第5話 「落とし主は誰だinトリステイン」







「生徒は使い魔を召喚した後の最初の授業は使い魔のお披露目もかねて連れて行くことになっているの」
 ルイズはそうブロントに説明しながら教室へ入った。
 教室と呼ばれたその部屋はブロントが知っているウィンダス連邦にある耳の院の魔法学校の教室よりはるかに広く、
 許容人数がおよそ三倍はあった。
 そして何よりブロントが気付いた点は、魔力の扱いに関してもっとも長い歴史を持つタルタル族の姿が、
 食堂にいた時も、教室にいる時も見かけなかった。
 魔法学院と言うぐらいであるから、タルタル族が主であると思っていたが、
 この教室にヒューム族しかいないという事実を前にして、トリステインはヒューム族による完全なる単一種族国家であるのだとブロントは分析した。 
 耳長であると言う点だけで国家問題に発展する恐れがあると騒ぐ位なのであれば、
 バストゥーク共和国以上に、深刻な種族間の間に大きな亀裂が在るのだろうと、思案しながら不可視の己が耳を意識した。
「俺はどこにいればいいんだ?他の使い魔と共に立っていればいいのか?」
「普通の使い魔ならそうだけど、アンタは椅子に座れるんだから特別に私の隣に座らせてあげる。
といってもどうせいつも空いてるし。」
 ルイズの言葉最後の部分だけ、少しだけふて腐れた感情が込められいた事にブロントは気づいて何かを言おうとしたが、
 考え直して黙ってルイズの隣の席へと座った。
 やがて残りの生徒達も使い魔を連れて教室に集まり、先ほどまで広いと思った教室も生徒と使い魔でいっぱいになった。
 最後にふくよかな風貌をした中年女性が席に座る生徒達の前に位置する教壇に立った。
「皆さん。春の使い魔召喚は皆大成功だったようですね。このシュヴルーズ、こうやって春の新学期に、様々な使い魔を見るのがとても楽しみなのですよ」
「先生!まだ一人使い魔を召喚できてない生徒がいます!ルイズは誰も見ていなかったのをいいことにただの平民を雇って自分の使い魔と言い張っています!」
 待っていたかの様に飛び出した言葉と同時に、ブロントは無数の視線が向けられている事に感じた。
 その中の一部はブロント自身にも向けられたものだったが、一番ブロントの癇に障ったのがルイズに向けられた無数の気分の悪いじっと見つめる視線だった。
 シュヴルーズと名乗った教師はゴホンと咳を払って
「いえいえ、召喚に多少時間はかかったようですが、最後まで立ち会ったミスタ・コルベールから少し変わった使い魔をミス・ヴァリエールはちゃんと召喚したと言う事を聞いています」
「"ゼロ"が魔法で成功するもんかよ!」
「きちんと召喚したもの!こいつが来ちゃっただけよ!」
 と『コイツ』と席にだまって座っているブロントをルイズは指差した。
「見た目だけ立派に着飾らしても平民は平民だぞ"ゼロ"!」
「"ゼロ"などと学友を悪く言う事は許しませんよ」
「でも"ゼロ"は"ゼロ"以外に呼びようがありま・・・」
 そう小太りの生徒の少年が言い切る前に、シュヴルーズは杖をひゅっと振りかざすと"ゼロ"と囃し立てていた声がぴたりと止まった。
 耳障りな言葉を発していた少年の口には赤い土がびったりと張り付いていた。
「貴方はしばらくその格好で授業を受けなさい、では授業を始めますよ。」

