真実の卵

あるところに一人のケーキ職人がいた。


彼の作るケーキは良質な材料を使い芸術性の高い飾りつけで老若男女のに人気が出ることは間違いなかった。
この天賦の才をもった職人は今回初めて店を持つこととなった。


いや、、、なるはずであった。

ケーキの外見、材料、味の特許を先にとられてしまったのだ。

この案は明らかに自分のオリジナル、全くかぶるということはあり得ないのだ。
しかも特許を盗ったのは向かいの店の売れないケーキ屋のオーナーだったのだ。

こんどここに店を出すのでお互いにお客様を喜ばす為に頑張りましょうと挨拶に行ったとき腕を見てみたいと言われ今回のオリジナルケーキを作ったのだ。


いくら抗議しようとも恐らく相手側は特許を盾にだんまりを通してしまうだろう

次第に若い職人はやる気をなくしてしまい、ケーキを作ることもなくなり、、その天賦の才を眠らせてしまったのだ
「よお、元気か・・・ってなんだこりゃ」


そのような悲劇が起きてから3か月、ある時職人に一人の来客が来た

「なんだ・・あんたか」

訪ねてきた彼は味の有名な評論家で辛口意見で職人をよく泣かせているがその評価は的確で美味しい店は本当に美味しいと書く
その堅実素直さに多くの読者ファンをもつ有名な評論家だ

「お前、たしか自分の店を持つといってたじゃないか」

「ああ」

「なのに店の看板は出てないし、さっき厨房をみたらホコリだらけだぞ、、ちなみに鍵は開いてたからな」

「もういいんだ・・店も・・俺も」

職人は涙ながらに今までの事実を語った

「そんなこと言っても誰も信じないだろうな・お前も・世間もな」

評論家はそれを聞いた後部屋から出ていった
そのあと下の階からガチャガチャ何か物音がする、数時間たって評論家は上へ戻ってくる



「こい」
「へ?」
「いいから下にこい」

そういいながら評論家は職人を下に連れ出した
下の厨房へ連れてこられると

「こ、これは」

厨房はホコリやチリひとつないピカピカの新品当然になっていたのだ
恐らく評論家が丹精込めて磨いたのだろう、付け焼刃の清掃ではなくプロの仕事そのものだった

「俺はよ、言葉でごちゃごちゃ言われてもわかんねーんだよ、だからお前がまずはつくれ」

いつも彼はそうなのだ
よの結果過程などではなくその先にある真実のみを求める、だからこそここまで有名になったのだろう

「ああ・・ああ!わかったここまでやってもらったんだからな、久々に最高のケーキをごちそうしてやんよ」
程なくして完成した、本来だったら彼が売るはずだった彼の作品、彼の最高傑作であるケーキが
評論家はまず形を品定めしたあと、ケーキを食す、味わうように

「・・・形は整っていて素晴らしい、装飾も丁寧で職人の魂が見える」
「味はしつこくなく甘すぎず、だからと言って主要の味が消えてるわけではない、むしろ美味しいと感じる甘さが前にでてきている・・スポンジもふわっとして良好だ」

「ありがとう」

評論家はケーキを平らげた後店を出ようとする

「おい、どこに行くんだ?」
「向かいの店だよ・・真実を見てくる」
評論家は例の店に来ていた
なるほど、内装は確かに綺麗だ
しかし見てくれだけで掃除もろくにされていないのだろう、ホコリやカビがよく目を凝らすと見える

「(普段だったらこの時点で帰るところだが・・今は目的が違う)」

評論家は例のケーキを注文する

出てきたケーキはパッと見は本物と変わらないが
装飾はブレがなどがあり玄人目には美しいとは言い難いものだった

味は・・・違った脂っこくスポンジもぐちゃぐちゃであった、余程劣悪な食材を使っているのだろう
それでも売れているのは彼のつくったレシピそのものが優秀だからだろう

「(しかしこの食材の味・・・まさか)」


彼はこれ以上は食べる気にはならずテイクアウトして職人の店に戻った
そして彼にこれを食べさせたのだ・・・

「こんな、、、俺の、、俺のケーキがこんなことになるなんて」
彼は涙した、たとえレシピを奪われても自分の考案したケーキがお客の口に入っていると考えていたからまだ救われた
しかしこれは全くの別物だ

「恐らく経費削減のために材料費を削ったんだろうな、元の材料と別のものが混入してる」
「くそっくそっ、こんな質の悪い材料つかうなんて」
「しかしこれはチャンスだぞ」
「え?¥

評論家はにやりと笑い
「任せておけって」
                • 場面変わりここは盗んだオーナー店の経理室ーーーーーー
「売れ行きは順調かね」
下品な笑いを浮かべながらオーナーが料理長に訪ねる


