俺はとある組織に属している。その組織は野生で増えすぎたポケモンを殺す事によって生態系のバランスを保つ事を目的としているんだ。
一見残酷なようだが、止むを得ない面もある。つい最近もシンオウ地方のズイタウン周辺にフカマルの子供が大量に現れたので始末しに出かけた。
話が逸れたが今日俺はイッシュ地方に居るタブンネと言うポケモンの討伐だ。タブンネと言うポケモンは特性上トレーナーによって狩られ易いが、その外見故にタブンネを不当に倒すのをやめるように呼びかける声もある。
事実タブンネ保護を目的とした組織が設立され、行動している。
だが、以外に知られていない事実がある。タブンネは外見から自愛に満ちた優しい性格で攻撃もあまり行わない弱い印象を持たれがちであるが、それは間違いである。
草むらで遭遇すれば、此方のポケモンへの対抗心を燃やし、逃げる事無く立ち向かってくる。そしてその能力自体も草むらに出てくる一般の野生ポケモンにしては中々の能力値を持っていのだ。
実際、可愛いと思って近付いた子供がタブンネに張り倒されて病院送りになったり、媚豚害獣殲滅だ!と意気込んでいたトレーナーがタブンネの突進を直撃してしまい、骨を砕かれ即死してしまったと言う事件も起こっている。
まあイッシュ地方においてタブンネはポケモンセンターの助手としてのイメージが強いのも事実。故にこんな事件が表沙汰になればパッシングの嵐になるのは目に見えているのでこう言ったタブンネの負の面を象徴する事件が表に出る事は決して無いのだが。
話が逸れたが目の前にタブンネが・・・見たところ10匹。群なのだろう。タブンネは並外れた聴力を持ち、それを生かして常に警戒を固めている為、群を形成されると攻め崩し難いのだ。
さて、どうしたものかと考えていると向こうから一人の人間が歩いて来た、見たところ格闘家のようだ。その男にタブンネは近付いていく。恐らく餌を求めているのだろう。逃げられると思ったのだがこれは意外だ。
ん?格闘家風の男がキレて戦闘のタブンネに攻撃をした。「ギャラクティカファントム!」何かの技なのだろうか?だがタブンネに全く効いた気配が無い。
当然だろう。タブンネはああ見えて耐久力に優れた一面がある。教育すればガブリアスの逆鱗すら耐えれるのだ。人間如きが正面から真っ向勝負して立ち向かえる相手ではない。
さっきまで友好的に餌をねだっていたタブンネ達の表情が強張る。次の瞬間タブンネ達は一斉に格闘家風の男に突進していく。
「アイゴガアアアアアア!!!」意味不明な叫び声を上げて格闘家風の男は吹き飛ばされた。あ~あ。首が圧し折れてるよ。ありゃ即死だな。
だがあの男のおかげでタブンネ達の注意があっちに向いた。その隙を突いて俺は群の長と思われるつがいの雌を捕まえ、首元にナイフを突き立てる。
群のタブンネ達はこっちに気付いて一気に近付いてくるが、状況を理解したのか、攻撃はしてこれない。
思い通りだ。タブンネは同属間の仲間意識が強く、こうして人質を取れば逆らえなくなる。
そこで俺はポケットからボールを取り出し、オーベムを呼んだ。そしてオーベムに
テレパシーでタブンネに指示を送らせた「お前達全員横になれ。少しでも動いたらコイツを殺す」と。
タブンネ達は逆らえずに皆、横になる。人質になった雌のタブンネは自分の為にそんな事は止めてと言わんばかりにミィミィ泣き叫ぶが、タブンネに仲間を捨てる非常さ等持っていなかったのだ。その甘さが命取りとなる。
俺はそこでもう一つモンスターボールを取り出し、キリキザンを呼んだ。そして横になってるタブンネの両足を片っ端から切断するように支持した。
「ミギャアアア!!」「ウビィイイイ!!」キリキザンが一太刀入れる度にタブンネの痛々しい悲鳴が上がり、鮮血が散らばる。人質となった雌のタブンネは目の前の惨状を前に涙を溢れさせている。
全てのタブンネの足を切断し終わった所で、手始めに人質となった雌のタブンネを殺す。俺はオーベムにサイコキネシスを指示した。人質となったタブンネは体が捩れ、首があり得ない方向に曲がり、そのまま果てた。
「ミィイイイいいイイイ!!!!!」タブンネ達が叫ぶ。仲間を失った悲しみと、仲間を殺めた俺たちへの怒りが篭った悲痛な叫び声だ。
タブンネ達は報復と言わんばかりに突進しようとしてくるが、動けない。当然だろう。両足が無いのだから。
陸上で移動するポケモンは足を失うと終わりだ。移動すらままならず、まともな戦闘をこなす事など出来ない。タブンネの場合は特にそうだ。タブンネは手を使ったビンタよりも足を使った突進を得意としているからな。
キリキザンに指示して後のタブンネを始末させる。キリキザンは短い手で必至に這うように進むタブンネを嘲笑うかの如く軽快な動きでそのふっくらとした体を引き裂いていった。
これで任務は完了した。さて、帰るとするか。
終
最終更新:2014年10月22日 14:19