 そうして黒板に書かれた文字は読めなかったが、授業を聞いていたブロントはハルケギニアに関する幾つかの事学んだ。
 ヴァナ・ディールとは違い「火」「土」「風」「水」の四属性で魔法の系統が分かれている事。
(氷雷光闇は使わないのか?)
 メイジの等級が四つのクラスに分かれている事。
(突破した限界の壁の数みたいなものか)
 『貴族』とは魔法が使える者であるという事。
(ウィンダス連邦以上に魔法が主なのか)
 そして授業の内容は『錬金』に関する内容に移ったが、ブロントが知る『錬金術』とは少し違っていた。
 ハルケギニアの『錬金』は、ブロントが知る職人による機材を使った調合で薬品を作る技術を指すものではなく、
 むしろブロントの様な冒険者が一般的に行ってきた『クリスタル合成』の技術そのものに意味は近かった。
 活動先で機材を持ち運べない冒険者達は、クリスタルという八属性の力が込められた結晶を使用する事によって、
 切削や接合と言った行為を手持ちの素材に掛け、錬金術を含む調理から鍛冶まで様々な技術を自分のイメージ力の強さによって行う事ができた。
 ハルケギニアの『錬金』ではクリスタルは用いない様だが、その代わりメイジ自身の扱う魔法がクリスタルの代わりになっていた。
 又、『クリスタル合成』とは違い、『錬金』では完成品となる物の素材は全て揃わずともメイジの力量によってはある程度材質が似ていれば違うものも作りだせるとのことだった。
「・・・の以上が『錬金』の概要です。では誰かに実演して貰いましょう・・・ではミス・ヴァリエール貴方にこの小石に簡単な『錬金』でいいのでやって頂きましょう」
 先ほどの一騒動の名誉挽回の機会をルイズに与えてみようとシュヴルーズは親切心でルイズを指名した。
「ミセス・シュヴルーズ、それはやめたほうが良いかと思います」
 待ち受けている悲劇を予測しているキュルケはシュヴルーズの余計な『おせっかい』を思い留めるように言ったが、シュヴルーズは首を横に振る、
「どうしてですか?」
「危険です。」
「何が危険なのですか?」
「ミセス・シュヴルーズはルイズを教えるのは初めてですよね?」
「ええ、そのためにもミス・ヴァリエールの『錬金』も見ておきたいのです」
 シュヴルーズは、キュルケがルイズに意地悪を言っているのだと思い、せっかくの警告を無視してルイズに『錬金』を行うように促した。
「私やりますっ!」
 ルイズはすくっと立ち上がりと教壇へと向かった。
「ちょっと、ルイズやめて!」
 キュルケの制止を振り切り教壇に向かうルイズを中心として、他の生徒達は距離をとり始めた。
 教壇に近い者は机の下に隠れ始めた。
(この騒ぎが広範囲魔法の前兆なのは確定的に明らか!)
 尋常じゃない周りの反応を見たブロントは、席から立ち上がり教室を離れる生徒達の間を縫うようにして自分も教壇へと向かった。
「ミス・ヴァリエール。錬金したい金属を強く心に思い浮かべるのです」
 シュヴルーズの言葉を聞いたルイズは目を瞑り、呪文を唱え、目を見開き手に持った杖を振った瞬間
 閃光に包まれる小石との間にガシャと鎧の音を立てたブロントの姿が割り込んできた。
「ちょ・・ブロンうきゃぁ!?」
 とルイズは両肩をガシッと掴まれブロントに抱えられると

 ドグァァァァアアアアアアン!!!
 小石が爆発した。

 ブロントは爆風を背中で受ける様な形でルイズを両手抱え上げ、両足を開き踏ん張っていた。
 ぱらぱら、と吹っ飛んだ教壇の破片が辺りに落ち、教室中からは生徒達の悲鳴や非難の声が上がった。
 爆風で吹き飛ばされ、黒板にぶつかった哀れシュヴルーズは床に倒れ気絶していた。
「ちょっと、もういいからブロント離しなさいよ!」
 両肩を掴まれ宙に浮くように抱え挙げられたルイズは足をバタバタさせながら言い、ブロントはパッと手を離した。
 教室中が阿鼻叫喚の騒ぎとなった。
 自分の両足で再び立ったルイズは、まったく気にしてないといった態度を装いながら、スカートに付いた粉塵を払った。
「ちょっと失敗したみたいね」
 大した事では無かったかの様に言った。
「おい、『ちょっと』じゃないだろ"ゼロ"のルイズ!」
「やっぱり魔法成功率"ゼロ"じゃないか!その使い魔もどうせ自分の親に頼んでつれて来たんだろ」
 ルイズは飛び交う愚痴をものともしない毅然とした態度で、自分の席に戻り座った。
 一方、ブロントは飛び散った教壇の跡を見て、自分の背中を手で触り確認した。
 ブロントの爆風を受けた背中は熱を帯びてなかった。だが爆風の衝撃は鎧をすり抜け直接ブロントの体に響いていた。
(火属性じゃにいのか?光や闇でもないようだが・・・それとも無属性か?)
 しかしあまりにも瞬間的な事であったので、ブロントはそれ以上の考察をするための検証数が足りなかった。
 それよりもまずは主人のルイズの事が気になった。ルイズは平気な顔をしていたが杖を持つ手が小さく震えていた事をブロントは見逃さなかった。

