「ミッミッ♪」
パソコンに向かって仕事をしていたら、飼っているタブンネが何かを持ってきた。
ん、タブンネちゃんどうしたの?
「ミィミィ♪」
タブンネが持ってきたものを見てみると、それは博物館の広告だった。
『シッポウ博物館でタブンネ展を開催!いろいろなタブンネを見ることができます!』か…タブンネちゃん、これに行ってみたいの?
「ミィ!」
よし、それじゃあ今度の日曜日に行ってみようか!
「ミィミィ♪」
タブンネは嬉しそうに鳴いた。
そういえばこの子、生まれてから一度も自分以外のタブンネを見たことがなかったからなぁ…
そして日曜日、タブンネを連れてシッポウ博物館に行った。正面には大きく、タブンネ展のポスターが貼られている。
「ミィミィミッ♪」とタブンネは早く入りたいのか服を掴んで引っ張ってくる。
タブンネちゃん、この日をずっと楽しみにしてたもんなぁ、そんなに急がなくても大丈夫だよ。
タブンネ展の会場に入ると、さっそく数匹のタブンネが展示されているのが目に入る。
タブンネは、展示されているタブンネに嬉しそうに駆け足で近付くと「ミッミッ♪ミィィ?」と話しかけていた。
展示品に話しかけるなんてタブンネちゃんはお馬鹿さんでかわいいね♪
「ミィィ?ミィ?」
いくら話かけても返答がないので、展示品のタブンネの胸に触覚を当ててみるタブンネ。
「ミ…ミ?ミィ……ミギャアア!?」
もう、何びっくりしてるの?剥製から心臓の音が聴こえる訳ないでしょ?ホントタブンネちゃんは天然なんだから♪
あ、ホラ、あそこに
色違いのタブンネさんの剥製もあるよ。綺麗だね~、こんなのめったに見られないよ。あれっ、タブンネちゃんどうしたの?
タブンネは隅の方でブルブルと震えていた。
人がたくさんいるから怖かったのかな?大丈夫よ、私がおててをつないであげるから♪さっ、次のコーナーに行ってみようか。
次のコーナーにあったのは、ホルマリン漬けの子タブンネやベビンネだった。
「ミキャアアアア!!」
またタブンネちゃんびっくりしてる。たしかにホルマリン漬けっておめめが白くなってたりお口をパックリ開けてたりしててちょっとグロテスクだもんね、でも子タブンネちゃんやベビンネちゃんだったらかわいいから私は平気だよ♪
あ、見て!このホルマリン漬け、卵の中のベビンネちゃんの成長過程がわかるようになってるよ。すごいね~。
「ミヒィ…ミヒィ…ミヤァ…」 プルプル
タブンネは泣き出してしまった。
どうしたの?もしかしてベビンネちゃんや子タブンネちゃんのことを見て童心に帰っちゃったのかな?甘えんぼさんだなぁ♪
じゃあもう次のコーナーに行こうか。
次のコーナーにも、タブンネのホルマリン漬けがあった。しかしそれは先程のものとは違い、腹を切られて内臓が見えるようになっていた。
へー、このコーナーはタブンネの体の構造とかがわかるんだ…ふぅーん、タブンネの体の中ってこういう風になってるんだね。勉強になるなぁ…
「ミ…ミヤァ……ァ…ァ…」 ガタガタ
タブンネは展示されている同族の骨格標本に戦慄していた。
タブンネちゃん、骨格標本を指して何か言ってるよ、きっとあれに触ってみたいのね。
でも骨格標本は触ったりするのはダメって注意書きがしてあるからダメみたい…どこかに触れるコーナーはなかったっけ?
あ、あそこに触れるコーナーがあったわ!
「ミ…ミィミヒィ?』プルプル
そこには、プラスチックのケースに入れられた何かがあった。そして、そのケースには人間の手が入るサイズの穴があり、中の物を触れるようになっている。
ねぇねぇタブンネちゃん、あれ、タブンネの脳味噌が直接さわれるんだって!
「ミヤァアアア!!」 ポロポロ
これでタブンネの脳味噌の感触や重さがわかるのね、すごいわ!ねえ、タブンネちゃんもせっかくだから触ってみようよ。
「ミャ、ミャア!」 フルフル
遠慮しなくていいのよ、ここは展示品に触ってもいいコーナーなんだから♪ グイッ
タブンネの手がケースの穴に入り、中の脳味噌に触れた。
「ミィィイイイイィィィ!!!」
急いで手を穴から抜こうとするタブンネだったが、太い腕が穴にすっぽりとはまってしまっていた。
「ミィャア!!ミィィィ!!ミピィィィ!!」 フルフルフルフル
なかなか穴から手が抜けず、タブンネは同族の脳味噌の感触を味わい続けた。
もう、タブンネちゃん興奮しすぎだよ♪
帰り道
今日は楽しい一日だったね、お土産コーナーでかわいいベビンネちゃんの触覚ストラップも買えたし♪
「………」
タブンネ皮でできたおそろいの帽子も買っちゃったわ、タブンネちゃん似合ってるよ♪
「ミ……」
あれ、タブンネちゃん疲れちゃったの?まぁ、たくさんはしゃいだもんね。そうだっ、今度の日曜日には世界のタブンネ料理展に連れてってあげようか!
「ミギャァァアアアアア!!」
最終更新:2014年06月29日 14:09