「あっ、いた!」「タブンネみっけ!」
スマホを片手に路地裏に入っていった、小学校4~5年生くらいの男の子2人が
指差した先には、ベビンネと卵を抱えたタブンネの姿がありました。
「ミッ!?」「チィ!チィ!」
ベビンネは怯えて母親にしがみつき、タブンネはじりじりと後ずさりしています。
「逃げちゃうよ!」「早く、構えて!」
男の子たちは口々に言いながら、スマホのカメラのレンズをタブンネ親子に向けます。
「タブンネ、ゲットだぜ!」
そして2人がスマホのボタンを押すと、レンズから鋭い光が走りました。レーザー光線です。
2本のレーザー光線は、タブンネの眉間を貫きました。
「ミッ…!」
何が起こったのかわからぬ内に絶命したタブンネは、ゆっくりと崩れ落ちます。
その手から卵が滑り落ちて転がり、取り落とされたベビンネも地面に尻餅をつきました。
「チィ?……チィ、チィチィ!」
動かなくなった母親を、泣きながら揺さぶるベビンネ。それを余所に、男の子たちはうれしそうです。
ピロリロリン♪
スマホからメロディーが流れ、ポイントが表示されました。
「やったぁ!」「こいつも仕留めようよ!」
そう言うと、男の子たちはスマホをベビンネと卵に向けて、ボタンを押します。
パァン! 片方の光線は卵に命中、卵は黄身と白身を撒き散らして砕けました。
パシュ! もう一本はベビンネの心臓を貫き、「ヂッ…」と一声残してベビンネも母親の後を追いました。
ピロリン♪ピロリン♪
またスマホからメロディーが流れて、2人にポイントが加算されます。
「じゃあ回収しよっか」「うん」
男の子たちはモンスターボールを取り出して、タブンネ親子の死体を吸い込みました。
保健所に提出すれば、貯めるとアイテムと交換できる特別ポイントがもらえるのです。
男の子たちが路地から出ると、中学生らしき少年たちがタブンネを追い回していました。
「ミィィー!!」
急所を外してレーザーを何発も撃たれ、ヨタヨタと逃げるタブンネでしたが、
背中と尻尾をかすめると、遂に毛皮に引火しました。
「ミギャアアアアア!!」
転がって火を消そうとするも、追い打ちのレーザーで別の箇所に火が付き、
たちまちタブンネは火に包まれてゆきます。
「楽しそうだなぁ」「こうしちゃいられないよ、僕らも次のを探さなきゃ」
タブンネの断末魔の叫びと、ゲラゲラ笑う中学生たちの声を背に、
男の子たちも次の獲物を求めて、走り出してゆくのでした。
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最終更新:2016年09月02日 22:34