。
やはりこの触角がタブンネの急所らしい。
俺はそのままAの腹にパンチを入れる。
「ミガッ!ウビ~!」
と短いお手てで耳に手を伸ばすA。
さすがにこのAの状況にママンネとBも慌てた。
「ミヤーッミッミグッ…」
と泣いているA。
「ミィ…ミッミィ…」
「やめてください」とペコペコするママンネ。
Bはやはり手足を広げてベターっとうつ伏せになっている。
だが俺はそのままAを、かうほの輪投げのようにグルングルン回してみた。
「ビャー!!ミィギャー!!ミ"ッバァ!!」
と、これまでにない程に泣きわめくA。
「ミ"ャーー!!ミグッ…ミ"ーー!!」とこちらも大騒ぎだ。
Bに至っては足が震えて立てないのか、ハイハイして俺から逃げようとしている。
ブツンッ、ガッ!
だが唐突にAの触角が千切れてしまった。
「ゥビャーー!!ウウ!ミビィギャー!!」
Aは千切れた触角から、血と何かわからない透明な液体を撒き散らし騒いでいる。
「ミボォッ!」
痛みに耐えられなかったのだろう。
嘔吐までしてしまった。
「ミビーー!ミ"ーーッ!」
ママンネが急いで駆け寄り癒しの波動をかけている。
「ミィ…ミッウ…」
癒しの波動で痛みは大分楽になったのだろう。
少し落ち着いたように見えたAだったが、ホロホロと泣き出した。
ママンネとBが慰めるように「ミィミィ」言っている。
タブンネにとって、その触角と大きくてフワフワな尻尾は大事なアピールポイントだ。
それがなくなったということは、Aはこの先異性と子孫を残すのは望めない、ということになる。
最もコイツらはこの家から出すつもりはないのだがw
「ミィ!」
ここでママンネが汚れたカーペットを指差し力強く鳴いた。
「今は赤ちゃんを助け出そう」というのだろう。
Aはまだショックを引きずっているものの、三匹でまた床を舐めはじめた。
だが非情にも「もう一度頑張って助けよう!」と決意した瞬間、ガボッというちょっと大きな音がなった。
ベビンネの出した音に、ニヤケ顔になってしまうw
ベビンネは完全におしっこに浸かっていた。
おしっこの中にいるため声も出せず、きゅッと目を閉じて口に手を当て、息を吐かないようにしている。
時折イヤイヤしながらw
「ミ"ビィーー!!ミ"ッミーー!!」
ママンネも気付いたね。
子タブンネたちも「ミ…ミッ…」と小さく泣きながら手を伸ばしている。
「ミ"ィッ!!」
と気合いを入れてミキサーに向かうママンネ。
「ウォフ!」
とルカリオが神速でミキサーの前に立ちはだかった。
よくわかってるねwナイスルカリオ!!
「ミヒッ…ミィ…ミギー!!」
だがママンネは一瞬尻込みしたものの、何とるかに向かって突進を仕掛けた。
俺は意外だった。
すっかりルカリオに逆らう気持ちを無くしていたと思っていたから。
つーかコイツは一回叫ばないと突進できないのか?w
だがどんなに勇気を絞り出した所で、ルカリオに叶うワケはない。
ズドンッ!!
