デスクリスマス・二章

駆除

俺はヤーコンロードで働く発破技師
帰宅途中市場で俺の愛するリーフィアちゃまにおみやげのミルクを買おうとしたが今日はやけに人が少ない

「やられましたか。今の時期食料がなくなったからでしょうね」
「こっちは商売あがったりだす」
「漢方に手をつけられて苦かったのか売り物全部ダメにしてった」
「お香みたいな匂いものも全滅です」
店主達がなにやら相談してるがとりあえず
「ミルク三本ちょうだい」
「ああん?ミルクなんてないよ!みんな盗まれちまった」
「なんで!?」
「タブンネだよ!タブンネ。まったく誰か駆除してくれんかねえ」
俺は他人任せな態度嫌いだが今なら喜んで受け入れる。俺がやってやる。爆発させたい怒りをぶつけてやろう

「ただいま」
「(おかえり)」
「きいてよリーフィア、こんなことがあったんだ」
「(そんなことより飯。今の時期枯れちゃう)」

俺は植木鉢にさす栄養剤をフーズにぶっかけた飯を食わせながらタブンネ撃滅作戦を練ることにした

一週間後。清掃中ちまちま集めた廃棄火薬を筒状に束ねダイナマイトを作った。カスとは言え火薬だから大丈夫だろ
物置から古い点火スイッチをさがして、導火線も
ちなみにこの世界の木はクロスフレイムしようが大文字しようがヒードランが暴れようが火災にならないから不思議

いよいよ巣に向かう時がきた
巣の位置はリーフィアに土下座して頼み、特定してもらってある


リーフィア『僕タブンネさんと友達になりたいな。はいおみやげの森の羊羮だよ(クソブタ死ねご主人の野郎ただじゃすまさね)』
タブ『下銭な媚イズの雑草にしてはいい心がけだミィ!巣に案内してやるミィ!さっさとついてくるミィ』
リーフィア『わあい(ブチブチブチ)』
タブ『秋でもないのに葉が紅葉してるミィよミフフ?さすが温室育ちの飼いポケは季節感もないんだミィね』


というわけで巣の場所は解った。ちなみにそのタブンネはその後リーフィアが五分刻みで完全解体したらしい
俺は慰謝料としてアベニューのカフェでメニューの上から高い順三品と美容院の最高金額コースを要求された

現在まだ薄暗い早朝。巣は結構広々としており、周りの太い樹木のせいか外敵からも身を隠しやすい比較的いい場所。秘密基地をつくりたくなる
リーフィアは巣には行きたくないらしく植物栄養剤をちゅーちゅーしながら木の上で尾を振っていた。まあこいつは強いから大丈夫だろう
さあてやるぞ。起爆装置をセットし導火線を引きながら作戦開始だ

巣は人里からかっぱらってきた様々な物資がごちゃごちゃに散乱しており酷い有り様だ。ミルクの瓶、オボンの箱、お菓子の包み紙
あれは子供向け玩具か。そういや強奪事件もあったな、タブンネはトレーナー育成にかかせないから無益に処理はできないらしい
だからタブンネはつけあがる。そして大事にしてるわりに何かされるとワーワー喚く。矛盾しすぎ

とまあ関係ないことはいいとしてミィつけた。まずはママンネとベビンネ二匹
ダイナマイトをママの胸にそっと押し込み、ベビ達にも小さめに作ったやつを抱かせる
よく起きないな。警戒心とかヒヤリングポケモンの名は伊達か

次々と眠るタブンネ達に爆薬をしかけようやく巣を一周したあたりだ。俺は一匹のタブンネの尾を踏んでしまった

「ミギッ!」
「黙れ殺すぞ」
俺はタブンネの口を塞ぎ声を出せないよう締め上げるが、ぬるんと脱け出され間合いをはかられる
まずいこのままじゃ作戦が…タブンネは仲間を起こすべく声を張り上げたが
「ミゲッ」っと不発に終わる
なんとリーフィアが後ろから締め上げていたではないか。普段は植物みたいに無表情のくせにやっぱ頼れるう

