腐れ開発チームネタ1

26世紀に生み出された終わり無き悪夢…
亜空間を彷徨うそれがもし、人類とポケモンが住まう別次元の世界に現れたら…

(WARNING!) 世界感はRの世界とは似ているが、全く違う独自設定ばかりが集まったオ〇ニー同然の物になっています。


22世紀…平和と繁栄という大きな幸福に恵まれた人類とポケモン達は、遂に宇宙へと進出し多数のスペースコロニーを作り、そこで暮らす様になってから数年…

西暦2163年、未確認のポケモンの物と思われる“ソレ”の切れ端が、タブンネ牧場となっているコロニー付近で発見され、採取された切れ端はコロニー内にある政府の研究所に保管される事となった。

それが悲劇の始まりとなる事は、まだ…誰も知らない………

新種のポケモンの物と思われる切れ端を採取、研究してから数日が経ったある時、コロニー内で異変が起り始めた。
平和(といっても何も知らされないまま、いずれ食肉にされるのだが)に暮らしていた筈だったタブンネ達がグループを形成し、凄惨な殺し合いを始めたのだ。
もちろん牧場を管理していた人間も止めに入ったが、暴走したタブンネの戦闘能力は凄まじく、止めるどころか返り討ちに合い、死亡するという今までに無い異常事態となってしまった。

情報漏洩による混乱を恐れた政府は、タブンネ達に圧倒的優位性を持つゴーストタイプのポケモンによる“処分”を極秘に実行、毒や鬼火による拷問とも取れる殺戮により、一度は事態の終息を得たかの様に見えた…が。

これはまだ…惨劇始まりに過ぎなかったのだ…

あの惨劇から次の日、私は新米研究員としてこのコロニーの研究所へやってきた。
もちろん理由は今回の事件の原因解明をする事だ。

早速保管されていた、暴走したタブンネの遺体を調べる事にしたのだが…早速一つの違和感を私は見つけた。
通常タブンネはサファイアの様な青い瞳をしているが、私が今見ているタブンネはなんと、琥珀色の目をしているのだ。

そのまま次の段階に進もうとした時、私の助手をしてくれているムウマージのエリザがテレパシーで私に危険だと告げだした。
「チーフ、何故か嫌な予感がします…エリザが…私に危険だと告げたのです!」

「だからどうしたというのかね? 今は自分に与えられた職務を果たすべき時だろう。」

「………わかりました…。」

チーフは取り合ってくれなかった…だが、エリザが何に危険性を見つけたのかも分からないのに取り合ってくれというのも無理な話である。

仕方なく調査を続けていき、遺伝子を調べた所で更に恐ろしい事実が発覚した。

「なんだこれは…遺伝子が変異している!」
そう、今までタブンネだと思っていた物は、中身が全く違う“異形”へと変異していたのだった。

私には信じられなかった。
こんな事が…有り得るのか…?

異形と化したタブンネ…
何故この様な変異を遂げたのか分からない事だらけであったが、私は一つの危険性を危惧していた。
もしこの変異が、伝染病のウイルスの様に極めて高い感染力を持っていたら…

そう思うと、これは極めて危険なケースだと言えるが、断言するにはあまりにも情報が足りなかったのだ。

「もっと…調べなけれ…」

私の呟きをかき消す様に、突然研究所のサイレンがけたたましく鳴り始めた。

《警告! 第一級非常事態発生! 繰り返ス! 第一級非常事態発生!》
《当施設内ニテ、深刻ナバイオハザードガ発生! コレニヨリ、当施設ハ………》

途中からアナウンスが人には聞き取れない金切り声の様にも、ノイズの様にも聞える音声へと切り替わり、静寂だった研究所は一変して地獄と化していた。

「通信機も使えない…! 仕方ない…データを持って逃げよう!」

急いでデータを纏めて逃げようとした時…エリザが私を導きだした。

「そうだ…臆している場合ではない! 愛するポケモン達の為に、私は生きるのだ!」

私はエリザの導きの元、ひたすら避難用の通路を走った。………信じられない事態が連続し、目眩すら感じていたが怯む訳にはいかない。

私は今…マスターと一緒に走っています。
あまりにも普通じゃない光景、全てを食い潰さんと蠢く精神波と通路を浸蝕した肉塊…
そして、自分の状況に気付かず、生者を黙々と殺し続ける生きる屍同然と化した者達の耳障りな声。

