転生恋生 第十七幕

366 転生恋生 第十七幕(1/4) ◆.mKflUwGZk sage 2009/12/07(月) 22:43:25 ID:lWiw80ed
 目が覚めた。朝だ。
 ひょっとして姉貴がまた俺のベッドに潜りこんでいやしないかと跳ね起きたが、姉貴はいなかった。
 ほっとしたが、一気に目が覚めてしまったので、手早く着替えて部屋を出る。……いや、出ようとしたのだがドアが開かない。
 何か重石でもあるみたいだ。力を入れて一気に外へ向けてドアを押し開けた。何かが転がる音がした。何だ?
 おっかなびっくり廊下へ顔を出してみると、ドアの手前に全裸の姉貴が転がっている。
 ……どうやら、俺の部屋に来ようと這いずり出てきて、ドアの前で力尽きたということらしい。
 ということは、何時頃からかは知らないが、全裸で廊下に転がっていたということになる。額に手を当ててみると、案の定熱が上がっている。体が冷えたのだからあたりまえだ。
「こんなしょうもないことでぶり返してるんじゃねぇよ」
 もう、呆れるしかない。そうはいっても放置するわけにもいかないので、姉貴を抱えて姉貴のベッドに戻してやった。布団を多めにかけて、氷枕を当ててやる。
 親父とふたりでトーストの朝食を済ませると、親父はお袋を迎えに病院へ向かった。今日はお袋の退院する日だ。俺は残って姉貴の看病をすることになった。
 姉貴はぶり返したせいで相当具合が悪いらしく、息苦しそうに唸っている。眠っているが、これでこじらせて肺炎にでもなったら、マジに入院だな。
 熱が高いせいで氷枕はすぐにぬるくなってしまう。午前中だけで3回も取り替えなければならなかったが、姉貴が目を覚ます気配はない。
 そうこうするうちに両親が揃って帰ってきた。お袋はすっかり元気になっていたが、不意に俺は今日が司の出場する競技会の日だったことを思い出した。
 ……お袋も戻ってきたことだし、ちょっと応援しに行くか。せっかくのGWが病気尽くしじゃもったいないしな。
 俺は両親に事情を説明して、電車で駅3つ離れた市営競技場へ出発した。

 市営競技場へ来る機会はほとんどないが、地元では有名な施設なので特に迷うことはなかった。
 受付でチケットを買うと、案内に従ってスタンドへ出た。観客はまばらだが、やはり高校生の競技会となるとこんなものだろう。国体なら話は違うだろうが。
 トラックに近いところには幟を持った制服姿の集団がある程度固まって声援を送っている。同級生の応援だろうが、うちの学校の制服は見えない。
 参加校数も少なそうだ。市内レベルの競技会かな。
 さて、どのあたりで観戦しようか。そう考えながらうろうろしていると、俺の名を呼ぶ声がした。
「たろくん! こっちや!」
 声の方を見ると、雉野先輩がいた。やたらフリルのついたお嬢様っぽいワンピースに身を包み、トートバッグとランチボックスを脇の座席に置いている。
「雉野先輩も来てたんですか」
 俺が近づいていくと、先輩は俺を手招きして右隣に座るよう促した。座ってみると、フィールド全体が見渡せる位置だ。近くに他の観客はいない。
「ワンちゃん……やのうて、司ちゃんに誘われたんや」
「はぁ……」
 そういや、このふたりは知り合いだったっけ。あだなで呼ぶなんて、かなり親しいんだな。
 それにしてもワンちゃんとは言いえて妙だ。あいつはワンコそのものだからなぁ。
「たろくん、お昼ご飯は済んだん?」
 言われて初めて、まだ昼食を摂っていないことに気づいた。みるみるうちに空腹感が襲ってくる。
「よかったら、これでもつまんでぇな」
 先輩がランチボックスを開けた。中には色とりどりのサンドイッチが並んでいる。こいつはうまそうだ。
「いただきます」
 まさか先輩の手料理が食べられるなんて、ついているな。
「うちのメイドが作ったんやけどね」
 そうですか。セレブですね。
 まあ、専門職が作っただけあって、確かにうまかった。スモークチキンのサンドイッチなんて、めったに食えないだろう。



