■ブリンドル
- エオフィン・トロヤス評議員…ハーフエルフの男性。46歳。
トロヤス議員は厳粛な性格であり、常に慎重に、理路整然と話をする。
ブリンドル評議会の中でも一番新顔であり、
率直な、時には好戦的ですらある物言いをする公人として、町では有名だ。
近頃議会で最も物議を醸しているトロヤスの所見のひとつに、
昨今のエルシア谷の野盗の対策として冒険者を用いる政策を打ち出したことがある。
議会の他の面々は(先の戦争で彼らが冒険者たちから受けた恩恵にも関わらず)
この政策に対して懐疑的であるが、喜んで評議員トロヤスにチャンスを…失敗のチャンスを与えるつもりでいる。
こうした保守的な公人たちの多くは内心、冒険者の気まぐれな性質を考えると
町の防衛を任せるには著しく不向きであると考えている。
少なくとも、表向きの立場はそうのようにしている。
非公開の町の噂では、評議会に蔓延する汚職と着服の噂が常に流れており、
そうした評議会の面々が冒険者を雇うための資金が、
代わりに彼らの懐に納まるほうがマシであると考えているのではないかとの話もある。
エオフィン・トロヤス評議員は10年前の"赤い手"の侵攻の際に家族を亡くしており、
彼に商人から議員の道へと人生の転換を決断させたのもそれがきっかけだった。
必要な目的のために取り得る最大限の手段を講じるという実利的な議員の判断は結果的にプラスに働き、
かくしてブリンドルに迫っていた新たな脅威は打ち破られたのである。
今では議員はリブンロアーの救出者たちに全面的な信頼を置いている。
- アリス…人間の女性。19歳。ブリンドルの伝令(メッセンジャー)。
■捕虜たち
- ジャリッサ…エルフの女性。オグマの女神官。65歳。
ブリンドルのオグマ学舎で司祭を務める一人であるジャリッサは比較的若いエルフだ。
普段から学舎の図書室に篭ることが多い研究肌の人物であったため、
シンルースの手によるブリンドル襲撃と拉致による衝撃は大きかったようだ。
救出された直後のジャリッサは捕虜になっていた期間のショックにより
一行の中でも特に最初に彼女が目撃したドゥエラクに対して精神的な依存が見られたが、
本来の彼女はオグマの学徒として十分に研究熱心であり、
ブリンドルを中心としたこの一帯の伝承についても一般人以上の知識は持ち合わせている。
ブリンドルへ戻り、精神的な傷が十分に癒えた後は、
新たに発見されたリブンロアー一族の伝承と当時のエルシア谷の歴史を研究課題とし、
日夜取り組んでいるようだ。
- ミルタラ…人間女。酒場"孤島のスクーナー船"の料理人。40歳。
ミルタラは肉付きの良い中年の女性であり、
酒場"マルーンド・スクーナー(孤島のスクーナー船)"に務める料理人の一人だ。
襲撃の晩には折り悪く店の裏にゴミを捨てに出ていた所をゴブリンに発見され、拉致されてしまった。
特に専門的な知識や職能があるわけでもなく、純粋な一般人である彼女にとっては
突然身に降りかかったこの非日常体験はあまりにも重いものであった。
太陽の寺院で治療を受けて傷と病気が十分に癒えた後もなお事件の影響は大きく、
数週間の後、ミルタラは酒場を辞めると、ダマラ地方を出て南方へと旅立って行った。
ゼリクサは町の者からは魔女だと噂されている女性であり、
家族もなく、天涯孤独の身の上だった。
実のところ彼女は超自然的な力を備えた魔法使いなどではなく、
ブリンドル墓地や近郊をテリトリーとする薬草積みであった。
(錬金術師アドロンシウスは、彼女の集めた薬草を仕入れるということで
その生業を知る数少ない町民の一人だった。)
大変に気難しく頑固な人物であり、町の者の自分に対する噂を否定するどころか、
専ら積極的に人を遠ざけていた。
ホブゴブリンたちに拉致された際、彼女はその噂を逆手にとって
まんまと相手を騙し、一時の安全を確保することは出来たのだが、
やがて状況が彼らにとって切迫したものとなってくると、
ついに真相がばれてしまい、不幸にもその生涯を終えることとなってしまった。
リブンロアーの救出者たちによってブリンドルへ持ち帰られた遺体は
