第2話 「異界の使い魔」






 ブロントと名乗った耳長の亜人は目前の二人に聞いた。
「俺はジュノ大公国北東のクひィム島でキングベヒんもスと戦っていたんだが。どこだここ?」
 独特な韻を持つ訛りがあったが、内容が聞き取れない訳ではなかった。
 質問された二人には「ジュノ大公国」や「クフィム島」がどこか地方を指す固有名詞だと想像ができたが、
 歴史の科目が得意であったルイズや教師であるコルベールでさえも聞いた事が無い地名であった。
 「島」はともかくとしても、「大公国」と名が付けられる程の国家を地図から見逃すはずが無い。
 可能性があるとすればエルフが住む地より遠く東方のロバ・アル・カイリエ周辺に、その様な国家があるのかもしれない。
 「戦っていた」と聞いてこの召喚された使い魔が衛兵かまたは傭兵の様な風貌をしている事に多少は納得がいった。
 もっとも二人には「きんぐべひんもす」とは何か軍団名なのか、誰かの名前かは分からなかったが、
 目の前の亜人はエルフの軍人の類であろうと想像した。
 ただでさえエルフの事はあまり細かい部分までは知られてはいなかったので、
 研究好きなコルベールにとっては興味が尽きないことばかりであった。

「ここはトリステイン王国のトリステイン魔法学院です。ジュノ大公国ですか・・・聞いた事がない地名ですね。ああ、申し遅れました私はジャン・コルベールと言う者でこちらの学院で教鞭を取っています。」
「トリステイン?俺の知っている地名には何も無いな。」
 ブロントは冒険者としてヴァナ・ディールの様々な場所を訪れた事はあったが、トリステインは初めて聞く名詞であった。
 とはいえ、日ごろから『旋流する渦』や『禁断の口』等に突如吸い込まれ、
 遠地、異世界、更には裏世界や過去世界にも訪れた事があったため、別段驚きはしなかった。
 魔法学院と言われ、ブロントは改めてルイズの服装を観察した。
 どことなくシュルツ流軍学塾生の制服に似ているような気もした。
「ええ、このミス・ヴァリエールの使い魔として、貴方は『サモン・サーヴァント』と言う魔法によってここに召喚されたのです。」
 コルベールは続けて説明し、ルイズを指差した。
「『使い魔』?何だ俺はペットのようなものか?獣使いにはみえないようだが。」
「ぺ、ペットぉ!?」
 端麗な顔立ちをした青年の口からさらっとでた言葉で、ルイズはバカ犬の様に振舞うブロントの姿想像して、
 顔を真っ赤にして俯いてしまった。
 その間ブロントは獣使いの仲間である一人のことを思い出していた。
 毎日違うモンスターを引き連れており、いつも強烈な臭いがする汁を入れた瓶を持ち歩いていた。
 彼に染み付いた臭いが嫌がられたのかあまり人との付き合いに関して運がある奴ではなかったが、
 獣使いの彼が呼ぶと、如何なる場所であっても、主人の下に現れる籠付きのカニにはブロントも一目置いていた。
 過去であろうと、裏世界であろうと、主人の下に馳せ参じるカニに、
 ブロントは自分の中にある騎士道精神に通じる物があると感じ取っていた。

「いえいえ、使い魔とは召喚したメイジと生涯を共にする大事なパートナーとなる存在です。ここトリステイン魔法学院では代々伝わる『使い魔の儀式』と言うものがありまして、各生徒の魔法の傾向を見るためにも毎年春になりますと、生徒達は『サモン・サーヴァント』により召喚した生き物と使い魔の契約を交わさなければいけない決まりなのです。突然呼び出され不本意かもしれませんがミス・ヴァリエールと契約していただいてくれませんか?」
 ブロントは生涯をかける契約と聞かされても、別段気にはならなかった。
 すでにサラヒム傭兵派遣会社に命を丸ごと投げ捨てる契約を交わしていたり、
 自分でも良く覚え切れないほど様々な所で契約していたような気もする。
 交わすだけであれば、契約はとりあえずどんどんが交わしておくのが冒険者の常であった。
 冒険者としての行動が束縛されなければ、誰の下に属しようがあまり関係の無いことだった。
 それよりもブロントにとって気になる点があった。