 教師が気絶した事で生徒達は自主的に授業に終わらせ、早めの休み時間へと入った。
 ただルイズ一人残して。
 惨状を作った原因として、ルイズは罰として散らかった教室を一人で片付ける事となった。
 黙々と教室を掃除していた使い魔とその主人だったが、沈黙に耐え切れなかったルイズの方から口を開いた。
「どうしてわたしが"ゼロ"呼ばれるかわかったでしょ?アンタもどうせ私の事を無能だと思っているんでしょ?わたしはお姉さま達と違って・・・」
 とルイズの目には涙が浮かび始めた。ブロントは箒を動かしていた手を止め、鎧をガチャと鳴らした。
「――お前はそれでいいのか?」
「え?何よいきなり」
「持っていないものばかりを見てお前の手元にあるものを見てもいない。お前はそれでいいのか?」
「だって私は貴族なのよ!魔法が使えない貴族なんていないわ!私は何もできない"ゼロ"の無能なのよ!」
「ほう俺にはよくわからなかったんだがさっき起きたのはなんだ?」
「『錬金』を失敗して爆発したのよ!それだけじゃないわ他の魔法をやろうとしてもどれもこれも爆発しちゃうのよ!」
「それは"ゼロ"と言わないんだが」
「え?どういう事よ?」
 ブロントは掃除して集めた破片の中から、教室の一部か何かであると思われる石の破片を手の平に載せた。
「俺が今から『錬金』をしてやろう」
「え?」
 そうルイズがきょとんとブロントの手の中にある石片を見た。ブロントはその石を宙に投げ、
 左手に持っていた盾で石の欠片を叩くと石は空中で粉々になった。
「どうやら『錬金』は失敗したようだが・・・」
「当たり前じゃない、アンタその盾で叩いただけなんだから魔法ですらないわよ」
 少し期待があっただけに、何かとっても呆れたルイズ
「俺は持っていたこの『盾』を使って石をバラバラに砕いた。じゃあルイズは何を使って爆発させたさっきの石?」
「呪文を唱えて杖を・・・あっ」
「どうみても魔法なのは確定的に明らか」
「でも成功できなきゃやっぱり"ゼロ"じゃない」
「俺が持っている盾は本来ああいう使い方はしない守るために使うもの。ルイズも本来の使い方をしていないだけで俺の盾よりも凄い何かを確かに持っている。
だからルイズは"ゼロ"ではない。完全に論破して終了したので会話は終了」
 ルイズは少し考え込み、何かに気づいたかの様に答えた
「・・・うん、そうよね。確かに私の爆発は平民も他のメイジもできない私にしか出来ない事よ。簡単な魔法には向いてないだけで私向きの魔法で頑張ればいいんだわ」
 そういって杖を持つ自分の手を見つめながら、ルイズは両手をぐっぐっと握り締めた。
「そうだ、もう"ゼロ"じゃなくて"何か"のルイズだな」
「ちょっと・・・何よ、その"何か"って。回りくどい仕方をしてご主人様私をやっぱり馬鹿にしてるんじゃない!"ゼロ"よりなんか響きが悪いじゃないの"何か"って!」
「それほどでもない」
「悪いわよ!もういいわ!あんたが今散らかした分は一人で片付けなさい!私は先に食堂行ってるから少し反省してなさい!」
 そう吐き捨ててるルイズは大足でずんずんと教室を出てバタンと扉を閉めてから小さく呟いた、

