タブンネ・プロポーズ 野生編

先日私はタブンネ愛好家の庭にてタブンネのプロポーズを見てきました。
非常に可愛くほほえましいものでしたが、野生のタブンネにこんなことが
できるのか?と疑問をいだきました。
とはいえイッシュ地方に広く生息しているのですからできているのでしょう。
今日は野生のタブンネのプロポーズを追っていきましょう。

今日追っていくのはひみつのちからで作った家で眠っている
野生のオスタブンネ。年は前回追ったタブンネと同い年です
違うところは家族構成。彼の家には幼い弟タブンネしかいません。
彼の両親はオレンのみをとっていたところトレーナーにみつかり、
ゲットされてしまいました。
野生のポケモンは人間に見つからないように気を付けないといけません。

さて、説明してる間に2匹は起きました。
2匹はお互いのしっぽをお手入れしあっています。
そのとき、ゴゴゴゴと地鳴りがしてきました。
地震でもおきるのでしょうか?

地鳴りに兄弟は身をよせていると、足もとから灰色のツメが伸びてきます。
「ミギャ~~!!」
おっと、弟タブンネはこのツメで足を切られたようです。
血がドクドクと流れています。
兄タブンネはすぐさまいやしのはどうで傷を治します。
さいわい大事には至りませんでしたが今日は安静にしたほうがいいでしょう。
それにしてもこんなことをするなんてどんなポケモンでしょうか。

そのポケモンはモグリューでした。
彼は砂かきの練習をしていたところタブンネの家に来ちゃったみたいです。
「ミイッ!」兄タブンネは気をつけろ!って怒っています。
しかしモグリューは「こんなところに家をつくるのが悪い」って
言いながら勢いよく穴を掘り帰っていきました。
そのときの土がタブンネにふりかかり、タブンネのピンクと白の体は
前側だけ茶色くなってしまいました。

朝から散々な目にあったタブンネ兄弟。
とはいえ2匹はきのみを食べて栄養をつけなきゃいけません。
兄タブンネは弟タブンネを残し、1匹でオレンの木に向かいました。

兄タブンネがオレンの木に近づくと先客がいました。
木の上でエモンガが両手にオレンのみを持ち、おいしそうに食べています。
そして、木のふもとにはエネコがいます。
エネコは「ニャ~~♪」っと可愛い声でエモンガに甘えました。
するとエモンガは笑顔で持っていたオレンのみを1つエネコにプレゼントしました。

それを見た兄タブンネは自分にもきのみを分けてくれるだろうと思い
エモンガのもとへ駆け寄り、「ミイ~~♪」とエネコのように甘えました。
しかし、エモンガはムッとした表情をし、兄タブンネにきのみをくれません。
兄タブンネは頼み方が足りないんだなと思い、
「ミイ♪ミイ♪ミイィ~~♪」と体をクネクネさせながらさらにエモンガにねだります。
「エモーー!!」兄タブンネの態度に怒ったエモンガは
タブンネにでんきショックを放ちます。
「ミギャアアア!!」兄タブンネは「どうして僕にはくれないの?」と思いながら
倒れてしまいました。

エネコはタブンネより力の弱いポケモンです。
しかし彼らは、可愛さをアピールすることで野生の世界を生きてきたのです。
「どう甘えたら相手が油断するか」「どう甘えたら食べ物をくれるか」
先祖代々この甘え方を発展させ、その力が今を生きる彼らに流れています。
一方タブンネは聴覚を発達させ、心音で相手の気持ちや体調がわかるという力があります。
これは便利な力ですが、その代償なのか
視覚で相手の表情やしぐさを読み取る力、
声やしぐさで気持ちを表現する力が弱いのです。
これが他のポケモン・人間相手ならなおさらです。
「タブンネの媚びた笑顔がイライラする」という声をききますが
それはタブンネの表現力の未熟さにあるのかもしれません

兄タブンネが気が付くとエモンガとエネコはいなくなっていました。
そこにはエネコのたべのこしたオレンのみが残っていました。
兄タブンネはおなかが減っていましたが、このたべのこしを弟にあげるべく
家に戻ることにしました。

ひみつのちからで作った家に戻った兄タブンネ。
しかし、彼を出迎えたのは弟タブンネの笑顔ではなく
弟タブンネの断末魔、そして彼の首にかみついているレントラーでした。
「なんで僕の家にレントラーが?」兄タブンネはパニックになっていますが
レントラーは兄タブンネに向かって吠えてきました。
「ミイィ~~ッ!!」兄タブンネは黄色い液体をまき散らしながら逃げていきました。
そして、邪魔がいなくなったレントラーは弟タブンネをくわえ、
すみかに帰っていきました。
このレントラーは子タブンネのほうが好みなようです。

