僕は学校のポケモンバトル部に入っている。
だけど、経験が浅いせいか部員にはいっつも負けている。
野生のポケモン相手でも勝てないから
レベルアップもできないんだよなあ…
そんなある日、幼馴染の女の子が僕を森に誘ってきた。
元気のない僕をはげましてくれるらしい。
「今からすっごいの見せてあげる、元気が出るよ」
そういうと彼女はポケギアをとりだし、手を上にあげた。
ポケギアからはポケモンの鳴き声が流れている。
それから数分後、なんとピンク色のポケモンが何匹かあらわれた。
そのポケモンはポケギアと同じ声で鳴いている。
すると彼女は花で編んだかんむりをそのポケモンにプレゼントした。
「かわいいでしょ。この子タブンネっていうんだよ」
これがタブンネっていうのか。部の先輩から聞いたことがあるな。
「さてと・・・フンッ!!!」
彼女が上着を脱ぎ、力を込めると、はちきれんばかりの筋肉が露になる
「セイヤッッッ!!!!!!」
『ミボォォォォォォ!!!!!!!』
僕が驚く間もなく、彼女はタブンネに強烈な回し蹴りをブチ込むッ!
タブンネは汚物をブチ撒けつつ、十数メートルばかり宙に飛んだ
「この子はいいサンドバッグになるの! 一緒に特訓して経験値稼ごっ♪」
「あ、うん・・・」
正直、迫力に負けました
その日から、特訓の日々が始まった・・・・・・
特訓は朝五時から、との連絡を受けて、眠い眼をこすりつつ僕は森の入り口へと着いた
彼女というと、既に準備運動を始めている
「遅いよー。早くしないとタブンネが起きちゃうんだから」
彼女は頬を膨らませる
「?」
僕は理解できないまま、走り出した彼女を追う
やがて巨大な樹のウロの前で止まる
大人五人は平気で入れそうなスペースだ
「さ、今日の今日の早朝特訓の場所はここよ!」
僕と彼女はウロの中へと進入した
驚いた、ここはタブンネの巣だ!
どういう家族構成かは知らないが、成体のタブンネが10匹も寝転んでいる
起こさないようそろり、そろリと歩く僕
彼女は、構わずスタスタと部屋の奥を目指した
そこから引っ張り出したのは、タマゴ?
「いい、これをこうして・・・破ァッ!」
彼女が、筋肉が三倍程に膨れ上がった右腕をタマゴに叩き落すッ!
タマゴの殻の上半分だけが綺麗に割れ、中からグロテスクなタブンネの未熟児が顔を出したァ~
「まっ、ざっとこんなもんよ。丁度いい硬さだし、トレーニングついでのいい栄養補給ね」
喋りながら、彼女は割れたタマゴに口を突っ込み、音を立てて未熟児タブンネを啜っている
「あんたも食べる?」
「Oh...crazy........」
僕はその場でゲロをブチ撒けた
だらしないなぁ、と彼女は呆れ顔だ
食べ終わったタマゴを床に放り投げると、ポケギアの周波数を調整する
「はい、ちゅうもーく」
彼女は、寝ているタブンネに近づくと、ポケギアを起動した
『ミヒィィィィィィィ!!!!!』
10匹の成体タブンネが悲鳴を上げて飛び起きる
皆、揃って耳を押さえていた
「タブンネって聴力が無駄にいいでしょ、ちょっと有害な音波を流してみたの。犬笛みたいなものね」
「あ、そっすか・・・」
「さて、タブンネさんたち!ちょっと無防備だったから二人でタマゴ食べちゃったよ。ごめんねぇ~」
「ちょ!僕は関係無いでしょうが!」
『ミッ! ミィィィィィィ!!!!!!!』
割れたタマゴを見て、怒りに我を忘れたタブンネが僕たちに襲い掛かった
「Let's Dancing!」
そこからは地獄のような光景だった
彼女の拳がタブンネの顔面を潰し、蹴りが身体を突き破り、手刀が首を両断する
