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あらすじ
1学期も終わり夏休みに入った。そのころ真紀はある悩みを抱えていた……その悩みとは?


主な登場人物

主人公:眞田真紀(さなだ まき)
性格、容姿等は「人形遊び番外編」と同じです。
交通安全教室以降、お互い同じ性癖を持っていることを知ったので、上凪(人形遊び番外編を参照)とかなり仲良くなった。
相変わらず美優に会えないので、アリスちゃんになってからは着ぐるみを着ていない。


磯崎美優(いそざき みゆ)
性格、容姿等は「人形遊び2」と同じですが、4年前と比べると性格が大人になりました。
中学校の国語の先生で、バドミントン部の副顧問をしている。
バドミントン部が今年はイイ線までいっているため夏休みも練習練習の毎日で忙しい。

上凪勇美(かみなぎ いさみ)
性格、容姿等は「人形遊び番外編」と同じです。
だいぶ左の小指が治ってきたが、一応包帯を巻いている。
暇なときは真紀とよく遊ぶようになった。真紀とは「真紀さん」「勇美ちゃん」と呼び合っている。
真紀の秘密を知る数少ない人物。
真紀と美優の関係も、サキのことも知っている。

岬香織(みさき かおり)
性格は「人形遊び番外編」と同じですが、髪が肩ぐらいの長さになりました。
実は胸が結構大きかったりする。
真紀を通じて上凪と最近よく遊ぶようになった。上凪とは「勇美ちゃん」「香織さん」と呼び合っている。

「8月の8日あいてるんだけど、美優はあいてる?」
『ちょっと待ってくださいね!えっと……あっ!すみません……ちょっと無理そうです……』
「そっか……じゃあ、あいてる日があったら一緒に遊ぼ♪最近暑いから体に気をつけてね♪」
『はい♪』
「それじゃあもう遅いから電話きるね、おやすみなさい。」
『おやすみなさい♪』

 私は美優が電話を切るのを確認して、ケータイを閉じた。
 そしてケータイをバックに入れてベットの上に寝転ぶ。

 美優もあいてないんだ……はぁ……

 思わずため息が出ちゃう……

 小学校は夏休みだけど、先生の私は2学期の行事の準備とか子供たちの成績の確認、プール当番とか色々あってほとんど毎日学校にいってる。

 でも5時半くらいには帰れるから自由な時間が多い。学校があるときと比べるとかなり暇……
 かおりんとか勇美ちゃんと遊んだりすることもあるけど、やっぱり都合が合わない日が多い。
 その分、独りの時間があるから……すごく寂しい……子供たちにもプール当番の日しか会えない……

 寂しさを紛らわせようとして私はいつものように机の前の椅子に座り、パソコンのディスプレイをつけて、あるフォルダを開く……
 フォルダの中には私が……着ぐるみを着たときの写真がいっぱい入ってる……
 美優に撮ってもらったサキの写真……それに教頭先生に撮ってもらった交通安全教室のときのアリスちゃんの写真……

 ……んっ……あっ……んく……

 体がその時のことを思い出して……胸がドキドキする……
 頭がぽーっとして……感じちゃう…… 
 ショーツに入れたティッシュがもう湿ってきた……

「……あぁん……あっ!だめ!」

 独りで変な声を出してることに気づき、恥かしくなってあわててディスプレイの電源を切った。
 お風呂から上がったのにちょっと汗かいてきちゃった……

 こんなことしてちゃ……だめだよ……
 ……やっぱり私……変なのかな……

 この前アリスちゃんになってからというもの、私は毎日着ぐるみ姿の私の写真を眺めるようになった…… 
 それで毎日着ぐるみを着たときの……あの感覚を思い出して……あそこを濡らしちゃう……
 それに……ある感情が胸の中でどんどん大きくなっている……

 ……また……着てみたい……

 そう……今すぐにでも着ぐるみを着たい……
 昔はそこまでこんなこと思わなかった……
 でも私と美優が先生になってからは、お互い都合が合わなくて着たいときに着ぐるみが着れない……
 その不安にも似た気持ちと、この前アリスちゃんになった時の気持ちが頭の中でぐるぐる回って今の状態になってるんだと思う……

……だめだめ!明日はプール当番なんだからもう寝なくちゃ!