レントラーがタブンネの家を発見したのはレントラーの特技である透視です。
タブンネはひみつのちからで作った家は誰にも見つからないと安心していましたが
レントラーにしてみればタブンネの家はおいしいお肉がある食料庫にすぎません。
しかし兄タブンネはそんなレントラーの能力を知るよしもなく、
最後の家族だった弟を失ってしまいました。

孤独の身となった兄タブンネ。弟にあげるはずだったたべのこしを食べながら
とぼとぼ歩いています。
「ミイィ……」彼は寂しさのあまり目に涙を浮かべています。
兄タブンネは家族が欲しいようです。
「ミイ!」彼は何かを思いついたのか、急にトテトテ走り出しました。

兄タブンネが向かったのはオボンの木でした。
どうやら彼はお嫁さんと子供を手にすることで孤独から抜け出すようです。
さっそく兄タブンネはオボンの木にとっしんをくりだしました。
しかし、オボンのみはおちてきません。
タブンネの力では草むらはゆらせてもオボンの木をゆらすことはできないのです。
前回は仲間の手助けで手に入れましたが
野生の世界では都合よく仲間がくるはずもありません。
代わりにやってきたのは1匹のマメパトでした。

マメパトはおいしそうにオボンのみを食べています。
兄タブンネはマメパトに「ミィ~♪」とお願いをしています。
しかしマメパトは兄タブンネの願いを無視し、オボンのみを食べ続けています。
そんなマメパトに向かって兄タブンネは手から光をだし、
マメパトに向かって放ちました。

「ポー?」マメパトは光を受けましたがダメージはありません。
それどころか細かい傷がみるみる治っていきます。
「ミイ~♪」タブンネはマメパトに笑顔をふりまきます。
そう、彼がマメパトに放ったのは「いやしのはどう」です。
「癒してあげるからオボンのみをください」とお願いしているのです。
エサをめぐる敵である自分を救うなんて何を考えているんだろう?
マメパトはそんな兄タブンネをあわれむように見ています。
しかし兄タブンネはそんな視線き気づくこともなく、
体をクネクネさせながら「ミイ♪ミイ♪」とお願いしています。

マメパトはあまりにかわいそうなタブンネのため
オボンのみを落としました。
兄タブンネはオボンのみを拾い、「ミイ~」と喜んでいます。
そしてマメパトに向かって「ミイ!ミイ!」と何度もお礼をしました。
マメパトはお礼をしている兄タブンネの頭に白いものを落とし、
笑いながら飛び立っていきました。

マメパトの情けによりオボンのみをゲットした兄タブンネ。
彼はお嫁さんの声を聞きとるため、耳をすまします。
「……ミミッ!」何かを聞き取った兄タブンネ。
草むらをゆらしながらトテトテ走り出しました。

さて、オボンのみを持って走るタブンネの周りには
肉食のグラエナやきのみを食べるエイパムなどがいます。
今の彼はあらゆるポケモンから最高のごちそうとなっています。
兄タブンネも彼らの存在は耳のレーダーでキャッチしているはずですが、
周りのことなど気にもせずひたすらとっしんしています。
タブンネの耳と頭は仲間を探すためだけにあって
危険を察知したり注意することまではできないようです。
とはいえ周りのポケモンは兄タブンネを見て笑うだけで
食べようとはしません。
頭に白いものがついたタブンネはさすがに食べたくないようです。
まさにツイてるといいますか……

そんなことを語ってる間に
兄タブンネは池のほとりにつきました。
そこにはメスのプリンがいます。
彼女は今日ここで運命的な出会いをする予感がし、歌っています。

「ミ~~イッ!!」兄タブンネは大声でプリンを呼びます。
「プリー♪」プリンは王子様の登場に期待を膨らませます。
が、白いものがついたポケモンにがっかりしてしまいました。
一方兄タブンネはプリンのがっかりした表情を読み取ることもなく
張り切って求愛行動を開始します
「ミッミッ☆」タブンネ自慢のしっぽのダンスです。
この日のために毎日手入れをし、練習したダンス。どんなポケモンもメロメロになるはずです。
「プウゥ…」しかしプリンは変なポケモンに変なダンスを見せられ困惑しています。

