あらすじ
『タブンネだいすきクラブ』人気ナンバー1の
ハツネちゃん。
彼女は幸せな生活を送っていたが、
ある日飲食店を経営する虐待愛好家に誘拐されてしまう。
そこでハツネちゃんはしっぽや生殖能力などいろいろなものを奪われたうえ
暴力も受け体もハートもボロボロになってしまった。
しかし、ある日脱走のチャンスを得たハツネちゃんは単身街へむかうも
途中ライチュウとキノガッサに出くわしてしまった。
はたしてハツネちゃんに待っているのは天国か?それとも生き地獄か?
う、う~ん……ここはどこなの?
目を覚ましたハツネの視界にはどこかの建物の天井が映ってたの。
「おっ、やっと目を覚ましたね。テイルさんに報告してくるよ」
そして横を向くとどこかへ向かったライチュウさんと、
本を読んでるキノガッサさんがいたの。
「ここはポケモンセンターだ。
君はずいぶんひどい目にあわされていたようだがもう大丈夫だよ。
あと今ライチュウがご主人を呼びに行ったから」
そうか、キノガッサさんたちは社長さんたちとは無関係なのね。
ハツネは助かったんだ……
そして3分位した後、人間さんたちが部屋に入ってきたの。
「やあハツネちゃん。3日も目を覚まさないから心配したよ」
えっ……?まさか……
「外傷はだいぶ癒えてきたようだな、ハツネさん」
ううっ、こんな夢みたいなことがおこるなんて……
ハツネは今でも信じられないよ、ハツネを助けてくれたのが
オーディンさんのトレーナー、テイルさんとその仲間の
ライチュウさん・キノガッサさんだったなんて……
「みんなで山ごもりの修行をしてたんだ、そしたら突然リボンつけたタブンネが
落ちてきたからオレたちビックリしたよ」
ライチュウさんがハツネを見つけてくれたときのことをお話ししてくれたよ。
偶然だったのね。
「それにしてもハツネちゃん、君はどうしてあんなところにいたんだい?
あの山で何があったか話してくれないかな?」
テイルさんが真剣な顔してハツネに聞いてきたよ。
ハツネは誘拐された時のことから覚えてることを全部話したの。
・
・
「そうか……それはつらかったね。
でも君はまだ運がよかった方のかもしれないね」
そういってテイルさんはパソコンの画面をハツネに見せたの。
そこには見るも無残な姿になった大勢のタブンネさんたちと
タブンネさんたちの前で武器をもってピースする人間さんたちの写真があったの。
あれ?このタブンネさんたちみんなしっぽがない……
それに見たことがあるタトゥーを彫られたタブンネさんもいる……まさか!
「そう、あそこで働かされた君以外のタブンネはみんな彼らに殺されたんだ。
彼らは愛護団体じゃない、タブンネ殲滅団体『タブデッド』だ!」
テイルさんは怒りながら説明してくれたよ。
「ハツネちゃんたちを誘拐した社長のような虐待派はタブンネを殺すこともあるが
まだタブンネの存在に対する感謝の気持ちがどこかにあった。
しかしタブデッドはタブンネを食べたり労働力として扱うことすら許さない。
タブンネは世界にはびこる邪悪な害獣と考えられ即殲滅すべきという危険な団体だ。
しかも彼らはタブンネだけでなく
タブンネを生かそうとする人間、ポケモンすべてを悪とみなし攻撃をすることもある。
虐待派よりもずっとタチが悪い」
でもどうしてタブンネが殲滅されなきゃいけないの?
タブンネはみんなと仲良くなりたいのに……
テイルさんの話を聞いたあとハツネはまた写真を見たよ。
殺されたタブンネさんたちはこの人間さんたちに助けてもらえると信じていたのに……
なんでこんなことになっちゃったんだろう…?
そしてピースをする人間さん、みんなとっても嬉しそ……あれ?
ハツネは写真に写っている鉄砲を持った金髪の男の人が目に留まったの。
この人どこかで……あっ!
「ハツネさん?知っている人でもいたのか?」
そうよ、この人公園でミカエルさんを撃ってハツネも殺そうとした2人組の1人よ!
「そうか、タブデッドは獲物を横取りした社長たちを恨んでいる可能性があるね。
今回のタブンネ強奪はその復讐でもあるんだろうね。」
タブデッドの存在、彼らに殺されたタブンネさんたちのことを知ったハツネは
気分が悪くなったの、だから外の空気を吸いに行こうとお部屋を出たの。
だけどハツネが屋上にいこうとしたらタブンネさんの悲鳴が聞こえたの!
気になったハツネは声のした受付の方に向かったよ。
そしたら
ナースタブンネさんがオコリザルさんに馬乗りでふくろだたきされてるの!
ドクターさんはオコリザルさんとトレーナーさんにやめさせるよう説得してるけど
「オレのオコリザルは『タブンネぶん殴りたい病』なんだ。
治す手段はとにかくタブンネをぶん殴ることだけだ。
ポケモンセンターは病気を治すとこだろ?だからこうして治療してるんだろうが!」
って言うことを聞いてくれないの。
ううっ、そんな病気なんてないよぉ。
ナースタブンネさんはお顔をいっぱい殴られてボコボコに腫れちゃってるの。
なんでタブンネにこんなひどいことができるの?