 時計を見るともう12時を過ぎていた。
 パソコンの前で1時間以上も写真を見ながら悶々としてた……

 私は立ち上がり、トイレで用を済ませてすぐにベットに潜った。

 頭にまでタオルケットを被せて目をつむる……
 でも着ぐるみが全然頭から離れてくれない……

 どうしよ……まだ胸がドキドキして……目がさえちゃって……眠れないよぉ……
 ……あっ!パソコンつけっぱし!

 私はパソコンの電源を切るのを忘れちゃってた……
 あててベットから降りてディスプレイをつけてシャットダウンしようとした。

 ……そうだ!いいこと思いついちゃった♪

 私の頭に名案が浮かんだ!

 着たいなら……自分で買っちゃお♪
 なんで今まで気づかなかったんだろ……私ったら……

そしてネットを開いて検索ワードを入れる。

 着ぐるみ、制作、マスクっと……
 ……えっと、○×工房だっけ……たぶんこれかな?

 昔美優に聞いておいたホームページを開く。
 それはアニメに出てきそうな女の子の着ぐるみを作ってる会社のホームページで、ここで美優がサキのマスクを注文したらしい……
 「マスク」ってところをクリックすると色んな顔の女の子のマスクが出てきた。 
 一つ一つのマスクに名前がついてる……もちろんサキのマスクもあった。

 ほんとは「ルリ」っていうんだ……でも……私が着るのと「サキ」になる……
 なんか特別って感じで……恥かしい……

 顔を赤くしながら次へ次へとマスクを見ていく……そしてあるところで私の指がピタッと止まった。

 うそ……これ……私と同じ……

 私は画面にくぎづけになった……そこには私と同じ名前を持つ「マキ」という女の子のマスクが映し出されていた……
 でも私と顔が全然違う……私はみんなからよく子供っぽいって言われる……
 マキは全く正反対だった……目がキリッとしてて大人っぽい女性って感じだった……

これ被ったら……私は「マキ」になっちゃうんだ……あぅぅ!……
 なんか……同じ名前だから余計に……ドキドキしてきちゃった……

 マウスを握ってる手が汗で湿ってきた……
 まだ着てもないのに……注文さえしてないのに……胸がパンパンになってる……

 ちょっと恥かしいけど……これにしちゃお♪

 私は自分と同じ名前のマスク、「マキ」を買うことにした。
 ホームページ上では全部のマスクがそれぞれのウィッグをつけてあるけど、注文するときはウィッグの髪型や色、瞳の色まで選べるようになってる。
 もちろんサキみたいにマスクに猿轡をつけるオプションもある……

 猿轡はいらないよね……顎いたくなっちゃうもん……
 肌タイは……やっぱり股にチャックついてた方がいいかも……おしっこするとき便利だしね!
 服は……自分の着ればだいじょぶだし……
 髪型とかどうしよ?……同じにしちゃおっかな……私と……ふふ♪

 私は購入のページを開き、敢えて髪を黒髪のロングで瞳は黒……私と同じ特徴を持つマキのマスクを買い物カゴにいれた。
 そして肌タイも買い物カゴにいれる……どんどん現実味がでてきて脈が速くなってくる……

合計で10万8千円……結構かかる……
 だけど貯金もあるし、これ位ならだいじょぶだと思う。
 そして住所とかカード払いの設定をして、あとは購入ボタンを押すだけとなった。

 あとはクリックするだけ……
 それで2週間待てば……着ぐるみが届く……
 そうすれば……着たいときに着れる♪
 そしたら……

 そう考えた瞬間、私はマウスから手をはなした……

 ……どうなっちゃうんだろ……
 毎日……着ちゃうかもしれない……それで毎日……感じちゃう…… 
 そしたら……私……おかしくなっちゃうよぉ……

 急に体が震えだした……
 怖くなってきた……毎日肌タイを着て……顔をマスクで覆って……そのうえ感じちゃう……
 それを日課にしてしまいそうな……着ぐるみがないと生きていけなくなってしまいそうな……自分に……

