最近オープンしたゲーセン「Tワールド」
僕は今そのゲート前にたっている。こういう場所は友達とくるのだろうが、
ポケモン同伴OKで景品をはじめとした様々な理由でむしろトレーナーが大半を占めてるようだ。
ゲートでは巨大なタブンネPOPが出迎えてくれて、スタッフもピンクチョッキを着てタブンネの耳のような帽子を被っている。
広いから人がたくさんいても息苦しさはないのはいいなあ、見てるだけで楽しい。
まず目にとまったのはクレーンゲームコーナー、その中心にある一際大きい筐体。
見ると一般的なぬいぐるみや景品じゃなくベビンネが詰まっていたて、みんなオタオタ不安そうにしてるのが可愛い。
僕に気づくと「チーチー」わめきはじめる。
ただ怖くて泣いてるのか、助けを求めてるのかわからないがそんなの関係なく僕は引き寄せられるようお金を投入していた。
僕は①を押し、狙うわけなく②を押す。
このキャッチャー部にはツメが無いボール状でありマグネットな様子もない。僕は少しドキドキしながら指を離した。
ボールはベビンネの群れに潜っていき一旦停止した次の瞬間
「「「チギャアアア!!」」」
と複数の悲鳴がした。せり上がった球状部にはベビンネが三匹血を流しながら貼り付いていた。
これは貼りじゃない、針だ。
球状部からニードルがハリーセンの如く飛び出てベビンネに突き刺さる仕掛けみたいだ。手前のベビンネの頭部から針が突き抜けてる。
バイオザード4のアインメイデンに刺されたLオンを思い出した。
残り二匹は腹部と腕に刺さりぶらがってる状態。腕のは大騒ぎすると、千切れ落ちたようにベビンネ群に落下した。
「チッ…チィ…」と涙を流しながら短くて届かないが必死に片腕をカバーしようとしてる。
それを見たからか周りのチビンネ達も騒ぎだし、うるさいけどなぜかその騒々しさが楽しく感じる。
アームはポケット上部に戻るとニードルを引っ込めボトボト落ちるベビ二匹。
「こんなんもらってもなあ」
枠のLEDが光る取り出し口に手を入れると包装されたリーフの石があった。
ディスプレイには <2匹・進化石>と表示されていた。
なるほど、頭数で景品が変わるのか。どれどれインフォをって、最高記録8匹!?どうやんだよこれ!
しかもスコアランキングには<8匹・大型アミューズメントパーク無料招待券>をとった人がもう20人もいるんだって、すごいな。
僕はもう一度お金を投入した。<4匹・学習装置>あれがほしいからがんばる
ふと台に書かれたPOPに目をやるとテクニックの文字が
『台を叩いたり、暴言を吐いてびびらせて動きを封じましょう。怪我ンネの群れを狙うのも有効的』
を実践してたらうまくいった。
周りをみると僕のやってたのが一番の目玉で、一般的な大きさの筐体にもベビがたくさん入ってた。
覗き趣味はないけど通りながら他の人がやってるのも見てみた。
あれは普通に二本ツメだけど先端が針になってるみたいだ、両耳にきれいに刺さってる。はは、チーチー鳴きながら小便もらしてるや
あっちは吊り上げられた仲間を助けようと必死にぶら下がってるけど三匹もぶらさがったら…あーあー、千切れちゃったか。
耳から顔の皮までビビーッって感じ。
あれらの景品はなんだろうな。
そんな時少し離れた場所にポツンとある筐体が目に入りそこへ行ってみた。
これは…ツメが柔らかそうな素材でコーティングされてるし、取り出し口にもマットが敷かれてる。これのみ台パン暴言禁止…?
なんだろ?とキョロキョロしてたらワルビアルのようなサングラスのお兄さんが「いい?」言ってきたので僕は笑顔で場をゆずった。
ピンクの筐体内はベビンネが点々としてるが、内装は遊具やふかふかそうなベッドだ。
外の音が聞こえないのか、罵詈雑言があっても気づいてない。
ワルビアルさん(仮)は一匹掴みあげたようだ。つかんだと言うかベビが自分から掴まったかんじ。
ツメの先を舐めてるからなにかしらの匂いがあるのか簡単につかめるんだな。
「チィーッチッ♪」
滑り台で遊んだかのように取り出し口にきたベビをワルビアルさんは抱き締めるとニヤリとし、
すぐ後ろのトイレかと思った場所に向かった。
そこには狭い通路の部屋にドアがたくさん並んでた。
ワルビアルさんは券売機のようなものでカギを買うとそれらの一室に連れ込んだ。
重ねて覗き趣味はないが、ちゃんとドアが閉まってなかったのでこっそり覗くとワルビアルさんがベビの指一本一本をペンチで潰している。
僕は気づかれないようこっそりドアを閉めてあげた。戻る時に券売機にあったパンフを一枚手にとる。
<あなただけのベビンネ虐TIME(ぎゃくたいむ)>。
一時間300円 専用筐体から得たベビンネのみをご使用くだざい
♪純真なベビンネをその場で虐殺しよう!充実の拷問器具完備!完全防音防火防水防電!
モラル不要、なにしてもかまいません!まだベビなので触角はまともに機能しないから殺意充分でもOK♪
注意!必ずベビは殺してから専用タブ箱へ捨ててください!