お顔が腫れちゃったタブンネをみてかわいそうに思わないの?
お願い!やめてぇぇぇぇ!!!!
「オラッ!もう10ぱつ…っ…?」
その時急にオコリザルさんの動きが止まったの。
だけどいったいどうして?
「これはサイコキネシス?いったい誰が?」
ハツネたちが周りを見渡すとそこにはが両手を前に突き出してるオーディンさんがいたの。
「ここは戦うところじゃない。
それにそんなことをしても根本的な治療にはならない」
そしてテイルさんも来てくれたよ。
「ぐぬぬぬ…タブンネの分際で調子に乗りやがって……
オコリザル!あいつにからてチョップだ!」
だけど怒ったトレーナーさんはオコリザルさんにからてチョップを指示したよ。
「フンッ!!」オコリザルさんも
ものすごいスピードでオーディンさんに向かってったの。
イヤ!オーディンさんがやられちゃう!
そのときオーディンさんは手を前に出してカベみたいなものを出し始めたの。
『バシッ』
オコリザルさんの攻撃はその壁に阻まれてあんまりダメージを与えられなかったみたい。
『バシッ バシッ バシッ』
それでもオコリザルさんはオーディンさんに何度もからてチョップを打ち込むの。
だけどオーディンさんは全然倒れないの。
リフレクターを張ってるとはいえ格闘タイプポケモンの格闘タイプの技を受けてるのに…
「私をいっぱい殴って満足しただろう。帰るんだ」
オーディンさんはオコリザルさんにそう言ったよ。
「なんでだ!オレのからてチョップは今まで何十匹ものタブンネを
ボコボコにしてきたんだ!なんでお前は倒れないんだ!」
オコリザルさんはなんだか焦りだしたよ。
「ぐぬぬぬ……何モンだあのタブンネは……ハッ!」
それを見てたトレーナーさんもテイルさんをみて何か気づいたみたい。
「ま、まさかお前は『妖精使いテイル』か!
名のあるポケモン大会では毎回優勝争いに絡んでいる……」
「その通りだ、わかったら今すぐここから帰るんだ。
さもないとオコリザルが大ケガをするぞ」
テイルさんはトレーナーさんに忠告をしたの。どういうことだろう?
「ぐあっ!ぐうっ…」
そのときオコリザルさんが手をおさえてうずくまったの。
「どうしたオコリザル!…何だその手は?」
トレーナーさんはオコリザルさんの手を診てあげたんだけど……
攻撃のしすぎで手が真っ赤になってるの。
「これ以上の攻撃はオコリザルにダメージが入ってしまう。
さあ、帰るんだ」
テイルさんがトレーナーさんにそういうと
「お、覚えてやがれ!」って言い残してトレーナーさんたちは帰っちゃった。
ハツネはポケモンバトルのことはよくわからないけど、これだけはわかったよ。
オーディンさんは他のポケモンさんとレベルが全然違うってことが……
「タブデッドが活発化してからというもの……こういった事件が増えてますね」
オーディンさんがテイルさんにそういうと
「そうだねオーディン。
だけどタブンネに暴力をふるうものを許してはおけない。
タブンネの未来は僕たちでまもっていかなくちゃね」
ってテイルさんがかえしたよ。
オーディンさんとテイルさんって素晴らしい方たちなのね。
オーディンさんたちがいる限りタブンネの未来は明るくなるよね。
「ところでハツネちゃん、君はこれからどうするんだい?」
テイルさんがハツネに聞いてくれたよ。
ハツネは……やっぱりママのところに帰りたいの。
ママはハツネにちょっと冷たかったこともあったけど
ハツネが突然いなくなったらママ心配してると思うの。
だから……
「そう言うと思ってたよ。
だから君のトレーナーに保護したことをメールで送っておいたんだ」
さすがテイルさんね、ハツネの考えてることがわかっちゃったのね。
「だけど返事が返ってこないんだ。
タブンネだいすきクラブにアクセスしてる様子もなければ
ポケモンの捜索願いも出していない。
手作りのリボンをつけたタブンネだから
捜索願いを出してればすぐに気づくはずなんだけどね」
そんな……ママどうしちゃったの?
ハツネは心配でハートがドキドキしてきたよ。
「これは可能性のひとつだけど君のトレーナーはひっそりと引っ越したかもしれない。
ハツネちゃんはネット上では有名なタブンネだ。
そんなタブンネのトレーナーともなればタブデッドから
嫌がらせを受けてるかもしれない。
だからタブデッドに見つからないよう引っ越した……」
そんな……ママの身に何かあったらどうしよう……
「心配しなくても必ず再会できるさ。
僕たちも協力するからさ。
だからそれまで僕たちの家で暮らすといい」
えっ?本当に暮らしていいの?