 でも……着ぐるみは着たい……それに今になって欲しくなってきた……自分が所有する着ぐるみを……
 しかもマウスをワンクリックすればそれが両方叶ってしまう……

 着ぐるみを買って毎日マキの中でおぼれるか……それとも買わないでサキになれる日まで悶々と過ごすか……
 どっちもおかしくなっちゃいそうで……私には選択できなかった……

自分に押しつぶされた私は、ついに泣きだしてしまった……

 ひっく…ひっく……どっちに……すればいいの……ひっく……わかんないよぉ……
 ……あっ!美優に相談し…

 私の頭に美優が浮かんだけど、すぐに消えていった……
 私が着ぐるみを買う、って言ったら美優は怒ると思うし……美優を傷つけちゃうかもしれない……
 それに美優は着ぐるみを見て楽しむ方だから私の気持ちが伝わらない気がする……
 着ぐるみのことなのに美優にさえ相談できない……すごく一人ぼっちに思えてきた……

 こんなこと……誰に相談すればいいの……ひっく……
 私の気持ちなんて……ひっく……誰も……わかんないもん……
 ひっく…ひっく………私の……気持ち?

「勇美ちゃんだ!」
 私は勢いよく椅子から立ち上がり、夜中だということを忘れて大声で勇美ちゃんの名前を叫んだ!

 勇美ちゃんならわかるかもしれない!こんなときどうすればいいか……
 だって勇美ちゃんも……着ぐるみ着ると感じちゃうって言ってたもん!

 そう思ったら気持ちが急に楽になって、私はいつの間にか泣きやんでた。
 ウィンドウを全部閉じてパソコンを消し、私は再びベットに潜った。

 明日相談してみよ……勇美ちゃんに……
 それで……どうすればいいか……きけば……

「すーー……すーー……」

 ………ん~~……暑いよぉ……

 私は暑さとともに目を覚ました。昨日はあのまま寝ちゃってたみたい……

 ……目覚まし……鳴らなかったかも……今何時だろ……

 ベットの上に目覚まし時計がない……ベットから落ちて床に転がってた。
 それを拾って時間を確かめる……

 ……12時……30分?……え!!

 目をこすってもう一回見てみる!確かに12時半だった!
 今日はプール当番だから45分にはプールに行って準備をしなくちゃいけない!

 ど、どうしよ!遅刻しちゃう!ご飯食べなきゃ!
 あっ!その前に着替えなきゃ!……じゃなくてトイレ行かなくちゃ!

 私はあわててトイレに駆け込み用をすませると、パジャマと下着を脱いで紺色の競泳用水着を着て、そのうえにTシャツと短パンを身につけた。
 そして冷蔵庫からウイダーインゼリーを取り出してそれをくわえながらバックを持って、いそいで部屋を飛び出した。

「はぁ…はぁ…はぁ……間に合った……」

 なんとか時間ぎりぎりに学校のプールに着いた。
 今日はすごく暑いし蒸してる……それに走ったからもう全身汗ビッチョリになってた……
 職員用の着替え室に入るとかおりんが水着姿で立っていた。
「おはよう……」
「お、おはよう……えっと……だいじょぶ?顔真っ赤だよ?」
 かおりんが心配そうな顔で私のおでこに手を当てた。

「だいじょぶ……ちょっと寝坊しちゃって……走ってきたから……」
「ふふ♪」
 かおりんはおでこから手を離すと、私の顔を見ながら口を押さえて笑い出した……なんだろ?