「(しめおとす?)」
「うん」

がっくりおちたタブンネを蹴りつけリーフィアは得意顔で「礼はスプリンクラーでいいよ」とサインを送ってきた
一番高いの買ってやるよ。凄い嫌な顔で俺も返答した

さあてと起爆装置に手をかけ息を整える。リーフィアも心なしかわくわくしているように感じられるのは気のせいか
いくよ。3 2 1

ドン!ダダダダダダダダダダダダダ!
思ったよりやばい!思ってた矢先に何かか吹っ飛んできて僕は意識を失った

しばらくリーフィア視点

ぐああああ耳があああああ!おいこら!あれ?
ご主人は飛んできた空き缶がぶつかったのか気絶してる。まあいいか、気になるし僕が見てきてあげよ

というわけで白煙が流れきったあたりで巣への入り口をまたいだ
「うわあ…」
僕は絶句した

「ベビちゃん目を開けてミィ!開けるミィィィィ!!」
耳、目、裂けた口、千切れかけた腕、あらゆる右半分がズタズタになったママが挽き肉のようなベビンネを抱え必死に叫んでいた
「ミン何もみえなーい!ミィのサファイアイなのミィ」
「ミィの、大事な、耳がー」
「お手て無いミイ!!!あ、足もああああミィ」
「ママアアア!ママアアア!!どこミィ!!!」
「グエッ、ゲボッ、ゲロロロロ、ミィ」

まあなんというか大惨事だね。僕は一通り見て回ることにした
最初の親子が僕に気づいたらしく、ドスドスじゃなくベジャベジャと挽き肉を抱いたままよってきた
「かっこいいポケモンさん!ベビちゃんと私を助けてくださミィィィ!」
臓物をズルズルたらしながら必死に媚訴える姿に僕は恐怖を感じたところだ
「黙れ殺すぞ」
僕が蹴り飛ばすとママはぶちゃんと崩壊してベビも地面に散らばった
肉片に手を伸ばすママを尻目に行動再開ね

火傷程度な小さな女の子チビンネが肉となった親に必死に呼び掛ける様は感動すらするね。あの涙いっぱい溜めてるとことか

ミブェェ!ミビイイイ!ブチーン!

ぐちゃぐちゃになったタブンネ達を眺めているとこないだご主人が見ていたホラー映画を思い出す。たしか崩れた人が人を食うやつ

「そうだ。はいちゅーもーく。みなさーん、助かりたければ仲間の肉食べたらええよ。僕飼いポケだから詳しいよね」

「ほんどうがビィ」
「あふあふふでえふふ」
「ぐわせろミィ!!」
「いだああああい!ミィの腸食べちゃダメミィ!!」
「オフッオフッ!たべても喉から溢れちゃうミィ!」
「ミィの自慢の天使の耳ィ返してミィ!」

「うわあ…」
僕は絶句した
単純思考すぎて生に執着するため同族で食い合うのもだがなにより死なないのが凄い。凄まじい生命力だね

「あぞごにぎれいなごがいるビィ!」
「ぶばあああ!」
「ブジュジュジュジュ。ボッピュボッピュ。ミィ」
「やめてえ!ママああ!パパああ!おきで、あすけて」

数体が先ほどのチビンネをみつけたらしくズルズル這いながら近寄っていく。その剣幕にチビンネはお漏らしして動けずにいるよ
そして両腕、足、耳に食いつかれ叫び声をあげるチビ

「ミギャアアアア!リーフィアさんたすけてえ!」
「やめたげてよおwwwwwww」
僕は草を生やすことしかできない。草ポケだからね
ブチブチ音を立てながら引き裂かれていく幼い体。タブンネとは言え成体は力結構あるんだよね
そしてブチチと裂け鮮血と内臓が散らけ、さらに骨を残し肉だけずるんと抜け落ちたり、顔面の皮膚が剥がれ歯茎や筋肉がむき出された
それをグチャグチャ食い散らかすタブンネ。中にはちぎるのに力を使ったのか大量に出血しくたばったのもいるね

チビの垂れ下がった目玉は瞳孔を拡げながらこちらを向いていたので
「パパやママのとこにいくよね」
と言ったら微笑んだ気がした

さらに歩いてる時にガラス欠片を踏みそうになり オット と足をあげたすぐ側ではガラス欠片が足にささり悶えるタブンネ
腕が無いから抜けないんだね

「抜いてあげようね」
そういうと コクコク頷くんでぬいたら凄い血が出ちゃった。たしかこういう場合は抜いちゃだめなんよね。忘れてたよ ん?
抜いたガラスについたラベルの文字 モーモーミルク

「ああああああああああああああああ!!!」
僕はリーフブレードで傷口をほじくってやった!僕ミルクだいすきなのにいいい!
いいか!?これはねえ!ご主人がきまぐれで買ってきた時しか使えないんよ!!これで葉を拭いてもらうんよ!
それにね僕らは お金 払わないと買えないんよ!なのにタダで飲んでビンも返却しないでええ!ゆるさなあああああああ

