タブンネーター

幸せそうなタブンネの親子を家に招待した。母に子タブンネが5匹。
きょうはパーティだ。タブンネ達にオレンの実をたくさん食べさせた。
子タブンネ達が寝静まった後、母タブンネを別の部屋に呼び出した。
母タブンネは何か貰えるのかと「ミィミィ」と喜んで部屋に入ってきた。
これからが惨劇の始まりとも知らずに・・・。今日のパーティはこの
タブンネたちの最後の晩餐である。もちろん当のタブンネ達は知らないが。
さて、俺はボールからサーナイトを出すと催眠術を命じて母タブンネを
眠らせた。完全な無防備である。念のため10満ボルトで感覚を遮断した。
それでは母タブンネの改造手術をはじめよう・・・。
母タブンネの体に機械を埋め込む。もちろん軽量素材である。
手足にも改造を施し、手術は完了。母タブンネの特性はさいせいりょくだから
明日には傷も塞がり、目も覚めるだろう。最早、自分の体が自分の物でない
ことも知らずに・・・。
明日は最高のショーになりそうだ。

その翌日、タブンネ親子は起きた。母タブンネに至っては昨日の傷も完治して
いる。あの晩、自分の身に起きたことすら覚えていないだろう。
タブンネ達と別れを済ませた俺は姿が見えなくなるのを確認し、部屋に戻る。
俺の部屋にはテレビと自作したリモコンがある。
リモコンをテレビに接続する。するとテレビには森の映像が映しだされた。
「ミィミィ」、と幼いポケモンの声もする。昨日の子タブンネ達の声だ。
テレビの映像は母タブンネの額に埋め込んだカメラからのものだ。
つまり、俺は昨晩、母タブンネに改造手術を施したのだ。このリモコンも、
母の体を操る道具だ。タブンネ達は巣にむかっている。奴らの巣を惨劇の場に
変えることにしよう。

さて、タブンネ親子は巣に着いたようだ。近所らしきタブンネにあいさつして
いることがカメラ越しに分かる。この地は周りを樹木の根が複雑に絡み合い、
入口は狭く、大型の肉食ポケモンははいれない。ここではタブンネ達が一つ
の集落を形成している。
自分達の巣に帰って来たタブンネ親子、いきなり子タブンネ達が母タブンネに
じゃれついて来た。母子の微笑ましい姿。これを一瞬にして引き裂いてやる。
最高のショーの始まりだ・・・。動作確認も兼ねて、俺はリモコンの右側の
ボタンを押した。すると母タブンネの右腕が開き、中からは鋭利な刀が飛び出
し、母が抱いていた1匹の子タブンネの腹を背中から貫いた・・・。
一瞬の出来事だ。吐血する子供。それと自分の右腕を見て驚く母。俺は構わず
右のレバーを激しく動かす。母タブンネの右腕が動く。それは激しく躍動し、
母タブンネの意思に反して貫かれた子タブンネの胴体を激しく切り裂いていく。
「ミグゥッ! ミブォ! ミゲェェェビヤァァァァァァ!!?」
どんどんズタズタにされ、血だらけになっていく子タブンネを母と他の4匹の
子供達はただ困惑し取り乱す他無かった・・・。

「グビヤァァァァァァァァァ!!!」ズタボロにされていく子タブンネの絶叫
が巣穴に響き渡る。その声はとても子供のものとは思えないものだった。
残りの4匹の子タブンネ達はようやく場の状況を理解し、母タブンネに
「ミィ!!ミィミィ!!!」と叫ぶ。やめて、と言っているのだろう。
当然、母タブンネもそんなことは分かっている。よく分からないが自分の右腕
に付いた刀が子供を切り裂いていることに。
しかし刀を抜こうとしても体がいうことを聞かないのだ。いやしのはどうも
撃てない。混乱している間も子供はさらに滅多刺しにされていく。
その時、母タブンネの触角が子タブンネの胸にくっついた。子供の心の声が
聞こえたのだろう。「ミヤァァァァァミィィィィッ・・・。」
母タブンネは泣き出した。カメラ越しの俺には心の声までは無理だが、母の
体内の機械と連動して子供のだんだん弱くなっていく心臓の鼓動は聞こえた。
察するに子供の苦悶とそしてなお、母に助けを求めているのだろう。
それを聞いても何もできない母の姿。俺はふとある案を思いついた。
一旦、リモコンのスイッチを切ってみた。母は体の縛りを感じなくなると、
子供にいやしのはどうをかけた。それが罠とも知らずに・・・。