今の私には全てが怖かった、怖かったが故に、大好きなマスターを助ける為に最適な道を選んでひたすら走り続けていた。

そして、ようやく見つけた脱出艇…それに乗り込むマスター…だけど…奴等は私達を見逃してはくれなかった。
異質な反応は間違いなくこちらに迫っていた
「よし…システムが生きてる! これなら脱出出来そうだ!」

《発進まで…残り…1分…》
いけない! このままじゃ発進が間に合わない…!
………だけど…マスターを絶対に死なせる訳にはいかない!

「エリザ?! こんな時に何処に行くんだ!? 早く戻るんだ!」
私は霊体の特技とも言える壁抜けで脱出艇の外へ出ると、奴等の特徴に全てを掛ける事にした。

全てを浸蝕する精神波、ならば全身が精神体とも言える霊体なら、奴等への囮となる事が可能である。
後は苦痛を伴う我慢比べ、私が私で無くなる前にマスターが脱出出来れば私の勝ちなのだから。

遂に奴等は私の前に大挙して現れた…やはり異形で醜い…まるで男性器の様な醜悪な姿になっている者までいる。
こんな奴等に私の体を晒すのは嫌だが、マスターを守る為にはこうするしか無いのだ!
「もう…何も怖く無い…!」

私は奴等の群れへと飛び出した。
狂気の中の自殺行為、全ては愛するマスターとポケモン達の為に…

「ぐぅっ…うぐっ…あぁ…っ…!」
やはり私の読みは当たっていた…
奴等は精神波に反応を示し、浸蝕する特徴を持っていたのだ。

私が私で無くなっていく感覚をしっかりと感じ取れるのは、霊体だからというのもあるのだろう。
徐々に視界が琥珀色に滲んでいく中、私は涙を流していた。
「私は…マスターを…守れないの…?」

そんな言葉が頭を過った時、希望の音が聞えた。
そう、マスターを乗せた脱出艇が発進したのだ!

「もウ…思い残す事ハ無い…サヨうなラ…私ノ大好キナ…マス…ター…」
薄れ逝く意識の中の私は、最後の魔法を唱えた。
聞いた者全てに苦しみと破滅を与える禁断の“滅びの唄”を。

そして唄い終えた時…マスターを残して私の意識と存在は…暗黒の世界へと消えてしまった…

「そんな…エリザ…エリザァァァァァァァッ!!」

発進した脱出艇は無事にコロニー外へと脱出し、私は生き残る事が出来た。
だが…エリザは…取り残されてしまった。
エリザとの永遠の別れ…私は誰もいる筈の無い脱出艇の中で、耐え切れず慟哭した。
何故…あの子が犠牲にならなければいけなかったのか…

私の胸には、悲しみと共に沸き立つ憎しみが溢れ、人としての感情は…徐々に壊れていった。

「待っていろ…! 奴等め…一匹残らず殺してやる…!」
私はそう決意をしたのだ。
私の決意を余所に、巨大な何かがこちらに高速接近していた。
どうやら、戦艦の様だ。

「そこの艇、聞えるか? こちらはロケット・アーマメント社所属のGT級戦闘空母、グレートホエルオーだ。」
「研究所の事故の生き残りを見付けたら保護する様にと、本社からの通達だ。」