タブンネは自分のしっぽをチャームポイントと思っていますが、
他のポケモンはそう思っていないからです。
特徴的なしっぽを持っていながらタブンネが「しっぽをふる」を覚えないのは
誰もタブンネのしっぽを可愛いと思っていないからだと考えられます。

「ミィ!」さすがにウケが悪かったと感じた兄タブンネ。
はやくもとっておきのオボンのみをプレゼントです。
「プリー!」しかしプリンは嫌がっています。
こんな不潔なポケモンが触ったきのみなんて受け取れないって…。

その時、大きな音とともに光がタブンネを襲います。
「ミ、ミイ……」タブンネは体からプスプス音を出しながら倒れてしまいました。
「ラ~イ!!」そしてタブンネの後ろにはライチュウがいます。
音と光の正体は彼の10まんボルトだったようです。
「プリ~~♪」プリンは体からハートを出しながらライチュウのもとへ駆け寄ります。
彼女の運命のポケモンはこのライチュウだったようです。

「ミイ、ミイィィィ」タブンネはまひした体でプリンに迫りますが
彼女は振り向くことなくライチュウといなくなってしまいました。

一時間ほどたち、兄タブンネは意識を取り戻しました。
10まんボルトによる傷やマヒは癒えているようです。
タブンネが野生で生き残る一番の武器はこの自然治癒力なのでしょう。
「ミミイ!」さて、兄タブンネは再びお嫁さんを始めます。
オボンのみを持ち、声のするほうへ再び走り出しました。

兄タブンネは15分ほど走り、ついにメスタブンネの姿をとらえました。
彼女はオレンの木にもたれています
「ミッミ~♪」兄タブンネは彼女を呼びます。
しかしメスタブンネの反応はありません。
「ミイ?」不思議に思った兄タブンネは彼女のもとへいきましたが、
彼が見たものはおそろしいものでした。

なんとメスタブンネは口からヘドロを垂らしていたのです。
そして体は「やどりぎのたね」で木にくくりつけられていました。
どうやら彼女はオレンのみをとっているところ
トレーナーにみつかり、やられてしまったようです。
「ミギャアア~~!!」タブンネは大声で叫びながら
メスタブンネにいやしのはどうをかけます。
しかし、もうすでに手遅れでしした。
「ミイ……」兄タブンネは彼女に安らかに眠れるようお祈りをし、
その場を後にしました。

兄タブンネはとぼとぼ歩いています。
「自分はこのまま孤独に死んでいくのだろうか?」
そんなことを考えながら歩いてると、彼の耳が反応しました。
「ミーーイ!」別のメスタブンネがこちらに走ってくるのです。
タブンネは気になった音や声をききつけると近づくという習性があるので
兄タブンネの叫びに向かったのでしょう。

メスタブンネは兄タブンネに何があったのかをたずねました。
兄タブンネはメスタブンネが人間にやられたことを話すと、
彼女は「ミイ~ン!」と泣きはじめました。
死んだメスタブンネは、彼女の唯一の家族だった姉だったのです。
兄タブンネは自分と同じ孤独を抱えた彼女にオボンのみを渡します。
「ミッミッ」君はひとりじゃない、僕がいるよ。と励まします。
「ミッミィ…」メスタブンネは彼の言葉がうれしかったようです。

こうして2匹は結婚することになりました。
兄タブンネは新居を探すべく草むらに戻りました。
そして、オレンの木に囲まれたところをみつけたのでさっそく
ひみつのちからで家をつくり、彼女を待ちました。

兄タブンネが家をつくって2時間がすぎました。
まだ嫁タブンネはやってきません。
ハートの足跡の目印がわからないのでしょうか?
それともだれかにやられてしまったのでしょうか?
ちょっと様子を見てみましょう。

タブンネの特徴であるハートの足跡。
この足跡は自分の家を教える目印です。
この足跡をたどれば嫁タブンネに会えるはずですが……
あ、ピンクの体が見えました。
嫁タブンネは無事だったようです。
彼女は足跡をたどって夫タブンネのところへ歩いていきます。

嫁タブンネが家の近くにやってきました。
兄タブンネは手を振って嫁を新居に迎え入れます。
もう2匹の間に言葉はありません。
2匹は仲良く遊びました……

さて、3日がたったのでそろそろ赤ちゃんが生まれているでしょう。
見に行ってみましょう。
私たちが兄タブンネの家に行くと、ちょうど赤ちゃんがでてきたようです。
って……あれ?