「ビギャウッ!」
と苦痛の声をあげて、ママンネは吹っ飛ぶ。
只でさえレベルの高いルカリオ。さらに先程の金属音で下がった特防に加えてタイプ一致の抜群波動弾だ。
まさか死んだんじゃ?と思って覗き込んでみるが、何とか生きている。
それどころか、意識を失ってすらいない。
俺と同じく性悪のルカリオが状況を楽しむために手加減したのか、それともママンネのベビンネを助けようとする母性がダメージに勝ったのかは定かではない。
「ミヒィ…ミィ…」とベビンネたちはすっかり萎縮し、隅っこで固まっている。
「ミゥグッ…ミィヤウッ」
ママンネは尻尾に手を入れてゴソゴソしたかと思うと、なんと木の実を取り出した。
しかもイッシュにはない、甘くて美味しいと評判のモモンの実だ。
恐らく俺に渡す前に尻尾に入れて隠し、解放されてからみんなで食べようという魂胆だったのだろう。
俺も本でしか見たことはない。
昼間残飯を食べている時に出さなかったのは、俺に見つかると怒られると思ったからか。
だがママンネは、痛みで震えながらそのモモンをルカリオに差し出した。
タブンネには自分より強い相手に木の実を渡し、外敵から守ってもらおうとする習性があるらしい。
ママンネも今そうしている。
「ミィミ♪ミミィ♪」
と木の実を差し出して精一杯に媚びる。
「この木の実を上げるから赤ちゃんを助けて」だな。
だがルカリオほそっぽを向く。
「ミ"ッミーー!!」
そんなルカリオの態度にまた絶叫するママンネ。
必死にルカリオの前で木の実をホレホレとアピールしている。
だが、ついにベビンネが力尽きた。
ゴボッと大きな気泡を吐きいたあと、フワーッと水面に浮かび上がるベビンネ。
その体はまるで全身の力が抜けたように手足をだらんと垂れ、ピクリとも動かない。
今、ベビンネは死んだのだ。
それも自分のおしっこに溺れてw
ポトッとママンネが手に持っていて木の実を床に落とす。
「嘘だよね?」という顔で「ミィ?ミィミィ?」
と話しかけている。
「お願い、返事してよ」だろうか。
だがベビンネは応えない。
「ミ…ミ…ミバァーー!ミ"ゥ~!ミビーー!」
すべてを理解したのか、仰向けに倒れ込み手足をジタバタさせて号泣するママンネ。
「ミェーン!ピエーン!ミゥ~…」と子タブンネたちも隅っこで泣きじゃくっている。
一度は頑張って助け出したベビンネ。
それが目の前で死に、何も出来なかったのだから、悔しさも大きいだろう。
俺は泣きじゃくる三匹とベビンネの死体を放置し、台所に向かった。
自分の晩飯を作り、タブンネたちはどうしようかとママンネの集めた残飯の中を見ていると「ミフッ!ミガー!!」と大きな声、そして、ダン!ダン!という音が聞こえた。
誰か狂ったのかな?と台所から頭だけ出して見てみると、ママンネだ。
おおよそタブンネらしからぬ、歯を剥き出しにして「ミ"ゥッ!!ミガーッ!!」と涙をこぼしながらカーペットの黄身が染み込んだ箇所をダン!ダン!と足で叩いている。
「この汚れが落ちないせいで、赤ちゃんが!!」
とまぁそんな感じだろう。
ママンネさん、それは八つ当たりというものですw
これはこれで面白いので放っておき、再び残飯を見る。
いいのがあるじゃないか。
豆腐が崩れたようなもの、溶けかけたチョコレートをグチャグチャに混ぜて出してあげよう。
と、俺の前にAの千切れた触角が落ちていた。
勿体無いのでこれも入れようか。
一目ではバレないように、ぶつ切りにして中に入れてやる。
そして自分の飯を炬燵におき、ピィに先程のモモンを、ルカリオにはオボンを与えて、タブンネたちの前にもご飯をおいた。
ピィとルカリオが美味しそうに木の実を食べているが、タブンネたちは隅っこに三匹寄り添い、食事には目もくれない。
仕方ないな。
俺がベビンネの入ったミキサーをタブンネたちの目の前に置くと、ママンネがフラフラと俺に抱きついてきた。
「ミィ…ミィミィ…」
と涙を流して何かを訴えかけている。
恐らく「せめて亡骸だけでも返して」だろう。
さてと、死体はちゃんと処理しなきゃね。
タブンネたちが呆然と動かないベビンネを見つめる前で、ミキサーのスイッチを押してやる。
ガガガーー!!