「『サモん・サッヴぁんト』で召喚したと言ったが元いた所に戻る事はできにいのか?」
 新天地を冒険するために、ここに残る事はやぶさかではなかった。
 しかし、ベヒーモスの縄張りの雪土に挿したままで、まだ拾っていない長年共にしてきた愛剣のグラットンソードの事が気になった。
 なによりも現在持っている武器は、厳密に武器と呼べるか怪しい、左手にある盾しかなかった。
 『盾』の役目を最大限に引き出すためには、『武器』が無くてはなんとも心許なかった。
 一方、ルイズはせっかく呼んだ使い魔が「帰る」と仄めかす事をいい始めたので、内心焦った。
「ちょっと!せっかく召喚したのにあなたにいなくなられたら困る!」
 と騒いだがコルベールはルイズを諌め、話を続けた。
「残念ですが『サモン・サーヴァント』で使い魔は呼び出すことはできても、送り返す事はできないのです。ジュノ大公国でしたでしょうか?聞いた覚えがない国ですが、遠い東方のエルフの地であれば、ここトリスタニアからすぐに戻る事は難しいでしょう。代わりと言ってはなんですが、当面の衣食住は貴方の主人となるミス・ヴァリエールが負担しますので、とりあえず契約をしていただけませんか?このまま宛ても無く戻る旅をするよりも、足掛かりの拠点を作る事が貴方にとっても良いと思うのですが。」
 流石のブロントでも武器も持たずに新天地を冒険する気にはならなかった。
 ジュノ大公国が知られていないのであれば、手持ちのギル通貨は使えないのだろう、
 となると武器を調達する事も容易ではないので、この提案はブロントにとっても都合は良い内容ではあった。
 ブロントは、ふと自分のかばんの中に羊皮紙に『デジョン』の魔法が込められた呪符が入っていることを思い出した。
 丸めた羊皮紙を取りだしたブロントに「なんですかな?」と聞いてきたコルベールを余所目に、
 呪符に込められた魔法を開放して<デジョン>を自分に掛けた。
 途端、ブロントは低く響き渡る音を立てながら、インクの塊の様なオーラに包まれて消えた様に見えた。
 が、すぐまたサモン・ゲートが先ほどまであったその場にまた現れた。

「い、今一体何したの!?」
「今確認したが確かにすぐには戻れないようだが」
 魔法を開放し、使い物にならなくなった羊皮紙を再び丸めてかばんの中に押し込みながら、しれっとブロントは言った。
 まさかこの使い魔が、ハルケギニアにまた戻れる保証も無いのに、取りあえずデジョンで帰ろうとした、とはルイズは気付いていなかった。
 自分の位置を把握するための先住魔法か何かだろうとコルベールとルイズは思っていた。

「してもいいぞその使い魔の契約」
 ブロントが淡々と告げた。
 その言葉を聞いたルイズは、これで学院の退学、と言う誉れ高きヴァリエール家にとっての最大の恥となる最悪の事態は免れた事に安心して、ほっと息を吐いた。
 が、すぐに自分の姿を思い起こし慌てて貴族としての毅然とした態度を取って、手にした杖を振りかざしながら朗々と呪文を唱え始めた。
「――我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我が使い魔と成せ!」 
 そう唱え終わった後、ルイズは毅然とそびえたつ200サントはある自分の使い魔を見上げ、
 爪先立ちしてみても、ちっとも埋まる気配のない距離の遠さに絶望しながら、
 聞こえるか聞こえないか程小さく拗ねた声で、
「・・・ちょっと・・・跪きなさいよ・・・」
 と地面を指差す。
「ほう」
 騎士の『肩打ち』のような事でもするのだろう、とブロントは思い、祈るような姿勢で片膝を付いた。
 ようやく自分の顔が届く高さとなり、間近に真っ直ぐな眼で見つめてくるブロントの視線を受け、
 ルイズはこれからする事を想像したらボンッ!と頭から湯気がでる気持ちになり、顔を真っ赤にした。
 ブロントの顔は「美形」の部類に入る方である。エルフである事を除けば学院の女生徒達がこぞって黄色い声をあげてしまう様な顔立ちだった。