ロケットアーマメント社…かつては有名な悪の組織だったが、今では優秀な開発技術を買われて超大手軍事メーカーとして機能している。

これは絶好のチャンスだった、奴等に復讐をする為の…
その後、彼等に回収された私は奴等のデータと復讐心を買われ、対浸蝕ポケモン専用の兵器開発を任される事になったのだ。

さて、奴等を滅する兵器を作るには…同等の性質を持つ精神波や波動による攻撃で無ければならない。

ゴーストやエスパー、悪タイプのポケモンが得意とする分野だが、そのまま戦わせた所で浸蝕され、戦いにすらならない。
更にサイズの差と出力の問題を埋める為にも、最低でも戦闘機サイズの兵器で、浸蝕を受けない装甲が必須となる。
装甲は精神を持たない人工のポケモンである、ポリゴンの体組織を培養し装甲とすれば強度、浸蝕遮断、軽量の問題全てをクリア出来そうだが…
問題は波動ジェネレーターである、奴等を排除出来る出力を得る必要がある。
そこで私は私の次の発言をした人に意見を求めた。

波動を使い、数も多いポケモンと言えば何がいるだろう…と。

意気込んでポケモンの募集を掛けたが、助手は殆どいない事に気が付いた。
………私がおかしくなってから、電波をやたら受信する様になったが、もしかしたら私の助手と電波は既に対象となる存在を無言の指定しているのではないだろうか?

そうと決まれば、早速実験と取り掛かろう。
生きた食肉の牧場を積んだこの戦艦なら、素材に困る事はないだろう。

………何も知らずに平和そうに生きているこの豚共を見ていると、今すぐにでもエリザの事を償わせたかったが、今はそんな時ではないし、この研究はいずれ償わせる為の道標となるのだ。
狂気を堪えながら被験体を選定していた私に、男の怒号が聞えた。

「この豚! また脱走しやがって!」
「タブンネ~♪」
彼は最近此所に来た、ヤスケ新兵と言ったか、豚相手に舐められるとは同情したくなる光景だが…

私は調子に乗っている豚に近付くと、土手っ腹に蹴りを入れてやった。

「タブッ?!」
土手っ腹を蹴られた豚は地面に蹲っている、もちろんこれだけで済ますつもりは元より無い。

「畜生風情が人間をナメるだと? とことん身分が分ってない様だな…」

戦争というのは無情な物、勝つ為には手段は選ばず如何に相手を捩じ伏せるかが重要だ。
暴力を続ける私に対し、新兵はただ呆然としていたが…遂に見兼ねて私を止めようとした。

「何故そこまでするんだ! 幾らなんでもやり過ぎだ!」
「やり過ぎ? なら聞くが、戦争に綺麗も汚いもあると思っているのか?」

「言ってる事が分からねぇよ! それとこれが何の関係が…!」

「奴等を滅ぼすには波動が必要だ、波動ならこいつらも使える。 これ以上の説明が必要か?」
「戦争では、弱いくせに目立てばこの畜生の様に目を付けられ、自らを滅ぼす事に繋がる…覚えておく事だ。」
「死にたく無ければ、優しさなど捨てろ、来たるべき闘争の時の為にな。」

無駄な時間を過ごしてしまったが、実験体は決まった…私は研究室に戻る事にした。

さて…私に殴られ、ぐったりしている豚を運び出したはいいが…反抗的な目付きが気に食わん…

「キサラギ博士? 波動エンジン開発には波動が必要と言っていましたが…まさかタブンネを使うと…?」
「優秀な波動を使うポケモンなら、ルカリオやサーナイトの方が…」

「絶対数の少ないポケモンを上げてどうするというのだ? そもそも兵器として使う以上量産する必要があるのに、絶対数が足りなくてはすぐに戦線は破綻してしまうだろう?」
「それにこれから実験を始める所だ、実験初期で実験が行えなくなってしまうのは本末転倒だ。」