「でも・・・さっきは守ってくれてありがとう・・・」

 ブロントは何も言わずガチャと鎧を鳴らして箒を履いた。


 教室の掃除を終わらせたブロントは取り合えず食堂へと向かっていた。
 何時食事ができるかわからない冒険者として、空腹感に対しては強い耐性を持っていたが、ずっと何も食べないわけには行かなかった。
 しかしパンとスープと言う最悪の食い合わせのために、使い魔は本来入ってはいけないという食堂に態々行く理由もなかった。
 そう思案しながら歩いていたブロントは途中、声をかけられた。
「ブロントさん、こんなところでどうかしましたか?」
「ああ、ルイズが先に食堂で昼食をしているようなんだがその間何をしようかと考えていたんだが」
「今朝ミス・ヴァリエールに『使い魔の餌』として頼まれてパンとスープをお出ししたのですが、
片付ける時食されてなかった様なので、もしかしてと思いますがブロントさんはまさか朝から何も食べてないのでは?」
「そうだな」
「では是非こちらにいらしてください!」
 と言ってシエスタはブロントを食堂の裏にある厨房へと連れて行った。

 厨房の中はブロントが知るウィンダスの調理ギルドの様に様々な調理器具が並べられ、コック達が忙しそうに鍋やオーブンを前に奮闘していた。
「ここでちょっと待っててくださいね」
 シエスタはブロントは厨房の一角の椅子に座らせ、厨房の奥から皿に盛られた湯気立つ具材がゴロゴロ入ったシチューを持ってきた。
「貴族の方々にお出しする料理の余りモノで作った私達の賄い用のシチューですけど、よかったら食べてください。」
「む?この匂い・・・もしかして魚介類か!?」
「ええ、海に慣れ親しんでいない貴族の方々も多いので何かと海の食材が余るんです。あの・・・もしかしてブロントさんは魚介類が苦手でした?」
 ブロントはニコッと微笑みガチャと鎧の肩当を鳴らし、スプーンを手に持ち立てると
「俺は魚介類が大好物なんだが」
 そう言いブロントは一口シチューを口に運んだ。
「この感じ・・・甲殻類がふんだんに使われているな。食べた者の生命力を上げ、更に体を頑丈にしてくれるとてもうまいシチューだ」
「ふふ、ブロントさんってとても面白い表現をするんですね。お口に合うようでよかったです」
 最初にした味見の一口の後、ブロントは目にも止まらない物凄い早さでシチューを平らげた。
「ああ、まだお代わりありますから、ゆっくり食べていってください・・・」
 シエスタはおろおろとして言った。
「俺はどこでも食事できるように早飯が特技なんだがすまない。だがこのうまい一杯で三日は食べなくても平気な事になった。俺の体力はしばらくおさまる事を知らない」
「ちょっと大げさですよブロントさん、でもその賄いを作ったコック長が聞いたら喜ぶと思います。もしお腹が空いたらまたいつでもきてくださいな。私達が食べるもので良かったらお出ししますから」
「とてもありがたい。俺が何か出来る事はないか?」
「そうですね、私これからデザート運ぶのでそれを手伝ってくださいな」
 シエスタは微笑んで言った。