襲撃の犠牲者たちと共に、町の公共墓地にて葬られた。
- アドロンシウス…ドワーフの男性。錬金術師。152歳(人間でいうと40代半ば)
アドロンシウスは中年のドワーフであり、
温和で堅実な性格からブリンドル市民からも信頼されている腕利きの錬金術師だ。
アドロンシウスはもともと西のドワーフの都市
オーバールックの出身であり、若い頃から地元のギルドで修行を積んだ。
10年前の戦争以前より頻繁にブリンドルに商売で出入りしていた彼は、大戦後の復興の際に正式にブリンドルへ移住し、
そこで新しく店を開いた。
以降、ブリンドル市民が癒しの薬や解毒薬、発炎筒、オイル、獣避けなど様々な錬金術的な助けを必要とする際には、
"アドロンシウスの錬金術店"は定番となっている。
普段は温厚で落ち着いたドワーフではあるが、種族特有の意志の強さも持ち合わせており、
"シンルースの手"のブリンドル襲撃の際には家に押し入ったホブゴブリン数体に酸の瓶を投げて抵抗し、負傷せしめた。
そのことが彼らが元々持ち合わせていたドワーフに対する憎悪に火を注いで
アドロンシウスへの苛烈な仕打ちをさらに煽ることとなったのは、不運な結果であると言える。
リブンロアー城から救出された後にブリンドルへと戻ったドワーフの錬金術師は
自身の傷の療養と同時に襲撃によって町が受けた様々な傷の手当てに助力を申し出たため、
まもなく店が再開した暁には、アドロンシウスの錬金術店はこれまで以上に繁盛することとなった。
ブリンドルの衛兵長カルテニクスは正義感が強く勇敢な男であったが、運がなかった。
ブリンドル襲撃の夜に一人息子トゥランと共に拉致されてリブンロアー城へ連れて行かれた後、
彼は隙を見て脱出し、息子や共に連れて行かれた町人たちを救出する心積もりで見張りのゾンビへと襲い掛かったのだ。
ゾンビの膂力は彼が思っていたよりもずっと強く、そして徐々に体を凍てつかせるオーラに気付いた時には、
すでにゾンビの太い手が彼の首にかかっていたところだった。
リブンロアーの救出者たちによってブリンドルへ持ち帰られた彼の遺体は
襲撃の犠牲者たちと共に、町の公共墓地にて葬られた。
- トゥラン…人間男。カルテニクスの一人息子で、8歳になったばかりの少年。
トゥランはその幼い年齢にしては驚くほど勇敢で目端の利く少年であり、
他の大人たちよりも少なくとも表面上はずっとこの苦境にうまく対処できていた。
一度は捕まっている場所から抜け出し、同房のジャリッサのために食料を盗んで来ることすらしたのである。
幼い頃に母を亡くしたトゥラン少年の父は職業柄、家を空けることも多かったため、
そのことが自然と彼にそのような自立を促したのかも知れない。
ブリンドルへと無事戻ることは出来たものの、唯一の肉親だった父を亡くしたトゥラン少年は、
後にエオフィン・トロヤス評議員の元に引き取られ、
彼の養子として育てられることになった。
- セルタニアン…人間男。67歳。大いなる勲しの公会堂(ホール・オブ・グレート・ヴァラー)の館長。
セルタニアンは彼の虜囚としての期間を尊厳を持って乗り切ろうと努めており、救出された後は
その間に関する質問を受けると「ほんの数日のごたごただとも。それ以上のものではないさ。」と気丈に返答する。
歳の割に丈夫な足腰をしており、また気性もことのほか強いようだ。
というのも、セルタニアンにはとある過去があった。
彼は過年の大いなる赤手の侵略の際にブリンドルを守る兵士の一人だったのだ。
戦争の中で敵軍によるいくつもの陰惨な光景を目の当たりにした彼は、
そのためホブゴブリンに対する絶対的な憎悪を抱いている。
彼はホール・オブ・グレート・ヴァラーが10年前に創設されて以来ずっとそこの館長の職に就いており、
確かな誇りと、町に対する深い愛情を持ってその務めを果たしてきた。
持ち出された宝物(実際の金銭的価値はないにせよ、少なくともブリンドルの者にとっては宝物であることは間違いない)を
一目で認識できる唯一の人物と言って良いだろう。
年相応の頑固さを持つこの老人は、しかし決して不公平な人物ではない。