これ程研究に適したポケモンも珍しいと言える。
耐久性、生産性、波動を使える、量産計画に必要な要素を全てクリアしているのだ。

「では、このタブンネをどうしますか?」

彼女に豚の扱いを問われ、私はこう答えた。
ニア 拷問だ! とにかく拷問せよ!
そんな事よりおなかすいたよ。

「拷問だ! とにかく拷問せよ! だが絶対に殺すな。」
「了解、直ちに準備に取り掛かります。」

豚が悲鳴をあげて許しを請おうとしているが、五月蠅いので私は豚に薬を打って黙らせた。

さて、拷問の方法だが、まず生命維持カプセルへと放り込む、これは今のセンターでもメジャーな物だが、軍にある生命維持カプセルはセンターには無い特殊なシステムが存在している。
それは…

「対象をカプセルに入れ、システムの準備を完了致しました。 何時でもいけます!」
「始めてくれ。」

私の指示に従い、彼女はスイッチを入れた。

「ミッ…?! ミィィィィィィッ!!」

「アドレナリン、上昇を確認、このまま拷問を続行します。」

説明の必要も無さそうだが、これは兵士を罰する為の機能を有しているのだ。

しかもこれの質の悪い所は、生命維持装置の働きで対象が死ぬ事が出来ないという事だ。
………私を取り巻く電波からしたら、中の様子の説明が無くて面白くないと思われてるのだろうが、生憎私自身、状況の説明はあまり得意とは言えないのだ。
私から言わせて貰えば、ただ豚がタブッ!とかミィ!とか五月蠅く騒ぎ暴れているだけなのだが、これをエンターテイメントとして楽しめるぐらいの表現が出来る先人達は凄いと言わざるを得ない。
今の私には、そんな表現が出来る助手が必要なのかもしれない…
電撃、灼熱、寒冷…更に酸性の液体に漬けるなど、様々な拷問を黙々と実行する。

「キサラギ博士…これは想像以上のエネルギーです! しかし何故これ程のエネルギーが…?」

「他者を成長させる能力、恐らくそれが作用しているのだろう。 後はこれを抽出すれば次の実験段階に入れる…」

「エンジンの安定、ですか…」

「まだ課題はある…さぁ、研究を続けるぞ。」

「了解…ですが、助手がもっと欲しい所ですね…」

………言えている、が…協力者がそうそう現れる部署でもない、殆ど諦めムードのまま、豚の悲鳴をバックに次の研究に取り掛かる事にした。

あの忌わしき事件から一ヶ月…研究を続けて来た私の周りに起った出来事を話そう。

私の研究が効を成し、波動エンジンが完成、航行、攻撃テストも成功し、遂に…奴等に放つべき“矢”R-9A(アローヘッド)が完成した。
これまでに大量の豚共を礎として来たが、輝かしい研究の成果としては安い物だろう。
自爆装置の実験の時は開発チーム総員で爆笑した物だ。
何故自爆装置が必要になったかと言うと、対浸蝕装甲を使っているが、戦闘による外装の損傷が発生した場合、内部を守る事が出来ず内側から浸蝕されてしまうのだ。
それを阻止する為の機能として、R戦闘機に自爆装置が標準装備となった。

………もちろん、今では笑う気にはなれない…実験では何も知らない豚を使って、ただひたすら爆死していき、自爆装置の実験兼レーザークリスタルの材料としてきたが…
(レーザークリスタルの材料は、魂を封じる拷問器具をヒントに、強度の高い結晶を使用している、罪悪感なんて一切無い)

今回は勇敢なる兵士(人間だけで無くポケモンも徴兵される)がR戦闘機に乗り込むのだ…
乗り込むからには無事…生きて帰って来て欲しい所だが…

さっきから波動研究に使う>>492のタグの付いた豚が国だの建国だの五月蠅いので、大好物のオボンに見せかけたスタングレネードを食事として与えた。 私に感謝して欲しいものだ。
今は人類とポケモンが一つにならなければいけない時、世迷い言を吐かす反乱分子は潰さなければならないのだ。

ポケモンと人との会話を可能にするポケリンガル、素晴らしい発明を行った研究者達には感謝しなければならないが…浸蝕者との戦争という素直に喜べない状態が腹立たしい…!