367 転生恋生 第十七幕(2/4) ◆.mKflUwGZk sage 2009/12/07(月) 22:44:15 ID:lWiw80ed
 腹ごなしが済んだところで、フィールドがざわつき始めた。午後の部の競技が始まるようで、選手たちが集まっている。
「司ちゃんが出るで」
 プログラムを確認すると、女子200メートル走だ。先輩がオペラグラスを貸してくれたので、それで司を確認することができた。
「ちょっと足元が冷えるさかい、膝掛けかけような」
 先輩が大きめの膝掛けを自分と俺の膝の上にかけた。俺としてはべつに必要なかったが、せっかくのご厚意なので断らなかった。
 この機会に、気になっていたことを訊いてみる。
「先輩は司とは昔馴染みなんですか?」
「司ちゃんからは聞いてないん?」
 ちょっとカマをかけてみよう。
「なんでも千年前からの知り合いだとか」
「そんな突拍子もない話を信じるん?」
 引っかからないな。しかたなく、俺は「あいつちょっとおかしいんで」とごまかした。
「でもかわいいやろ?」
「……ええ、まあ」
 あの人懐っこさは憎めない。最初はわけもわからずつきまとわれてうっとうしくも思ったが、一緒に弁当を食う習慣にすっかりなじんでしまった。
「悪い子やないさかい、邪険にせんといてや」
 先輩は俺と司をくっつける気なのか? 俺にちょっかい出していたのは、やっぱりからかっていただけか?
「で、司とは付き合い長いんですか?」
「気になる?」
「なんか妙な組み合わせなような気がして」
「対照的な組み合わせの方がうまくいくんやで」
 そういうもんですか。
 うまく追及できそうにないので、競技の方を見ることにした。砂場では走り幅跳び、フィールドでは砲丸投げや走り高跳びをやっている。
 トラックは女子200メートル走が始まった。司の出る組はもう少し後だ。
 ……股間にぞくりとする感覚が走った。ズボンの上から撫で回されていることに気づく。痴漢? いや痴女か?
 って、こんなことするのは現時点でひとりしかいない。
「先輩! 何するんですか!」
 雉野先輩が膝掛けの下で俺の股間に手を伸ばしている。今まで、自分の胸に無理矢理触らせることはあっても、俺の体に直接猥褻行為をしてきたことはなかった。
 姉貴じゃあるまいし、先輩がこんなことをするなんて思わなかったから、俺はどうしていいかわからずに固まってしまった。
「声を立てると、注目されるで」
 先輩はトラックの方に顔を向けたまま、手だけは動かし続ける。
「やめてくださいよ」
 俺は辺りを気にしつつ、小声で懇願した。が、先輩の手は止まらない。下から上へと撫でさすり続ける。
「気持ちええやろ?」
 ……気持ちいい。姉貴にやられても何とも思わないが、先輩の手だというだけで気持ちいい。
 でもまずい。体は子供じゃないんだから、こんなことを続けているとやばいことになる。しかもここは公衆が集まっている場所だ。
「嫌なら、払いのければええんや」
 そう言って、先輩が俺のサオをぎゅっと握り締めた。
「……っ!」



368 転生恋生 第十七幕(3/4) ◆.mKflUwGZk sage 2009/12/07(月) 22:45:49 ID:lWiw80ed
 握られて、いつの間にか硬くなっていたことに気づく。先輩は手の動きを変え、撫でるのではなくズボンの上から握って、揉み始めた。
「やばいですから……」
 小声とはいえ、声が上ずってしまう。
「何がやばいん?」
 先輩は相変わらず俺のほうに顔を向けない。
「出ちゃいます……っ!」
「何が?」
 知ってるくせに! 言わせる気かよっ!
「あ! 司ちゃんの走る番や」
 つられてトラックの方へ目をやると、司が8人中一番外側のコースでクラウチングスタートの用意をしているのが見えた。肉眼だと顔はわからないが、体格でわかる。
 先日見せてもらった司のユニフォーム姿がフラッシュバックした。幼児体型のくせして、尻から太腿にかけて肉付きがよかった。
 ……まずい。想像してしまったせいで、ますます股間に血液が集中していく。見てはいないが、血管が浮き上がっているのがわかった。
 トラックでピストルが鳴り、選手が一斉に走り出した。それと同時に、俺のペニスがひんやりした柔らかい感触に包まれた。
 いつの間にか、雉野先輩がファスナーを下ろして俺のペニスを外へ取り出して、直接握ったんだ。
 いや、握るというより、しごいている。膝掛けの上からでも、勃起しているのがはっきりとわかる。俺は自然と前屈みになった。これは本当にやばい。しゃれにならない。
「やめてください……っ! 本当に……出るっ!」
 下腹に力を入れて懸命にこらえるが、先輩の手が動くのが早すぎる。どんどん先端が熱くなって、何かがせり上がってくる。
「司ちゃん、速いなぁ」
 トラックで司がぐんぐんスピードをあげて先頭に出て行くのが見える。だが、それどころじゃない。
「声を出すと周りに気づかれるで」
 思わず俺は両手で口を押さえた。そうではなくて、両手で先輩の手を払いのけるべきだと一瞬後に悟ったが、もう遅かった。
「……ぅっっ!!」
 俺のペニスが爆ぜた。腰が二度三度と縦揺れを起こす。たちまち膝掛けにしみが広がっていく。異臭が漂ってくる。
 トラックでは司がぶっちぎりの1位でゴールしていたが、もうどうでもよかった。
「かわいい声聴かせてもろたわ」
 先輩はごわごわした膝掛けで俺の射出口を拭い、そのまま膝掛けを丸めてバッグにしまった。
 俺はしぼんだペニスを慌ててズボンの中に押し込んで、ファスナーを上げた。
 誰かに見られなかったかと不安になったが、一番近いところにいる観客でも5メートルは離れているので、大丈夫みたいだった。
「……なんで、こんな、こと……」
 うまく声が出ない。息が乱れている。今までに経験したことのない、激しい射精だった。これに匹敵するのは夢精くらいのものだろう。
「たろくんに気持ちようなってもらいたかったんや」
 雉野先輩はやっと俺に顔を向けてくれた。笑っているが、何故か背筋が寒くなるような笑いだ。
「だからって、こんな場所で……」
「ほな、次はもっと落ち着ける場所にしよか?」
「そういう問題じゃ……」
「こういう匂いなんやね」
 先輩は左手の指先に鼻を寄せ、匂いをかいでから舐めた。俺のが付着していたんだと気づいて、顔が熱くなる。
「たろくんの味や……」
 俺は居たたまれなくなって、勢いよく立ち上がろうとしたが、腰が抜けて動けなかった。