「ビッ!ゲッ!ミィはしらな…ブベッ!」
「黙れ死ね!」

気づくと足は骨になっておりタブンネは赤い泡を噴いて絶命していた
ぐすん。さっさとご主人叩き起こしてかえろ


(人間視点に戻ります)

ううんもう食べれないよう ってあれ?
目の前には怒りのリーフィア。デコがいたい。手元にあった空き缶がぶつかったのか。メット用意しときゃよかったなあ

すっかり煙りは晴れてるな。様子を見に行くか。リーフィア…は、ため息をつくとまた木の上で寝始めた。なんなんだこいつは

「火薬の量まちがえたかな。しかし廃棄物でもこんな威力なんだ、ちゃんとした火薬なら森ふっとんだかな?それはないか」
想像通り肉塊の山と化した巣を歩きながら全滅したかどうか確認する
なんか明らかに食いちぎられたようなのもあるが んっ?あれは…卵か。七つある
さっきは見えなかったが爆風で明らかになったんだろう。巣の奥の一角に卵の山をみつけた
ポケットをまさぐると…チビ用の小さい爆薬がまだあった
こんなん持ち帰ってもしかたないし使いきるか。卵爆発で閉めよう
卵に爆薬をセットし導火線を引き始めた時、俺は無防備なケツに衝撃を受け少しふっ飛んだ
背後にはミフーミフーと鼻息荒いタブンネ。たしかこいつ最初に絞めおとしたやつだ、入り口近かったから助かってたんだな
生き残りが卵だけは守る!ってか

「ふふ、リーフィア!スプリンクラー買うついでにビニールハウスもつけるぞ!」
そう叫ぶとどっかから現れて生き残りンネを締め上げた。おっと、絞めおとすなよ
うん♪とニコニコしながら締め上げるリーフィア。頼りになる男だね

「フフフンフーンフーンフーフーフーフーフーフー♪」
BGM・BWジム戦最後の一匹を鼻唄まじらせながら爆薬をセットし今回はスイッチじゃなく点火型をセット
点火線にマッチの火を近づけ着火
「ブモーブモー!!」

「「黙れ殺すぞ」」
俺とリーフィアは同時に台詞をいいつつ怒鳴り付け、バアン!
卵が爆発し黄身や白身が飛び散り俺やタブにぶっかかる
タブ「むあああ!ミィのミィのたまごおおおお!ミィ」
リーフィア「あれきみの卵だったの。だったら処理しなきゃね」
なんかいってるリーフィア達をよそに俺は殻や中身を払った。リーフィアの野郎、タブを盾にしたから無事だなこの野郎

さあて帰るか。こいつは吊るして見せしめにすれば とか思ってたら
「チィ……」
いたあああああ!ベビンネだ!それは未熟児状態で満足に毛も生えてないが確実に生きてる
気づいたタブも凄い勢いで叫びもがいてるからリーフィアに解放するよういった

ドスドス走り瀕死のベビを抱き締めペロペロ舐めて必死に蘇生しようと頑張ってるのにちょっと感動しちゃう
リーフィアは「はやく帰ろう」ってブスッツラで裾を噛み引っ張るから植物栄養剤を与えてちょっと待たせる

涙を流すタブンネの肩を叩き耳元でささやいた

「じゃあ、死のうか」

ハイパーボールを使い、いんちきして動くとこを押さえ込み強制捕獲。最期までベビちゃん!と叫んでた気がした

「チ…イ…」
ほっとけば死ぬから帰ろう。あ、今死んだな

荷物をまとめ森を後にした。残骸はバルジーナ達のおいしい食事になるだろう
途中ホームセンターでリーフィアの御褒美を買い帰宅。ドッと疲れが出た
明日からいつもの生活に戻れるだろう

仕事帰り道の市場もいつも通りに平和な賑わいを見せていた。一つ違うのは見せしめにあの捕獲したタブンネを裏門に吊るしてあるとこ
吊るしてからはタブンネ被害はなくなったと言う。定期的に傷薬やアンプルぶちこんで死ぬのも許さない

いつものようにお土産を買って帰る暮らし。何でもないのが一番いいこと
「ミルク三本ちょうだい」
「ああい!はいりたて新鮮だよ!」

終わり
最終更新:2014年06月29日 13:32