兄タブンネの家からでてきたのはなんとゾロアの赤ちゃんです。
彼の家はここでまちがってないはずですが……家の中を見てみましょう。
そこにはゾロアーク夫妻がいました。
どういうことでしょうか?
わけがわからないので翻訳機を使って2匹に聞いてみましょう。

妻ゾロアーク「私は足跡をたどっているタブンネを見つけたので狩りました。
彼女の肉が大変おいしかったので、足跡を追えば夫の肉も食べられるかなー
って思ってタブンネに化けて足跡をたどっていたのです。」
夫ゾロアーク「オレは草むらをウロウロしてたらちょうど草むらから
タブンネがでてきたんだよ。
けど頭に汚いモンついてたから内臓だけ裂いてその辺に捨てた。
けど、メスタブンネがここに来るんじゃねえかな?って思ったから
タブンネに化けて待ってたのさ。
まあそのタブンネが女房って気づいたのは家に入ってからだけどな、ハハハ」

なるほど、カメラを切り替えている間に兄タブンネたちはゾロアークに
やられちゃったんですか。
だから2匹ともミィミィ言わずに黙って家のなかに入っていったと…

さて、今回は野生のタブンネの生態に迫りましたが
タブンネがなぜイッシュ中に繁栄できるのかまったくわかりません。
どんな攻撃にもそれなりに耐え、高い自己治癒力を持っている点は
評価できるのですが、
襲われたら反撃も防御も逃走もできず、オレンのみ1つとるのにも一苦労な
タブンネには無用のものでしょう。
かといってエネコのようにほかのポケモンに可愛がられることもありません。
「いやしのはどう」や「てだすけ」など集団で威力を発揮するわざも
すぐ狙われるタブンネでは集団を結成することはまず無理です。
聴力の良さは危険を察知するどころか近づくための弱点となっていますし
ハートの肉球も自分の位置を周囲にアピールする危険な部位です。
他にも言いたいことはやまほどありますが、
タブンネに野生の世界は無理です。
いったいなぜイッシュ中にいるのでしょうか?

そのとき、トラックが何台もやってきました。
あれ?このトラックは以前取材したタブンネ愛好家のところのものです。
彼らは荷台からなんとタブンネを何十匹もおろしました。
どういうことでしょうか?運転手さんに聞いてみましょう。
「われわれは宇宙一可愛いポケモンタブンネを世界中に繁殖させる活動を
しています。
ご主人様の庭はタブンネの研究もおこなわれておりますが
一番の目的はタブンネを繁殖させ、
野生で生きる力を身につけさせることなのです。
このイッシュ地方にはご主人様のようにタブンネを繁殖させ、
野生にかえすタブンネ愛好家が各地におり、
イッシュ中の草むらに放すのです。」

タブンネがイッシュ中にいる理由って愛好家の活動なんですか?
タブンネはよくほかのポケモンやトレーナーのいる野生を受け入れられますね。
「タブンネは一匹では非力ですが集団では力を発揮するポケモンです。
ピンクの目立つ体と発達した耳で仲間を探し、協力しあえれば
肉食ポケモンだろうがトレーナーだろうが負けないと
タブンネは屋敷での生活で自信をつけているのです。」

そうなんですか、でもタブンネが狩られていることもご存じですよね?
「残念ながらタブンネを好んで狩るクズも世の中にはいます。
そのクズどものためにも、タブンネを世界中に繁栄させるのです。
強さと可愛さと優しさを見せつければ
野生のポケモンも人間もタブンネにひれ伏し、ポケモンの頂点となるはずです
タブンネ愛好家が世界に増えるほど
タブンネ狩りをするクズの肩身も狭くなりますからね。
では、私はこれで……」

う~ん、衝撃的な事実でしたね。タブンネが人工的に繁殖されてたなんて…
あれ?こんどは別のトラックがやってきてタブンネを逃がし始めました。
愛好家とは違うようですが……
「私はタブンネを使った仕事をしているのですが、
タブンネの性格が合わなかったものを逃がしています。
あ、私のことは内密にしてくださいね。」

その後も「低個体値が…」とつぶやきながら
子タブンネを大量に逃がすトレーナーや
エサの取り方もしらなそうなタブンネを逃がす
タブンネの頭がい骨をあしらったシャツを着た集団などに出会いました。
これだけ人の手が加えられたらタブンネがイッシュ中にいるのもわかります。
タブンネを野生にかえす人々の思惑はみんな違うのでしょうが
人間の絶え間ない活動により
今日も草むらでタブンネは必死に生きているのです。

タブンネ・プロポーズ 「野生編」 おしまい
最終更新:2014年09月22日 20:29