「ミギャアァァァァ?!」

激しい高音と閃光が放たれる!
どうやらスタングレネードが起爆した様だ。
「愚かな家畜にはこれぐらい…ん…?」

アドレナリンの度数が振り切れたのを、計測機が確かに記録していたが…豚は弱点を突かれたショックで死んでしまった様だ。

今は機体の出力を強化するパワークリスタルが完成しているものの…まだ何か作れる物はないか…?
やっつけ仕事とはいえ、今のデータを無駄にするのはあまりにも惜しい…

反乱を企てた豚共(+家族)を生きたまま解体し、実に脳だけにした状態で提督の命令通りに拷問を続けていた私だったが、遂に最も恐れた事態が起った。

「緊急事態発生! T宙域の閉鎖された農業用コロニーに亜空間反応!」
「機動熱源が物凄い勢いで増えていきます!」

「反応から我々はこれを浸蝕ポケモンと断定、Rパイロット達は直ちに出撃、これの撃破に当たれ!」

遂に奴等との実戦が始まった…
それも、全ての始まりとなった忌わしきあの場所で…

私が見た限りR部隊の顔触れはどう考えても、正規軍と呼ぶには幼さが残る者や、戦いに向いてるとはとても言えない様な性格のポケモンまで存在した。
訓練では機体を操縦する事や攻撃行動自体は問題無く出来ていたが、問題は実戦となった時だ…

彼等は恐怖と戦い、敵を撃つ事が出来るだろうか…?
………そんな事を考えている間にも、私は容赦無く豚に前線の兵士が感じているであろう恐怖というデータを、直接脳内に送り込んでいた。
我ながら悪趣味なデータを構成したと言えるが、所詮はデータ、兵士達やエリザが感じた恐怖に比べれば生温い物だろう。

(此所からは複数人の視点が入り混じります)

「戦場ではなぁ! ビビった奴から死ぬんだ! 覚えておけ!」

初めての実戦、俺の部隊の隊長から投げ掛けられた言葉はあのイカれ博士と似た様な言葉だった。

「ご主人様! 臆してはなりませぬぞ! 我々は我々のすべき職務を果たさねばなりません!」
「わかってるよ、オウル! これより敵のデータを分析します!」

R-9E ミッドナイトアイ
極めて広い範囲を偵察する事が可能なこの機体は、味方との連携が重要となる機体で、
ある意味、生命線とも取れる性能を持っているのだ。

「3番機、出過ぎだ! 死にたいのか!?」

「外壁に沿って進めば、敵の攻撃は少ない筈…見てて下さい、隊長殿!」

「ダメだ! 進行コース上のコロニーの窪みに敵性反応が!」
俺が警告した時には既に、閃光と味方の反応がロストした事を示す表示が、スクリーンに写し出されていた。

「あのバカが! 突っ込んだりしなければ死ななかったものを…!」

「これが…戦争…」
俺の手が震えていた…目の前で仲間が星屑と化してしまったのだから…

「ホッホーウ! ご主人様!しっかりして下され!」
「ちくしょう! ああなってたまるか!」

次々と襲いかかる浸蝕された兵器を相手に、俺達は攻撃の手を緩める事無く、黙々と撃破していった。
だが、敵の攻撃は俺達の奮戦を嘲笑うかのようだった…
「クソ…こいつら…! ぎゃあぁぁぁぁっ!」

