タブンネの町・悲しき町民編

少し前に町の近くの草むらに番のタブンネが住み着いた。
今までこんなポケモンはここら辺では見なかったが、一匹位なら大丈夫か・・・と町の人達は思っていた。今考えると本当に愚かな事だった。

そして今、タブンネの数がすごく増えていた。恐ろしい繁殖力だ。ここら辺に居るポケモンたちはあまり強くないため繁殖がしやすいのだろう。
タブンネ達は町に入ってくるようになっていた。一部の人がエサをやって可愛がってしまったせいらしい。
町に来たタブンネたちは道行く人に笑顔で「ミッミッ♪」と挨拶する。
その笑顔にやられ「町中に居ても可愛いから良いか。別に何かあるわけじゃないしな。」と済ませてしまっていた。
      • しかし、その判断が事態を深刻な状態にしていくのだった。

タブンネ達が町の近くに生息するようになってから町中でこんな事が起きていた。
  • 仕事から帰ったら自宅の庭にあるオボンの木の実が全て食い散らかされていた。
  • 畑の農作物を食い荒らされていた。
  • 町中に今まで無かった糞尿が撒き散らかされていた。
  • 町の人と暮らしていた♀の妖精グループのポケモンがいつの間にか孕んでいた。

そして 町の人々は激怒した。
町民達は町の平穏を取り戻すために立ち上がった。
しかし町長はなんと、大量に居るタブンネ達を利用し、観光街として、売り出す計画を練っていた。
そう、町長はタブンネにエサをやって可愛がっていた一部の内の一人だったのだ。
その企画を考えていた町長は怒っていた町民にこう言った。
「タブンネ達でお金儲け出来れば皆も納得するのでは?それに実等を食い荒らしたり、糞尿を撒き散らしたのはタブンネじゃないかもしれない。よく調べねばな。」
町民達「確かにそうかもしれませんが、被害を被った人やポケモンたちはどうするのです!お金が入るまで目をつぶれというのですか!」
町長「その通りだ。これだけ可愛く人にも慣れたタブンネ達が大勢居る土地なんて滅多にないぞ。お金が入ったら必ず保証すると約束しよう!糞尿の件については、清掃専門の役所をつくろう。雇用も増えるし、良い事づくめではないか。」
町民達「・・・わかりました。無事な農作物は手を打っておきます。失礼します。」
町長「待ちたまえ。」
町民達「はい?」
町長「タブンネ達には何があっても手を出してはいかんぞ。大切な商売道具になるのだからな。それと、旅の途中で町にきたトレーナーさんに宣伝して頂くようにお願いしてくれたまえ。」
町民達「・・・・失礼します。」

その後、町長はテレビ出演等で町の宣伝を沢山した。
その結果は・・・・

その結果は・・・町おこしは見事に成功していた。と言える。
宣伝後、町に来る人達はとても多かった。女性を中心に沢山の人が町を訪れてきた。
人間達に慣れている、というか無警戒で他所のどんな人間にもとても愛くるしい笑顔と、「ミミッ♪」可愛らしい鳴き声を振りまくタブンネたちが大勢居るこの町はとても好評だった。
タブンネ側も「ココは沢山の優しい人が食べ物をくれて天国みたいだミッと言っていたそうだ。」(旅のトレーナーさんのフーディンさん談)


しかしその一方で町民達は怒りを貯めていった。


畑に食物が有る事を知ったタブンネ達が、食物を盗りにやってくる。しかし、そこには何もなかった。
既に食べれられる食物は、町民達が協力しあい僅かの時間で収穫していたのだ。
そしてタブンネは地中にも食物があるかもしれないと思ったのか、畑を掘り返していく。
沢山のタブンネが一斉に畑を掘り返すのだから、すぐに畑はダメになるに決まっている。
畑を荒らした後にタブンネ達は食べ物が見つからない怒りか、八つ当たりで糞尿を撒き散らしていた。
更に、農業に使う道具を入れていた倉庫の扉を、ボコボコにしていった。そこにも糞尿を撒き散らしていったのだった。
たった一日で、そこはもう畑ではない荒れ果てた更地のような状態になっていた。
それを、町中の農家でやられた。タブンネに復讐しようとした者は大勢居る・・否、全員がそう考えただろう。だが、町長の命令と、後で手に入る保証金の事・家族の事をを考え、皆我慢したのだ。

タブンネ達が畑を荒らす少し前・・・農家の方々は、夜遅くまで収穫を手伝ってくれた皆に深々と頭を下げた。町の皆は「困ったときはお互い様さ」と笑いながら言ってくれた。
手伝ってくれたポケモン達も泥だらけになってしまったのに笑って手を振ってくれた。
農家の方々「こんなにも優しい町の人やポケモンたちがこれ程怒り狂うような状況が来るとはなぁ・・」皆が言葉にこそ出さないものの、同じことを考えていた。畑を荒らされた事の辛さよりも、そちらの驚きと悲しみの方が大きかった。