僕はというと、必死に彼女の後ろに隠れつつ、檜の棒を振り回していた・・・・・・
数分の後、タブンネの巣はヨハネスブルグもびっくりな血風呂へと変貌する
「さ、次いってみよ~♪」
噛み千切った
タブンネの触角をペッと吐き捨て、彼女は森の広場へと走っていった
森の広場のタブンネ達は、地面に寝転んだり、蝶を追ったりと、各々の生活を満喫している
彼女がポケギアの周波数を変えて音波を流す
昨日と同じ「一緒に遊ぼうよ」の合図である
「ミィミィ♪」
『チィチィ♪」
音を聴いた途端、どこに隠れていたのかと思うほどの数のタブンネが、茂みから、樹のウロから飛び出す
その、なんだ。非常に不愉快な鳴き声である
彼女は、足元に擦り寄ってきた子供のタブンネを優しく抱き上げると、ニッコリ微笑む
『チィ~♪』
そのまま後ろから抱きかかえるようにして、子タブンネの目を覆った
「いないいない~」
瞬間、彼女は子タブンネの顎の辺りに素早く親指を突き刺し、手を引っ張り上げる
ミチミチと奇妙な音を立てて、子タブンネの顔面の毛皮が、肉ごと剥がれた
「ばぁ♪」
『ウギッ・・・ヒャャャャャャ!!!!』
子タブンネは、見事なスカルフェイスを晒す
『ミギャアァァァァァァァァァァ!!!!!!!』
一瞬の静寂の後、広場中のタブンネの悲鳴や、怒声が響き渡った
「10、20、30・・・・・・・ワオ、100匹はいるわね!燃えてきたぁぁぁ!」
タブンネ達は逃げもせずに彼女へと立ち向かった
僕は怖いから木陰から観察しておこう。うんそうしよう
『ミミッ!ミイイイイイイ!!!!』
数で押す戦法なのか、タブンネ達は彼女を押し潰すかのように取り囲み、タックルをする
彼女は姿勢を低くすると、最初に飛び込んできた一匹の股座を潜り抜けた
そのまま後ろへ回り込み・・・金的!金的!続けて金的ッ!
『ミガガガガガガガガガッ!!!』
タブンネは泡を噴いて痙攣している。これは苦しそうだ
タックルを試みようとしていた周りのタブンネも、恐れで動揺している
その隙を見逃すほど、彼女は甘くなかった
動きの止まった一匹の触角を引っ張ると、そのままハンマー投げの要領で振り回す
『ミッ!ギャッ!ギャッ!ギギギギギギギギギ!!!!!』
宙に浮いたハンマーと化したタブンネが、彼女を取り囲んでいたタブンネに激突し、血を噴出させながら吹き飛ばす
「しゃあぁぁぁぁおらぁぁぁぁぁぁ!!!」
彼女は叫びつつ、振り回していたタブンネを空高く放り投げた
びりり、と繊維を引き裂くような音が聞こえた。あ、触角ね
『ミイィィィィィィ・・・・・・・・・・・・ウワラバ!』
どちゃり、と遠くで肉の潰れる音がした
「は、87メートル・・・・・・!」
世界記録です。合掌
『ミッ!』
しまった!彼女に気を取られてる隙に、タブンネに後ろから組み付かれた!
『ミッ!ミヒヒヒヒヒ!』
タブンネは僕の首筋にガラスの破片を突き付け、彼女に向かって下種な笑みを浮かべる
くそっ、人質ということか
「・・・・・・・」
『ミッ!?』
彼女の周囲の空気が震える。タブンネもその耳で異常を感じ取ったようだ
「正々堂々と戦うなら何匹かは生かしてやったのに・・・よっぽど皆殺しをご希望のようね」
『ミッ、ミィィ!?』
「バトルガール舐めてんじゃねぇぞッ!死にたい奴から前に出ろォォォォォ!!!!!!」
ビルドアップ
『 肉 体 強 化』・・・・・・・・!
彼女の足元の地面が轟音と共に陥没するッ!
そして、彼女の身体の筋肉が、恐ろしい勢いで隆起し、変貌を遂げたッ!
「ロ、ローブシン♀・・・・・・」
思わず、僕はそんなことを口走っていた
最終更新:2014年09月06日 13:01