「……何かついてるの?顔に……」
「違う違う!まきちゃんも寝坊することあるんだと思って……急に可笑しくなってきちゃって……ふふふ♪」
「寝坊ぐらい誰だってするよ…………もお!笑いすぎ!」
「ごめんごめん!……あっ!もう着替えてあるの?」
「うん……家で……着てきちゃった……」
 恥かしくなってまた顔が真っ赤になった……
 そんな私を見て、かおりんがまた笑ってた……

「っと、いけない!時間過ぎちゃってるから準備始めよっか!」
「うん!」
 かおりんもTシャツと短パンを水着の上に着てバックから水泳キャップを取り出した。
 私もキャップを取り出し、髪をゴムでまとめて二人で着替え室を出た。

今日は前半が5、6年生、後半は1年生がプールの日だった。
 前半は高学年の子たちだから笛を吹いたりするだけだけど、
 後半は1年生だから浅いほうのプールに私たちも一緒に入って泳ぎ方とかを教えてあげる……
 みんな結構日焼けしてて、元気一杯にプールの中を泳ぎ回ってた。
 久しぶりにみんなと遊べてすごく楽しかった……

 子供たちも帰り、私たちは後かたずけをし終わって二人で着替え室に入った。

 かおりんは髪をタオルで拭きながらこう言った。
「ふぅ~、今日暑かったね。」
「うん。でもみんなの顔見てたら暑いことなんて忘れちゃってたかも……結構楽しかった♪」
「うん♪私も♪」
 そう言いながら、かおりんは私の前でいきなり着てるものを全部脱いで裸になった!
 私は顔を真っ赤にしながらあわてて両目を手で塞いだ!

「い、いきなり脱がないで!」
「へ?……女同士なんだからいいでしょ♪」
「そ、そうなの?」
「うん♪」
 私はちょっとだけ指を開いてかおりんを見た……もう下着はちゃんと着たみたい……

 そしてかおりんが下着姿で私に近寄ってくる……なんかニヤニヤしてる……
「私の見せたんだから、まきちゃんのも見せて♪」
 かおりんはそういって私のTシャツに手をかけた!
 私はあわててかおりんから離れた!

「い、いや!……やめて……」
「いいじゃない♪真紀ちゃんスタイルいんだから♪おねがい!」
 かおりんは両手を合わせて頼んでくる……
 でも……やっぱり見せたくない……恥かしすぎる……

「ほんとに……だめだってば……」
「ふふ♪冗談だよ♪」
 かおりんはそう言って私に背中を向け、Tシャツを着始めた……
「……もお!」
 私もかおりんに背を向けてから水着姿になり、体にタオルを巻いた。

 恥かしくて見せられないよ……私の体なんて……
 それに……かおりんのほうがスタイルいんだもん……胸おっきいし……
 ……なんでみんな私よりも……大きんだろ……

 そう思って自分の胸を見る……
 私は背ばっかり伸びて高校の頃と比べてもそこまで胸が大きくなってない……
 すこしショボンとしながらバックの中の下着を探す……

……あれ?……どこいれたっけ……

 バックの中を隅々まで探す……下着がない!

 うそ!なんで!……あっ!

 私は部屋を出る前のことを思い出した……急いでたから下着のことなんて忘れちゃってたみたい……

 ……しょうがないから水着で帰ろ……
 昨日用意しとけばよかった…………昨日?……あっ!

 私は昨日の夜のことを思い出した!
「そうだ!!着ぐる……」
「ど、どうしたの!」
 「着ぐるみ」って言いそうになったから、あわてて口を塞いだ!
 体に巻いてたタオルがパサッと下に落ちる。
 私は着ぐるみを買うか買わないかを勇美ちゃんに相談しようとしてたのを忘れちゃってた……

 ゆっくり振り向くとかおりんが心配そうな顔で私を見ていた……

「……えっと……下着忘れちゃって……」
「そお……急に声出したから何かあったのかと思った。
 ……今日は私が鍵返してくるよ、早く帰って着替えないと風邪ひいちゃうよ♪」
「うん……ごめんね、迷惑かけちゃって……」
「困った時はお互いさまでしょ♪」
「え?……うん!ありがと♪」

 ……着ぐるみのことはかおりんに言えないし……
 みんなと一緒だったからすっかり忘れちゃった……

 私は体をササッと拭いて、水着の上に着てきたTシャツと短パンを着て、先に着替え室を出た。

最終更新:2017年12月15日 22:46