「2番機ロスト! どれだけ沸いて来るんだよこいつらは!」

「攻撃の手を緩めるんじゃねぇ! 生きたかったら敵を撃て!」

「嫌っ! こんな所で死にたくない! マスターの所へ帰る!」

「ダメです! 隊列を崩せば狙い撃ちにされてしまいますぞ! 直ちに…」

オウルの呼び掛けも空しく、孤立した4番機に敵の集中砲火が襲いかかり…星屑となった。

「チッ…使えん奴ばかりだ…!」

1番機の隊長…5番機の俺とオウル…
気が付けば、生きているのはこの3人だけとなってしまった。

「コロニー外壁から内部に侵入出来そうな通路を確認!」
「ですが、中には大量の敵が待ち構えてますぞ!」
「見え見えの罠だとは分かってんだよ、突っ込むぞ!」

「無茶です! 敵の数が多過ぎ…」
「何の為の波動砲とフォースだ! こんなのを危機ともしない為だろうが!」

隊長の技量は素人目で見ても素晴らしい物だった、巧みに機体とフォースを操り、侵入口に待ち構える敵を一人で蹴散らしてしまったのだから。

「コロニー内部へ侵入! あれは!?」

「俺達からすりゃ、タダの肉だったが…数だけは揃えやがって!」

ピンクの荒波の中の琥珀色の瞳…これが浸蝕された者の症状なのか…

「ここまで数が増えていただと? 構わん、一匹残らずぶち殺すぞ! 仲間はこいつらに殺られたんだ!」

「何ですかこれは?! 私はこんなのを生まれて初めて見ましたぞ!」

「ちくしょうッ!お前達のせいでッ!」
あの時バカにされ、イカれ博士から好き勝手言われ、仲間も殺された…
俺は何の躊躇いも無く、操縦桿のトリガーを引いた。

「ほぅ…動きに迷いが無い…お前は偵察機には勿体ない人材だな! 気に入ったぞ!」
「仲間を殺した奴等を、許してなんかおけませんよ!」

武装面ではたかが知れている偵察機であっても、レールガンであれば、人間以下のサイズの生物を吹き飛ばすには十分だった。

「人類に媚びる事しか出来なかった奴が、侵略者に媚びて俺達に弓を引くなんざ…百億年早いんだよ!」

蜂の巣にされていく反逆者の群れに対し、隊長の波動砲及び対地レーザーが追い討ちを掛けていったのだ。

「ホッホーウ!浸蝕者の反応が急激に減少していますぞ! これなら…」
「浮かれてんじゃねぇ、老いぼれが! 奴等は奥にウジャウジャ残ってる筈だ!」

「老いぼれ…酷い…」
「本命はもっと奥だ! 遅れるなよ! ナイトアイ!」

「ナイト…アイ…?」
「お前の戦場での事だ! わざわざ説明させんじゃねぇ!」

「隊長!」
「さて、お喋りは終いだ! また次のが来たぞ!」

どうやらこいつらは、ゆっくりと話をさせてはくれないらしい…
だが、諦める気なんてさらさら無かった。
生きて帰って、隊長の真意を絶対に聞き出してやるんだ!

………俺の事を…認めてくれたのかを…

「ナイトアイ! 状況を報告しろ! 他の部隊の連中は何をやっている!」

「味方の残存戦力…既に約半数がロスト、コロニーに侵入出来た味方は極めて少数です…」
「何時から軍隊はヘタレ共の寄せ集めになったってんだ!」

進行を続ける俺達を、円形状に連なった(細かく言うと視力検査のCみたいな形の)輸送用のゴンドラが行く手を塞いでいる、が…

「これで足止めのつもりか…邪魔だ、退けぇい!」

隊長の放った波動砲がゴンドラに直撃したものの、ゴンドラは無傷であった…
更に突然のレッドアラート、ゴンドラが何者かの手により武装されていたのだ。
「隊長! 回避してください! 回避を…!」

「なんだと?! そんなバカな事が…!」

………何かが貫かれた様な鈍い金属音と…鋭い閃光だ。
その刹那、隊長だった物は既にこの世から消失していた…
「嘘…だろ…? 応答してください…隊長…隊長…!」

遂に…俺は独りになってしまった。

「クソッ…弱点は分ってるのに、攻撃のチャンスが無い!」

こちらを囲む様に配置されたこのゴンドラにも、制御ユニットが存在しているのだが、激しい攻撃で防戦一方という状態になってしまっていた。
「隊長の敵も取れないなんて…」
「諦めてはなりませぬ! 援軍が来ましたぞ!」