369 転生恋生 第十七幕(4/4) ◆.mKflUwGZk sage 2009/12/07(月) 22:46:25 ID:lWiw80ed
「お茶飲む?」
「いいです……」
「男の人は、1回出すたびに水分補給せなあかんのとちゃう?」
 いや、確かにそうだけど……。
 とにかくショックだった。先輩がこんなことをするなんて。いつもの過剰なスキンシップとは話が違う。
「痴漢行為じゃないですか」
「相手が気持ちよければええやろ?」
 そういう問題なのか?
「合意の上やったら、べつに悪いことやないで。人目にもついてへんから、公然猥褻にもならへんやん」
 俺は合意した覚えはない。
「ほな、今から合意してや」
 事後承認かよ。
「司はもう出番はないんですか?」
 なんとなく話を変えたくなった。でも不自然な話題の変え方だと我ながら思う。
「午前に100メートル走があったんやけど、たろくんは見てへんのやな。2種目だけやから、もう終わりやね」
「なら、帰ります」 
 俺は椅子の背もたれに手をついて体を支えながら立ち上がった。そのまま席を離れて出口の方へ向かう。
 もうこれ以上、先輩の傍にいられない。恥ずかしくて、頭の血管が焼き切れそうだ。
「また学校でな!」
 先輩は俺を引き止めようとはしなかった。俺はそのまま競技場を出て、まっすぐ帰宅した。
 帰りの電車の中では、俺は極力他の客と距離をとった。そうしないと、自分の体からあの匂いがするのを嗅ぎ取られそうで不安だった。

 帰宅すると、姉貴はまだ寝込んでいた。熱が下がらないらしい。
 夕食は久しぶりにお袋が作ってくれた。退院したばかりだから出前でもいいと親父は言ったのだが、お袋が自分で作りたがった。
 姉貴がいない3人だけの夕食の席で、俺は改めて姉貴の進路調査の話をした。お袋は呆れていたが、普段から姉貴の振る舞いを見ているせいか、親父よりも真面目に取り合ってくれた。
「普通、女の子は身内の男はうっとうしがるものだけどね」
 お袋も思春期の頃は父親や兄がうざくてしかたがなかったという。
「でも、太郎も幼稚園の頃は『おおきくなったら、おねえちゃんとけっこんする』って言ってたよ。覚えてない?」
 死ね、その頃の俺。十中八九姉貴に言わされたんだとは思うが。
「まあ、一般的に女と縁を切るためには、相手から嫌われるように仕向けるのが無難だって言うわね」
 嫌われるというのは俺も抵抗があるな。仮にも一つ屋根の下で暮らす家族なわけだし。
「じゃあ、手っ取り早いのは、太郎が彼女を作ることね。さすがに仁恵も諦めるでしょ」
 やはり、それしかないか。
「誰か、気になる女の子はいないの? これを機会に告白なさいな。自分から行動を起こさないと、何も変わらないよ」
 ほんの1ヶ月前までは、女の子なんて縁がなかった。だけど今は違う。さしあたり心当たりが3人ある。
 司は今一番親しい女の子だ。彼女というのはぴんとこないが、学校では毎日一緒に弁当を食ってる。明らかに俺になついている。誘えば簡単に付き合ってくれるだろう。
 雉野先輩は今日プチ童貞卒業させてくれた人だ。自分から胸を揉ませてくれるくらいだから、ヤるのは一番簡単かもしれない。ただ、ペースを握られっぱなしになるだろうし、お金持ちのお嬢様というところがちょっと怖い。
 猿島も、1回だけとはいえデートした相手だし、演技の練習という名目で遊んでくれそうだ。太腿を撫でさせてくれたこともある。でも、役者だからどこまでが本心なのか読めない。
 とにかく、俺には3人もの選択肢があるわけだ。まるでゲームの主人公だな。ゲームと違うのは、失敗した場合にやり直しが効かないってことだ。
 だけど、姉貴を真人間に戻すという大義名分もある。ここはひとつ、勇気を出して3人のうちの誰かに、俺の彼女になってもらおう。
 俺の表情から決意を読み取ったのか、親父が余計なことを言った。
「妊娠させるなよ」
 言われるまでもない。それは死亡フラグだ。


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最終更新:2009年12月15日 14:45
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