バイト先のコンビニに最近子タブンネの
三兄弟が住みついてたむろしている
親を失くして路頭に迷っていたのだろうが、野性の勘か本能か、人間の側にいるのが一番安全と判断したらしい
昼夜問わずいつもコンビニの前に三匹固まって、小さい体で精一杯愛嬌を振りまいて餌をねだっている姿をよく見かける
無垢な笑顔ですり寄ってきたり、ゴミ箱に寄りかかってすやすや眠っている姿は、
仕事疲れのリーマン達には可愛い癒し系マスコットくらいに映っているのだろう
愛くるしい姿に顔を綻ばせ、ついつい食べものを分けあたえている
最初は俺も可愛いと思って色々戯れていたのだが、やはり甘やかしすぎるとどうにもいけない
店の周りにところ構わず糞尿を垂れ流すから掃除が大変だし、夜中でもﾐｨﾐｨとはしゃぐ声がうるさいとご近所さんからも苦情が来る
別に店で飼っているわけでもなんでもないのだが、どうやら近隣住民はそう思ってるらしく、最近店の評判も落ちて売上も下がり気味だ
このことで店長の機嫌も悪くとばっちりを受ける俺らはたまったもんじゃない、折角のいいバイト先だと思ってたんだが…
今日も仕事を終え帰宅しようと裏口から出ると、三匹の子豚が待ちわびた様子で立っていた
大方俺の晩飯が目当てなのだろう、俺が片手に持ったコンビニの袋を指を咥えて凝視している
全く、先輩達が可愛いからって餌付けしちゃうからいけないんだな、いつもこうたかられるとさすがにうんざりしてくる
俺は無視してフランクフルトを齧りながら歩を進める、するとﾋﾟｨﾋﾟｨと甘ったるい声で鳴きながら俺の前に立ち塞がり
くりくりした青い目にきらきら、っと星を浮かべて体中からハートマークを撒き散らしおねだりを始める
イラッ…！！今まではまだ慎ましやかだったがこうも露骨に媚びられると中々に腹立たしい
ねだれば餌をもらえるもんだからどうも間違った方に特化してしまったみたいだな
それにしても人に対して全く警戒心ゼロだな、本来野性のポケモンよりも人の方がよっぽど恐ろしいもののはずだが…
夜のテンションで魔が差した俺は、目の前の無防備な物体に人間の厳しさというものを叩きこんでやりたくて仕方なくなった
俺が残りのフランクフルトを一気に食べ終わると、子豚共は「ﾐｨｨ…」と残念そうにうな垂れる
今食べたのはお前らの同族の肉100%で作られたものなんだがな
うな垂れる子豚の一匹の耳を引っ掴みひょいと持ち上げてみる
どうやら耳は敏感な部位らしい、掴まれてﾋﾞｸｯとしたかと思うとじたばたもがきながらﾋﾟｨﾋﾟｨと甲高い声で鳴きだした
目に涙を浮かべて、俺の手から逃れようと体を捩らせる
二匹の兄弟達も「弟を離せ！」とでも言うようにやかましく鳴きながら威嚇してくる
あーうるせぇ、お前らみたいな小汚い豚こっちから願い下げだっての
子豚共の合唱にイラついた俺は、手の中で暴れる子豚の尻に先ほど食したフランクフルトの串を思い切りぶっこんだ
「ピィィィィ！！！」
目をかっと見開き絶叫する子タブンネ。足元の豚共も一層激しく喚きだす。
余計うるさくなっちまったな、ご近所さんにも迷惑だしゴミはさっさと処分すっか
串が刺さった子豚をコンビニの袋に詰め、声が漏れないよう他のゴミも押し込み、固く結んでゴミ箱に放りこむ
「ミャアアアアアアアアアアアアアアアア！！！」
燃えるゴミとして廃棄された弟を見て、残った二匹は絶望した顔で吠える
小さな体でゴミ箱に突進し、中でモガモガ呻いている弟を助け出そうと必死だ
勿論どうにも出来るわけはなく、ゴミ箱の表面をカリカリ引っ掻いて中に呼びかけることしかできない
しかっし小さい癖に声はうるせえガキ共だなあ、通報されたりしても色々面倒だし残りもさっさと処分すっか
地域住民として町内の衛生環境の向上には尽力しないとな！！
ゴミ箱に向かって泣きつく二匹の豚の口に紙袋を突っ込んで封をし、余ったビニール袋に詰めて家に持ち帰る
子タブンネをいたぶるのも結構面白いもんだな、残った二匹のゴミはオモチャとしてでも有効活用してやるか
俺は迷惑な害獣を駆除してすっきりした気分で家路についた
ふふふ……食事の後は楽しい遊戯の時間だよ子豚ちゃん
最終更新：2014年10月07日 22:18