レーダーには、絶望を希望へと変える反応が確かに表示されていた。

「ターゲット確認! サーチ&デストロ~イってね♪」

そんな声が聞えたと思ったら…突然のレッドアラート。
「まさか、波動砲を俺達に向けて…?!」

咄嗟に機体を横に動かし、波動砲を回避すると、ゴンドラのコアに波動砲が直撃したのだ!

「危ないじゃないか! 俺達を殺す気か!」

「あっはははは! ごめんごめん、アレを倒せる状況だったし、キミなら避けてくれると思ったから、構わず撃っちゃった!」

「味方に殺されて二階級特進なんか御免です! ところで、あなたは…?」

「ん~…ボクはミョルニル、面白そうだから来ちゃった。」

………あからさまに調子が狂う…今は戦争中なのに…ノリが軽過ぎる。

「モタモタしてると置いてくよ~!」

………変な奴だというのが、俺の第一印象だった。

ミョルニルと名乗ったこの機体…技量は隊長以上と言える…
なにせ遊び半分で敵を的確に破壊しながら、凄い速度で進行してしまうのだ。

「ついていくのがやっとですぞ…彼は一体…」

「つまんないの、みんな手応え無いんだもん…」


裏切り者(糞豚)の血溜りと化したコロニーを進行し、異層次元へと近付いていく俺達の前に更なる異常は…姿を表した。

「A級浸蝕反応! 今までのとは違う…こいつは…でかすぎる!」
「デカいだけで弱いとかだったら面白くないなぁ…そもそも弱そうな外見だし。」

そいつの外見は…異質で巨大な尾を持った、辛うじてタブンネと見れる存在だったのだ。
(後にタブケラドプスと命名される事になる)


「簡単に壊れないでよ…! お前はボクの玩具なんだから!」
俺はレールガン、ミョルニルは波動砲による攻撃を仕掛けるが、いくら攻撃を当ててもすぐに再生してしまい、ダメージになっていないのである。

「なんて化け物だよ…! こいつは!」
「ちょっとは長持ちしそうだね…! いいよ、ボクが飽きるまでたっぷり遊んであげる!」

ここに人類とポケモン初の、対A級浸蝕ポケモンとの戦いが始まった。

手応えの無い攻撃を続けるのを嘲笑うかの様に、敵は底無しの再生を続けている。

「丈夫なのは良い事だけど、ボクはもう飽きたよ!」
「必ず…弱点がある筈だ…! …腹部にもう一つ生体反応と高エネルギー反応…!」

その時、大型の敵生命体の腹部からもう一体の敵生命体が現れ、醜悪な顔を晒す。

「反応からしてあれが弱点だ! ミョルニル! 止めを!」
「ボクに命令しても無駄って言いたかったけど、つまんない玩具にもう用はないし、その命令に従ってあげる!」
「じゃあね、ガラクタ」

敵の波動エネルギーの凝縮が感知出来たが、それよりも先に腹部の生命体の大口にミョルニルがフォースをぶち込み、更に波動砲による追い討ちを掛ける。
結果、敵は大き過ぎる波動エネルギーを内包する事となり…エネルギーが全身に逆流、内部から爆散する事となったのだ!

「やった…やったんだ! 凄いよミョルニル!」
「やっぱり玩具はこうでないと面白くないね! ………」

「どうしたんだミョルニル…? 急に黙りこんで…」
「なっ…なんでも無いよ!」
(何だろう…ボクの胸のこの感じ…いつもなら五月蠅いとしか感じない筈なのに…)

STAGE1 CLEAR!
最終更新:2014年08月13日 12:57