「へえ、他とは違い裕福な暮らしをさせてきたからその分リアクション大、か」
釣ったらその場で食べられる的なノリかな?野生が苦手とかインドア派にはいいかもね。
筐体に目をやるとベビの一匹がこちらに笑顔で手をふってる。僕も笑顔で手をふりかえすて笑顔を見せた。
券売機には現在50室満員と赤く表示されていた。
「次はどこいこうかな」
キャッチャーコーナーを後にしブラブラ歩くとカンッ!と心地よい音がする。
エアホッケーっていうのかな?台から空気が出て凸みたいなのでパックを打ち合うあれ。
ルカリオとそのトレーナーがパック打ち合っていたが、ゴールは頭だけ出したタブンネが口を機械で開かされ大口を開けていた。
ルカリオのはどうだん!って感じにパックがタブンネの口にぶちこまれると漫画のように後頭部が伸びた。
血を吐き出しむせるタブンネにさらに跳ねたパックが片目を潰した。
「やるなあルカリオ!俺も負けねえぜ!?」
トレーナーもリレーしながら強力な一撃を撃ち込んだ。ルカリオ側のタブンネはがっくりと目を開けたまま頭が下がる。
インフォボードにはトレーナーの勝ちと表示されてる。どうやら相手側のタブンネが死ねば勝ちらしい。
時間制限はあるみたいだけど、死ぬまでやるなら地味だがかなりハードだな、たしかに訓練になる。
今度はパン!という音に振り向くと、左右に動く鉄枠のようなものにタブンネがくくりつけられていた。
数人がライフルでそれを撃っていたるから射的か。
「ミャグ!ミョゲェ!」
弾はコルクじゃなく鉛みたいだ、撃たれた部位が不気味に凹んでは赤みを帯びてきてる。
実銃に近いがライフルはセンサーによりタブンネ以外に向けるとトリガーが機能しなくなるから安全と書いてある。
僕はあくまで見てるだけだから詳しくは分からないがレーン頭上に体六ヶ所部位にわけられた画があるから部位破壊すればクリアかな?
バチィン!「ミィッグァアアア!」
目玉にヒットしたらしく血を流しながらもタブンネは必死に歯を剥き出しにしてる。
バキィン!
「ミュン!?」
むき出しの歯に命中したようだ。割れた歯と血を吐きだし、さすがに消沈したようだ。
隣のレーンに女性がついた。
だが目付きが普通じゃない。金を投入しライフルに弾を装填し、レーンにタブンネが現れるとすぐ撃った。
「ミィアアアアアアア!!」
周りから注目されるが叫びからじゃない。すごい、一番敏感な触角を付け根から撃ち抜いてる。この女の人は本職か?
さらに足爪、指先、耳先と凄まじくシャープに部位破壊していく。大ダメージを与えずにジワジワ苦しめてるんだなあ。
女性の顔は見開いた目は白目に瞳が点だけになっていて口端も裂けたようつり上がっていた。
「こええ…」
思わず口にしてしまったが、女性はこちらを向き口端をさらに歪ませた。
逃げるよう僕は離れた。
たどり着いた先はメダルゲームコーナーってやつだ。僕これすきなんだよね。メダル交換機で100貰い、いざ。
四人同時プレーできるくらいの幅かな?またベビンネが中に詰まってる。
このメダルゲームってメダル投入してスライドバーで山を押し出すようなやつだね。
あっちにある大きいのもいいけど個人でチマチマやる派なんだよ僕。
チーチー騒ぎながら必死にバーから逃げたり穴に落ちないよう必死にふんばるのもいる。
メダル投入後、筐体内のレーンからベビが一匹排出されてきた。なるほど、こういうわけか。
もちろんスライドバーは押すし、ベビ達もおちまいとおしくら饅頭状態。クレーンとは違い互いに場所を確保すべく揉み合いの喧嘩だ。
ヂーヂーわめきながら耳を引っ張ったり触角をかじったり涙を流しながらの大乱戦に僕の心は熱くなった。
「チィンチィーンン!」
必死にベビの一匹がこちらに向かって手を振り助けを請い、もう一匹は仲間を足場にこちらに手を伸ばすがガラスにはばまれてはねぇ…
ベビが奈落に落ちる度にジャラジャラメダルが排出される。
可愛い。あの中でチーチーするベビも可愛い。
ああ楽し
その時光の加減で僕自身のガラスに写ったが、その顔は先程のガンナーの女性と変わらない程歪んでいた。
メダルはカウンターでお菓子やアイテムと交換できた。
ところ変わってここはフードコート。あたりからミー!ミギャー!と悲鳴がするがここは、シメたて新鮮なんだな。
客がみんなポケモンと共に食事してるから僕もそれにならう。
テーブルでボールから相棒達を解放して、さっきのメダルで得たおやつをふるまいながら軽く食事をした。
うーんケバタブはヨーグルトソースだよねえ。串タブもおいしい。
さあて次はどこ見ようかな、そんな風に思ってた時
「トレーナー様でしょうか?」
「はい」
話しかけてきたスタッフの方によると、明日新作が入るらしく、トレーナー優待とのことだ。
なんでも的に技をうちこんで遊ぶパンチングマシン的なものらしい。
僕は受けとり、明日もこようと皆と約束した。
でも明日は明日、今日は今日、これらはほんの一端だ。
遊びはまだ始まったばかり、僕達は次なるゲームに向かった。今度はみんなと遊べるといいな
最終更新:2016年01月11日 17:53