「な~に、うちにはポケモンがいっぱいいるからね。
一匹くらい増えたってどうってことないさ」
「オレも歓迎するよ」「これからもよろしく」「私も賛成だ」
みんな……本当にありがとう。
ハツネ、バトルはできないけど……ハツネにできることはなんでもやります。
「よし、じゃあみんな家に帰ろう」
こうしてハツネはテイルさんの家にご厄介になることになったの。
そしてハツネはママのところに帰るまでにひとつの決心をしたの。
それはオーディンさんと結婚すること。
以前のお見合いは遅刻して失敗しちゃったけど、
オーディンさんたちと暮らして、ハツネの頑張ってるところを見てもらえば
結婚できるようになるかもしれないの。
社長さんのところで体をボロボロにされちゃったけど、治してもらったんだから
しっぽももうすぐ生えてくるだろうし子供も産めるようになってるよね。
そしてもし、もしもだよ、ハツネとオーディンさんが結婚できたら
ママもきっと大喜びしてくれるはずだよね。
だってママがちょっと変わっちゃったのは
オーディンさんとのお見合いが失敗しちゃったからだもん。
お嫁さんになったハツネをみたらママどんな顔するのかな?
うふふ、とっても楽しくなってきた♪
これからのことを思って期待にあふれたハツネはようやくテイルさんの家についたよ。
とっても大きい豪邸でお部屋が何個もあるみたい。
「ここが僕の家だよ、ただいま~」
テイルさんが玄関をあけると若い女の人が迎えに来たよ。
女の人はおなかがとっても大きくなってるよ、妊娠してるみたい。
「ハツネちゃん、この方はテイルさんの奥様だよ」
ライチュウさんが教えてくれたよ。
「あら、このリボンちゃんがあなたの話してた子ね。
これからよろしくね、ハツネちゃん♪」
奥様はハツネをなでなでしながらにっこりしてくれたよ。
社長さんのなでなでとは違ってとっても暖かいの。
テイルさんのお家のみんなはとっても優しいよ。
ハツネはここならずっと頑張れそう……そう思ったの。
そのとき、奥から誰かが走ってくる足音が聞こえてきたよ。
「お帰りなさい、皆様」
その足音はタブンネさんだったの。
この家にはオーディンさん以外にもタブンネさんが住んでるのね、妹さんかな?
「ハツネさん紹介するよ、私の妻モモカだ」
オーディンさんがハツネに紹介してくれたよ、そう妻なのねって……えっ?
「いや~ハツネちゃんとお見合いした数日後、オーディンったら
ナースタブンネにメロメロになってさ~、結婚しちゃったわけだよ。
モモカちゃんはハツネちゃんが入院してたポケモンセンターで働いてたんだ。
2日前に退職して今は僕のポケモンたちの専属ドクターをしてもらってるけどね」
テイルさんが教えてくれたんだけど、ハツネは頭で理解できなかったよ。
オーディンさんが結婚していたことがとっても衝撃的で……
ハツネのハート、何だかズキズキするよ……
「あら、このタブンネ……」
モモカさんがハツネに気づいたよ。
「この子はハツネちゃんだよ。
わけあってここで預かることにしたんだ。
モモカちゃんも仲良くしてやってくれよ」
テイルさんがそういうと
「この子がハツネ……いいわ、これからよろしくね」
モモカさんも笑ってくれてたよ。
「よし、それじゃあ僕たちはリビングでミーティングをしよう。
モモカちゃんはハツネちゃんをお客様用の部屋まで案内してくれないか」
テイルさんはみんなにそう話したよ、そしたら
「テイル様、彼女は私たちの隣の部屋がいいのではないでしょうか?
ちょうど空き部屋ですし。
タブンネはタブンネ同士、近くの方が都合がいいと思いますよ」
ってテイルさんに提案したの。
ハツネのことを考えてくれるなんてモモカさんって優しいのね。
お家のなかに入ったハツネはモモカさんに連れられてお部屋に向かったの。
そして、お部屋の前についたから入ろうとしたら……
「ハツネ、あなたってオーディン様のコト好きなの?」
モモカさんが突然ハツネに聞いてきたの。
「聞いたわよ、あなた以前オーディン様とお見合いしたことがあるって。
そのときはすぐ破談になったらしいけれどね。
どうせ今回だってオーディン様とお近づきになりたいとか考えてたんでしょ?」
ううっ、何も言えないよ……
「残念ね、オーディン様が私のモノになっちゃって。
まぁあなたみたいなしっぽもなくて子供も産めない不完全なタブンネなんて
世界一のタブンネであるオーディン様とは不釣り合いもいいとこよ
まぁあなたが完全になったとしても
オーディン様は私にメロメロにされちゃったからあなたに振り向くことはないけどね」
えっ…?ハツネはポケモンセンターで治療してもらったんじゃないの?
それにどうしてモモカさんがハツネが子供を産めないこと知ってるの…?
「何不思議そうな顔してるのよ。
テイル様が言ってたでしょ、私はポケモンセンターで働いてたって。
あなたの治療に私も携わってたのよ。
そのときムチの傷とかは治してあげたけど
不妊治療としっぽの脱毛治療はやらなかったもの」
どうして、どうして治してくれなかったの?
