悪質長男 第五話

227 悪質長男 第五話 sage 2010/05/17(月) 09:54:23 ID:VDiGRLPh
夜中の公園にて、麗華はベンチに腰を掛けていた。
頭が冷えて冷静になり、先程の喧嘩を思い返している。
確かに事実を受け入れるしかないのだろう。玲も怜二も今の環境をすんなり受け入れている。長女である自分にできないはずが無い。
(でも・・・・諦めたくない)
結局のところ、その想いに着地する。ずっと引きずっていたままなのだ。

肩を掴まれたのは突然だった。

振り返ると見知らぬ男が三人。一人は禿、その隣はリーゼント、そして肩を掴んでいるのが金髪オールバックの髪型だった。
肩を掴んだまま金髪が馴れ馴れしそうに話しかける。
「どーした姉ぇーちゃん?家出?話し相手になろうか?慰めてやるよ」
最後の言葉にアクセントが入っている。後ろに控える二人も上玉だの良い体だのニタつきながら呟いているのが聞こえた。
生理的嫌悪感。身の危険。
麗華は逃げようとして飛び出すが、肩から離れた手は手首を掴んだ。もはや逃がしてくれなさそうだ。
「逃げんなー。慰めてやるって言ってんだろ?」
「放して下さい」
「いやだー」
腕を引っ張り合う内に麗華は三人に囲まれていた。後はただただ湧き上がる嫌悪感に身を震わせる。これから何されるのかも予想が付く。男らの笑みはいよいよ下品に気持ち悪くなっていく。



228 悪質長男 第五話 sage 2010/05/17(月) 09:56:54 ID:VDiGRLPh
(怜二・・・・!)
こんな時でも考えるのは、弟になった男だった。
都合良く助けてくれるヒーローの様に現れるのを願った。

怜二・・・ヤラレル・・・助けて・・・襲われる・・・・
お願い怜二・・・・侵される・・・・
触れないで・・・・怜二だけが私の・・・・
ヤラレル・・・・怜二・・・・怜二・・・・怜二・・・・怜二・・・・怜二・・・・犯される・・・怜二助けて・・・怜二・・・

思考がグチャグチャ。

      • 怜二にならどれ程良かったか・・・・怜二になら私は・・・・・私は?

              • 怜二とナニヲ?

            • 私が・・・怜二と?



        • それならいいな・・・・



「うふ。うふあははははははははははは
はっははははははははははははははははははははは
はははははははははははははははははははははははははは
はははははははははははははははははははははははははははははは
はははははははははははははははははははははははははははははははは
ははははははははははははははははははははははははははははははははは
はははは」

怜二と同じ笑い方。チンピラ共が若干引き攣る。麗華の頭はもう、そんなものお構いなしだった。

(そうよどうしていままで考え付かなかったのでしょう
怜二と私は姉弟よでも男と女よできます
私達は一つになれますわ一つに一つにあはは私達は男と女結ばれます
愛し合えますずっと一緒にこれからはああ謝らなくちゃ
笑って許して謝らなくちゃ許してそしてベッドに
どうしていままで考え付かなかったのでしょう
ベッドにベッドで一つに一つに一つに私達は一つに
私達が一つに一つに私達で一つに一つに一つに一つに
私達なら一つに一つに一つに一つに一つに一つに一つに
一つに一つに一つに一つに一つに一つに一つに一つに一つに
一つに一つに一つに一つに一つに一つに一つに一つに一つに一つに
一つに一つに一つに一つに)

「な、なあ・・大丈夫かな?なんか目が虚ろだし、ブツブツ呟いてるし・・・」
「ヤラせてくれるって事だろ?じゃ、早速・・・」

金髪が手を伸ばす・・・・



229 悪質長男 第五話 sage 2010/05/17(月) 09:57:36 ID:VDiGRLPh










その公園には池がある。
今は三匹の生物が住んでいる。
一匹は禿、その隣はリーゼント、そしてオールバックだった金髪は天辺まで毟り取られた髪型だった。

三人共満身創痍で、
夜の公園には助けてくれる人など影すら無かった・・・・・。




そんな夜が過ぎた翌朝。
麗華が家族の朝御飯を作っていた。ほとんど毎日担う玲はもちろん、寝惚けていた怜二も呆気に取られて眺めていた。
一通り皿を並べると、麗華は二人に席に着くように促した。
「さあ二人とも、出来たのですから早く食べちゃってください。片づけられませんから。・・・・・あ、そうだ、怜二」
着席した怜二と目線を合わせて麗華は言った。
「昨日は御免なさい。私は頭を冷やしたし、もう大丈夫。これからも仲良くして下さいね」

それから、額に触れるだけのキス。笑顔で麗華がキッチンに戻る。
唇同士は玲の前では出来ないからお預け、との麗華の真意。弟妹の二人がそれを知る由もない。

玲が不可思議に首を傾げながら、玲二に問いかける。
「兄さん・・・いつ謝った?」
「いや、昨日は喧嘩別れしてそのままだったけれど」
「・・・・・なら・・・何故?」
怜二の口の端が歪む。
「ふ・・。まだ、気が付かないのかね?」
「?」
何か自信満々な兄に妹は疑問の矛先を変えて、また首を傾げた。怜二はわざわざ起立すると、片足を椅子に乗せて朝日に指を突き立て、漢前な顔で断言した。

「あれこそ伝説の、ツンデレだ!!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?」

高等学部一年15歳。そのテの知識には、疎かった。



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最終更新:2010年06月06日 20:06
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