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人格転生8 ◆qtuO1c2bJU [sage] :2012/01/18(水) 02:40:12.27 ID:bmxtJ25G (2/5)
「ちょっと! 由衣ちゃん!」
「ふにふに~ふにふに~」
揉み続ける由衣。
「抱きつくな!」
嫌がるさつきちゃんから引き離す。
その様子を見て告白じゃないと感じたのか周りの生徒も引いていく。
ったく、現金だよなあ。
「ほら、ちゃんとしろ」
由衣の姿勢を正してやる。
誰のための騒ぎだと思ってるんだ。
「さつきちゃん、大丈夫?」
「ええ…はい」
ショートカットの髪をかき上げながら苦笑いするさつきちゃん。いい子だよな。
このバカにも見習わせたい。不可能に近いけど。
「さっちんね。あたしよりちっちゃいけど胸は一緒なんだよ」
マジすか? えー由衣は今、80ちょっとだから…
「由衣ちゃんっ!」
今度はさつきちゃんが由衣を引っ張る。
由衣、その先はあとで訊かせろよ。
「何をしている」
ハスキーな声の方を振り向く。
優雅な佇まいで階段から降りてくる人物。
「愛理様…」
「あまり騒ぎを起こすな」
相変わらずのハードボイルド口調のお嬢様委員長。しびれるよな。
「風紀について兎や角言うつもりはないが、もう少し静かにしたらどうだ」
「はい。ですが…」
「なんだ?」
「いえ。申し訳ありませんでした」
「わかればいい」
助け舟を出さないと。
「あのさ、さつきちゃんは由衣をかばってくれたんだから悪くないぞ」
「だが姫乃の名を出していただろう?」
「それはしょうがなく…」
「どちらにせよ安易に家の名を持ち出すべきではない」
「最善の解決方法だったと思うぞ」
「だが他の方法もあった。違うか?」
「でもさ…」
俺が反論しようとしたところ愛理がさつきちゃんの方を向く。
682 :人格転生9 ◆qtuO1c2bJU [sage] :2012/01/18(水) 02:57:28.82 ID:bmxtJ25G (3/5)
「サツキ」
「はい」
「おまえのことだ。きっと正しい行動だったのだろう」
「はい」
「だが次からはもっと良い方法をとれ」
「わかりました」
由衣は俺の後ろに隠れてもじもじしている。
こういう、さつきちゃんに怒ってるときの愛理が怖いのだ。
気持ちはわかる。オーラあるもんな。
こら。お前のせいなんだぞ。わかってないんだろうけど。
「だが由衣君をかばった行為は褒めておく」
「はい、ありがとうございます」
そこで笑顔を見せると空気が戻る。
それにしても、このふたり、上下関係じゃなくてなんか別の雰囲気があるんだよな。
マジで百合な関係じゃないんだろうか。
「違います」
へ!?
「それくらい緩んだ表情をされていたら何を考えてるかわかります」
しまった。顔に出てたか。さつきちゃんって愛理と共通してるとこ多いよな。
「由衣君」
「う、うん」
「これからもサツキをよろしくな」
「うん」
由衣の頭を軽く撫でる愛理。こういう物腰はお嬢様だよな。
「帰るぞ」
「はい」
外には黒塗りのベンツが見える。ついでに持ってるものも。
「おまえたちも乗って帰るか? 送っていくぞ」
「無理」
俺は庶民なんだよ。
「そうか」
一応裕福ではあるが愛理たちとは次元が違う。
「乗ってこーよ! お兄ちゃん!」
おまえは黙っとけ。な?
諸悪の根源が図々しい。
凛とした格好で校門に歩いて行く。
さつきちゃんはこっちを見て何回も軽くお辞儀をしていた。
最終更新:2012年01月21日 17:34