「ポケモンセンターはどんなケガや病気も無料で治療できるところじゃないのよ。
不妊治療や脱毛治療は手術と治療費、それにトレーナーの許可が必要なの。
あなたのトレーナーはテイル様じゃないからできなかったのよ。
ケガを治してもらってここに住まわせてもらうんだから
感謝こそすれ文句を言われることはないわ」
そんな……ハツネはママと出会うまでこの体だなんて……
「そうだ、あなたに素晴らしいものを見せてあげるわ」
そういってモモカさんは自分の部屋にハツネを入れたの。
そこには赤ちゃんタブンネが3匹いたの。
みんなとってもかわいくてスヤスヤ眠っているよ。
「かわいいでしょ、私とオーディン様の子供なのよ。
3日前卵からかえったばっかりなのよ。
愛する殿方と子供を育てる……それが女の喜びよね。
ってごめんなさい、あなたはその喜びを手に入れられないのでしたわね。
だけど心配しないで、これからは私があなたの分も喜びを味わってあげるからね」
ううっ、モモカさんハツネの気持ちがわかってて言ってるよ。
ハツネはハートがとってもズキズキしてきちゃった。
「涙目になってるわよ。
まぁ今日はゆっくりお休みなさい。
明日から勝ち組の私と負け組のあなたの格の違いを思い知らせてあげるからね」
ハツネ、明日からどんなことされるんだろう……
次の日がやってきたよ。
テイルさんたちはみんなと朝食を食べた後お出かけしちゃった。
テイルさんたちはいつもトレーニングをしたり、試合に行ったりするから
基本的にずっと家にいるのは奥様とモモカさん、それにハツネだけなんだって。
みんな出て行ってる間に奥様とモモカさんはお掃除やお洗濯をするんだけど……
「奥様、お掃除ならモモカがやりますのでお子様のためにもゆっくりお休みください」
掃除機を取り出した奥様にモモカさんがそういったの。
「あら?モモカちゃんがお掃除してくれるの?優しいのね」
「奥様はお部屋でテレビでも見ててください」
そういいながらモモカさんは奥様をお部屋に連れてっちゃった。
モモカさんって奥様思いで優しいのね。
その後モモカさんが戻ってきたよ。
「ほらハツネ、さっさと掃除しなさいよ」
えっ、モモカさんがやるんじゃないの?
「あなた居候でしょ?ただで食べさせてもらう気なの?」
ハツネはお手伝い頑張ろうと思ってたよ。でも全部だなんて……
「奥様はもうすぐ子供が産まれるのよ、何かあったら責任とれるの?
それに私も子供の世話や帰った後のみんなのチェックで忙しいの」
こうしてハツネはおうちの掃除をすることになったの……
テイルさんのお家は広いから掃除機かけて雑巾がけなんてハツネだけでできないよぉ。
だけど、ハツネはみんなのために一生懸命お掃除したよ。
そして、ハツネが階段を雑巾がけしてるとき、モモカさんが様子を見に来たの。
「ハツネ、そこ汚れてるわよ」
ううっ、モモカさんも手伝ってよぉ。
ハツネはモモカさんにお願いしたの。
「あなた自分の立場が分かってないようね、教えてあげる」
『ドン』
ガガガガガッ ドン!
キャアアアアッ!!
モモカさんはハツネを突き飛ばしたの。
階段を頭から落ちちゃったから痛いよぉ。
「どうしたの?何か大きな音がしたけど大丈夫?」
奥様が様子を見に来たよ。
「ハツネちゃんったら短い足で階段をのぼろうとしたから転んじゃったんですよ。
奥様はこんな居候気にせずお部屋でお休みください」
モモカさんは両手からいやしのはどうを出しながら奥様に言ったよ。
「モモカちゃんがハツネちゃんを治してくれるのね?
じゃあよろしくね」
奥様はお部屋に戻っていっちゃった……
「テイル様も奥様も優しいからあなたがちょっと失敗したくらいじゃ怒らないけど、
何度も続いたら追い出されるでしょうね」
ううっ、モモカさんひどいよ……
「何よその目は?イヤなら出ていけばいいじゃない。
まあタブデッドに見つかって殺されるのがオチでしょうけどね。
安全なこの家にいたかったら私のいうことをよ~~く聞くこと、分かった?」
そう言い残してモモカさんもお部屋に戻って行っちゃった。
ハツネのケガ治してよぉ。
そしてその日の夜、とっても疲れたハツネは眠ろうとしたの。
そしたら……
「ああっ、オーディン様!!
モモカを!モモカをもっと愛してください!!」
ううっ、聞きたくないよぉ。
ハートがズキズキして痛いよぉ。
テイルさんの家に住んで1か月がたったよ。
テイルさんも奥様もオーディンさん達もみんなとっても優しいし、
毎日新鮮でおいしいきのみやお料理を食べさせてくれるんだけど……
今までとは違った痛みをハートに感じるの。
そんな痛みを感じながら今日もお掃除をしてたらモモカさんが話しかけてきたの。
「ハツネ、ちょっとトレーニング室まで付き合いなさい」
ハツネはモモカさんに連れられて地下のトレーニング室に行ったよ。
そこはオーディンさんたちが自主練をするところで
ポケモンバトルもできる広いお部屋なの。
ハツネたちがお部屋に入るとそこでは
子供たちは的に向かって光の玉を撃ってたの。
「すごいでしょ、この子たち生まれた時からめざめるパワーが撃てるのよ。
これもオーディン様の血をひいた特別なこの子たちだからできることね」
モモカさんはハツネに誇らしげに説明するの。
ハツネ、自慢話なんて聞きたくないよ。
「だけど今はタブデッドがいて物騒だからね、この子たちも護身位できないといけないの。
オーディン様やテイル様たちの目が届かないところで襲われる可能性だってあるし。
だからその時に備えて今日から鍛えることにしたのよ」
こんな小さいうちから戦わなきゃいけないなんてとってもかわいそうね。
「というわけでハツネ、あなたは今からこの部屋を逃げ回りなさい。
この子たちはあなたにむかってめざめるパワーを撃つから」
えっ?的があるのになんでハツネが撃たれなきゃいけないの?