と大きな音を出し、ベビンネを液体にしていくミキサー。
「ミッ…」
とママンネは「信じられない」という様子で小さく声を出した。
子タブンネたちはお漏らししながら手で目を隠している。
「ビャウーー!ミィガーッ!」
とママンネは泣きわめいた後「ミギーッ!!」と叫んで前傾姿勢をとった。
ガガッ
「ミッビゥン!」
ルカリオはもうママンネが「ミギー!!」と叫んだあとに突進することがわかっているんだよw
またもや神速で吹っ飛ぶママンネ。
そしてベビンネは完全に液体になった。
赤ワインのような赤紫が少し黄色がかるというか、なんとも形容しがたい色だw
「ミウーッミ"フー!」
と頑張って威嚇するママンネをそのままに、俺はベビンネの液体を残飯にかけた。
この料理にタイトルをつけるなら『子
タブンネの触角の豆腐・チョコレート仕立て・おしっことベビンネソース添え』ってとこかなw
俺はママンネの方に顔を向ける。
ママンネは俺に向かって「フーッフーッ」と言っていたが、俺の顔を見て「ミッ!?」と驚いた。
俺が涙を流していたからだ。
「この赤ちゃんはたった一人で苦しんで死んでいったんだ…怖かっただろうな…せめて死んだあとは、お前らの中で眠らせてやってくれ…」
俺はそう悲しそうに話した。
ママンネはそれを聞き「ミゥ…」と呟き、子タブンネたちを抱き抱えて、三匹でベビンネジュースのかかったら残飯を食べ始めた。
まさか上手くいくとはw
普通そんなの信じないだろw
俺は腹を抱えて爆笑したい気持ちを抑えるのに苦労した。
ちなみに、俺は子供の頃劇団に所属していたため、涙くらいいつでも流せるんだよ。
しばらく自分の飯を食べながらタブンネたちの様子を観察していたが、唐突にBが食べるのを止めた。
ママンネとAはベビンネに謝るように一生懸命に食べている。
どうしたんだ?と思いBをよく見てみると、何かを手に持ちそれをじーっと見ている。
気付いたなw
Bが持っているのはAの触角だった。
カールした部分だけに分かりやすそうだが、まだそれが何かまでは分かっていない。
ただ表情的には「何か見たことある気がする」程度には思っているだろう。
「ミミ?ミィミィ?」
とAが「どうしの?」と話しかける。
BはそんなAを見て凍りついた。
そして自分の持っているものと、Aの千切れた触角部分を交互に見たと思うと、ガクガクと震えだしついには残飯から離れて「ミボォッ!ミグッ!ミエ"ー!」と嘔吐してしまった。
「ミヒッ」と驚くA。
「ミー!ミッミ!!」そしてそのBを叱っているママンネ。
「赤ちゃんを戻すなんて!」ということだろう。
普通ならBの反応が正しいのだがw
Bは口を押さえてイヤイヤと首をふっている。
「ミギャー!ミグッ…ミウェー!!」
だが、残飯の方で今度はAが絶叫の後に嘔吐した。
傍らにBの持っていた触角が転がっているのを見ると、Aも今まで食べていたものに自分の体の一部が混ざっていたことに気付いたんだろう。
「ミッ!?ミ"ーー!!」
とママンネは何も気づかずに一人怒っている。
お前はよく自分の赤ちゃんを食えるなw
「せっかく赤ちゃんが体を提供してくれてんだ。お前ら残したら赤ちゃんを冒涜することになるんだぞ!」
と子タブンネたちに話すと、震えながらもまた食べ始めた。
三匹は何とか残飯を食べきり、部屋の隅っこに三匹寄り添っている。
しかし子タブンネたちはベビンネに加えて触角を食べてしまい、時々「オェッ…ミ…ミウェッ」と苦しんでいる。
ママンネも一つは触角を食べただろうが、気づいてないのかな?
