ここはジョウト地方のバトルフロンティア。この施設は腕に覚えのあるポケモントレーナーが集まる施設である。
ここには昼夜問わず、ポケモンバトルが繰り広げられているのだ。今日の物語はここから始まる。
ここはバトルフロンティアの施設の一つ、バトルタワー。シングルバトルを極めようとするものが挑む場所である。
そして内部では一つの決着がつこうとしていた。
「いけ!カイリキー!爆裂パンチだぁっ!」
カイリキーは頷き…眼前にたたずむ巨大なポケモン…レジギガスに殴りかかる。
このレジギガスは本来なら調子が戻っているはずなのだが…マヒしていたのか迎撃を行うことは叶わなかった。
「…爆裂パンチだと!まさか!ガブリアスとサンダースはそのための布石…!」
カイリキーの鉄拳がレジギガスの胴体にめり込み、体力と意思の両方を打ち砕く!
巨神は崩れ落ちモンスターボールに戻っていったところで実況者がたからかに叫ぶ
「ゲームセット!意外や意外!勝者…ユウセイ!」
名前の主、ユウセイには言葉には出さなかったが疲れと歓喜の表情がが表れている。
カイリキーは倒れた仲間の分も合わせるるように叫んでいた。
「いい戦いだった、また戦える日を楽しみにしている!」
タワータイクーンはそういうと固い握手をして、ユウセイはポイントを係員にチャージしてもらった後
タワーを後にした。バトルフロンティアでは勝ちぬくとポイントが手に入るのだ。
彼の活躍を見ていたのか多くの群衆の視線を気にすることなく彼は即座に露天に向かい、開口一番。
「技マシン28とポイントを交換したいんだけど在庫はあるかな?」
「ありますよ。確認のためレコーダーをお渡しください。」
店員はユウセイからレコーダーを受け取った後確認すると、それを返す。
「景品の技マシンです。大切にしてくださいね。」
店員から技マシンを受け取ってバトルフロンティアから出ようとしたそのときである。
「こいつっ!二度ならずとも三度までしくじりやがって!何でお前は何時もそうなんだよッ!」
「ダブっ!ダブ…!ダブタブぅ!」
トレーナーとタブンネが取っ組み合いになっているようだ。
恐らく、バトルフロンティアで負けたのだろう。会話の内容からして一度だけではなさそうだ。
「(面倒なことになりそうだし、さっさと行くか。)」
ユウセイは早めに立ち去ろうとしたが、気付いたトレーナーが即座に呼びとめる。
「おい、あんた、ユウセイじゃないのか!」
「(適当にあしらっとくか)そうだけど、帰りの船に間に合わないからまたな。」
「そんなこと言わずに!頼みがあるんだ!あたしのタブンネを鍛えてほしいんだ!」
「冗談を言うのはいい加減にしやがれ!俺はそんな無益なことはしたくねぇんだよっ!」
その言葉を聞きタブンネは泣き崩れた。自分達は救いようのないクズと宣告されたのだ。
先ほど試合にも負け…しかも腕利きのトレーナーにそう言われてしまったのではもうおしまいである。
ユウセイはさっさと立ち去ろうとするがトレーナーはあきらめずに食い下がる。
「頼むよ…このとおりだよ…!こいつはずっと一緒だったから何とかしてやりたいんだよ…」
もう後には引けなくなったのかトレーナーが必死に土下座までして頼み込む。
だが、タブンネはもともと戦闘用ではないポケモン。自然界では多くのポケモンに捕食されるだけで、
情けなく、頼りなく、媚びることしかできない上、長所と言えばゴキブリ並みの繁殖力だけ。
トレーナーをやってるにも関わらず当たり前の現実を見ようと事にユウセイは憤慨する。
「しらねぇよそんなこと!あんな媚びることしか知らない奴を育てる義務も権利も俺にはない!負けたことは
自業自得だ!」
「そうかよぉ…ならもういいよ…あんたなんかの頼もうとしたのが間違いだったんだ!」
彼女の依頼を断りユウセイは駆け足で何時の間にか集まってきた野次馬を押しのけ、自宅のあるヒウンに帰るため港に向かった。
一方、彼女とタブンネは自分達のやってきたことを勝負によって否定され、すがろうとしたものに否定された悲しみで泣き叫んだ。
だが、これで終わらない、終わるはずもない。一ヶ月後に彼と彼女はまた会うことになるのだ。
一話 終
おまけ
タブンネ「オボン頂戴ミィ!すぐでいいみぃ!」
デスカーン「しょうがねぇなぁ…ほらやるぞー。」
タブンネ「物分かりがいいみぃ…ごぼっ!げぼっごぼっ!」
デスカーン「ふぅーっ!(一服盛るのは)気持ちいーっ!ほらもっとおいしそうに食べろよー!」
最終更新:2015年02月18日 17:09