「あなた敵は動くのよ、動かない敵にあてられたって何の意味もないでしょ。
さあみんな、あのオバサンにめざめるパワーよ!」
「はあっ!」「え~い!」「や~~~っ!」
子供たちがハツネに向かって撃ってきたよ、とにかく避けなきゃ!
ハツネはとにかくお部屋のなかを走り回って子供たちの攻撃を避けたよ。
だけど、3匹もいるからかわすのが大変…… 『バン』
ううっ、当たっちゃったよぉ。
何かハツネの嫌いな痛みがするよぉ。
「あら?お兄ちゃんはお父様とおんなじ格闘タイプのパワーを持ってるのね♪
将来はお父様みたいな立派な戦士になれるわね。」
お兄ちゃんはモモカさんに褒められてとっても嬉しそうだよ。
だけどハツネは痛いよ……
「さあ、お姉ちゃんとぼうやも頑張るのよ~~」
「えい!えい!」「や~っ!や~っ!」
お姉ちゃんとぼうやもハツネにめざめるパワーをいっぱい撃ってくるよ。
もう痛いのはイヤだよ、どうしたら……
そうだ!お父さんから教わったおまじないをしなきゃ!
天使さん……ハツネを護ってください……
天にお祈りをすれば大ケガしなくてすむはずなんだけど……
「ほら、オバサンの動きをよく見て撃つのよ!」
「はあっ!」「えいえいえ~い!」「や~っ!」
みんなのめざめるパワーはいつまでも止まらなくて
かわしきれなかったハツネはいっぱい受けちゃったの。
『バン』痛いよ、『パチッ』お願い、『ゴン』もうやめ…… バタッ
もうダメ、立てなくなっちゃった……
おまじないをしてもこんなに攻撃されたら耐えられないよ。
「さあ、みんなよく頑張ったわね。
私が体を洗ってあげるからみんなでお風呂に入りましょう。
明日からも頑張って練習しましょうね~♪」
これから毎日子供たちの的にされるなんて嫌だよぉ。
なんでハツネはこんな目に合わなきゃいけないの?
そして次の日ハツネはまたトレーニング室に呼び出されたの。
子供たちのめざめるパワーはまだスピードもないし一発の威力も低いんだけど
逃げ回るのも疲れるし痛いのも嫌だしどうしたらいいの?
「さあ、今日もめざめるパワーの練習よ。
まずはお兄ちゃん、あのオバサンに撃ちなさい」
そういわれたお兄ちゃんはめざめるパワーを出してハツネに撃ってきた…… 『バン!』
えっ?スピードが全然違う……それに何倍も威力があがってるよ?
「まぁお兄ちゃんったら一日ですごい
レベルアップしたわね。
この調子なら本当にお父様みたいな戦士になれるわ!
さあ、お姉ちゃんたちもはやく撃つのよ!」
ちょっと待って、体が痛いよ、休ませ……『バチッ!』『ゴガァン!』「バン!」
・
・
ううっ、今日も倒れちゃったよぉ。
「昨日の半分以下の弾数でオバサンを倒せるようになるなんてみんなすごいわ!
一撃で倒せるようになったらお父様たちとトレーニングするようにしましょう!」
「はい」「わかりましたおかあさま」「おとうさまにぼくのパワーをみてもらいたいよぉ」
子供たちは強くなった自分に大喜びしているよ。
「さあ、今日はお父様たちが早く帰ってくるから
トレーニングはおしまいにしましょう。
午後からタブンネ愛護団体の方たちがみえますからね。
ハツネ、あなたはちゃんとここ掃除してから部屋に戻りなさいよ」
そういってみんなお部屋を出て行っちゃった……
体中からいろんなダメージがして痛いし
ハツネのハート今日もボロボロになっちゃった……
はやくママのところに帰りたいよぉ。
お掃除が終わってハツネはリビングに行ったよ。
そこではテイルさんがタブンネ愛護団体の副支部長さん、ドクターさん、保育士さんと
お話をしていたの。
「タブデッドの活躍によりタブンネの数は減少の一途をたどっています。
そのうえ人間にも危害を加えるから
愛護団体を脱退するメンバーも日に日に増えているんです」
「あなたに解決してもらったオコリザルの暴行事件。
実は最近各地で患者や人間によるナースタブンネ暴行事件が急激に増えているんです。
おかげで他者をおそれてナースができなくなったタブンネが増えているんです。
いやしのこころをもつ天使である彼女たちがなぜこんな目にあわなきゃいけないんだ!」
「うちの保育園ではタブンネちゃんとお遊戯をしたり遊んだりしているんです。
ところが先日子供たちがタブンネちゃんをほうきでめった打ちにしていたんです。
理由をきくと『タブンネはほかのポケモンのきのみをうばったり
よわいものいじめをするガイジュウだからやっつけてやるんだ!』って……
タブンネちゃんはそんなことするようなポケモンじゃないのに……
タブンネちゃんを大好きだった子供たちがタブンネちゃんを嫌うのが悲しくて悲しくて…」
ハツネも悲しいよ、タブンネが人間さんに嫌われちゃうなんて……
タブンネは大好きなみんなのために
一生懸命がんばれるポケモンなのになんで嫌われるの?