でも忘れてもらっては困る。
肝心のカーペットはまだきれいになってない。
いやそれどころか、三匹の吐瀉物やお漏らしで、さらに汚れている。
これもキレイにさせなきゃね。
「おい、お前ら」
と俺が叫ぶと、三匹はより一層くっついて「ミィ…ミィミゥ…」と鳴いた。
「まだ全然キレイになってないじゃないか!このゲロとおしっこもキレイにしろ!!」
というが、コイツらは「ミィ…ミィ…」と弱々しく鳴くだけだ。
もう動く気力はないのだろう。
仕方ない…次の犠牲は……Aだ。
ケンカはBよりも弱く、そのくせ威勢だけはよくて一番喧しいからなw
俺はAを乱暴に持ち上げた。
だがAは何も言わない。ただガタガタと震えて瞳から涙をポロポロと流した。
「ミッ!?ミィミィッ!ミィミィミィッ…」
ママンネが俺にすがり付く。
「もう止めて」だろうな。
Bも俺の足に抱きつき「ミッミッ!」と泣いている。
俺はBを振りほどき、ママンネも「どけ!」と乱暴にはねのけた。
「ミギー!!」
また突進か…いい加減学習してくれw
ガガッ!ドカ!!
「ミッビャーン!」
またルカリオの神速にやられているw
「お前らがキレイにしないから赤ちゃんは死んだんだぞ!お前らがちゃんと掃除したらこの子は返してやる!分かったらさっさとキレイにしろ!!」と叫んでベランダに向かった。
ママンネは「ミッミーッ!!ミフーッ!!」と叫び、あちこちにあるお漏らしを舐め始めた。
「赤ちゃんのようにはさせない!絶対助け出す!!」と言っているらしい。
まぁママンネにとっては赤ちゃんがおしっこや糞で汚れたら舐めてキレイにしてあげるらしいから、今さらお漏らしを舐め取るくらいは簡単だろうな。
Bは「ミッ…ミゥ…」と嗚咽を漏らしながら、自らが戻した吐瀉物を舐め始めた。
いくら自分の体から出た物とはいえ、これはキツイだろうなぁw
それが他者の物ならばどれだけだろうかw
あっちにはAの吐瀉物もあるんだよwww
さて、俺は引っ越しに使ったビニール紐で、Aの手を縛り物干し竿に吊るした。
「ミッ…ミッキャー!ミァーン!」
ここでようやくAが声を出した。
この寒さに加え、小さくて力のない腕に自分の体重がかかっているのだ。
痛いだろうなぁw
さ、俺はその時がくるまで、ママンネたちがどれだけ頑張れるか見張っていようかな。
「ミッキー!!ミフッウギーッ!!」
少し時間がたち、Aの声の様子が変わる。
ちょっと見てみようと、俺はべらんだに出た。すると…
ビニール紐でキツく縛ったために、手の血行が悪くなり縛った箇所から上が紫色に変わったAがいた。
鼻水はこの寒さでシャーベットになり、お漏らしはベランダの床で凍りついて、ガタガタ震えている。
「ミィ…?ミッ…ミィミィ♪」
俺が見ていると気付いたAは、弱々しくも寒さでぎこちない笑顔で俺に媚びる。
だが最早媚びられても俺はコイツらを害獣としか思えない。
「助かりたかったら、ママたちに応援の声でもかけてやるんだな」
と俺が言うと青ざめて「ミィーッ!!ミ"ィーーン!!」と鳴いた。
俺にはタブンネの言葉は分からないが、それを聞いてママンネとBが「ミッ!?ミゥ!ミィー!!」と鳴き、お漏らしを舐めるスピードを上げた。
きっと助けを求める声だったんだな。
Bも先程までは自らの吐瀉物に苦戦していたが、まずはお漏らしをキレイにしようと思ったのか、吐瀉物をそのままに、お漏らしを舐めている。
そう言えばコイツら、大分前から何も飲んでなかったな。
水分とれてよかったねw
そして二匹はお漏らしをキレイに舐めとった。
「ミィ♪ミミーィ♪」
とAが嬉しそうな声を上げる。
「あと少しだよ。その調子でキレイにして、僕を助けて!」といったところか。
だがママンネたちにとってはここからが鬼門。
吐瀉物を舐めてキレイにしなければならないのだから。
Bは何とか自分の吐瀉物を「ミィ…ミッ…」と言いながらチビチビと舐めるが、問題はママンネだ。
いくら自分の子供とは言え、ゲロを舐めるのにはさすがに抵抗があるのだろう。
困った顔を浮かべて「ミゥ…」と呻き、尻込みしている。
まあそうだろうねw
だがAにしてみればそんな事情は知ったことじゃない。
吐瀉物を舐めないママンネを見て「ミゥッ!ミガーッ!!」と怒りだした。
「早くキレイにして!」かな?