 ブロントは右手にデザートのケーキを沢山載せた大きなトレイを持ち、シエスタが一つずつ配った。
 食堂で昼食をとっていたルイズは使い魔が中々こないのでどうしたのか気になり始めていた頃、その使い魔がいつの間にか目立つ白い鎧姿で給仕の真似事をしていた。
 ルイズは口に含んでいたワインを噴出しそうになったが、それを堪え、飲み込んだ後ブロントの所へつかつかと歩み寄り、
 「ちょっと返してもらうわよ」とシエスタに一言残して食堂の端までブロントの腕を引っ張った。
「ブロント!あんた一体何やってるのよ!掃除から中々やってこないと思ったら、私の使い魔が何でケーキを給仕しているわけ?」
「あのメイドに世話になったから少しの礼にでもと手伝っているだけなんだが?」
「まったく、今回はいいけどくれぐれも私の恥となる様な勝手な事だけはしないで―」
 そう説教し始めたルイズを中断するように、騒がしい声が食堂中に響いた。
 ざわめきの中心では一人の貴族が二人の女性から頬を引っぱたかれていた。
 そして頬を腫らした気障な格好をした貴族は近くにいたシエスタに指を指した。
「君のおかげで二人のレディの名誉が傷ついた、どうしてくれるんだね!?」
 気障ったらしい風貌の貴族が頭を垂れるシエスタの前で凄んでいた。
「あ、あ、あの。申し訳ありません!」
 只管に震え、謝る事しか出来ないシエスタ。
「いいかい?僕は香水の壜を渡された時、知らない振りをしたじゃないか。貴族に奉仕する平民なら話に合わせる位の機転があってもよかろう?」
「申し訳ありません!申し訳ありません!」
「いいや、貴族として僕は平民の君に一つ罰を与えないといけない―」
「おいィ?」
 ブロントはガチャと鎧を鳴らしながら二人の合間に割り込んだ。
「何だね!君は!?僕はこの教養が行き届いてないメイドに罰を与えなければ―」
「何か粘着がいつまで立っても鬼の首みたいに粘着してるが時代は進んでるここで一歩引くのが大人の醍醐味」
「いや、今のうちに躾けて置かないと平民どもはすぐに付け上がるからな、それより・・・ああ・・・君は・・・"ゼロ"のルイズが連れてきた平民だったな。
まったく主人が"ゼロ"なら使い魔の程度もたかが知れているな」
 ブロントは体を大きく揺すり、鎧をガチャン!と大きく鳴らした。
「お前勝手に"ゼロ"と呼ばれる奴の気持ち考えたことありますか?マジでぶん殴りたくなるほどむかつくんで止めてもらえませんかねえ・・?」
 先ほどまで騒動の中心となっていた貴族とメイドに対する注目の目がいつの間にか貴族と使い魔へと移り変わっていた。
「まったくこのギーシュ・ド・グラモンに敵意を見せる野蛮人がいるとは、ルイズはどうしようもない平民を連れているようだ」
「キッシュとグラタン?そもそもその安易な名前に寒気すら感じる始末」
「貴様!よくも我が名誉あるグラモン家の名を侮辱したな!よかろう、この平民に少し礼儀を教えてやろう、決闘だ!」
 周りで傍観していた貴族の生徒達が『おお、決闘だ!』『ギーシュが平民と決闘するぞ!』とどよめいた。
「勝てるとでも思った浅はかさは愚かしい俺はなんでもいいんだがそれはタイマンか?」
 ギーシュを顔を歪めてブロントを睨む
「何だタイマンとは?」
「タイマンは真剣な喧嘩の意味だ」
「いいだろう!だがここではやらない。平民の血で貴族の食卓を汚すわけにいかないからな。ヴェストリ広場で待ってる!」
 ギーシュはくるりと体を翻すと、ギーシュの友人達は「いい見ものができた」と言う顔でギーシュの後を追った。
 シエスタはブロントの後ろでぶるぶると震えていた。
「あ、あなた、殺されちゃう・・・貴族を本気で怒らせたら・・・」
 シエスタは、だーっと走って逃げてしまった。

「ブロント!あんたまったく何しでかしているのよ!さっき勝手な事をしないでって。何勝手に決闘の約束なんてしてるのよ!」
「何かルイズが"ゼロ"とか言ってる奴はバカとしか思えないであわれになる」
 ルイズはため息をついて肩を竦めた。
「あんたがどれだけ強いか知らないけど魔法も使えないのにメイジ相手に無事ですむわけ無いでしょ。いいから謝っちゃいなさいよ」
「断るそれこそルイズの名に恥が付く事になるのは確定的に明らか」
「こんな事で意地張ってる場合じゃないの!あんた怪我するわ。最悪怪我だけじゃすまないわ魔法も使えないあんたじゃメイジには絶対勝てないの!」
 ブロントは左手を挙げ盾をルイズに見せた。
「ルイズ。俺は教室でお前の『爆発』は小石を砕く程度の事しかできなかった俺よりも凄いと論破したのは覚えているな?」
「え?ええ、覚えているわ、ついさっきのことだもん。」
「つまりあいつの魔法が実は砕けた小石程度だとこの盾で簡単に叩き落として論破可能」
「へ?」
 ブロントはテーブルに残っていたギーシュの連れと思われる一人に話しかけた
「ヴぇソつリ広場はどこだ?」
「こっちだ。平民」
「・・・ああもう!ほんとに勝手な事ばかりする使い魔なんだから!」
 少し遅れてルイズはブロントを追いかけた。





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最終更新:2009年07月31日 20:10
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