「支部長はタブンネでハンマー投げごっこをしていた大学生達ともめたすえ
ケガをさせてしまい、逮捕されました。
もう希望はテイルさん、あなただけなんです!
どうか我々のため、何よりタブンネのために力を貸してください!」
副支部長さんは土下座をしてテイルさんにお願いしたよ。
副支部長さん、わかりましたから土下座はやめてください。
私もタブンネを愛する者として協力しますよ」
テイルさんは副支部長さんにそういったよ、ハツネはそういうと思ってたよ。
「ありがとうございますテイルさん、では早速明日愛護団体に来てください。
身の守り方や逃げ方などいろいろご教授してほしいのです」
「わかりました、できる限り協力しますよ」
「ご主人、私も仲間たちのため戦いたい。同行させてください」
そのときオーディンさんがテイルさんに話しかけたよ。
「オーディンの気持ちはわかる、だけどタブデッド関係はオーディンを連れて行かないよ」
テイルさんはオーディンさんの頼みを断ったの。
「相手はタブンネ殲滅に特化した連中だ、オーディンは強いとはいえ危険すぎる。
君は家で家族とハツネちゃんを護ってくれないか」
「わ、わかりました……」
オーディンさんは手を握ってふるえてたよ、すごく戦いたかったのね……
翌日、テイルさんは愛護団体に出かける時間がきたの。
「妻は出産をひかえ入院しているから家には君たちしかいない。
知らない人や怪しい人が訪ねてきても無視するんだよ」
テイルさんはハツネたちにそう注意したよ。
「家とみんなはお任せください」「タブデッドなんかにやられませんわ」
「よし、じゃあ行ってくるよ」
テイルさんは行っちゃった……
「私は地下でトレーニングをしてくる」
オーディンさんはそういってトレーニング室へ行ったの。
「私もお供しますわ」「ぼくたちもいきます」
モモカさんと子供たちもトレーニング室へ行っちゃった……
ハツネはお洗濯しようっと。
ハツネは2階のベランダで洗濯物を干してたの。
そしたらハツネを呼ぶ声が聞こえてきたの。
「お~い、きみ~~」
下を見たら副支部長さんが来ていたの。
「忘れ物をしちゃったんだ、用がすんだらすぐ帰るから入れてくれませんか?」
副支部長さんはハツネにそうお願いしたの。
テイルさんは知らない人や怪しい人は入れちゃダメって言ってたけど、
副支部長さんはタブンネの味方だから怪しくないよね。
だからハツネはドアを開けてあげたの。
忘れ物ってなんですか?ハツネも一緒に探しますよ?
ハツネは副支部長さんにそういったの。
「君も手伝ってくれるのかい?
私の忘れ物はねぇ………『君たちの命』ですよ!!」
えっ?どうして副支部長さんが……?嘘……でしょ?
「私は愛護団体に所属をしていることは事実ですよ。
だがそれはスパイ活動のためで本当はタブデッドのメンバーなんですよ」
そう言いながら副支部長さんはモンスターボールを取り出したの。
だれか、誰か助けて……
そう思いながら逃げたハツネは気づいたらトレーニング室の前にいたの。
オーディンさんならきっと助けてくれると思ったからね。
そしてドアを開けたよ。
「ハツネちゃん?どうした……ってなんで人をいれてるのよ!」
モモカさんが青ざめてるよ。
ううっ、だって……
「おや、ここにみなさんいましたか……
この部屋は出入り口がここしかないし逃げられませんねぇ」
副支部長さんはニヤニヤしながらモンスターボールをいじってるの。
「戦うときが……きたか」
オーディンさんは前に出て副支部長さんのところへ行ったの。
「私と戦うおつもりですか……他人任せの愛護団体と違ってあなたは
立派なタブンネですねぇ。
まあ自分じゃ何にもできない非力で無能な糞豚を愛護する連中です。
タブンネに親近感を覚えるのでしょうねぇ。
それだけにあなたのトレーナーテイルさんは残念ですよ。
あれほどの力を持っていながらなぜタブンネなんかを育てるのか?」
「タブンネを、ご主人を、タブンネを愛する人をバカにするな!!」
オーディンさんが大声を出して怒ってるよ。
「怒っちゃいましたか。
まあテイルさんにもタブンネを育ててしまったことを後悔してもらいましょう。
家に帰ったらあなたたち6匹が死んでいる……
テイルさんと彼をを希望としている愛護団体とタブンネは
そのことを知ったらどんな顔をするか想像するだけで興奮してきますよ」
そう言ったあと副支部長さんはコジョンドさんをボールから出したの。
コジョンドさんに対してオーディンさんは
手をかざしてリフレクターを張ろうとしたよ。
でも、 パン!