「かかかかか勘違いしないでよね、こ、こここれはあくまで契約の儀式であって・・・その・・・もにょもにょ」
「そのなんだ?」
 ええい!ままよ!と決心したルイズは両手でがっとブロントの顔を掴み、口付けをした。
「おいィ?!なにいきなりキスしてきてるわけ?」
 突然の事に語尾を上げながら高らかに叫ぶブロント。
「ちちちち違うわよ!そ、そんなのじゃ無くて契約の儀式なのっ!そんな大声で言わないでよ…き、キ…だなんて…」
 と心の中で毛布を頭から被りたい気持ちになりながら、何とか言い繕うとするルイズは本日一番に顔を赤くして、
 手を振り回しながらブロントの胸をガツンと叩いたが、
 白い革のサーコートの下に金属の鎧が着込まれているとは思わず、
 声も出せず、なんともいえない痛みにルイズは自分の手を抑えて、悶絶した。

――そして
「おいィィィィィイイイイ!!??」
 ブロントの左手に焼けるような激痛が走った。
 咄嗟に盾を落とし、手の内側からその痛みが生じていると感じたブロントは左手の篭手を外した。
 そこには光を発する何と書いてあるか読み取れない文字らしき文様がじりじりと浮かび上がる。
「すぐ終わるわよ!『使い魔のルーン』が刻まれているだけよ!」
 ブロントは過去にも皇国の不滅隊に「何か」を埋め込まれ、タトゥーを刻まれたり、
 依頼により勝手に呪いを掛けられたり、制約魔法を掛けられたりもした事もあったが、
 今回もこの様なルーンが激痛を伴って刻まれるなど、つくづく冒険者とは損な役割だなと痛みをごまかすように思いながら左手を抑えていた。
(なんでしょう・・・このルーンは・・・?)
 儀式の終始を傍観していたコルベールは、ブロントの左手に浮かぶルーン文字があまり見ない形をしていた事に気付いた。
 ただでさえエルフと言う前代未聞の使い魔の出現に充分驚いていたが、
 その手に浮かび上がったルーンも他の生徒の使い魔に現れるものとは随分と形が変わっていた。
「失礼!その手のルーンを少し私に見せてください!」
 使い魔のルーンが完全に浮かび上がり、ルーンが刻み終わると同時に痛みも嘘のようにさっと消えた事を感じたブロントは、
 異常がないか確認するように自分の左手を数回開いたり閉じたりした後、コルベールに見えるように手の甲を向けた。
 ふーむ、と言いながらコルベールがルーンの文様を紙に書いている間、ブロントはルイズに聞いた。
「これでいいのか?」
「うん、これで私はあなたのご主人様であなたは私の使い魔よ。」
 ルイズは"ゼロ"と呼ばれ苦渋をなめ続けた学園生活を送っていたが、
 エルフという強力な使い魔をものにした事で"ゼロ"と呼ぶ同級生達を見返せると思っていた。
 理想を言えばドラゴンとかグリフォンのような凄さがわかりやすい幻獣の使い魔がよかったが、
 この使い魔も良く見れば見た目凛々しく、神聖そうで、(多分)強そうで、この使い魔もある意味呪文通りの使い魔だった。
 特に代々互いに並ならぬ因縁を持つ、鼻持ちならないツェルプストー家の娘をぎゃふんと言わせそうだ。
(もう"ゼロ"だなんて誰にも言わせないわ!)
 そうルイズが心の中で決心したとき、
「ああ、もう終わりましたよ。もう結構ですよ―」
 とコルベールはルーンを書きとめたノートをパタンと閉じた。
「―ミス・ヴァリエール、使い魔の召喚おめでとうございます・・・と言って本日は終わりにしたい所なんですが、彼をこのまま学院連れて行くのは得策では無いと思うのです・・・その目立ち過ぎると申しますか・・・」
 生まれて初めて成功した魔法にうかれていたルイズは今まで思いつかなかったが、
 コルベールが説明するにはエルフとすぐわかる耳長のブロントをそのまま学院に連れて、