リモコンの電源をを切ったことで体の縛りが解けた母タブンネは急いでズタズ
タのわが子にいやしのはどうをかける。右腕の刀も引っ込んでいる。
子タブンネは生きていた。しかし、数分間も刀で胸や腹を切り裂いたため、
さすがに母のいやしのはどうでも治療は2時間はかかると見た。
その間、俺は次の作戦の準備をする。俺のフーディンにあるモノを作らせた。
タブンネラジコンのアップグレードである。さっき、タブンネの触角が触れた
時、母タブンネは一番良い表情をしていた。その子供の心の声を俺も聞きたく
なったからだ。このアップグレードをポリゴンZに付けてもらう。
俺はリモコンの電源を入れ直す。動かさなければ母タブンネも気付かないだろ
う。ポリゴンZはテレビから電脳空間に入り、すぐに戻ってきた。
アップグレード完了だ。これで母タブンネの触角の情報も伝わるようになった。

2時間後、ズタズタにされた子タブンネの傷は完全に塞がった。触角を通じて
よくこちらにも伝わった。子タブンネは立ち上がる。母と他の子タブンネ4匹
も「ミイ、ミイミィミィ」「ミッミッ」と喜びの声を挙げた。
いい頃合いだ。俺はリモコンの上にある黒いボタンを押した。
喜びもつかの間。再び体の縛りと恐怖を感じた母タブンネ。と同時に腕と口が
動き、そばにいた完治したばかりの子タブンネを丸のみしてしまった。
もちろん俺の狙い道理だ。母の腹が開き、その中からは巨大ミキサーと
ミキサーに閉じ込められた。子タブンネの姿だった。その顔は絶望に満ちてい
た。

母タブンネの腹に仕込まれたミキサーに閉じ込められた子タブンネは一瞬に
してピンクに黄土色の混じったペーストに姿を変えた。
たった今、起こった出来事に母タブンネと残った4匹の子タブンネ達はただ、
目を見開いて呆然とするだけだった。数分後、母の泣き声を合図にタブンネ達
は泣き出した。「ミィアァァァァァ・・・」「ミグゥゥゥゥ・・ヒック。」
しかし母はそのまま4匹の子タブンネ達に向かって、「ミアアアアア!!!」と
叫んだ。ママから逃げなさい。生き延びなさい。といっているのだろう。
子供達は驚きながらも納得した様子だった。子供達の中で一番年上であろう
子タブンネが兄弟を誘導し逃げようとした。
だが、俺は逃がさない。リモコンの青いボタンを押す。すると、母タブンネの
口から灰色の物体が飛び出し、さっきの一番上の子タブンネともう一人の子供
に張り付き、動きを封じた。即効性のセメントである。
「ミギャアァァァァァァァァァァァァァァ!!!」2匹の絶望に満ちた叫びが
巣にこだまする。母タブンネはリモコンに操れながら動けない2匹へと歩みを
進める。無事だった他の2匹が助けに行こうと戻ろうとするが、「ミガッ!」
逃げなさい。という母の叫びがそれを制する。後ろ髪を引かれながらも走り
去る2匹捕まった兄弟とまた会えることを願いながら・・・。
なんとか自分の足を止めようとする母。しかし、体は言うことを聞かない。
俺はリモコンの左のボタンを押す。母タブンネの左腕が開き、中からは槍が
出てきた。ただの槍ではない。中に数十万ボルトの電熱線が入った。鉄製の
槍である。「ミギャアアアァァァァァァァァ!!?」
迫る恐怖に2匹は絶叫を上げた。俺はリモコンの左のレバーを前に引く。
母タブンネの左腕がうなりを上げ、槍は一番上の子タブンネの腹を激しく貫
抜いた。「ビヤアアァァァァァァァァァァァァァァァァ!!?」
子タブンネの悲鳴が巣にこだました。
俺は次に黄色のボタンを押した。ここからが本番だ。

