天使の羽のような耳に、ピンクと白の綺麗なラインの体、ホイップクリームのような尻尾。サファイアの瞳にふかふかとした笑顔。
俺はそんなタブンネのことが大好きだ。
「みっみぃ?」
今日もタブンネが起きてきた。草むらで傷ついていたタブンネを拾ってきて以来、
毎日大好きなオボンのみをあげて遊ばせて、風呂に入れてふかふかの寝床で睡眠を取らせている。
世話の甲斐あってかタブンネはとても優しいポケモンに育った。
「おはよう、タブンネ。」
俺が挨拶をすると、タブンネは「みっみ!」と可愛らしい笑顔で挨拶を返す。
「タブンネ・・・ああ俺はおかしくなってしまったみたいだ、タブンネ・・・」
俺は唐突にタブンネに跳びかかり、マウントポジションをとる。タブンネは何が起こったのか分からず混乱しているようだ。
「タブンネ、俺は悪いポケモンに取りつかれてしまったらしい。ああ、タブンネ、ごめんよ・・・!」
そう言うと俺は涙を流しながらタブンネを殴りつける。我ながら素晴らしい演技だ。
「ミッ・・・ミィィィィッ!!!」
タブンネはご主人様を返して、とでも言いたげに痛みに耐えながら威嚇の鳴き声を上げている。
おっと、触覚で心の中を読まれてしまっては流石に厄介だから先にちぎってしまおうか。
演技はできても本心を隠すのは厳しいからな。俺はタブンネの触覚を思いっきり握りしめる。ふにふにとした触感が気持ちいい。
「み・・・!」
タブンネは触覚を掴まれると青ざめた顔で俺の方を見上げてきた。しかし俺の方を見るだけで抵抗は一切してこない。
俺がタブンネのことを愛しているように、タブンネ自身も俺のことが大好きなんだろうな。
「ビャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
触覚を引っ張るとタブンネは凄まじい悲鳴をあげた。サファイアの瞳からは涙をはらはらと流し、口からは涎が垂れ流しになっている。
ブチィッ!という快音と確かな手応えと共に、両耳の下の触覚は綺麗に千切れてしまった。
「ミ・・・アアアアアアアアアアアアアアアアアアア・・・!」
部屋の中に慟哭が響き渡る。自慢だった触覚。いつもご主人様がかわいいなあと褒めてくれた触覚。
触覚をご主人様の胸に当てると、優しい気持ちが伝わってきていつも暖かな気持ちになれた。触覚を千切られた痛み以上に、
喪失感による精神的ショックのほうが大きかったのだろう。脱水症状になるんじゃないかというぐらいにタブンネは涙を流し続けていた。
俺はタブンネの頭をそっと撫でてやる。タブンネは俺が正気に戻ったかと思ったか泣き笑いの表情を浮かべながらこちらを向いてきた。馬鹿なやつだ。
「ミグエッ!」
俺はそんなタブンネのふかふかの腹部にパンチを入れる。会心の一撃だ。
タブンネは目に涙を浮かべて口に手を添えた。「だいばくはつ」の予兆だろう。流石にゲロまみれになるのは嫌なので俺は一旦タブンネから降りた。
「ウゲエェエエェェェェエェェ・・・」
タブンネは腹を痙攣させながら、オボンのみの残骸と胃液を噴水のようにごぼごぼと吐き出した。
床を汚すまいと必死に口を抑え、飲み下しているようだが逆に気持ち悪くなりまた吐き出す、という悪循環に陥っているようだ。本当に健気だな。
そんな努力もむなしくタブンネの体とその周りの床はゲロまみれになってしまった。
後片付けはちゃんとしないとなあ・・・
俺はタブンネの体を掴み、床のゲロを力を込めて拭きとる。タブンネはその間ア・・・ア・・・と呻いているだけだった。
やがて拭き終わりタブンネの顔を見ると、毛並みはごわごわになりサファイアの瞳は濁りきり、ピンクと白の綺麗なラインはタブンネの吐瀉物に塗れ、
ふかふかの笑顔の面影はもはやなかった。俺の好きな部分は尻尾以外なくなってしまった。
もう用済みだな。そう思った俺はタブンネのホイップクリームのような尻尾に手をかける。タブンネは一瞬ぴくりと動いた。
「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
俺はタブンネのホイップクリームの尻尾を思いっきり引っ張る。タブンネは悲鳴を上げ続ける。最高のBGMだ。
快音を立てて、タブンネの尻尾は抜けてしまった。顔を埋めるとタブンネの仄かなぬくもりが伝わってきたがそれは急速に失われていった。
この尻尾は後で部屋にでも吊るそう。俺は尻尾を一旦テーブルの上に置き、タブンネの方に目をやった。
タブンネは血を涙をだらだらと流しながらこちらを見続けていた。こんな状況の中でも俺のことを信じ続けているのだろうか。
俺はタブンネの腹に包丁を突き立て、そのまま縦に下ろす。うっすらとした赤のラインが引かれると、そこから血が溢れ出してきた。
その傷口に両手をあてがい、カーテンを開けるように一気に開く!
「ミ・・・ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
タブンネは凄まじい悲鳴をあげた。口からは血が溢れ出し、下半身は失禁により綺麗な黄色に染まっていた。
俺はタブンネの中身に触ってみる。肺のふにふにとした感覚、腸のぐにょぐにょとした感覚―どれも暖かさが伝わってきて、
タブンネのぬくもりを感じることができた。かき混ぜてみると、ぐちゅぐちゅという卑猥な音と共に、
「ミ・・・ゲボ・・・アァアアアァァアァ・・・」と、タブンネの口からは赤黒い血が溢れ出すのであった。
さて、心臓の動きも僅かとなってきたしもう長くはないだろう。最後の言葉をかけてやらないとな。
「ああ・・・ごめん・・・ごめんよ・・・タブンネ・・・俺は正気に戻った、でも大好きなタブンネにこんなことをするなんて・・・ごめんよ・・・」
「み・・・みぃ・・・♪・・・みぃ・・・♪」タブンネは最後の力を振り絞って満面の笑みで俺の方を見てきた。その笑顔は今までで一番の笑顔だった。
「なんて言うとでも思ったか?あれは演技だったんだよ、馬鹿なやつだなあ。」
「ミ・・・アアァア・・・」
俺が満面の笑みでタブンネの笑顔に応えると、タブンネは情けない声をあげて気を失ってしまった。
さあフィニッシュだ。タブンネの心臓を掴むと、再びタブンネの口からは血が溢れ出した。意識はもうないだろうに、タブンネの体はびくんびくんと血の海を跳ね回っている。
やがてタブンネの動きは完全に止まった。どうやら本当に死んでしまったらしい。最後の絶望の表情は実に素晴らしい物だった。
さて、後片付けが終わったらまた新しいタブンネを捕まえに行かないとな。
俺はタブンネのことが大好きだ。だがその好きだという意味は、
今の俺の手持ちポケモン達に向けられる親愛の意味での好き、ではなく、
好きでたまらないからこそ壊したくなる、という意味での好き、なのだ。
最終更新:2014年09月29日 18:13