身欠きタブンネ

梅雨も明け、日差しが夏にだんだんと近づいてくる頃、村の猟師さんたちはタブンネ狩りに出掛けます
大人タブンネは里山にたくさんうろうろしているのですが、
猟師さんたちの狙いはひとつの群れが共同で使っている巣穴で眠る子タブンネや赤ちゃんタブンネです
「チィィ!チィィ!チィィ!チィィ!チィィ!」

一人の猟師さんがタブンネの巣を見つけたようです
見張り役のタブンネをシャベルとポケモンの力を借りて叩き伏せ
巣穴をやっぱりシャベルとポケモンの力を借りて掘り返すと
中で眠っていた赤ちゃんタブンネたちを発見しました
突然光が入って驚いたのか、母タブンネに助けを求めてチィチィと泣きわめきますが気にせずにそれを次々と捕まえ、大きな金網のカゴに詰めていきます
「ミッミッミッミッミッミッ!」
おっと、巣穴の別の出口から子タブンネが飛び出してきました。弟たちを返せ!と声を荒げて必死に威嚇しています
しかし猟師さんは怖がるどころかニヤリと笑っています。
業を煮やした子タブンネたちは幼さ故の命知らずか、猟師さんに向かっていき
背中をまだ技になってないような往復ビンタでペチペチ攻撃します
しかし猟師さんたちは痛がる様子もなく子タブンネの首をガッと掴んで赤ちゃんタブンネと同じ篭に詰めこんでしまいます
「みーっ!みーっ!」
あらあらwさっきの威勢はどこへやら、子タブンネたちも赤ちゃんタブンネと同じように泣き叫んでいます
巣にいる子タブンネをあらかた捕まえたら狩猟は終了(シャレじゃないよ)
手際が悪いと戻ってきた親タブンネたちと乱闘になってしまうのですが、今回は戻って来る前に村に帰ることができました


猟師さんたちが獲物をもって村に帰ると奥さんたちと一緒にタブンネの加工ににとりかります
村の中心の頑丈な金網で覆われた干し場、ここでは奥さんたちが作業しています
奥さんたちは地面に突き刺した2本の棒の間に紐を張った干し台に赤ちゃんタブンネを強力な洗濯ばさみで耳の付け根を挟んで吊るしていきます
「チギュピィーー!!!」
干し場からは可愛らしい悲鳴が絶え間なく聞こえてきますね。耳の付け根は神経や毛細血管が集中した急所なので耐えられないほど痛いのです
吊るされた赤ちゃんタブンネはしばらくは逃れようとジタバタと暴れますが、しばらくすると疲れて大人しくなり、力なくてプラプラと揺れるのみになります

..キュィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィンガガガガガガガ
「ミィィッ!ミィッ!ミッ!ヒッ!ヒィッ!ピギャァァァァア!!」
ところ変わってこちらではやや成長した子タブンネを猟師さんたちが加工しています
子タブンネは洗濯ばさみで吊るしたのでは落ちてしまうので、手首に穴を開けて太い紐を通します
昔はキリで穴を開けていましたが、今は電動ドリルを使用しています
電動ドリルのキュィィンという音は耳のいいタブンネにとっては相当怖いらしく、音を聞いただけで震えだし、チョロチョロとおしっこを漏らしてしまう子タブンネも多いです
そのため作業場の床は子タブンネの血とおしっこでベショベショになってしまいます
そして全ての子タブンネを紐を通して繋いだら赤ちゃんタブンネと同じように干し場にある干し台に吊るします
一本の紐に数珠繋ぎになったまま干し場に向かって泣きながら行進する子タブンネちゃんは一見の価値ありです

その後赤ちゃんタブンネと子タブンネたちは生きたまま夏の日光で干され続けます
滝のように汗を流し、ハァハァと苦しそうに息をしながらか弱い声でミィミィと鳴き続けています
「フィィ…」
「ミィッ!ミィッ!ミィィーッ!」
干し場の周りには干されてるタブンネの親タブンネたちがたくさん集まっています
さながら授業参観のようですね
赤ちゃんタブンネは金網の向こうの母タブンネに向かって永遠に届くことのない手を必死に伸ばします
母タブンネも金網を揺さぶったりなんとかよじ登ってわが子達を助けようと必死です
子タブンネたちを干してから5日ほど経った頃、ハサミとバケツを持った婆さんが干し場に現れました

おばあさんは干し場に干されているタブンネたちをチェックしていき、一匹の赤ちゃんタブンネの前で足を止めました
その赤ちゃんタブンネは衰弱しきっていて、生きてるのか死んでるのかわからないほどです
おばあさんはその赤ちゃんタブンネの下にバケツを置き、お尻の穴からハサミを入れ、チョキチョキとお腹を切り開いていきます
そして腸や肝臓など、腐りやすい臓器を鋏でチョキチョキと切り、バケツにポタポタと落としていきます
その間赤ちゃんタブンネは無反応でしたが、かすかに心臓が動いてるのが見てとれたためまだ生きているようです
「ウミィィィィィィ!!!」
集まっていたタブンネのうちの一匹が奇声をあげました。この赤ちゃんタブンネのお母さんでしょう
かなり若いタブンネですから、さっきのがはじめて産んだ赤ちゃんなのかもしれませんね
ハサミのお婆さんは子タブンネが死んで内蔵から腐るのを防ぐために
死んでるか死ぬ直前の子タブンネから内蔵を抜き取る役割をしています
やがて10日も経つと、ミィミィとうるさかった干し場もすっかり静かになり、死んではらわたを抜かれたタブンネばかりとなってしまいました
金網の周りの親タブンネたちは大半がいなくなってしまい、
金網に赤い血の跡を残すのみでした、きっと悔しさと悲しさのあまり噛みついたり握りしめたりしたのでしょう
残った親タブンネは金網を掴んで微動だにせず、半分死んだような目でじっと我が子を見つめています

15日が経つともはや生きている子タブンネたちは一匹もおらず、みんなミイラのように苦悶の表情でカピカピに乾いてしまっていました。
こうなると完成は間近です
村の奥さんがたが干しタブンネを一つずつ下ろし、旦那さんがたがタワシで丁寧にこすっていきます
タワシで擦ることによってタブンネの毛を落とし、すぐに使える状態になるのです
最後に汚い首をバキリとへし折るとこの村の特産品「身欠きタブンネ」の完成です


身欠きタブンネは水で戻して煮物にして食べるのが一般的ですが
肉を剥がして七輪で炙って食べると最高のおつまみになります
最近ではラーメンやコンソメスープのダシにすると最高の旨味が出ると言うことで若い人にもまたその名が知られてきています
「養殖も考えましたが、この山には良質な天然タブンネが沢山いるので必要ないと結論づけました
最近では若い人も食べてくれるようになったので嬉しいです」
と、猟師たちの長老は赤ちゃんを返してとすがり付くタブンネを
スペツナズ並のスコップ術でボコりながら熱く語る
最終更新:2014年08月15日 13:53