オーディンさんはお顔を殴られて壁までとんじゃったの!
「ほう……その程度しかくらわないとはさすがに鍛えてありますねぇ。
今までのタブンネとは一味も二味も違いますよ」
副支部長さんは感心したようにしゃべってるよ。
それに対しオーディンさんは無言でリフレクターを張ってるよ。
「リフレクターですか……ですが無駄なことです。
コジョンド、はどうだんですよ!」
指示をうけたコジョンドさんは両手を構えて大きな球を出したの!
その球は猛スピードでオーディンさんに当たっちゃった!
『ドガァァァン!!』
爆発してオーディンさんは煙の中にいるよ……コジョンドさん強いよ……
「これがテイルのタブンネか……口ほどにもない」
「あなたは物理攻撃には耐性がありますが、特殊攻撃はそうでもありません。
あなたのために苦労して覚えさせ……なんですと?」
煙がはれてきてオーディンさんの姿が見えたよ。
ケガをしてるけど無事みたい、リフレクターが守ってくれたのね。
「なぜだ?リフレクターではどうだんは防げないはずだ……
お前はひかりのかべは使えないのにどうして……」
コジョンドさんは不思議そうな顔をしているよ。
「この私もあなたたちと戦ってるのよ」
そのときモモカさんが前に出たの、モモカさんからもカベができてるよ。
「なるほどな、お前のひかりのかべであいつを守ったということか…」
「横槍を入れるとは……忌々しい害獣めがぁ」
「オーディン様、これはタブンネとタブデッドの戦いです。
みんなのパワーを合わせて戦いましょう」
モモカさんがオーディンさんのところに駆けつけてそう言ったの。
「ありがとうモモカ、サポートをたのむぞ」
オーディンさんも立ち上がってサイコキネシスの構えをしたよ。
コジョンドさんはサイコキネシスが苦手だからこれで倒せるのね。
「タブンネごときのサイコキネシスでこの私が倒れるものか」
そういってコジョンドさんはガードの構えをとったよ。
「それはどうかな?タブンネだってやればできるんだ」
オーディンさんはパワーをためているよ。
「私のパワーもオーディン様に捧げますわ」
モモカさんはパワーをオーディンさんにプレゼントしているよ。
「そういえばタブンネはてだすけが得意でしたね。
だけどそんなゴミのパワーが加わったところで私のコジョンドは倒せませんよ」
そんな……それでもダメだなんて…
「ぼくたちもたたかうよ!」
そのとき子供たちもオーディンさんにパワーをプレゼントしたの。
「何!こいつらもてだすけが使えるのか!」
副支部長さんが急に焦りだしたよ。
「てだすけは協力者が多いほど効果が増すんだ。
くらうがいい!私たちの絆がつくりあげたサイコキネシスを!!」
オーディンさんのパワーチャージが終わったみたい。
「くそぉぉぉぉ!!害獣タブンネがぁぁぁぁ!!」
『パン』
バタッ
「モモカ?モモカしっかりしろ!」
何か音がしたと思ったらモモカさんが肩から血を流して倒れているの。
いったいどうして?
「コジョンドの決闘に割り込んだのはそっちが最初だ。
文句はねえだろ?」
ドアのほうから声がしたから見てみると
そこにはハツネを襲った金髪のガンマンさん、バチュルさんを肩に乗せたおじさん、
そしてフードをかぶった人がいたの。
この人たちもタブデッドのメンバーさんなの?
「おお皆様、来てくださいましたか」
副支部長さんがみんなのところに行くよ。
「タブデッドのルール、単独でタブンネを殲滅しない、忘れるな。
それにテイルのオーディンは俺が倒すと言っておいたはずだ」
おじさんが副支部長さんに怒ってるよ。
「申し訳ありませんリード先生!」
副支部長さんが何度も頭をさげてるの、リードさんって偉い人なのかな?
「まあいい、オーディンは俺にやらせろ」
そう言ってリードさんはオーディンさんのところに行ったよ。
「2週間ぶりだなオーディン、今からお前は俺のポケモンと1対1の勝負をしてもらう」
2週間ぶりってことはオーディンさんとリードさんは知り合いなの?
「リードとはポケモン大会で何度か対戦したことがある。
前回は我々が勝利したが……」
「ガンマたちが邪魔するんじゃないかって思ってるのか?
こいつらに邪魔はさせないさ、純粋なポケモンバトルだ。
そうでなきゃお前への借りは返せないからな。
コジョンド、お前はギャラリーを見張ってろ、動くようなら首をふっとばしてやれ」
指示を受けたコジョンドさんはハツネたちをするどい目で監視してるの……
「1対1のポケモンバトル、だが俺はポケモンに指示はしない。
対等な条件だろ?それとお前が勝ったらみんな引き上げさせてやる。」
「ああ、受けてたとう。また私が勝ってみせる、モモカのためにもな。」
オーディンさん、すごく気合いが入ってるよ。
「調子に乗っているな、確かにお前は強い。
だが、お前はその強さと活躍ゆえに致命的な弱点を持ってしまった」
そう言ってリードさんはボールからポケモンを出したよ。
格闘ポケモンすら恐れないオーディンさんの弱点って何だろう?