中でも特に救出者の一人であるホブゴブリンのゾンガに対して向けていた頑なな態度は
彼の成し遂げた功績により、実のところ軟化しつつあるようだ。
■シンルースの手とその同盟者たち
- シンルース…ホブゴブリン。"赤い手"の後継者を名乗り、"シンルースの手"を興す。
シンルースは文明社会のへりを餌食にしながら人生を送ることよりも大きな野望を抱く、一人のホブゴブリンだった。
彼はたき火を囲みながら父や叔父たちの属した破滅の赤き手の軍団、
この大鎌のように国土を蹂躙した大いなる軍勢についての話をしっかりと聞いて育った。
赤角渓谷で叔父ブルダウスがドワーフ軍に破れて命を落としたことについては
彼は叔父の仇を取ろうとは考えなかったが、
しかしドワーフへの深い憎しみは確実に育まれていた。
成人し、自身のホブゴブリンの一団の長となると、彼は軍団が残した上着と武器の隠し倉庫を発見した。
シンルースは自身が運命に呼ばれたと感じた。
彼は"シンルースの手"(自身の軍団をそう名付けた)の新たなウォーロードとして名乗りを上げ、
可能な限りあらゆる外装を雑に塗られた下向きに突き出された赤い手の紋章に染め上げ、
彼が自身の生得権だと感じている大軍勢を得るべく兵を集め始めた。
とは言え軍を興すというのはシンルースがたき火を囲んで聞いた話で思い込んでいたほど簡単ではない。
荒野でシンルースがちっぽけな彼の軍団を何とか存続させていくだけで数年があっさりと過ぎて行った。
しかしゆっくりと、彼は味方を得始めていた。
中でも一番の収穫は、"使者"と名乗る相手の接触と、彼による継続的な後援だった。
やがて新たな"赤き手"軍による山々の探索の結果、長らく廃墟となっていたリブンロアー城の地下に
人の立ち入っていない墓所が発見された。
シンルースは新たな取引を交わし、かの地のアンデッドの番人たちは
赤き手軍を、定期的に捕虜を調達してくることを条件に迎え入れたのである。
シンルースは確かに強く獰猛なホブゴブリンであったが、しかし忍耐と慎重さに欠けていた。
そのことが、最終的に彼を破滅に導いたのである。
- モリク…ホブゴブリン。シンルースの手の一員。ブリンドル襲撃の際に捕虜となる。
ホブゴブリンのモリクは"シンルースの手"が打ち倒されてまもなくの後に、裁判により死刑となり、町の広場にて縛り首となった。
- リブンロアー公…ワイト。シンルースの手の同盟者。リブンロアー城の城主。
今からおよそ300年ほど前の1170DR前後、当時第8代であったリブンロアー一族の当主は悪神ミアクルを信奉し、
彼に供物(領民の命がそれに相当する)を奉げ、儀式を行う事で定められた運命を外れ、死から逃れようと試みた。
それはミアクルによる詐略か、はたまた儀式が不完全だったのか、
ともかく部下のミアクル神官が行った儀式によって彼はワイトとして不完全な不死を得、
リブンロアー城に縛られた存在となってしまった。
長年に渡る研究により、自らに課せられた枷を取り除く方法を突き止めた彼は、
しかし必要な生者の精髄を得る手段がなかった。
人里離れたこの打ち捨てられた廃墟に近づくような者は、それこそ数年に一度の旅人程度のものだったのだ。
そんな彼にとって、シンルースの一党が姿を現したことは、まさに待ちに待った好機の到来だったと言えよう。
皮肉なことは、それが結果的に彼の究極的な破滅へと繋がったことである。
"使者"と名乗る謎の存在がシンルースへ様々な助言や支援を行っていたことが明らかになった。
以下はシンルースへと宛てられた手紙であり、一連の襲撃や彼の軍勢の動きは
概ね、この"使者"の指示の通りであったことが伺える。
→
シンルースへの手紙
■その他
マドリック…ノーム男性。冒険者団"自由の乗り手(フリーライダーズ)"の一員。
フェイワイルドから逃げてきたらしい。1匹のイタチを相棒として連れている。
ブリンドル近郊でカルト事件を解決した後、仲間たちと共に西のオーバールックへと発ってしまったらしい。
最終更新:2016年02月12日 02:26