 他の生徒・教員達の目に触れさせる事は色々と問題があった。
 トリステイン魔法学院には王宮に直接通じている生徒や教員達の他に、近隣諸国からの留学生も多数在学している。
 特にエルフに占領された『聖地』の奪還を、国で推し進めているロマリア連合皇国の留学生に知られでもすればただ事ですまない事は明白だった。
 異端審問の名で学院関係者が連行されたりしてしまうのは学院側としては非常にまずい事なのである。
 幸いこの場でブロントの姿を見ているルイズとコルベールはエルフの恐ろしさを聞き及んでいるとは言え、
 ルイズはせっかく呼んだ自分の使い魔を手放すような事をする気はなかったし、
 研究者思考の強いコルベールも、迫る危険が無いようであれば色々未知に包まれているエルフの文化や技術の事も知りたかったので、
 ブロントとは友好的に接して行きたいと思っていた。
 傍から話を聞いていたブロントは半分ぐらいは状況を理解していた。
 ブロントは冒険者としての生活の中で、バストゥーク共和国で似たような問題を見てきている。
 女神アルタナの子と呼称される『人間』の一種族であるガルカ族は、
 他の種族とかけ離れた巨体を持ち、人間離れした風貌や独特な精神文化の所為で、
 同じ共和国に住む多数派であるヒューム族から度々迫害を受ける事が多々あった。
 どうやらここトリステインではエルヴァーンであるブロントのように長い耳をもった『エルフ』という種族はあまり歓迎されておらず、 
 このままでは非常にまずい事になると察した。
「俺はエルフがなんであるかはわからないが。とにかくこの耳がまずいのか?」
「エルフが何かわからないって、だってあなたエルフでしょ?」
 首を傾げていたブロントに合わせるかの様にルイズも首を傾げる。
「俺はエルヴぁーんなんだが」
 『エルフ』とどことなく発音が似ている新しい単語を聞きルイズはコルベールの方へ答えを期待するように見た。
 もちろんコルベールも聞いたことがない単語であったが、その言葉の響きの類似性から一つの推測を思い浮かんだ。
「もしかして彼の住む遠い地では、自分達エルフの事をエルヴァーンと呼んでいるのかもしれません。
私達ハルケギニアの人々は『エルフ』と呼んでいますが、彼らは別な方法で自分達の事を呼んでいるのかもしれません」
 少し変わった発音で言葉を発するブロントであった、そこで固有名詞の些細な違いが出る事があってもおかしくない、とルイズ達は思った。
「とにかく隠せばいいんだなこの耳」
 ブロントはかばんから壜を一つ取り出した。
 瓶の蓋を開け、壜を傾けるとさらさらとした粉が光を乱反射しながら自分の手の上に出した。
 小さじ一杯分のきらきらと光る粉をその手に載せると、徐にそのこなを自分の耳に塗布した。
 ルイズは「何をしているの?」とブロントに聞こうと思った矢先ブロントの銀髪から突き出ていた耳が消えていた。
「あ、あんた、耳をどうしたの?」
「プリズんムぱうダーで耳を隠したんだが?」
 恐る恐る聞くルイズに対し、ブロントはさも当たり前であるかの様に答えた。
 ルイズはブロントに頼み耳を少し触らせてもらった。
 手を耳があった思われる場所に伸ばすと、何かが指に触れる感触と共にうっすらと元あった耳の形に空気がピクピクと揺らいだ。
 ルイズとは別にコルベールも感銘受けていた。
「おお!<フェイスチェンジ>が行えるマジックアイテムですか?」
「それほどでもない」
 ブロントは二人にグラスファイバーとレンズを組み合わせて、砕いて粉にして作られたこの『プリズムパウダー』の事を簡単に説明した。
 多少の知識は必要とは言え、材料さえ揃えば誰でも簡単に作れるという事。