お前が戻した物だぞw
しかしママンネはその鳴き声に耳をピクピクッと動かして、ようやく震えながら舌を吐瀉物に付けた。
「ミヒッ!」と飛び上がる反応を見せてくれる。
相当に嫌な味だったんだろう。
吐瀉物の周りをグルグル回っている。
どれ、俺が少し声をかけてやるか。
「早くキレイにしてくれないか?子供があそこにいるから仕方なく窓を開けてるが、こっちも寒いんだ!」
ちょっと前なら優しくやる気を出させるが、ベビンネを殺した今となってはどうでもいい。
ママンネにしても、キレイにしなければ子供を助けられないのどから、舐めないわけにはいかない。
「ミガッ!ミグッ!ミギーッ!!」
とAはジタバタしながら騒いでいる。
それを見てようやくママンネも舐め出した。
「ミフッ…ミウェッ!ミガー!!」と言いながら結構なスピードだ。
例えるなら、罰ゲームで色んなお酒を混ぜた物を一気に飲み干す人間と同じような信教だろうか?
確かに、チビチビ時間をかけるよりは賢いが…w
「ミブッ!ミ…ミ…ミ"ェー!」
だが、ここでママンネも吐いてしまった。
ゼェゼェと言いながらハッとしてAを見るママンネ。
Aはそれがショックだったようで、愕然としながら「ミ…ミィ…ミミ…?」と小さく鳴いた。
「酷いよママ…僕を助けたくないの?」とでも言いたげな表情だ。
「ミ…ミギッ…ミ"ィガーッ!!」
とママンネはそんなAを見て吠えた。
かと思うと、凄いスピードで吐瀉物を舐めとる。
「ミ"フッ!ミッ!ミ"ィッ!」
と、時おりえづきながら目を吊り上げて吐瀉物に向かうママンネは、普段可愛いタブンネからは似ても似つかない。
ママンネのこの頑張りを見ればAも少しは落ち着くかな?
と俺はAを見たが、そのAはこれまでにないほどに震えていた。
来たかな?
「ピキーッ!ミ"ッミ"ギャー!!」と大絶叫のA。
そんな様子にBとママンネも「ミッ!?ミミィ!?」と「ナニガあったの!?」と窓際までやって来た。
「ミィキー!!ミミッフーッ!!」とAが泣き止む気配はない。
すると、ベランダの外を何かが横切った。
来た来た☆バルジーナだ。
夜この辺りを飛んで通り過ぎるのだ。
その途中で、丁度いい食事を見つけたんだねw
だが次の瞬間、もう一匹何かが横切った。
あれは…ウォーグルだ。
さすがの俺も予想外だった。
この辺りでは見かけないが、誰かが逃がしたのか?