リードさんが出したポケモンは子供のヤミラミさんだったの。
こんな子供がオーディンさんの弱点なの……?
「その手できたか……」
オーディンさんはヤミラミさん相手にどうすればいいか悩んでるみたい。
どうして子供のヤミラミさんが弱点なの?
「お前の弱点は有名になりすぎてしまい、情報が集められることだ。
お前の戦術はリフレクターで防御を固めたうえでサイコキネシス、格闘のめざめるパワー
そしてとっておきの攻撃を乱発するものだ。
その戦術の対抗策としてヤミラミを出せばお前の攻撃はすべて無効化されるのだ」
そんな、オーディンさんの攻撃が通用しないなんて…
「もう一ついっておくがこのヤミラミは産まれたばかりで今回が初バトルだ。
毎日厳しいトレーニングを積んできたお前にこれ以上ない屈辱を与えてやる」
「初バトルならば私にまだ勝機はある!リフレクター!」
オーディンさんはリフレクターを張ったよ。
声のトーンも大きかったし対抗策が見つかったのね。
「ヤミラミの攻撃をとにかく耐え抜き、ヤミラミ自身の疲労を狙う持久戦狙いか。
うまくいくといいな」
リードさんはもう勝ちを確信しているよ、オーディンさんがんばって!
ヤミラミさんは飛び上がってオーディンさんにパンチをしたよ。
だけどオーディンさんにそんなものは通用しな……
『ドンッ!』
えっ?とっても痛そうな音がしたよ?
どうして子供にあんなパワーがあるの?
『ドンッ!』『バキッ!』『ドゴッ!』『バゴッ!』
「ぐっ、なぜヤミラミにこんなパワーが……」
オーディンさんはヤミラミさんにいっぱい殴られちゃってるよ。
「このヤミラミは相手のパワーを利用したイカサマ攻撃が得意技なんだ。
どうだ?鍛え上げた自分のパワーは?」
リードさんが嬉しそうにオーディンさんに説明してるよ。
「おとうさま!」「おとうさまをいじめないで~!」「おとうさま~!おとうさま~!」
子供たちもオーディンさんがやられてるのをみて泣いてるよ。
あのオーディンさんが一方的にやられるところなんてハツネも見たくないよ。
「私は負けない、モモカの、子供たちの、すべてのタブンネの、ためにも……」
オーディンさんは立ち上がるけど、体中真っ赤になって息もあがってもう限界みたい……
『パリン』
あっ、リフレクターがなくなっちゃった!
「とどめだヤミラミ!」
『ドゴッ!!』
・
・
鈍い音の後ハツネたちの目に飛び込んだのは
あおむけで倒れているオーディンさんだったの。
オーディンさんがあんな小さい子に手も足も出ずに負けちゃうなんて……
「よくやったヤミラミ、期待以上だったぞ」
リードさんはそういってヤミラミさんをボールに戻したの。
「ポケモンバトルはこれで終了、次は処刑の時間だ」
「おとうさま~!!おかあさま~!!めをさまして~!!」
子供たちが大声で泣いているよ、
ハツネも涙が止まらないよ……
『パン』
だけどハツネたちは悲しむことすら許されないみたい。
「ミーミーうるせぇよクソガキどもが!
脳味噌ぶちまかれたくなかったら黙ってオヤジどもを見てろ!」
ガンマさんが銃を子供たちに向けながら怒ってるよ……
そんなやりとりをしてる間にリードさんはオーディンさんのところへ行ったの。
「無様な姿だなオーディン。
何の努力もしてない子供に手も足も出ずやられる気分はどうだ?
これ以上ない屈辱だろう」
リードさんは倒れたオーディンさんの顔を指でツンツンしながら話しかけてるよ。
『ガキッ!』
その時何か固い物が当たったような音がしたから見てみると
オーディンさんがリードさんの指に噛みついてるの。
あんな体になってもみんなを守るため戦うなんて……
「何だ腹が減ったのか?だからといってタブンネ殲滅用の金属入りグローブを
食うことはないだろう」
「がっ……」
だけどリードさんは何ともなくて逆にオーディンさんは歯が何本か折れちゃったみたい。
「そんなに腹が減ってるなら最後の晩餐としてたらふく食わせてやるよ。
お前の大好きなヤツをな。
おい、アレの準備をしろ!」
リードさんが指示をすると副支部長さんたちバッグからいろんな部品を取り出して
それを組み立ててるよ。
何を作ってるんだろう?
「さてと……」
その間リードさんはモモカさんのところへ行ってナイフでしっぽを切ったの。
そしてそのしっぽを持ったままオーディンさんのところへ行ったの。
「ほらよ、まずはオードブルだ」
そう言ってリードさんはオーディンさんの口にモモカさんのしっぽを押し込んだの!
「フーーッ!フーーッ!」
オーディンさんは苦しそうにしてるけど手が動かせないから取り出せないでもがいてるよ。
「そんなに嬉しいか。お前の大好きな妻が食べられて。」
大好きって……まさかオーディンさんにモモカさんを食べさせる気なの?
愛するポケモンさんを食べるなんて誰もやらないよ……
何でこんなひどいことが思いつけて、そして笑いながら実行できるの?
オーディンさんが嫌がっているのがわからないの?
最終更新:2015年01月03日 00:50