「ええ・・売れてはいますが・・」
どうやら料理長はあまり乗り気ではないそうだ、職人としてのプライドがそれをあまり快く思ってないそうだ

「しかし、もっとこの卵とバターの部分をアレに変えられるだろ、コスト削減を考えたまえ」
「し、しかしオーナー、あんなただ当然の劣悪な卵とバター、いや油、これ以上混入させれば味が大幅に・」
「こんなとはなんだンゴ」
オーナーはペンを料理長に投げつける

「製造コストを下げられあの素晴らしい味を客どもに知らせてやるんだ、みんな幸せになれるじゃないかンヒャヒャ」
「(あれをこれ以上お客様の口に)」
「いいか、こんど大きなプリンスホテルのイベントに我が社のケーキを注文してきてる、卵とあbじゃないバターの比率を7にしておくように、ほら早く作りに行け」

オーナーは机をけり料理長を部屋から追い出した
                          • プリンスホテル、イベント会場-------------------------
今日は世界の著名人がこのホテルに集まりパーティを開いたのだ
アイリス、カンナ、エリカ、ワタルなどもはや知らない人はこの世界にはいない人が集まるビックイベントなのだ

彼、彼女らは雑談を楽しみながらケーキを食べようとしたとき・・

「まちなー!有名人の皆さん」

有名人が口をつける前に一人の男、そうあの評論家が出てきたのだ

「ちょっとなんなのよー」
不機嫌そうなアイリスが男をにらみつけるが
「まって、彼たしか・・・味評論家の」
シキミがアイリスたちを制した
「おー俺の雑誌読んでくれる人いてくれて助かった、では評論家として言わせてもらうそのケーキは全くのまがい物だ!」

「な、何を言うんだー嘘っぱちだ。」
オーナーはゆでだこ見たく顔を真っ赤にして反論する
「では会場の皆さんそちらの目の前にあるケーキと、本物の、こっちの職人がつくったケーキを食べ比べてみてほしい」
カラカラとケーキを運ぶカートを運びながら職人が入ってきた
会場のみんなは一口ずつケーキを食べてみた






「なにこれ、職人さんのケーキのほうがはるかに美味しい」
「あのオーナーの店のケーキは、なんかべちゃべちゃしてすごくまずい」
会場ががやがやする、オーナーは慌てて場を別の話に持っていこうとするが無駄だった、さらにそこに追い風で
「申し訳ございません!」
料理長が頭を下げたのだ
「こちらの商品は全部職人さんのレシピのパクリです、さらにそこからオーナーの指示でコスト削減のため材料の質を落としました」
「食べた瞬間わかったぞ、特に卵とバターを落としているだろ」
「はい・オーナーの意向でそちらを特に変更しました、その材料は」

言いにくそうだった料理長にかわり評論家が
タブンネの卵と脂肪の油だろ」
その瞬間会場がざわめき始めた、この世で最も口にしたくない代表例ともいえる塊の劣悪な生物その卵と脂肪となってはもうたまったものではない
全員オーナーをにらみつけ囲んだ
「な、なんだお前たちは、タブンネちゃんという素晴らしい存在の卵と油のケーキはすばらし・・ンゴハ」
全部言い終わる前に会場の客の鉄拳がオーナーに食い込む、恨み憎みすべてがこもった裏拳だ
「ンゴ、ンゴ、ンゴ、ひひぃぃ許してくれ出来心だったんだ、ほら卵いくらでもやるから」
『いらねーよ』と会場全員の盛大な突っ込みをくらう

「終わったようね」
入り口から一人の女性が入ってくる
「私は政府の者です、あなたに判決を今下します」
大きく息を吸い込み
「あなたは特許と違う食材をつかった虚偽申請、あとここからが一番重いですタブンネの卵と油という危険物を人に食べさせてた、よってあなたはシャンデラー地獄の系です」
女性はボールからシャンデラーを召喚する、シャンデラーはオーナーに飛び掛かりオーナーと体が重なったと思うとオーナーの魂を取り出したのだ
「あ、あづい!いだい!やめでぐれ!おでがばるがっだ!!」
シャンデラーに魂を焼かれながるオーナー、このシャンデラーは特殊で取り込んだ生物の肉体が尽きるまで永遠と魂を業火であぶり続ける
そこに救い安息はなくとことん業火が襲い掛かるのだ
「さあ、お騒がせして申し訳ございません、ケーキは皆様の分ございます、心行くまでお食べください」
先ほどまでの騒ぎは嘘のように皆美味しいケーキに舌鼓をうつのであった

数か月後、そこには店に看板をだしケーキをつくっている職人がいるのは言うまでもない。

(おわり)
最終更新:2014年12月30日 17:48