どちらも肉食の猛禽だ。
Aを巡って争っているのだろう。
ママンネとBは「ミッヒ!」と叫び尻餅をついて震えている。
「ミ"ワー!!ミミッ…ミ"ギャー!!」
Aはいつ来るか分からない「食べられる恐怖」に怯えて泣きわめいている。
ママンネはそれにハッとして、今のウチにと思ったのか、Aの下まで震えながら歩いていき、ピョンピョン飛び跳ね始めた。
「ミッ!ミッ!ンミィッ!」と声を出すその様から「絶対に助ける!」という意志が伝わる
だがAはママンネの遥か上…届く筈もない。
俺はママンネがジャンプする度にボテボテと締まりなく上下に揺れるお腹に、思わずにやけてしまったw
ママンネはとても届かないと悟ると、また俺に抱きついてきた。
「ミィ!ゥミーィ!」と鳴き「お願い!どうにかして!」とすがり付く。
「済まない…いくらなんでもあれは無理だ…」
俺は足を震わせてそう言ってやる。
本当はウォーグルもバルジーナも人間は襲わないから、助けようと思えば助けられるけどねw
タブンネは俺の言葉を聞くと、あろうことかルカリオにペコペコしだした。
「ミィッ!ミミミィ!ミィ?ミーィ♪」
散々ルカリオにボコボコにされてるのにw
ママンネはそんなことお構い無しにルカリオに頼み込んでいるが、ルカリオは動かない。
ルカリオは俺の命令がないと戦わないし、俺としてもこんなとこでルカリオとあいつらを戦わせる訳にはいかない。
まぁ助けるつもりもないがw
「ミヒッ…」「ビギャー!!」
とBとAの声が響いた。
どうやら決着がついたらしい。
どっちが勝ったかな?w
ベランダの柵にウォーグルが止まってAを品定めするようにじっくりと見ている。
遠くでバサバサとバルジーナが逃げる音が聞こえる。
この子タブンネを食べる権利を得たのはウォーグルだ。
「ミッヒーー!」
と泣きながらBは炬燵の下に潜り込んでしまった。
「ミミッ!?ミ"ーッ!ミミヒー!!」
AはBが自分を見捨てたことに怒っているのか、一層ジタバタと暴れる。
「ミミィ!ミフーッ!ミィフーッ!」
ママンネもベランダに近づき必死に威嚇するが、部屋からは出ない辺り、相当怖がっている。
「ブォォッ!!」
だがそんな二匹が鬱陶しかったのか、ウォーグルが一つ雄叫びした。
「ミッ…ミッ…ミフー…」
ママンネはすっかり怯えてしまい、威嚇の声だけは出すもののそのボリュームは小さい。
「ピッ…ミピィ…」
Aもその声に騒ぐだけの気力はなくしてしまったようだ。
そしてウォーグルはぶら下がっているAをどうやって食べようか考えるように、鋭い嘴でツンツンした。
「ミッ…ピィ…」
ウォーグルの嘴が触れる度にプランプランと揺れながら声を上げるA。
「ミ"ギャー!!ミッキー!!」
ママンネは頑張って再び威嚇しだした。
が、ウォーグルはその声に反応するようにその嘴を降り下ろした。
「バゥッ!」
ゴクンッという不気味な音と共にAは奇声を発して、首をダランと下げた。
「ミ"バァーー!!ミグギーッ!!」
ママンネが叫ぶ。
どう見ても折れているAの首にママンネもどういうことか分かったらしい。
ウォーグルの捕食シーンなんて滅多に見られないぞw
どうするのかと見ていると、ウォーグルはまず子タブンネの口からだらしなく垂れている舌をつつき始めた。
タブ焼き肉でも高級な部分だ。
そこをまず食べるとは、贅沢な奴だw
そして舌をキレイに食べ終わると、次はお腹だ。
ポッコリと太ったそのお腹は、自然では貴重なたんぱく質だろう。
徐々にそのお腹が少なくなっていく。
元々それくらいの体型ならばもっと機敏に動けただろうにw
「ミ"グガッ!ミ"フー!!」
ママンネは自分の目の前で子供を殺し、そして今目の前で子供を食べているウォーグルに向かい叫んでいるが、当のウォーグルは完全に無視して美味しそうに食べている。
ママンネはルカリオには逆らったくせにウォーグルには逆らわないんだな。
てっきりまたミギー!と叫んで突進すると思っていたがw
まぁきっと殴るだけのルカリオと、自分の種族を捕食するウォーグルに逆らうのとでは訳が違うのだろう。
ウォーグルはある程度お腹を食べ終わると、その大きな嘴でAを加えて思いっきり引っ張った。
ブチッ!ビキィッ!
と肉が千切れ、骨が砕ける音がする。
Aは縛られていた腕と胴体部分でネジ切れた。
ママンネはその様子に「ミィギー!!」と唸っている。
それでも部屋から出ないで「ミ"ーー!!ミギー!!」と叫ぶママンネ。
ウォーグルはAをくわえたままママンネをキッ!と睨み付けると「ミィ…ミッミィ…」とママンネはその場で耳を抑えてしゃがみこんでしまった。
最終更新:2015年02月20日 17:32