次の日。仕事がなくなった農家の人達は、仕事をさがすこととなる。
今からできる代わりの仕事と言えば、タブンネ達の残す大量の糞尿の処理。それをしざるを得なかった。農業一筋の人が今更他の仕事をするのは大変な事だった。そもそも求人すら無かった。だからと言って荒れ果てた畑を治す気にはならなかった。
したくもない仕事をやるはめになり、生活のリズムを大きく崩し、体調を崩す人が日々出てきた。
糞尿の処理と言えば、観光街として、タブンネ達にエサをやる人間が沢山訪れる。おいしい物を苦労せず貰えるとして、タブンネ達も沢山町を訪れるようになる。
子タブンネも来るようになったことから、どんどん繁殖していることが伺える。生まれたばかりの子タブンネを抱えながら母タブンネも来るようになっていた。
当然、糞尿の量も日に日に多くなり、大変になっていった。怒りは日に日に溜まっていくが、家族の生活の事を考え、目の前に居るピンク色の贅肉に覆われた豚を殴る事が出来なかった。
そんな自分に対し笑顔で「ミッ♪」と愛想を振りまくピンク色をした贅肉の塊を、ただ見るだけしかできなかった。農家の人たちは皆涙を流して耐えていた。

町民達も怒っていた。特に怒っていたのは庭の木を荒らされた人達であった。
なんとタブンネ達は実がない木に八つ当たりをして木を折っていた。その後で糞尿を大量に撒き散らし、家にまで糞尿を撒き散らされていた。という事件がいたる所であった。
自宅も庭を汚物まみれにされた人達は怒りに燃えた。「亡くなったおじいちゃんとおばあちゃんがが、自分が生まれた時にこの木を植えてくれたのに」と泣きじゃくるも居た。
その大切にしていた木を、タブンネ達は身勝手に破壊し、荒らしていったのだ。

食べ物を買って外を歩くと、タブンネ達が強請って(ねだって)くる。こんなヤツに上げる物など暴力くらいしかない。しかしそれをすると面倒な事になるので我慢する。
「ミィミィ」と強請る声に腹がたつ。その声を聴いたタブンネ達が集まってくる。5匹程が一斉に「ミィミィ♪」と自分を囲んで強請ってくる。煩いどころではない。
殴りたいという衝動を我慢し続けて歩いていると、タブンネ達は「ミ゙ーッ!ミ゙ーッ!ミ゙ビャァァァ!」と唸ってきた。普段聴いたことのない声を聴いて驚く。
するとタブンネ達は食べ物が入った自分の鞄を強奪しようとしてきた。当然町民も抵抗する。が、5匹を相手にするとさすがに勝てなかった。
普通のタブンネならまだしも、こいつらは沢山エサをもらってぶくぶくに太っていたので力もかなり強かったのだ。
鞄は奪われていった。町民自身も何度も殴られ怪我をした。
もし自分が子供であったら恐ろしい事態になっていたろうな・・と不安になった。

後日、強奪された鞄はボロボロの状態で捨てられていた。

孕まされた妖精グループの♀はタマゴを産んだが、タマゴが孵化すると急に食費が増え、飼えなくなったという話が沢山出てきた。。
当然町長は「まだお金が入っていないから、我慢してくれ」としか言わない。
泣く泣く子供のポケモンを処分したという家もあるのだ。それにより一緒に暮らしていた妖精グループのポケモンが自殺したなんていうケースもあった。
♂の妖精グループのポケモン達は、♂のタブンネ達にリンチされていた事件も何度かあった。また、捨てられた子ポケモンが遺体で発見されたことが何度もあった。
遺体には、殴られた後と、独特のハートの型をした足跡が沢山あったそうだ。♀の子ポケモンはそれ以外の傷を付けられていた。
誰がこんな事をしたのか明白であったが、我慢することしか出来ず、ポケモン達は泣くことしか出来なかった。

当然これらの事を町長にも言うが「町のために我慢しろ。」とだけしか言わなかった。
町民と、ポケモン達の怒りはどんどん溜まっていく。それを知ってか知らずかはわからないが、タブンネ達は町民に「ミッミッミ♪」と笑顔を振りまく。
タブンネ達のせいで町民達には何も良い事が無い。むしろ悪い事しかないというのに、目の前のピンク色をした鼻も華もない豚共は幸せそうにしている。
幸せそうに、町民の庭で糞尿を撒き散らされてどこかに去って行った。
理不尽な現実に、町民達も涙を流さずには居られなかった・・・


そんな彼らに追い打ちを撃つように、テレビ局のアナウンサーから、カメラの前でインタビューを受けなければいけない町民が出てきた。
彼らは笑顔で「可愛いタブンネが沢山いて幸せ」等、自分達の思考とは真逆の事を言わされる事になる。
町民達は震えながら耐えてインタビューに答えた。
皆の怒りと悲しみが限界に達しようとしていた。
最終更新:2014年06月24日 20:20