「何やってんだこのバカ!こんなのもできねえのか!?」
「ミッミィー!!」
町外れの比較的新目な工場に人間の罵声とポケモンの悲鳴が響く。ここは表向きはポケモン保護施設であるのだが・・・
「個体値による
厳選の結果捨てられたポケモンの保護並びに社会適応の為の訓練施設」
とされている普通の製紙工場だがその実態は差別と虐待飛び交う拷問施設でもある
捨てられたポケモンは野生に還るが、低個体ならまだしも一部の攻撃値高個体などは充分人間の脅威となる
所謂ポケモンバトルが産み出した負の副産物でありトレーナーの責任問題にまで発展し・・・ここは割愛する
そんな施設でもここは タブンネ のみに限定されいる
「てめえみたいなクズひきとって働かせてやってんだぞ!!ほら、ごめんなさいは?ごめんなさいはァァッ!?」
「ビィ…ビィ…(ごめんなざいミィがわるいんでした)」
「何言ってんだかわかんねえよ!さっさと持ち場にけぇれ!また鞭で叩くぞ!!」
ピシャン
「ミッ…ッ!」
どちらにしろ結局叩くのに代わりはない。人間の班長さんに叩かれた背中は既に腫れ上がり爛れ毛は抜け落ち肌はインド象のように硬化している
このタブンネはナンバー9-31♀。。逆V6というある意味素晴らしい個体で何をしてもダメだが健気で一生懸命なのだ
しかしそれが班長には酷く不愉快であり苛立ちを加速させるに至った。こういうのをいじめるのが大好きな長に当たったのは不運でしかない
まあ、捨てられた時点で不運の極みなのだが
彼女を含めたタブンネ達が脱走したり造反しない事には理由がある
外敵の心配が無い
そして国営施設であるがためメーカーから直接フーズが支給される。ある意味そこいらの飼いポケより豪華である
ショップや支援団体からの援助もあり食べ物には困らないのが事実。食事量も多目に配給される
では何故虐待が?と疑問であろうが タブンネ というだけで視察等のチェックが甘いのである。わざと見逃している部分もあるのかもしれない。タブンネとはその程度の生き物なのだ
それに経営する人間達も正式な仕事とタブンネの世話(食事の用意のみ)をするだけで安定した暮らしが用意される。こんないい仕事は無い
~~~♪(ポケセンで回復する時のあれ)午前の仕事終了のチャイムが鳴り響く
「終了!」
班長からの合図でタブンネ達は一斉に身の回りの清掃を始め出入り口前に並ぶ。そしてタブンネには恐怖、人間には楽しみと言える時間が始まる
「7!25!31前へ!7居眠り、25反抗、31遅い。これより罰則の時間だ!三匹はシャワー室へ移動しろ」
三匹が顔を真っ青にし震えながら向かった先は古めかしいシャワー室。錆びたシャワーヘッドが見るものに恐怖と絶望を与えることうけあいだ
「熱湯シャワー地獄だ」
キュゥ~と嫌な音を建てながらバルブを回すとまずは冷水が浴びせられる
「キャィァアイー!」
悲鳴に混じりチチチ ボン!とボイラーが点火され、この冷水も熱湯にすぐさまかわる
「ミヂヂヂヂミッヂィミミミ!」
「モエエー!」
熱い熱いあづいいいい!とでもいうのだろうか両手をバタバタされ、足もステップ踏みながらもがく姿は実に滑稽で見るものに柔らかな笑みを与える
鞭による腫れに冷水熱湯はバトルより堪えるだろう。乱雑にタオルで水分を取られ食堂にむかう
31の赤く爛れた背中には硬化した傷にひっかかったのかタオルの糸屑が落ちる木の葉の如くさがっていた
「食事開始!」
これまた人間の掛け声で食事が始まる
輝いて見える高級フードと栄養補完食の盛り合わせ。受け皿のベコベコに黒くなった鉄皿とのグラデーションが不気味だが味はよく皆一心不乱に口に運ぶ
ただ旨いからがっつくだけでなく、三分という時間制限があるからでもある
31はどういう育ちなのかはわからないが、他のように口つけて食うのではなく、手でぽちぽち食うだけ。もちろんそんな食い方をしてると
「終了!」
完食し余裕なもの、頬をパンパンにしてるもの、名残惜しそうに一山を眺めているもの
それぞれは返却口に返し再び作業場へ向かう
31がまだ山盛りのフードを運ぶ際にいじわるな班長の愛ポケの(すきなのをどうぞ)が足掛けをして転倒させた
バララララ
「バカモン拾え!」
班長はビシビシ鞭で四つん這いの31を叩く。はそれをせせら笑っていた
ちなみにこれはリサイクルなどしない、ゴミ行きである。上記の理由から文字通り腐るほどあるのだ
表向きは ゆかにちらばったふーどをたべることによるさいきんかんせんのよぼうさく だと言う
~~~♪
「作業開始!」
午後の作業がはじまる。製紙工場といってもタブンネにはできる事なんて限られている。製品梱包や完成紙の袋詰め、過酷な資材運搬くらいだ
そして夕刻に終了
再び食事を済ませた後に、順番に除菌スプレーによる消毒を終えるとタブンネ達は広めのホールに集められる
それなりのスクリーンに写し出されるのはPWTで華麗に活躍するタブンネ。ポケウッドで鮮やかな演技を見せるスタータブンネ
ふかふかベッドにエアコンついた部屋で人間に可愛がられるタブンネ。これまた環境のいい場所で子やベビに囲まれ幸せそうなタブンネ
タブンネ達は食い入るようにその光景を凝視する。ここで大成すれば自分達には輝く明日がある。そう思い込ませる事によりモチベーションを保たせ、さらには脱走の防止に役立つのだ
もちろんこれらはきちんとした愛玩タブンネであり、捨てタブとは次元が違う
輝く明日は永久に来ない
上映会の後は就寝。彼らが唯一気が休まる時間だが♀にはそうでもない
♂♀分かれることなく一部屋に6匹ぶちこまれる。もちろん♂は♀に欲望をぶつける
度がすぎれば熱湯シャワー地獄な為に過激ではないが溜まりに溜まった鬱憤を張らすのも維持には必要だ
あらかじめ♀には殺卵剤が射ってあるため受胎はしない
悲鳴、歓喜、荒い息づかいが宿舎と言う名の監獄に響き渡る
こうして今日もこの工場の灯は落ちていく。
また明日も繰り返されるであろう
最終更新:2015年07月24日 22:34