これ以上、子供達を死なせる分けにはいかない。と思っていた母タブンネの
頑張りも空しく今、一番上の子タブンネ(長男)が母タブンネの槍に貫抜かれた。
俺は黄色のボタンを押した。すると母タブンネの触角が長男タブンネの胸に
くっ付いた。痛いよ・・・。ママ、どうして・・・?
長男タブンネの心の声が母タブンネと俺ん家のテレビに字幕として映し出され
る。母タブンネは何も出来ず、またも我が子が苦しむ姿にただ泣くしかなかっ
た。良い表情だ。さて、子タブンネに更なる苦痛を与えよう。
黄色いレバーを引いた。すると槍から煙が出た。中の電熱線によって槍が高熱
になったためだ。それを長男タブンネに貫通させたままにする。
「ウグッミッミ・・ウビャアアァァァァァァ!!?」長男タブンネの悲鳴だ。
槍の温度は数千度に及んだ。長男の内臓を内側から焼いていく。
(熱い熱い熱いミィ!! 止めてミィ! ママァッ!!!)
ここで死なせてはならない。一度、槍を抜く。そしてそのまま長男の右耳に
突き刺した。「ミジュアァァァァァァッッ!!」
耳が見る間に焦げ、そのまま触角ごと焼け千切れた。「ミガアアァァ・・ッ」
(ママッ!? ぼくの耳が、耳がアァァッ!)長男の顔は母を見る目とは思え
ないほど憎悪にまみれていた。それを見た母は絶望的な表情になった。
さて次は腕だ。長男の右腕の肘に槍を当てる。
「ウビヤアアァァァァァァ!!」という悲鳴が腕が焼け落ちるまで続いた。
それから左耳と左腕を焼き落とし、頭に切り込みを入れる。
立派な焼きマランネの完成だ。しかし、マランネの心拍数は減っていく。
このままでは我が子が死んでしまう。母はいやしのはどうを撃とうとするが、
もう遅い。(この悪魔め・・・熱いんだよォ痛いんだよォ!!)
という心の声と共に内臓を焦がされ長男は息絶えた。その顔は母を呪う表情
のまま固まった。凄惨な光景に隣の子タブンネと母はこの世の恨みを感じた。

長男タブンネは遂に息絶えた。腹や内臓は炭と化し、耳や腕があったところは
今なお、煙を上げている。しかしその死に顔はいつまでも母を睨んでいた。
母タブンネは絶句した。大事な我が子が2匹も死んだのだ。糞豚と言えども、
母として、その悲しみはあまりに深いものだった。
しかし、現実は甘くない。死んだ長男の隣には、同じくセメントで固められ、
目の前の出来事に恐怖し、体の穴から様々な物体を垂れ流す子タブンネがいる。
さて、次はテメェの番だな。母タブンネが焦りと絶望の顔で槍を構える。
「ミギャアアアァァァァァァァァ!!?」次は自分が殺される。悲鳴を上げ、
恐怖と絶望に染まった子タブンネの胸に母タブンネの触角を付ける。
(ママッ・・。死にたくない、死にたくないミィ・・・!)
良い心の声だ。安心しろ、すぐには殺さない。俺はリモコンのRボタンを押す。
またも体の自由が聞かない母の右足が動く。肉球が開き、出てきたのは小型の
ジェットタービンだ。それを子タブンネに向ける。
(ママ・・・何するの?怖いミイ。止めてミィ!!)
スイッチを押すと同時に母の右足のタービンが火を噴き、爆風を起こす。
「ビヤアアァァァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・」
子タブンネは巣の壁を突き破り、集落の広間へと、飛んで行った。
広間では、逃げた母タブンネの子供達から騒ぎを聞いたタブンネ達が集落から
逃げ出すのでごった返していた。その人だかりの中心にさっきの子タブンネが
落ちてきた。「ビヤアアァァァァ・・・」 ドサッ・・・。
「ミイ?ミイミィ?」「ミイ?」と集落のタブンネ達が覗き込むが、皆、すぐに
言葉を失った。「ミイィィィィググッ・・・」呻く子タブンネ、その姿を見る
とさっきの爆風の風力だろう。両足が風圧で千切れ、下半身が血で真っ赤に
染まっていた・・・。急いでいやしのはどうを撃とうとする集落のタブンネ達。
誰がこんなことを・・・。後ろを見ると、巣からは泣きながら返り血を浴び、
左手の槍に今も煙が燻ぶっている、焼きマランネを引っ提げた母タブンネの
姿が出てきた。その表情は今まで以上の絶望が浮かんでいた。
最終更新:2014年08月03日 23:53