 本来は一瓶使って全身に塗る事によって完全に姿を隠す事ができるという事。
 今は塗っている部分が極端に小さいため、よっぽどの強い衝撃を受けなければかなり長時間持続するという事。
 もっとも態々話す必要も無いと思いクリスタル合成の事や、ヴァナ・ディール式の『錬金』の技術が使われている事をブロントは省いた。
 コルベールは話を聞き、試しに<ディテクト・マジック>を粉が入っている壜にかけて見たが、
 ブロントの言うとおり全く何も魔法がかかっていない事が判明した。
「その姿なら平民の使い魔として学院内では通じるでしょう。
不用意に魔法などを使わなければ感づかれる事もないし。
それと貴方は遥か東方のロバ・アル・カイリエの出身とでもしておけば大まかな話の辻褄は合うでしょう。それにしても・・・」
 魔法を使わず風と水を合わせた高等魔法である<フェイスチェンジ>と似た事を成し遂げたこのアイテムに、
 コルベールの研究者の血が騒いでいた。
 少年のようにきらきらと輝かせた目で手にある壜をじろじろと見る頭髪が寂しい男を見て、
 ブロントは少々うざいやつがいるな、と思いつつもまだかばんにはまだ他にもたくさんパウダーの瓶を持っていたので、
 広い心をもってまだ自分で使う分以上に持っている事をコルベールに伝え「パウダーをおごってやろう」と、先ほど使用した瓶の残りをコルベールに手渡した。
 まさか譲って貰えるとは思ってはいなかったコルベールは目を丸くして瓶を受け取ることになった。
「ほ、本当に良いのですか!?いやはや、実にありがたいです。お礼にと言ってはなんですがもし私で力になれる事がありましたらこのジャン・コルベール、力になりますぞ!実は学院内に私はちょっとした研究室みたいなものを設けていますが、必要な物がありましたら幾つか都合させて頂きましょう」
 と言ったものの、コルベール自身にとっても「他にも珍しいもの見せてもらえるかもしれない」と言うささやかな下心も込められていた。
 早速手に入れたプリズムパウダーを大事に手にもって<フライ>を唱え嬉々として学院へと戻っていった。
 学院に向かって飛んでいくコルベールを感心した様子でブロントはつぶやいた。
「ほう空を飛ぶ魔法か」
「<フライ>を知らないって、まさか先住魔法にも似たようなものは無いの?」
「言っておくが俺は先住魔法というものを知らない」
「え?ああ、えーと何だっけ、確かエルフ達の間では『精霊魔法』と呼ばれていると聞いた事があるわ」
「そうか精霊魔法。だが俺はまったく使えないぞ精霊魔法」
「え?」
「俺が精霊魔法を使う事は無理に不可能。」
 ただでさえルイズは自分が呼んだ使い魔がただの平民であると振舞わなければいけない上、
 この粗野な口調で語る使い魔は実際に耳が尖っているだけの平民なのかもしれないと思い、
 さきほど奮い立った「もう"ゼロ"と呼ばせない!」という決心がバラバラに引き裂かれていった。
「な・・・なんだか今日はとにかく疲れたわ・・・」
 と頭を抱え学院にとぼとぼと歩き始めたルイズに、追い討ちをかける様にブロントが疑問を投げかけた。
「お前は<フライ>しないのか?」
「う、うるさいわね!今日は疲れたからちょっと歩いていきたい気分なの!」
 こうして傾きかけていた太陽を背に一人の主人とその使い魔は学院へと歩いていった。





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最終更新:2011年09月14日 06:57
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